こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
売掛金取引は、その入金の回収をもってはじめて全取引が終了となります。
入金が遅延すると資金繰りにも影響がでますので、迅速な入金確認が必要ですが、入金消込を間違って行うと取引先に迷惑をかけることになり会社の信用を失います。
本記事では、汎用的なExcelでの管理やGoogleスプレッドシート、クラウドを活用した管理システムの有用性や直近に迫ったインボイス制度など、請求周りの問題点を検証していきます。
目次
売掛金の管理と入金消込とは?
日本の商習慣では「後払い」の掛取引が一般的です。売掛金とは、商品やサービスを販売した際に、取引先から代金を後払いで受け取る権利です。売掛金は、会社の資産に計上され、貸借対照表の流動資産の部に記載されます。売掛金は、企業の資金繰りに重要な役割を果たしており、売掛金が回収されると、企業は現金が増え、資金繰りが改善されます。一方、売掛金が回収されないと、企業は資金繰りが悪化し、経営に支障をきたす可能性があります。
このように売掛金の管理は企業にとって重要で、売掛金の管理を適切に行うことにより、売掛金の回収漏れを防ぎ、資金繰りを改善することができます。そのために売掛金がいつ入金されるかを把握して、実際入金した日に金額を消し込んでいく作業を「入金消込」と言います。
入金消込を行うことにより、計上した売掛金が無事回収されることがわかります。入金消込を誤って行うと、取引先に二重請求することになり会社の信用を損なう恐れもあります。
【仕訳例】(消費税等は考慮しないものとする)
1.営業部はA社に対して納品し、1,000円の請求書を発行した
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
売掛金(対A社) | 1,000 | 売上(A社) | 1,000 |
2.翌月末にA社から当社の口座に1,000円の入金があった
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金(〇〇銀行) | 1,000 | 売掛金(対A社) | 1,000 |
入金消込の間違い例
消込先の間違い
月末に入金件数が多く、同じ金額が振り込まれることがあります。例えばA社からもB社からも、1,000円が振り込まれるなどです。下記は売掛先の発生と入金の一覧ですが、今回はA社から1,000円入金があったにも関わらず、B社で消し込んだ例です。
会社名 | 前月末残高 | 発生 | 回収 | 当月残 |
A社 | 5,000 | 5,000(未回収) | ||
B社 | 3,000 | 1,000 | 2,000 |
A社から入金があったにも関わらず、記載間違いにより「未回収」フラグが立ちました。これをこのまま営業担当者に報告し、営業担当者がA社に対して「未回収です、入金をお願いします」と依頼をすると会社は信用を無くしてしまう可能性があります。
請求額と振込額との差額がある場合
請求額(売掛金)と入金額(振込額)に差額が発生することがあります。原因は様々ですが、次の要因がよくあるケースとなります。
- 振込手数料を差し引いて振り込まれる
- 消費税の端数(切り上げ、切り捨て)による差額がある
- 先方の債権(売掛金等)と勝手に相殺されて振り込まれる
- 他の債権とまとめて振り込まれる
【仕訳例】(消費税等は考慮しないものとする)
1.A社から当社の口座に900円の入金があった。なお、A社への債権は1,000円である(振込手数料を差し引いて振り込まれた)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金(〇〇銀行) | 900 | 売掛金(対A社) | 1,000 |
支払手数料 | 100 |
なお、次回から手数料を差し引かずに、振り込んでいただくように交渉しましょう。
2.A社から当社の口座に998円の入金があった。なお、A社への債権は1,000円である(消費税の端数切り捨てによる差額がある)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金(〇〇銀行) | 998 | 売掛金(対A社) | 1,000 |
雑損失(消費税不課税) | 2 |
3.A社から当社の口座に900円の入金があった。なお、A社への債権は1,000円である(先方の債権=売掛金、当社の買掛金と勝手に相殺されて振り込まれる)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金(〇〇銀行) | 900 | 売掛金(対A社) | 1,000 |
買掛金(対A社) | 100 |
4.A社から当社の口座に1,500円の入金があった。なお、A社への債権は1,000円である。営業担当者に確認したところ、A社に対して納品済だが請求書の発行が漏れていた案件が500円見つかった(他の債権とまとめて振り込まれる)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預金(〇〇銀行) | 1,500 | 売掛金(対A社) | 1,000 |
売上高 | 500 |
入金消込にExcelを使うと効率化が可能
取引先が増えてきて請求先も増えてくると、それに併せて大量の入金消込の作業が発生します。
また、入金消込作業に間違いや消込漏れがあると、既に入金済みの取引先へ再請求することになり、会社としては信用を失ってしまいます。細心の注意を払いましょう。
取引件数がそう多くない内は、Excelを使用することで効率化が可能です。
取引件数が増えていった場合、マンパワーでは限界があるため、入金消込システムなど外部サービスを導入することも検討しましょう。
入金消込のExcelの利用例
人や小規模法人などシステム面にコストをかけることができない場合は、Excelで債権管理と入金消込を簡単に行うことができます。Excelの新規作成から「売掛」で検索するとMicrosoftによるフォーマットがたくさん出てきます。
この売上請求書の追跡ツールは、請求顧客の履歴、請求書、請求書の詳細を保持できるように設計されているので、複数のファイルを作成することなく、複数の請求書を保存できます。
請求書トラッカーを使用すると、以前の請求書データを分析することもできます。たとえば、ある顧客や特定のプロジェクトに関する全ての請求書を表示したり、先月、去年などのすべての請求書を表示したりすることができます。
請求書の詳細を分析する方法は?
請求書トラッカーを使用すると、複数の請求書を入力した後、特定の顧客、プロジェクト、指定した日付間隔などについて、全ての請求書の一覧を表示できます。
また、売掛金一覧と消込表もダウンロードできます。
MicrosoftのInvoicing追跡ツールなども無料でダウンロードできます。
これらの無料のツールを活用いければよいでしょう。
Excelを利用するメリットとデメリット
メリットとしてExcelは誰でも視覚的にわかりやすく、大量のデータを扱う分についても簡単な作業で処理が可能です。
デメリットとしては、入金消込をExcelで行うとなると、入力は人力で登録することになるので、最終確認も人力と目視での確認が必要となります。また、会計システムと別々に管理を行なっていると、会計システムへの登録も必要になります。
取引の件数が少なければExcelでも問題ありませんが、件数が多くなってくると作業効率が悪くなり、外部のSaaSシステム(ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネット経由してユーザーが利用できるサービス)を利用する方が効率的となります。
Googleスプレッドシートの活用
Googleスプレッドシートとは、Googleが提供している表計算ツールです。
GoogleスプレッドシートはExcelのような表計算ソフトで、オンラインでの共同編集がしやすく、データが自動保存されるという特徴があります。
Googleスプレッドシートは共有設定が可能
スプレッドシートは共有や共同編集が簡単にできるので、共有設定をするようにしましょう。
「リンクをコピー」をクリックすれば、シートのURLをコピーできます。コピーしたURLを相手に伝えれば、簡単にシートを共有することができます。
Googleスプレッドシートの保存方法は?
Googleスプレッドシートはオンライン上に保存されます。編集内容は自動的に保存されるため、Excelのような上書き保存などの操作は必要ありません。
Googleスプレッドシートでのデータ登録
実際の作表方法はExcelをほぼ同じです。
入金予定は「何か月先まで」を表示するEDATE関数を使いましょう。
請求管理システムの利用
請求管理システムとは、請求書の作成・送付・入金管理など、請求業務を効率化するためのシステムです。請求管理システムを導入することで、以下のようなメリットがあります。
請求管理システムは、請求業務に課題を抱えている企業に最適なシステムです。請求業務の効率化を図りたい場合は、請求管理システムの導入を検討することをおすすめします。
インボイス制度の導入と請求書の保存
インボイス制度とは?
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除の適用を受けるための新たな制度です。
消費税法では、税務書類を紙で保存することが原則とされていましたが、「適格請求書等保存方式」を利用することで、紙の請求書や領収書を電子データとして保存することが可能になります。
消費税法における基本的な流れは以下の通りです。
事業者が負担する消費税は、生産する財、サービスに上乗せされ一般消費者に請求されます。最終消費者はその財、サービスに上乗せされた消費税を負担する仕組みとなっています。理論的には最終消費者が負担した消費税が、国に間接的に納税されていく形なのですが、複数の事業者の間に流通する過程で、消費税が正しく納税されないこと(益税)も散見されていました。
この益税を是正する制度として、事業者が消費税の「仕入税額控除」の適用を受けるためにはインボイス(適格請求書)の保存が必要と改定されました。
なお、「仕入税額控除」とは、事業者が納税すべき消費税を計算するとき、売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いて計算することにより、消費税の二重課税を解消することができる制度です。 これまでは仕入れの事実が記載された請求書と帳簿を保存すれば、仕入税額控除の適用を受けることができました。
ただし、2023年10月以降は、適格請求書(インボイス)がないと消費税の仕入税額控除ができなくなります。適格請求書は「適格請求書発行事業者」に登録している事業者のみが交付できる請求書のことです。
つまり、免税事業者は適格請求書発行事業者になれないため、免税事業者等からの仕入については、原則として仕入税額控除ができなくなります。仕入税額控除ができないと、その分の消費税を事業者が負担しなくてはいけないため、納税額が増加します。
請求書の保存期間
2022年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行され、国税関係(法人税法や所得税法、消費税法など)の帳簿や書類を電磁的記録(電子データ)で保存するようにルールが変わりました。改正電子帳簿保存法では請求書も対象となります。電子メールやクラウドサービスなどを利用してやりとりする電子取引で受領した請求書はデータのまま保存しなければなりません。
2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)導入となり、適格請求書発行事業者は、法人税法等では、発行または受領した適格請求書を7年間保存しなければなりません。
まとめ
売上取引が増えると入金の管理と消込など経理的には煩雑なことが多いです。取引が少ないうちは、ExcelやGoogleスプレッドシートなどの人の「手」での管理で十分廻りますが、取引が増えると人力では限界があります。
また、インボイス制度の導入や改正電子帳簿保存法が施行により、その準備にも十分は時間がありません。システム導入など対応していきましょう。
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