こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
売上管理とは、その名の通り売上を管理する業務のことです。
会社にとって「売上を最大にし」「経費を最小にする」する、この2点が常に経営の課題になっているでしょう。
経費削減には限界がありますが、売上の安定・向上には限界がありません。
売上管理とは、売上をただ管理するだけの業務ではなく、その目的は「売上目標を達成させて安定」することであり、「売上向上のヒントを見出す」ためにあります。
そのために、現在の売上記録や集計から様々な分析をする必要があるのです。成果の把握と原因の検証が何より大切なのです。売上管理がしっかりできている会社は、売上目標を達成できる可能性が高くなるため、会社の生産性向上には欠かせない重要なポイントです。
本記事では、簡単に捉えられがちな売上管理について詳しく解説し、売上管理の注意点やポイントについて見ていきましょう。
目次
年次決算に備えた売上管理とは?
会社で行う会計業務に、「財務会計」と「管理会計」があるのをご存知でしょうか。
管理会計とは、売上管理も含む企業内部の経営管理者が見る会計情報です。自社の状況を把握し、今後の意思決定に役立てるための、社内向けの会計ともいえます。
売上管理の項目には、過去と現在の比較や目標までの達成率、部門別や地域別、商材別、顧客別など、様々な分野から細かく分析することが求められます。売上管理をする主な理由は、「現在の会社の状態を把握するため」「分析をすることで早めに対策を行うため」です。
その分析結果によって対策を練り、行動していくことで売上を安定、向上させていくことが売上管理の最終目的です。売上管理が会社の行く末を左右すると言っても過言ではないほど、重要な判断材料となるのです。売上管理は、売上の記録をつけるだけの単純な事務作業に見えてしまいますが、実は大きな役割を担っているのです。
対して財務会計とは、年次決算(1年に1度決算を行い、期末に事業年度の事業実績を集計して、決算書「財務諸表」を作成して国に申告をする一連の業務のこと)のための会計です。この年次決算の実施は法人の義務であるため、売上管理をしていない会社でも必ず年次決算はしなくてはなりません。
このため、財務会計はすべての法人で行われています。
この年次決算業務は、一般的に次の手順で行われます。
決算書作成以降は顧問税理士が行い、自社内では勘定整理のみ行っているケースも多く見受けられます。
経理担当者が決算で行うこの勘定整理とは、年度末の各勘定科目の残高に間違いがないか確認し、正しい残高にすることをいいます。
全ての勘定科目について、それぞれの科目に対応する証憑や帳簿と突合せをして確認をするのです。
売上管理に関する勘定科目も当然対象です。
財務会計にしか重きを置いていない会社では、単純に記録して集計するだけの会計報告になりがちです。
管理会計によって多角的な分析がなされないことで、記録や集計のミスに気付かずに積み上がってしまい、決算時に勘定整理に苦労した経験がある経理担当者も多いのではないでしょうか。
管理会計業務の一つとして、売上管理を日頃からしっかり行っていくことは、スムーズな年次決算にも繋がっていくメリットがあります。
売上管理の注意しておきたいポイント
売上管理が会社にとってどれくらい重要なものかについては、お分かりいただけたと思います。会社に役立つ売上管理の業務を行う際には、「管理データの正確さ」「管理する際の効率の良さ」「判断材料になるだけの具体性」が必要になります。これらを行うためには、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。ひとつずつ確認していきましょう。
テンプレートを利用する
テンプレートとは「型に流し込んで同じものを作り出す」という意味があり、ひな形となるデータのことです。テンプレートを作成しておけば記入の仕方が一目でわかるので、記入という作業を効率的に行うことができるでしょう。
売上管理の担当が変わったり、新人や未経験者が担当することになったりしたとしても、わかりやすく覚えやすいテンプレートがあれば業務に支障が出ることを避けられます。
ルールを制定・運用する
売上管理は複数人で当たることが多い業務です。様々な人が入力作業をした場合、入力の仕方に違いがあったり、考え方が違っていたりする場合があり、正確なデータを収集できなくなってしまう恐れがあります。
それを防ぐためにも、入力業務に関してルールを決めておくことが大切です。記入方法はもちろんのこと、備考欄などはどんな風に使用するかも決めておくことで、誰でもわかりやすく見やすくなるでしょう。
数値以外の項目作成
数値だけを記入するのではなく、それ以外の項目も作るようにしましょう。その日の天気や曜日、イベントなども数値と一緒に記入することで、売上分析が細かくできるようになります。
晴れや雨などの天候によって売り上げは左右されるのか、曜日によって違いはあるのか、イベントがあれば売上は上がるのかなど、市場調査や経営分析に役立つのです。これからの対策を立てる際にも貴重な判断材料となるでしょう。
エクセルや管理システムを積極的に導入する
売上管理は、入力する数値や項目が多岐にわたるため作業が煩雑になりがちです。
できるだけヒューマンエラーを少なくするために、エクセルを使って計算を自動化したり管理システムを導入したりしていくといいでしょう。
エクセルで作成したテンプレートにあらかじめ計算式をいれておけば、その後の作業が圧倒的に効率化されます。テンプレート作成後も集計項目の設定を柔軟に自社で変更できるため、自由にカスタマイズをすることができます。管理項目が少ない場合や、できるだけコストをかけずにまずはスモールスタートで始めたい場合におすすめです。
反面、管理項目が多すぎると入力の負担が大きくなる、担当者レベルで自由に書式変更ができてしまうために作業が属人的になりやすいデメリットもあります。エクセルの正確性と効率性には、限界があることをあらかじめ頭に入れておきましょう。
管理項目が多く、作業を複数人で担当する場合などは、管理システムを導入することで効率的に売上管理をしていくことができるでしょう。
売上管理の本番はデータ分析と考察から始まる
財務会計に重きを置いている企業やその経理担当者が陥ってしまいがちなのが、せっかく管理会計を始めたのに「入力・集計」をメイン業務としてしまうことです。
正しい入力・集計は確かに重要です。しかし、売上管理の目的は、正確できれいな表をつくることではありません。
いかに今後の経営に役立つ情報を、いかに速く伝えることができるのかがとても大切なのです。
入力と集計は業務の目的ではありません。その積み上げたデータを使って自社の現状や課題の把握を抽出し、その対策を練り上げ、その対策の効果を確認していく道程が胆なのです。
このサイクルを繰り返していくことで、売上を安定・向上させていくことに繋がります。
これらのポイントをおさえて売上データを積み上げていき、定期的に数字や項目の振り返りをしていきましょう。
売上管理で重要な項目
ただ数値を入力していくだけでは、判断材料になるだけの具体性がなくなってしまいます。管理している項目とその特徴をしっかりと把握しておくことで、真に役立つ売上管理につながっていくでしょう。そこで、参考までに売上管理表にある一般的な項目とその特徴をまとめました。
- 売上
金額だけではなく、日時・顧客情報・製品やサービスの情報などを記録しておくことで様々なデータ分析に利用することができます。担当者別・部門別・チーム別での売上金額も記録しておくといいでしょう。
- 各項目の目標
目標を立てておくことで、現在の状況と見比べて分析することができます。目標の設定は、過去の実績や今後の販売計画などを元に、現実的に達成できるであろう数字よりやや高めの数字にするのが一般的です。
- 売上目標の達成進歩
進捗状況を知るために必要な項目です。期間を毎月、四半期、年度と分けておくと、対策を立てやすくなります。
- 前月及び前年同月比の売上
前月の売上からの推移、前年同月比からの推移を知ることは、自社の売上の方向性の確認に繋がります。
実施している営業戦略の効果が出ているのか、新たな施策を考え直す必要があるかヒントにもなるでしょう。
- 仕入れた商品の原価
原価を記入しておくことで粗利益がわかります。売上高から原価を引いた額が粗利益であり、粗利益は商品やサービスの価値を示すものなので、経営分析に役立つでしょう。
- 予算と経費の消化状況
予算と経費の消化状況がわかれば、経費の無駄がないかどうか、妥当であるかどうかを知る手掛かりになります。
- 曜日、天候
上記で説明しましたが、曜日や天候によって売れ筋が変わることはよくあります。一見関係なさそうに思えても、記入しておくことで傾向を把握することができるでしょう。
企業の営業活動には、ありとあらゆる情報や数字が発生します。それらを全て売上管理に盛り込むことは不可能ですし、その必要はありません。まずは、一般的な上記の項目を参考に入力して、それらの指標をクロスして分析してみましょう。たとえば、「商材別の売上高×曜日」で分析すると、曜日によって売れやすい商品とそうでない商品がみえてきます。それらを把握することで、今後の販売計画を練り直すこともできるようになります。
システムによる売上管理
システムを導入することで、売上をさまざまな軸で集計・参照ができ、売上分析も自動で行ってくれるようになります。その結果、業務効率が上がり、人的ミスも少なくなるというメリットがあるのです。
しかし、エクセルとは違って導入に追加費用が必要になるほか、システムの操作方法を学ばなければならないので、導入し運用までのハードルが高いというデメリットもあります。
メリットやデメリットを考慮した上で選ぶ必要がありますが、大量のデータを処理できることや、業務効率の改善に繋がることを考えると、やはり管理システムを導入する方が、後々会社にとって有益になると言えるのではないでしょうか。
売上管理システム、販売管理システム、管理会計システムなど、さまざまな名目のシステムが展開されていますが、項目や機能は多岐にわたります。社内の数字の特性や、管理項目と照らし合わせて選ぶといいでしょう。
システム導入による具体的なメリットをひとつずつ確認していきましょう。
精度の高さと業務効率の向上が見込める
システムの場合は自動で計算や分析をしてくれるので、人的ミスが少なくなります。その分精度の高い正確な数値や分析ができるでしょう。また、人手が足りず記入するだけで精一杯だと分析が遅れてしまいますが、システムを導入し業務効率の向上ができれば、すばやく分析を行うことができます。
その結果、最新の分析結果をもとに経営判断をすることができるので、経営上のメリットが大きくなると言えます。
月次売上を素早く把握できる
業務効率の向上により売上の管理が速くなるだけではなく、月次決算(1ヶ月単位で行う決算業務)も素早く把握することができます。月次決算はその月の売上や経費を精算しなければなりませんが、システムなら自動でやってくれるのです。
その結果、売上予測を立てたり、売上が振るわない分野の改善に努めたりすることもすぐにできるでしょう。
複数の売上をまとめて管理できる
複数の商品やサービスを抱えている場合は、それぞれの売上管理が必要になります。表計算だと1つ1つシートごとに管理しなければならないので作業が複雑になりますが、システムを使えばまとめて管理することができるので作業が簡素化されます。
まとめ
売上管理のポイントについて理解は深められたでしょうか。
売上管理を正確に行うことで、年次決算時の確認作業が削減できることに加えて、バックオフィス業務の効率化に期待できます。
そして何より、売上管理とは自社の課題の把握や今後の経営戦略立案に役立つ数字を抽出する業務なのです。
この業務は経理担当者だけでなく、経営陣や営業部門など会社全体で関わるべき重要業務です。
管理会計の体制がまだできていない会社は、この機会にぜひ見直してみてはいかがでしょうか。
請求管理のことなら、私たちにご相談ください。
私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。
請求書発行業務を80%削減する方法とは?
無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック
- 請求業務の課題と解決方法
- 理想的な請求業務フロー
- クロジカ請求管理の主な機能
- 請求業務を80%削減した導入事例
- 導入までの流れ