こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
近年、サブスクリプションビジネスが注目を集め、音楽配信サービスや動画配信サービスなどは私たちの生活に欠かせないものとなっています。これらのサブスクリプション契約は毎月定期的に支払が行われ、さらにオプション購入による追加課金も増えているため、請求回数の増加や支払金額が月によって異なるなど複雑になってきています。ここで重要になってくるのが入金管理です。
しかしながら、入金消込は手作業で行うと多くの時間がかかり、手作業によるミスも懸念されるため、入金消込をシステム化することで、業務品質の向上や効率化が期待できます。
本記事では、システムを活用して入金消込を自動化するメリットについて解説します。
目次
入金消込とは
入金消込とは、企業が商品やサービスを販売した時点で売掛金を計上し、顧客から代金が入金された時点で売掛金の消込を行うことをいいます。企業同士の取引は掛売りが基本となっているため、商品代金が入金されるまでは売掛金として計上されることが多いです。そして、売上が計上された翌月末などを支払期限とした請求書を発行し、その期日に入金があったときに売掛金の消込を行います。
売上から入金までの流れ
No. | 項目 | 内容 |
1 | 売上計上 | 企業が商品やサービスを顧客に販売し、顧客に引渡した時点で売上を計上します。通常、企業の取引は掛売りが基本となるため、仕訳は以下の方法で行います。 【仕訳】借方:売掛金 10,000円 / 貸方:売上 10,000円 |
2 | 代金の請求 | 顧客に対し、商品やサービスの内容と金額、入金口座、支払期限(例:4月締5月末払い等)を定めて請求書を発行します。1ヶ月に複数の取引がある場合は合算して発行。 |
3 | 入金確認 | エクセルなどを使用して作成した請求データをもとに、支払期限までに銀行口座に代金が入金されていることを確認します。 |
4 | 入金消込 | 入金金額が請求データと一致していたら、売掛金の消込を行います。 【仕訳】借方:現金預金 10,000円 / 貸方:売掛金 10,000円 |
5 | 入金督促 | 入金が確認できない場合または金額が一致しない場合は、顧客に対し入金の督促を行います。売上が計上され利益が発生していても、入金されないことには会社は継続できません。ただし、会社の信用に関わるため、入金の確認漏れや誤りがないかはよく確認する必要があります。 |
入金消込の具体的な流れとして、まず経理担当者が銀行口座への入金確認を行います。最近はネットバンクの普及により、わざわざ通帳記帳しなくても、ウェブ上での確認が可能です。
次に、エクセルなどを使用して作成した請求データを確認し、入金金額との一致を確認して消込を行います。この入金消込は請求書の数だけ発生し入金される都度細かくチェックする必要があるため、件数が増えれば増えるほど大変になります。請求金額と入金金額が異なっている場合は、その都度確認が必要です。よくある理由としては、顧客の支払締切日が異なることにより入金日がずれる場合や振込手数料が差し引かれて入金している場合、請求名義と振込名義が異なっている場合などが考えられます。
商品やサービスを販売して売上を計上しても、代金が入金されなければ会社は継続できません。そのため、売掛金が支払期限までに予定通り入金されているか、請求額と入金額が一致しているかはいち早く確認し、もし入金されていない場合は、適切な方法で督促し早期に回収することが求められます。
入金消込は経理担当者にとって非常に手間のかかる業務ですが、企業にとっては欠かせない業務の1つです。
入金消込における業務上の問題点
入金消込は件数が多くなればなるほど大変だということはすでに説明したとおりです。ここでは入金消込における業務上の問題点を3つ解説します。
目視確認によるミス
1つめは目視確認によるミスです。
入金消込時のミスは請求書の発行や入金確認において大きな問題になります。ミスに気付かずに請求書を発行した場合、顧客に誤った金額を請求することになり、二重請求や請求漏れといったトラブルを引き起こします。また、入金確認時の目視によるミスにも注意が必要です。入金情報を見落とした場合は入金消込が行われず、請求額と入金額の不一致が発生します。
このような目視によるミスは、企業の信頼性や顧客満足度の低下をもたらします。顧客からの不満やクレームが発生した場合、その対応に時間や労力を割くことになり、経営には悪影響です。また、経理担当者にとってもミスを犯してしまったことでストレスを抱えることになり、モチベーション低下につながります。
入金額のチェックに時間がかかる
2つめは入金額のチェックに時間がかかることです。
企業が顧客に対し月末締翌月払いで請求書を発行しても、顧客側の集計タイミングや支払手続きにより、複数の請求書がまとめて入金されたり分割して入金されたりします。顧客との取引数が増えると売掛金の総額も大きくなるため、入金消込は多くの手間と時間がかかる業務です。
また、入金確認に時間がかかると、入金額が合わなかった場合の督促や代金の回収が遅れるだけでなく、売上データの更新など経営管理にも影響を与えます。
業務の属人化
3つめは業務の属人化が起こることです。
業務の属人化とは、ある特定の担当者が行っている業務が、その担当者以外の人には行いにくい状態になってしまうことです。入金消込は入金データや請求データを取り扱う経理担当者のスキルや経験によって、業務の品質が大きく左右されます。また、作業に慣れている担当者ばかりに任せていると、長期休暇や異動、退職などで離脱した場合に入金消込業務がストップしてしまう可能性があります。また、新しい担当者が入ってきた場合にも、その担当者が業務を習得するまでに時間がかかるため、業務の遅れやミスが発生する可能性があることにも注意が必要です。
システムを活用して入金消込を自動化しよう
前項では入金消込における業務上の問題点を解説してきましたが、その解決策の1つが入金消込のシステム化です。現在では多くの業者が請求管理や顧客管理に関するクラウドサービスを提供しているため、企業のニーズに合わせた入金消込ができるシステムを選んで導入することができます。ここからは、システムを活用して入金消込を自動化するメリットを4つ解説します。
人為的なミスや業務の属人化を防止できる
1つめは人為的なミスや業務の属人化を防止できることです。
人為的なミスや業務の属人化を防止するための解決策として、まずは業務マニュアルの整備があげられます。具体的には、業務フローを整理し、入金消込の手順を明確にすることで、担当者はスムーズに業務を行うことができます。また、二重チェックの仕組みを導入することや担当者の教育に力を入れることも有力です。
さらに、業務の属人化を防止する対策として、社内での知識共有や教育体制の整備が欠かせません。業務マニュアルの整備だけでは、担当者が不在となった場合に業務が継続できないためです。社内での知識共有や教育体制の整備を行うことで、適切な人材育成が行われ、業務の継続性が確保されます。
このような基本的な対策を行うことはもちろん重要ですが、人が行う作業には限界があります。そこでシステムの導入です。システムを導入することで、これまで業務に習熟した特定の担当者が手作業で行っていた集計や入金消込作業が、短時間かつ自動で行えるようになります。システム化によりミスなく効率よく入金消込が行えるようになると、担当者はより高度な業務に専念でき、企業のさらなる成長にもつながります。
未収入金が効率よく把握できる
2つめは未収入金が効率よく把握できることです。
売掛金管理における未収入金とは、本来入金されているはずの売掛金が入金遅れや入金額の不足により入金されていない状態を指し、早期に回収すべき売掛金として管理する必要があります。
この未収入金が発生すると、売掛金が現金化されないため、キャッシュフローの悪化や資金繰りの悪化につながります。また、未収入金の発生内容が不明確な場合、売掛金と入金額が合わない状態が継続するため、その後の売掛金管理に悪影響を与えることにも注意が必要です。
この入金消込を自動化することにより、未収入金の発生状況をリアルタイムで把握することができるため、売掛金管理のリスクを低減できます。また、未収入金の発生原因が明確になると、未収入金の減少につながる対策を講じることが可能となり、企業の売掛金管理の効率化やキャッシュフロー改善にも役立ちます。
履歴情報活用でイレギュラーな処理にも対応できる
3つめは履歴情報の活用でイレギュラーな処理にも対応できることです。
入金消込を行うには、それまでに発行した請求書や銀行口座への入金情報などの履歴情報を活用する必要があります。しかし、これらの情報を紙ベースで管理していた場合、情報検索に時間がかかるだけでなく、情報の漏れや記録ミスにつながる可能性があります。また、データベースに蓄積された情報を使用する場合でも、反映漏れや更新遅れなどにより、誤った消込処理を行ってしまう可能性があることにも注意が必要です。
そこで、入金消込をシステム化することで、請求書や銀行口座への入金などの履歴情報はデータベースに保存され、必要な情報を素早く検索できるようになります。また、請求情報と入金情報を自動的に照合し消込を行うことが可能になるため、情報漏れや記録ミスを防止することにもつながり、常に最新情報を活用することができます。
この履歴情報を活用することにより、システムではさらにイレギュラーな処理にも対応することが可能です。例えば、口座名義の不一致から入金消込がされなかった場合に、口座名義の不一致を履歴に反映することで、次回は自動で入金消込が行えるようになります。また、複数の請求書に対する入金が同時に発生した場合や一部の請求書に対する入金が未払いの場合であっても、システムでは効率的に管理することが可能です。これにより、経理担当者の負担を軽減し、企業の売掛金管理を効率的に行うことができます。
入金消込データと他システムとの連携ができる
4つめは、入金消込データと他システムとの連携ができることです。
例えば、複数のシステムを使用している企業が、これらのシステム間で入金消込データを共有したい場合を考えてみましょう。入金消込がシステム化されていない場合、①顧客データから取引先ごとの請求情報確認し、②銀行口座から顧客からの入金額を確認し、③経理帳簿から売掛金残高を確認し入金消込を行うといった3つの手順を1つずつ行い、入金消込を行います。このように、各項目を手作業で処理しようとするときに懸念されるのが、入力ミスや処理の遅延です。
しかし、システムを導入して入金消込を行う場合は、入金消込のデータを他のシステムと簡単に連携できます。例えば経理システムや販売管理システムとの連携です。入金消込データと経理システムを連携すると、担当者が手動で残高を更新しなくても、売掛金残高は自動で更新されます。また、販売管理システムと連携すれば、顧客への請求データや支払履歴がリアルタイムで把握できるため、入金消込に役立つことはもちろん、顧客へのきめ細かな対応が可能です。
このように、入金消込を自動化すると、他のシステムとのデータ連携がスムーズになり、情報の正確性の担保や作業効率の向上にもつながります。また、これらのシステム連携を簡単に行えるようになることで、企業は事業の継続や発展といったビジネスの視点で情報を分析し、経営戦略に反映することができます。
まとめ
入金消込は企業にとって非常に重要な業務となりますが、手作業で行う場合は請求情報と入金情報を目視で確認する必要があり、経理担当者にとっては非常に負担感の大きい業務です。また、入金遅れや金額の誤りがあったことをすぐに把握できない場合は、売掛金の回収が遅れることにもつながります。
そこで、入金消込をシステム化することで、手作業による入金消込のミスを防止できるだけでなく、作業時間の大幅削減が可能です。また、経理システムや顧客管理システムとの連携を行うことでさらなる業務効率化も見込めるため、経理担当者の負担は軽減し、担当者はより高度な業務に専念できます。入金消込に課題のある企業は、システム化を検討してみてはいかがでしょうか。
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