サブスクリプションビジネスで売掛金残高集計の手間を減らす方法とは?

サブスクビジネスで売掛金残高集計の手間を減らす方法とは?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

サブスクビジネスの料金体系は基本的に月額払いですが、年間契約による割引や、オプションの設定などで、売上の計算が複雑になりがちです。そして売上計上とあわせて発生するのが売掛金です。今回は売掛金管理の流れと売掛金残高が合わない原因と対処法について説明します。

サブスクビジネスの売上管理

サブスクビジネスの料金体系は基本的に月額払いですが、年間契約による割引や、オプションの設定などで、売上の計算が複雑になりがちです。これから、サブスクビジネスの売上計上の考え方やポイントを説明します。

サブスクビジネスの売上計上方法

サブスクビジネスの料金体系は基本的に月額払いとなるため、売上も月ごとに集計して計上します。年額払いの料金体系を設定している場合は、1年分の売上が最初に支払われますが、その後1年間は商品やサービスを提供する義務が伴い、これを「役務の提供」といいます。このような契約では1年分の売上を前受金として計上し、その後1ヶ月に按分して売上計上を行います。なお、オプションプランを設定している場合は、オプションを設定している月に限り、そのオプション金額を売上計上することになります。

サブスクビジネスの売上管理が難しい理由

サブスクビジネスの売上管理は、いわゆる商品やサービスを販売する売り切り型のビジネスと比較して難しくなっています。これからその理由について説明します。

①請求体系が複雑

サブスクビジネスは基本的に月額契約ですが、年間契約やオプションプランを設定している場合は、プランごとに前受金の按分や割引処理、オプション加入により特定の月だけ料金を増減させる計算も必要になります。

このようにサブスクビジネスは料金体系が複雑で、同じ取引先でも月ごとに料金が変わる可能性があるため、正確な計算を行うためには時間と手間がかかります。

②請求書発行作業が多い

サブスクビジネスでは月額払いの取引先に対して毎月請求書を発行します。前項のとおり同じ取引先でも月ごとに料金が変わる可能性があるため、最新の契約に従って計算する必要があります。また、年間契約の場合は1回の支払いになりますが、前受金の処理で月別に売上計上していると、売上計上にあわせて月別請求書を送付するミスが発生する可能性もあります。

月額払いや年間払いに加え月ごとに料金が変動する場合もあり、請求書の作成には細心の注意が必要です。

③契約変更の確認が必要

サブスクビジネスには複数の料金プランがあり、取引先の都合でオプションや機能の変更が生じます。そのため毎月料金計算を行う際に、顧客の契約内容をチェックして、料金が変更になっていないかを確認する必要があります。

売掛金とは

売掛金とは、商品やサービスを提供した時点で代金をいただくのではなく、翌月末などを期限とした請求書を発行し、未入金となっている残高のことをいいます。売掛金は簡単にいうと、「売上代金を受け取る権利」となり、入金されてはじめて利益が確定するといえます。売掛金が未入金となっている場合は、取引先の経営状態の悪化が懸念されます。そのような状態を放置すると、取引先から売掛金が回収できず貸倒損失となる可能性があるため、早めの対策が必要です。

次は、売掛金管理の流れと、売掛金管理残高が合わない原因と対処方法について説明します。

売掛金管理の流れ

商品やサービスを販売した際の売掛金管理は以下の流れで行います。それぞれの内容について説明します。

請求書発行製品やサービスを納入したタイミングや契約締結時に前払いで支払いを受ける場合に、特定の支払期限を設定し請求書を発行します。
請求書は他者にお金を請求する行為であるため、ミスやもれは許されません。請求書は、①取引の内容、②締切月と請求月、③取引先情報など予め必要な項目を網羅した様式を準備しておくことで、必要な情報がもれないようにする必要があります。
売掛金台帳の作成売掛金管理は、エクセルの売掛金台帳を作成して行うのが一般的です。
請求年月日、当月請求内容、当月請求金額、繰越残高、取引先名、入金予定日、入金日、入金額は最低限必要な項目になります。インターネットから無料で入手できるテンプレートも活用しながら、会社の実情に応じた台帳を作成しましょう。
入金確認と消込発行した請求書及び売掛金台帳と銀行口座の入金記録を比較し、入金日や入金額を売掛金台帳に記入し、入金確認を行います。売掛金が指定の口座に入金され金額が台帳と一致していることが確認できたら、売掛金の入金消込を行います。
未回収売掛金の把握売掛金台帳の更新と入金消込をタイムリーに更新することで、どの取引先の売掛金が未回収になっているかをリアルタイムに管理することができます。遅延している売掛金があれば取引先名、遅延している売掛金の金額、遅延期間を売掛金台帳から洗い出します。
未回収売掛金の督促未回収の売掛金があるという事実を確認したら、取引先の担当者に連絡し、入金が遅延している理由の調査を依頼します。信用問題に発展するため、依頼に際しては自社の処理誤りがないかを十分確認した上で行うことが重要です。 調査を依頼しても入金されない場合は、督促状の発送や内容証明郵便の発送をすることにより、早期回収に努めましょう。

売掛金残高が合わない原因

自社や取引先の手続きもれや認識誤りなどで売掛金残高が合わないことがまれに発生します。月次決算毎に残高を特定し、売掛金残高が合わないときは、すぐに原因を確認しましょう。売掛金が合わない原因を一部紹介します。

①売上計上漏れ

自社の処理漏れ等により売上が正しく計上されていない場合、売掛金の計上もれとなり取引先からの入金が多くなります。月末に商品やサービスを納入したが、売上処理が翌日(翌月)となってしまった場合に発生しやすい誤りです。

②請求誤り

請求書の転記ミスや分割請求する場合の計算ミスにより発生します。同月に複数枚に分割して請求書を発行する場合で合計額と売上額の確認をしていないときに起こりやすい誤りです。

③取引先の検収もれ

取引先での請求書の紛失や内容の誤りにより支払処理が行われていなかった場合、取引先からの入金が少なくなります。月遅れで入金されればよいのですが、入金が遅れていることを取引先に連絡し確認を依頼しましょう。

④売掛金入金時の消込誤り

1つの取引先に対し、複数の請求書を発行した場合、その取引先からは請求書単位で入金されるのではなく、その月の請求金額をまとめて入金されます。売掛金残高と入金額が一致していれば問題ないのですが、入金額が合わない場合は、どの請求書が未入金なのかを特定する必要があります。

⑤締切日の違いや消費税の端数処理による差異

自社と取引先の締切日の違いより、やむをえず売掛金残高と入金額が不一致となる場合があります。

また、細かい話ですが、消費税の端数処理で差異が生じる場合もあります。これは自社と取引先の端数処理によるもののため、入金処理時に相殺処理を行います。

売掛金残高が合わない原因 5例

売掛金残高が合わないときの対処方法

前月の売掛金残高が予定通り月末に入金され、売掛金の消込がきれいに完了すればよいですが、実務においては前項のとおりこれらの不一致は往々にして発生するものです。ここでは売掛金残高が合わない場合の対処方法について説明します。

①売上計上基準を周知する

自社の売上計上基準が社内に周知されていないことを理由に、売掛金残高と入金額が一致しない場合があります。出荷基準・納品基準・検収基準・引渡基準など、売上計上基準を正しく認識し、売上計上もれを防止することが重要です。

②請求書の提出日と取引先の締切日を認識する

当社基準による締切日、請求書発行日、支払期限だけでなく、取引先の締切日とそれに基づく支払日を把握することで当社の入金予定日との差異を確認しておきましょう。

請求件数が増えると手作業でこれらの作業を行うのは煩雑なになるため、システム導入を検討してみるのもよいかもしれません。

③ヒューマンエラーを減らす

経理の残高の誤りはヒューマンエラーでも発生します。ミスを完全になくすのは難しいため、ミスをなくすだけではなく、ミスが起こらない処理方法を検討することが重要です。

売掛金管理はシステム化で自動化しよう

ここまで売掛金管理の方法について説明してきましたが、ここからはエクセルによる売掛金管理の限界と、システム化することによる効果と導入時の注意点について説明します。

エクセルによる売掛金管理の限界 

エクセル関数やマクロの活用により、ある程度手作業を効率化できますが、エクセルを使った売掛金管理には以下の2つの問題点が挙げられます。

①業務を行う担当者のスキルが問われる

エクセルを使用して売掛金管理を効率的に行うには、エクセル関数やマクロの知識が必要不可欠です。また、売上・売掛金の計上や入金確認や消込など、簿記・会計や税務の知識を総合的に理解している必要があります。

こういった知識は、通常社内の限られた人しか持っていないため、担当者の異動や退職などにより引継ぎが困難になる、いわゆる属人化のリスクを潜在的に抱えることになります。

②入力ミスが発生しやすい

いかにエクセルを効率的に使用していても、数値や関数の入力、ミスのチェックなどは全て手作業です。取引の種類や件数が多い場合は、作業量が多くなり、さらに時間もかかるため、ヒューマンエラーのリスクが高まります。

こうした要素が積み重なると、誤入力や請求もれ、入金消込誤りによる二重請求などの問題が発生しやすくなります。ヒューマンエラーは自社の信用問題に発展する可能性もあるため細心の注意が必要です。

システム化することによる効果

現金や売掛金などのデータ入力をシステム導入により行うと関連する仕訳が他の科目にも自動的に反映されるため、計上もれや誤入力がなくなります。また、専門知識がなくともシステムの様式に従って業務を行えるため、担当者以外の社員でも簡単に業務を行うことができ、属人化の防止が可能です。

また、入金額や売掛金管理の状況を正確かつタイムリーに把握できるため、取引先へのアクションを早期に起こせます。入金されていないことをいち早く認識し、請求・督促が迅速に行えるようになるため、安定したキャッシュフローの構築が可能です。

①担当者の作業負荷が軽減される

現金や売掛金の管理を行うには多くのデータを入力する必要がありますが、システム化により自動で登録される項目や連動して反映されるデータが増えるため、入力や転記作業を大幅に減らせます。

②ヒューマンエラーの防止・軽減につながる

入力や転記作業を少なくし自動で反映されるデータが増えることで、入力ミスや確認もれを防げます。また、入力ミスやもれがないかを確認する作業が少なくなるのも効果の1つです。

③売掛金の未回収リスクが低減される

請求書発行が自動化されることにより、請求もれや誤りを防げます。また、期間や取引先ごとに売掛金の状況を管理できるため、未回収の売掛金を減らすことができ、キャッシュフローの改善につながります。

④経営データの活用がしやすくなる

売上実績や顧客別のデータを蓄積することで、経営データを見える化できます。手作業でデータを集計・分析する場合と比較して、より早くかつ正確なデータを集計できるため、的確な経営判断を行うのに大きく役立ちます。

まとめ

サブスクビジネスの料金体系は基本的に月額払いですが、年間契約による割引やオプションの設定などで、いわゆる商品やサービスを販売する売り切り型のビジネスと比較して、売上の計算が複雑になりがちです。

商品やサービスを販売した際の売掛金管理は、①請求書発行、②売掛金台帳の作成、③入金確認と消込、④未回収債権の把握、⑤未回収債権の督促の順で行います。この過程において、自社や取引先の手続きもれや認識誤りなどで売掛金残高が合わないときは、すぐに原因を確認することが重要です。

エクセル関数やマクロの活用により、ある程度手作業を効率化できますが、エクセルを使った売掛金管理には属人化や入力ミスのリスクなど、取引量や件数が多くなるにつれ、手作業の限界が見えてきます。

エクセルでの手作業に限界を感じた場合はシステム導入を検討しましょう。システムを導入することで、計上もれや誤入力がなくなり、また専門知識がなくともシステムの様式に従って業務を行えるため、属人化の防止にも効果的です。さらに、システム内にデータを蓄積することで、経営データを見える化できます。手作業でデータを集計・分析する場合と比較して、より早くかつ正確なデータを集計できるため、的確な経営判断を行うのに大きく役立ちます。

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