こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
期中に支出した費用のうち、当期に属さない部分(会計期間をまたがる支出)を「前払費用」といい、決算時に繰り延べします。また、前払費用のうち1年を超えて費用となる部分は長期前払費用と呼ばれます。
長期前払費用には、家賃や保険料のように通常の前払費用と同じような処理をするものと、「税法上の繰延資産」という特殊な取り扱いをする支出があります。
この記事では、長期前払費用の概要のほか、特殊な長期前払費用である「税法上の繰延資産」の計上と償却の例、管理のポイントを解説していきます。
長期前払費用とは
「一定の契約に基づき、すでに提供を受けているサービスのうち会計期間をまたがる(当期に属さない)費用」を「前払費用」といいます。当期に1年分の家賃を前払いしたとしたら、次期に属する費用は繰り延べる必要があります。
長期前払費用とは、前払費用の中でも「決算日後、1年を超えて費用となるもの」を計上する勘定科目です。例えば、3年分の家賃や保険料などを前払いした際には、1年以内に費用となる部分を「前払費用」、それ以降に費用となる部分を「長期前払費用」として計上します。
また、これらの費用のほか「税法上の繰延資産」と呼ばれるものも長期前払費用として計上し、毎期償却する必要があります。
税法上の繰延資産の例
・公共的施設の設置または改良のために支出する費用 ・建物を賃借するために支出する権利金(敷金)等 ・同業者団体の加入金 |
長期前払費用の計上と償却
ここでは、長期前払費用の中でも処理に注意が必要な、「税法上の繰延資産」の計上と償却の流れを解説します。
税法上の繰延資産の例にもあげた、「建物を賃借するために支出する権利金」(いわゆる敷金等)のうち、20万円以上の契約終了時に返還されない部分は長期前払費用として計上します(例1-1)。5年以上の契約の場合は5年、5年未満の場合は契約期間で均等償却します(例1-2)。
例1-1
X1年4月1日、契約期間3年で事務所の敷金300,000円(契約終了時に返還されないもの)を預金口座から支払った。なお、当期の会計期間はX1年4月1日~X2年3月31日である。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
長期前払費用 | 300,000 | 現金預金 | 300,000 |
例1-2
X2年3月31日、決算が到来し、例1-1で支払った敷金を償却する。
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
長期前払費用償却 | 100,000 | 長期前払費用 | 100,000 |
※ 300,000円×1年÷3年=100,000円
上記が「税法上の繰延資産」の長期前払費用を計上する流れです。例1-1では、契約終了時に返還されない敷金を長期前払費用として資産計上しています。例1-2では、長期前払費用のうち、当期に属する部分を長期前払費用償却(費用)として処理しました。費用科目は、法人によっては「支払手数料」などで計上する場合もあります。
長期前払費用の管理のポイント
長期前払費用は償却期間が数年にわたりますので、決算時にうっかり処理を忘れることがあります。長期前払費用を資産計上した時点で償却のスケジュールを立てて、実際の勘定残高と想定される残高(スケジュール)が一致しているか確認することをおすすめします。
また、長期前払費用には、家賃や保険料などにかかる費用と、この記事で紹介した「税法上の繰延資産」があります。それぞれの取り崩し・償却ルールは異なりますので、複数の長期前払費用を管理する必要がある際は、しっかりと区分することも重要なポイントです。
まとめ
長期前払費用は、前払費用の中でも「1年を超えて費用となる部分」を指します。「家賃」や「保険料」のようなポピュラーな費用にかかるものから、「返還されない敷金」をはじめとした税法上の繰延資産も長期前払費用として取り扱うため、複雑な会計処理になりがちです。
前払費用の管理を誤ることは、法人の財務諸表を歪める原因にもなりますので、管理のポイントを押さえた上、正しい会計処理のために専用のソフトやシステムの導入を検討することも一案です。
請求管理のことなら、私たちにご相談ください。
私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。
請求書発行業務を80%削減する方法とは?
無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック
- 請求業務の課題と解決方法
- 理想的な請求業務フロー
- クロジカ請求管理の主な機能
- 請求業務を80%削減した導入事例
- 導入までの流れ