請求書は紙と電子化データのPDF、どちらで送る方が良い?それぞれのメリットデメリットは?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

請求書を発行する際、従来の方法である紙にするか、電子データであるPDFにするか、悩むことも多いでしょう。

紙の請求書には紙の良さや不便な点もあり、PDFの請求書には電子データならではの利便性や欠点もあります。

さらに、請求書には関係する法律があり、法律の規制も遵守した上で発行しなければなりません。

ここでは、そもそも請求書を発行する際に注意しておくことや法規制、そして紙による請求書のメリット・デメリット、PDFによる請求書のメリット・デメリットなどを解説します。請求書を紙で発行するかPDFで発行するかの判断基準の1つとしてみてください。

請求書を送付する目的

経理の毎月行う定型業務に、請求書の送付があります。一般的に、月初は前月締めの請求書を作成し送付するため、経理部門は繁忙です。

ここでは、そもそも請求書とは何か、なぜ請求書を送付するのか、そして、請求書の送付には請求書に関する法律の知識が必要なことをお伝えします。

そもそも請求書とは

請求書を理解するには、会社の利益について理解が大切です。会社は利益を得るため、商品を販売しており、その販売額は売上として正しい金額を計上しなければなりません。そして、正しい金額を相手に伝え入金を得るために請求書が必要になります。

経理の実務においては、売上の確定、請求書の作成と送付、取引先からの入金が、請求書に関する一連の流れです。請求書を作成する際、取引先との約束事を記載した売買契約書通りになされているか、必要な度に確認をします。

また、請求書は税金に関する書類としても重要で、取引や入金に関する証拠として、適切に保管しなければなりません。特に、請求書は不正につながるケースも見受けられるため、会社のルールを守り、経理担当者の独自の判断で発行しないことが大切です。

なぜ請求書を送付するのか

取引先は、仕入額を正しく把握するため、請求書が必要です。そのため、正しい金額の記載された請求書を取引先に送付します。請求書には、請求日や請求先に関する情報、振込先および期日が記載されているため、その金額を確認し期日までに代金を振り込みます。

また、取引先は請求書が届かない限り、売掛金の振込をしないため、要件を満たした請求書を期日までに取引先に送付しましょう。なお、請求書の送付方法には、紙による方法とPDFなど電子データによる方法などがあります。

請求書の作成には法律の知識が必要

請求書を作成する際は、法律の規制に注意が必要です。請求書は収益の計算の元になるデータが記載されてあるため、税金や法律などに準拠した記載方法や計算方法を確認しておきましょう。なお、請求書に関する法律は、次に解説します。

請求書に関する法律

請求書の作成自体を義務付けている法律はありませんが、請求書を作成する場合、記載する内容や保存方法に規定があります。請求書に関する法律として、電子帳簿保存法、適格請求書など保存方式(インボイス制度)などがあるので、ここで解説します。

なお、税制については、猶予措置などがあり詳しい知識も必要となるため、実際に請求書を作成する場合、気になる点は専門家と相談することをおすすめします。

電子帳簿保存法

電子取引のデータは、原則として電子データで保存することが義務化されました。例えば、アマゾンで買い物をした請求書や領収書などは、印刷した紙ではなく、PDFなどの電子データで保存しなければなりません。その取り決めをしているのが、1998年に制定された電子帳簿保存法です。

電子帳簿保存法は、国税関係の書類を対象としており、電子帳簿などの保存、スキャナ保存、電子取引データの保存など、大きく3つについて規定しています。

電子帳簿などの保存は、紙の請求書をペーパーレス化することで、経理実務の負担の軽減が目的です。

スキャナ保存は、領収書や請求書などにタイムスタンプを付して保存することをいいます。タイムスタンプとは、認証ソフトを利用しデータの改ざんがないことの証明です。

また、電子取引による請求書や領収書には、ECサイトの利用、PDFによる受領、クレジットカード明細などがあります。それらの電子データには、原則として検索機能を確保しなければならず、日付や取引先、そして金額によって検索できることが大切です。

e-文書法

電子帳簿保存法は国税に基づく法律ですが、国税に加え民間事業も含めた、多くの法定文書を対象とした法律として、e-文書法があります。また、e-文書法は2005年に制定され、企業の経理事務に関する文書や、人事労務などの文書も対象としており、電子文書法とも言います。

e-文書法が制定されたことで、国税以外の各法律の文書に関する法律をそれぞれ修正することなく、さまざまな書類を電子保存できるようになりました。

なお、電子帳簿保存法は電子取引によるデータの保存を義務付けているのに対し、e-文書法は、請求書や領収書のペーパーレス化により事業の効率化を目指す点に特徴があります。

適格請求書など保存方式(インボイス制度)

適格請求書など保存方式(インボイス制度)とは、令和5年10月より開始された、消費税の仕入税額控除の要件を満たした請求書を保存することをいいます。経理の実務では、取引先からインボイスの導入を求められることもあり、導入がなければ取引が成立しないことも考えられます。

インボイスの要件とは、おおまかに消費税率と消費税額が明確に記載され、登録した事業者の番号が記載されていることです。消費税の計算の方法は、取引先から受け取った消費税から、自分の支払った消費税を差し引き、その差額を納付する消費税にします。

ここで、インボイスの要件を満たした請求書を受け取っていないと、自分の支払った消費税を、仕入税額控除として受けることができません。つまり、インボイスを発行しないと、消費税を納める側は、消費税を差し引くことができないデメリットがあります。

請求書の送付方法

請求書を送付する方法は、紙で送付する方法、PDFで送付する方法、オンラインで送付する方法などです。会社の事業規模や方針によって送付方法は異なり、どの送付方法を選ぶかは取引先との取り決めによります。

紙で送付する方法

今まで普及してきた送付方法として、紙の請求書を印刷し郵送する方法があります。紙の請求書には、会社印や代表社印が押印されており、送付状とともに発送することが一般的です。

現在でも、紙による請求書の発行を求める会社は多く、取引先から紙による請求書の送付を求めれらた場合、印刷した請求書を郵送しなければなりません。

PDFで送付する方法

インターネットの普及により、エクセルで作成した請求書をPDFに変換しメールで送付するケースも多くなりました。請求書をPDFで送付するかどうかは、取引先の同意が必要です。また、取引先からPDF送付の指定を受けることもあります。

なお、PDFの請求書については、送付先を間違えないことと、請求書の保管場所が必要となってきます。誤ってファイルを削除しないよう注意しましょう。

オンラインで送付する方法

取引先との請求書のやりとりとして、オンラインで送付する方法があります。この場合、請求書を自動で送受信するため、請求書を印刷したり、エクセルで作成した請求書をPDFに変換する必要がありません。

請求書をオンラインで送付するには、独自に開発したソフトウェアにより取引先とデータ共有している必要があります。この場合、商品を発送した後、検品を確認した時点で売上計上する仕組みとなっており、請求期日通りに集計し自動で送金します。

このソフトウェアは、大手の量販店で採用していることが多く、開発コストがかかり大規模であるのが特徴です。売上先は請求書を作成する労力は必要ありませんが、そのソフトウェアを導入しないと取引ができません。

また、請求書を自動で送信するクラウドサービスも近年普及しており、請求書発行や入金消込、売上計上の自動化にも対応しています。

請求書を紙で発行するメリットとデメリット

紙は実際に手に取って見ることができるという特性があるので、紙ならではのメリットもあります。

しかし、物理的な特性によるデメリットもあります。特に電子データ化が進められない相当な理由があれば、紙による請求書を発行し、紙で保存をしても、相当な理由とみなされ容認されます。電子データ化が進むなか、紙による請求書のメリットとデメリットをここでは解説します。

請求書を紙で発行するメリット

紙の請求書は、パソコンとプリンターがあれば手軽に印刷できるため、請求書の枚数が少ない場合などはメリットとなります。ただ、請求書を紙で発行した場合、社長印や会社印などの押印が必要なことが多くなります。

また、紙による請求書はファイリングによる可視化ができるため、この場合も請求書の枚数が少ない場合はメリットです。書棚やデスクに請求書のファイルを置いておくと、問い合わせや確認などの際に便利です。

さらに、インターネットが使えない環境になった場合、紙の請求書を送付することで、請求書の未着や延着を防げることもメリットです。請求書の枚数にもよりますが、プリンターと印刷用紙は会社に常備しておくことをおすすめします。

請求書を紙で発行するデメリット

紙による請求書のデメリットは労力がかかることです。請求書を印刷した後、封入し、送り先の確認もしなければなりません。請求書の枚数が多い会社では、月初の短期間に請求書の発行に人手を要するため、一時的とはいえ経理担当の過労にもつながります。

発行した請求書の控えは、一定期間、保管しなけれはならないため、保管場所の確保も必要です。取引先数が多い会社では、書庫が必要ですし、書類を探す際に時間がかかるなどのデメリットがあります。

また、紙による請求書は、コピー用紙や封筒、郵送にも費用がかかります。経理担当の人件費もかかるため、会社の負担も大きくなり資金繰りに影響します。さらに、発送中に紛失する恐れがあり、追跡できない発送方法では、紛失した理由や場所などを特定するのが難しくなります。

請求書をPDFで発行するメリットとデメリット

近年は、請求書をPDFで発行し、メールで送信することも多くなりました。請求書をPDFで発行する場合、紙の請求書にはないメリットとデメリットがあるので、ここで紹介します。

請求書をPDFで発行するメリット

PDFによるメリットは、封入や郵送などの人手による手間がないことです。請求書のダブルチェックには人手がかかりますが、請求書が確定してから、取引先に送付する際は1人で業務が完了するでしょう。そのため、経理担当者の過重労働の防止につながります。残業代の減少もコスト削減につながります。

また、PDFの請求書は物理的なスペースを必要としません。そのため、事務所に書庫を設定しなくてもよく、そのスペースの賃料や、オフィスであれば固定資産税なども削減できます。

そして、紙や切手代、宅配の利用料金、封筒代などの経費がかかりません。毎月はもとより、年間のトータルでは節減できる経費も大きくなるでしょう。

請求書をPDFで発行するデメリット

PDFの請求書は、電子データのため、その特性によるデメリットがあります。そもそも、PDFのデータの読み取りに、古い機器では読み取れない可能性があります。また、PDFファイルの利便性を活かすには、最新のパソコンである必要はありませんが、古すぎない機種を使用することが大切です。

また、PDFの請求書を送付する際は、取引先の承認が必要なため、必ず取引先にその旨を伝え確認します。取引先の承認が得られない場合、PDFの請求書を発行できません。自社の都合だけでPDFの請求書発行は難しいとの認識が必要です。

特に、PDFのファイルはサイズが大きいことに注意が必要です。1つの取引先に複数の請求書をメールで送信する際、データが大きすぎる理由で送信エラーになることもあるでしょう。電子データは圧縮できますが、圧縮にも限界があるため、複数回に分けてメール送信するか、クラウドストレージを取引先と共有する、などの方法も取れます。

まとめ

ここでは、まず請求書について目的を確認し、発送方法にはどのような種類があるかを解説しました。また、請求書に関する法律として、電子帳簿保存法、e-文書法、適格請求書など保存方式(インボイス制度)などがあり、請求書を作成する段階から知識が必要です。

請求書の発行方法には、従来の紙によるもの、インターネットの普及に伴うPDFによるもの、さらにオンラインによるものなどがあります。紙の請求書にはメリット・デメリットがあり、PDFによる請求書にも電子データならではのメリット・デメリットがあります。

紙ベースの資料を電子データ化することは、国主導で進んでいる状況です。しかし、請求書の発行を紙にするか、PDFにするか、どちらを選択するかはまず取引先の了承を得る必要があり、取引先との合意の上で進めることをおすすめします。

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