見積書の書き方を徹底解説!有効期限の設定など作成ルールを理解しよう

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

見積書は、領収書や請求書と同様に「取引が成立したことを立証するための書類」である「証憑」のひとつです。領収書や請求書と異なり、取引の価格や条件を示して、依頼主が発注するか否かを判断するために使われるもので、正式に仕事を受注する前に作成されます。

しかし、請求書と領収書と同様に、1つの取引に関わるお金や商品の動きについて、記録を残すための重要な資料です。そのため、見積書の作成にはいくつかのルールがあります。そこで、本記事では、見積書の作成に必要な必須項目と請求書等に変換できるシステム等の効率化についてご紹介致します。

そもそも見積書とは

見積書は、正式に仕事を受ける前に発行する証憑で、取引の価格や条件を示して、依頼主が正式に発注するか否かを判断するために使われる資料です。その多くはメールあるいは口頭で依頼があり、これを受けて作成し提出しますが、正式に「見積依頼書」という書面に基づいて提出する場合もあります。

仕事の発注に当たっては、価格交渉を行う必要がある場合も多く、例えばシステム設計などの請負や、弁護士、税理士などの士業といった、単価が一義的に決まっておらず交渉によって決まる業種では、見積書によって交渉を行います。

ちなみに、注文書、納品書、請求書、領収書なども「証憑」と言われる書類で、帳簿などと同様に会社法や法人税法により保存しておくことが義務とされています。

見積書は電子データとして保存(電子帳簿保存法)

電子帳簿保存法は、経理のデジタル化を進めるための法律で、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引データ保存など3つの構成で成り立っています。令和4年に改正され、証票類を紙ベースでなく電子データとして保存するよう規定しています。

この法律のメリットは、証票や会計帳簿などのペーパーレスに繋がる、データ検索に時間がかからない、経理担当者のリモート勤務の促進などがあります。

また、電帳法は、電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引データ保存など、大きく3つの構成となっており、実際に見積書の事務処理で知っておくべき内容のため、見積書を作成する際には法律の規定を確認することが大切です。

インボイス(適格請求書)制度

インボイス制度とは適格請求書等保存方式をいい、複数の消費税率に対応した請求書(適格請求書)をインボイスといいます。この制度は令和5年10月より開始され、消費税の課税事業者は事前に登録申請し、登録番号を取得する必要があります。

消費税は、売上の税額から仕入の税額を控除した金額を納付しますが、その仕入の税額を控除することを仕入税額控除といいます。インボイス制度では、インボイスにより仕入税額控除が可能となり、またインボイスの保存方法も規定していることが特徴です。

なお、見積書は取引が発生した証拠とはならないため、インボイスの対象とはなりません。もし、見積書において取引先から登録番号などの記載など求められた場合は、対応すべき場面も考えられます。

なぜ見積書を発行するの?見積書の役割について

顧客への最初の提案である見積書ですが、実は見積書の発行は必ずしなければならないわけではありません。定価のある商品やサービス、例えば店頭に値札をつけて陳列してある商品や、美容院などのようにメニューが価格とともに表示してあるサービスの場合には見積書を発行することはまれでしょう。

では、どのような場合に見積書が必要になるのでしょうか?

次からは見積書の役割から、見積書を発行する必要性についてみていきましょう。

見積書の役割1:取引開始のきっかけになる

例えば1台数千万円する機材の複数台の仕入れ、事務所の大規模なリフォーム、ホームページのデザインや制作など、金額の大きい取引や頻繁には行わない取引、個別対応の必要があり定価がない取引、これらの取引を行う際には発注者も受注者も契約締結には慎重になります。

特に発注を考えている時には、希望する商品やサービスの金額や工程、期間についての情報、すなわち受注側から発行された見積書をもとに契約を締結するかどうかを判断します。発注側は、同時に複数の業者に見積書を提出させる相見積もり(ビジネスの場では、相見積もりを略して「あいみつ」という)を行うことがあります。

各社の見積書を比較し検討して、より希望の条件に合致した契約を結ぶための行為ですが、まずはここで見積書を発注者に提出し、検討対象としてもらうことが取引スタートの第一歩となるのです。

相見積もりを取らない場合でも、自社の商品やサービスをアピールする機会として見積書を取引先に渡すことで、商品やサービスを具体的に相手にアピールできます。

具体的な金額や数量、工程、期間等を知らせることで、取引のスタートラインに立てるのです。

見積書の役割2:契約に関するトラブルを未然に防ぐ

見積書の果たす役割として大切なのが、契約締結後のトラブルを未然に防ぐことです。

見積書を発行することで、支払い金額や取引条件を書類で明確にすることができ、契約締結後に「思っていた金額と違う」「発注したのはその数量ではない」「もっと納期が早いはずでは」といったトラブルが発生するのを防ぐことができます。

スピード重視のビジネスの世界でも、わざわざ見積書のやり取りをするのは、こういったトラブル防止に大いに役立つからです。

見積書の役割3:金額や数量、工程などの変更を正確に把握できる

見積書の役割②でお伝えしたように、見積書には金額や数量、工程に関するトラブルを防ぐ役割があります。

ただし、契約後に不測の事態や追加変更等があった場合には、見積書の金額や納期と実際の金額や納期が異なることもありえます。

このように途中で契約内容や支払い金額が変更になった際、はじめに渡した見積書と請求書の金額が異なるのはトラブルの原因となります。その場合にも、見積書を再度発行して顧客に渡すことで、契約変更をお互いに共有することができます。

見積書を発行するのは金額の大きな取引が多いため、このような状況の変化は逐一、文書として取引先と共有しておくことが大切です。

見積書と請求書はどう違う?

見積書が取引前に発行する条件提示の証憑であるのに対し、請求書は取引完了後に発行する確定金額を請求するための証憑です。両者の違いを詳しくみていきましょう。

発行時期の違い ー 取引開始前?取引開始後?

見積書は顧客への提案でもあり、トラブル防止のためにも契約締結前に受注者が発注者に発行する文書です。

見積書は契約締結の交渉を進める中で何度も発行することもあります。まずは受注者が希望の金額、期間などを見積書に記載し、発注者がそれに対して希望を提案し、受注側がそれを受けて見積書を再度作成する、そういった作業を通してお互いに納得する契約内容を模索することもできます。これらはすべて取引前、契約締結前だからこそ柔軟に対応できるといえるでしょう。

一方の請求書は、取引完了後に発行する文書です。そのため、そこに記載されている金額、数量等は取引の結果確定したものであり、請求書を何度も発行することはありません。

受け取る側の立場の違い ー 発注者は顧客か、見込み客か

見積書は取引開始前に発行される文書となるため、見積書が発行された時点ではまだ受け取る側は「顧客」ではなく「見込み客」という立場にあります。そのため、見積書を受け取ったからといって、見積書を発行した業者に発注する義務はなく、取引は始まってはいません。

一方、請求書は取引完了後に発行される文書であり、請求書を受け取る受注者は正式な顧客(契約相手)ということになります。

強制力の違い - 記載されている金額を支払う義務がある?

見積書に記載のある金額、数量、工程、期間等はあくまで取引前の見積もりであるため、その数字は確定しているものではなく、強制力もありません。見積書の金額等に納得できなければ発注しなければいいのです。

一方、請求書は取引の完了後に発行する文書であるため、請求書に記載されている数字はすべて確定しているものであり、発注者には請求書に記載されている金額を期日までに支払う義務が生じます。

領収書とは?

領収書は、請負った仕事や納入した商品の代金を受け取った場合に提出する証憑です。代金の支払いが銀行振込の場合は、銀行通帳に記録が残りますが、現金で支払いを受けた場合は証拠が残らないので、後々支払ったか否かが問題となる恐れがあるため、領収書は大変重要になります。

見積書に記載すべき内容と作成ルール

見積書は取引開始前の証憑であり、法的に権利義務を確定する文書ではありません。

しかし、トラブル防止や取引先との今後の信頼関係の構築の観点より、見積書の記載すべき内容と作成ルールなどを紹介します。

1.見積書の通し番号

社内の管理のためにも通し番号をつけましょう。この番号は取引先との交渉の際の内容確認にも役立ちます。

2.発行年月日

あとで取引の時期が明確に分かるよう、何年何月といった表記から正確に記入しましょう。

3.納期

納期は金額に次いでトラブルのもとになる項目です。取引先に正確に確認してもらうためにも見積書に記載しましょう。

4.タイトル「御見積書」

請求書や納品書とは違うという意味も込めて、大きい字で目立つように記載しましょう。

5.宛名

取引先の会社名を記載します。担当者が分かっている場合は担当者の部署名、氏名を記載することもあります。

6.提出者の会社捺印

見積書として必要ではではありませんが、体裁としてはあったほうがよいでしょう。ただし、最近は捺印を省略するケースも多いため、取引先に確認しておきましょう。

7.有効期限

見積書を提出してから時間が経ちすぎると、市場価格の変動などからも見積もり金額の変更を余儀なくされます。有効期限を記載しておくことで、このような問題を回避できます。

8.見積もり金額

本体価格と消費税などがわかるように記入しましょう。

9.消費税

10%、軽減税率8%といった消費税率も忘れず記載しましょう。

10.商品名、業務名

依頼者に伝わるように表紙部分などへ明確に記入しましょう。

11.「商品の数量」「商品の単価」「商品の金額」「小計」など

数字は間違いのないように確認し、性格に記載しましょう。なお、サービスなどで具体的な数量で記載できないものであれば空欄、もしくは数量欄に「1式」と記載して差し支えありません。

12.合計金額

7で記載した消費税込みの見積もり金額と一致しているか確認しましょう。

13.備考

納品先(支社が複数ある場合など)や納期、その他の条件などを明記し、依頼者と認識の相違でトラブルにならないようにしましょう。

見積書を発行する際の注意点

見積書は、お客様への提案と契約締結後のトラブル防止が目的です。それを踏まえて、見積書を発行する際の注意点をみていきましょう。

見積書の内容を確認

当たり前のことですが、見積書を作る場合、その業務内容について正しく理解し、業務内容や納期までの期間について、よく検討してください。

例えば、納品場所までの輸送距離によっては、送料の見積額に大きな差が出てくることに加え、見積もり総額にも影響が出ます。納期が極めて短い場合は、仕事を受注できないという判断も必要です。

このように、仕事の内容や納期についての認識が異なる場合、仕事を受けてから実行の段階でトラブルになる可能性もあります。見積書を提出する前には、十分に情報収集をする必要があります。

実現可能な条件を提示する

顧客へのアピールという観点から、つい無理のある金額や納期を記載してしまった場合、契約が締結できたとしても、納期をめぐってトラブルが発生したり、その取引が期待される利益を生み出さなかったりする危険性があります。

特に取引先が同業他社に相見積もりを提出させている場合などは、その仕事を受注したいがために金額や納期を無理のある数字にしてしまうことも考えられるでしょう。

しかし、無理のある納期や、期待された利益を生み出さない取引をするのは、結局のところ取引先や自社の関係部署に迷惑をかけてしまいかねません。

取引先への誠実な対応という意味からも、見積書の金額や納期は実現可能な内容になるよう、社内の関係部署との連携を密にし、実際に無理のない内容を記載します。

特に新規の取引先では、信用調査などが必要となる場合があるため、記載した内容をよく確認しましょう。

商品やサービスの内容を分かりやすく記載する

見積書の発行者は、自社の商品やサービス内容については熟知しているはずです。しかし、見積書を受け取る取引先がその商品やサービスの内容を正確に理解しているとは限りません。

契約内容についての認識の違いはその後のトラブルに繋がります。相手に寄り添う気持ちを忘れず、自社の商品やサービスなどが客観的に伝わるよう記載することも、見積書を作成する上での大切なポイントです。

取引先がすぐに問い合わせできるよう配慮する

見積書を渡す取引先は、大切な「見込み客」です。「見込み客」に「顧客」になってもらうためには、「この会社に任せたい」「この会社とならいい結果が出せる」と思ってもらう必要があります。

担当者の交渉力と見積書1枚で実現することもありますが、取引先の疑問を受け入れる雰囲気を伝えるために、見積書には相手の事情に応じ、会社や担当者の電話番号やメールアドレスを記載しておきましょう。

取引先と認識を確認する

依頼主は、見積書の内容をもとに、提案内容や納期に加え、それがどのくらいの金額で可能かを把握し依頼先を特定します。ここで認識のずれがあると、いざ納品の段階となって大幅な手戻りが生じるなど、後々のトラブルに繋がります。

認識の相違を生まないためには、提案内容を分かりやすく明確に記載することが大切です。

見積もりの有効期限を設定する

取引先の意思決定を促し、利益計算を正確に行うためにも、見積書の有効期限を設定します。見積もりの有効期限は「発行後〇か月以内」や「○○年○月○日まで」と記載すると取引先に伝わります。

なお、業種によっては有効期限を厳格に定めない方がいい場合もあるため、有効期限は必要な場合に備考欄へ記載してもよいでしょう。

相見積もりを反映する

市場競争に勝ち残り、受注を獲得するためには、他社が見積もった金額や納期などの内容を自社の見積もりに反映することも1つの方法です。

請求書管理システムにより業務全体の効率化を実現

見積書の作成は、法的な義務ではないため、柔軟に内容を変更できます。

見積書の数字を吟味し、相手に伝わりやすい見積書を作成することで、見込み客である取引先に当社の商品やサービス、さらには社風や誠意などまで表現できます。

また、受注に至った場合、そこに記載された金額で合意されているということになりますので、発注者の都合で金額を変更された時には十分証拠となりえるものです。

お互いに見積もりの内容を書面で残しておくだけで、トラブルを未然に防ぐ効果があるといってよいでしょう。

請求書管理ツールを使えば、見積書などの書類の作成が効率的に行えるため、利用を検討してみてください。

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