製造業の方必見!請求書の正しい書き方から送付時の注意点まで徹底解説

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

請求書は、売上事務のなかで重要な役割を果たしています。製造業では製品や仕掛品などを販売しますが、正しく入金がされないと会社の資金繰りを圧迫しかねません。

ここでは請求書の正しい書き方と送付方法、そして請求書で起きがちなトラブル事例と対策などお伝えします。

請求書と売上事務の関係

請求書の処理は単独で行うわけではなく、売上事務の流れの中にあり、そこでは重要な意味合いを持っています。まず売上事務の流れを理解した上で、請求書がどのような意味合いを持つのか認識を深めておくことが大切です。

売上事務の流れ

売上事務は売上の流れに沿って進みます。請求書の実務では、売上の流れを理解しておく必要があり、大きく分けて売上の計上、請求書の作成と送付、そして入金処理などがあります。

請求書の作成では、まず売上の計上基準を押さえておくことが大切です。請求書を作成し送付した後は入金処理の流れになりますが、請求書を正しく作成した後に取引先に送付し、それが受理されれば入金処理に大きな手間はかかりません。売上の計上基準については次に説明します。

売上の計上基準

売上事務では、まず売上を計上するパターンを理解しておくことが大切です。業種や業態により売上を計上するタイミングは異なりますが、収益を認識する基準である、出荷基準、引渡基準、検収基準、回収基準の4つの基準を押さえておきましょう。

なお2021年4月以前は、製品や仕掛品を販売した時点で売上を計上する出荷基準が適用されていましたが、2021年4月以降は収益認識基準の見直しがあったため、原則として出荷基準でなく検収基準により売上計上するようになりました。

新しい収益認識基準は上場予定のない中小企業では任意の対応となっているものの、大企業の場合はこの基準の適用が強制となっています。

また状況にもよりますが、連結決算を行っている場合などは、自社が子会社で中小企業の場合でも検収基準を適用する可能性があります。

出荷基準

製品や仕掛品などを出荷した際に売上を計上し、請求書を作成する基準です。新しい収益認識基準では、出荷基準は国内の販売で諸取引先への到着が数日である場合、例外的に出荷基準を採用できます。

この場合、取引先に到着する前に売上の計上をするので、確実に出荷できている証明が必要になります。自社便の場合、自社の工場や配送センターから発送した記録、また他社便を利用する場合は依頼する運送会社の記録などが必要です。

検収基準

新しい収益認識基準では原則として検収基準を適用します。出荷基準では、自社から発送した時点で売上を計上でき、取引先の検収以前に収益を認識できていたことが特徴でした。

しかし検収基準では、取引先が製品や仕掛品を確実に受け取り、問題がないか確認し、検収した時点で売上を計上します。その理由の1つは、海外では検収基準を適用しており、その基準と合わせるため日本でもその対応をする必要があるからです。

引渡基準

この基準は取引先に到着した時点やサービスの提供が完了し取引先に引渡ができた時点で、売上を認識します。建設業の工事進行基準で適用されていた経緯があり、工事の進度に合わせて売上を計上する基準です。しかし新しい収益認識基準により、売上を一括で計上しなければならなくなり、そのため廃止となりました。

回収基準

この基準は、分割払いに対応した割賦販売で売上を認識する基準です。割賦販売では商品の引き渡し時点で売上を計上せず、代金を回収するたびに売上を計上していました。新しい収益認識基準では回収基準による売上計上が廃止されましたが、割賦販売の仕訳が変更されており、当然ながら割賦販売がなくなったわけではありません。

請求手続きと入金確認で売上事務は完了

請求手続きは売上事務の中でも大切であり、収益の認識基準を理解した上で実務に対応します。特に売上を計上するタイミングがずれている場合は、請求書を作成した際、売上を認識する基準が取り決め通りなされていない可能性があるので注意が必要です。

請求手続きを理解した上で業務を進めた後は、取引先からの入金の確認により売上事務は完了します。

なお請求書は正しく記載され取引先に確実に送付される必要があるため、正しい書き方については次から説明します。

請求書の正しい書き方

請求書は、売上事務の中で大切な業務であることはお伝えしました。ここでは、請求書の正しい書き方として、まず請求書に関する法律、続いて請求書の記載項目などを紹介します。

請求書に関する法律

請求書の発行を直接強制する法律はありませんが、取引の証明や消費税の計算などの目的で作成が必要となります。ここでは請求書を正しく書くために必要な法律として、電子帳簿保存法とインボイス制度を簡単に紹介します。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、経理のデジタル化を進める目的のために施行された法律で「電帳法」とも呼ばれます。電子帳簿保存、スキャナ保存、電子取引データ保存という3つの構成で成り立っており、実際に請求書の事務処理で知っておくべき内容であるため、請求書を作成する際には確認する必要があります。

この法律で、請求書を紙ではなく電子データとして保存できるようになり、また保存の方法なども規定され、令和4年の改正により取引に関する書類もデータ保存が必要となりました。

電子データを利用するメリットとして、請求書をスキャナ保存しているため必要な検索に時間がかからない、会計帳簿を紙でなくデータとして保存できるため物理的なスペースが不要、経理担当がテレワークに対応できるなどがあります。

インボイス制度

インボイス制度とは適格請求書等保存方式のことで、複数の税率に対応した請求書(インボイス、適格請求書という)を、仕入先が売り手から入手し保存する必要が出てきます。

消費税は売上税額から仕入税額を控除した額を納付しますが、仕入税額を控除することを仕入税額控除といいます。仕入税額控除を受けるには請求書や関連する帳簿を保存しなければなりません。この保存すべき請求書がインボイス(適格請求書)に変わります。

この制度は令和5年10月より開始され、インボイス(適格請求書)を発行するには事前に登録を受ける必要があるものの、自動で登録されないため、自ら登録申請書を提出しなければなりません。

特に、取引先は仕入先からのインボイスの保存がないと仕入税額控除ができない点に注意が必要です。なおインボイスは必要な事項を記載すれば手書きでもよく、その記載事項は次に説明します。

請求書の記載事項

請求書の記載事項は取引が成立しており、金額が正確であることを証明できなければなりません。ここでは、請求書に必要な記載事項についてインボイス(適格請求書)も交えて説明します。

取引をした相手の名前

まず売上債権の対象者で請求書の交付を受ける対象を明確にするため、取引をした相手の名前を記載します。取引によっては納品先と売上先の異なる帳合の場合もあるため、実際の請求先は必ず確認しましょう。

取引の社名(インボイスでは登録番号も記載)

取引の社名は自社名であり、売上の主体を明らかにするために記載します。インボイスでは自社の発行事業者名に加え登録番号を記載しなければなりません。

取引日付

売上を計上した年月日は請求書の締め日、そして売上債権の発生の証拠となるため記載が必要です。特に入金に遅延があった場合、消滅時効とも関係するため必ず取引日付を記載しましょう。

取引の内容

請求書でどのような取引で金額が発生したのかを明確にする必要があります。そのため取引の内容を取引先と齟齬の無いよう記載することが大切です。

金額(インボイスでは適用税率と税率で区分した消費税額)

取引先に発生する債権として、売上金額を明らかにしなければなりません。その金額は総額で記載し、値引きや割戻しは別項目として記載します。さらにインボイスでは適用する税率と、それに応じた消費税および売上金額の合計額の記載が必要です。

請求書の送付方法

請求書を作成した後は取引先に確実に届けなければなりません。ここでは取引先には紙で送付する方法と電子化して送付する方法を説明します。いずれも取引先との取り決めによるため、特に初回送付時には十分な確認をしましょう。

紙で送付する方法と注意点

電子帳簿保存法によると請求書は電子化して紙で保存することは禁止されていますが、取引先によっては紙の請求書の送付を求められる場合があります。

紙で請求書を送付する際、取引先の経理部門が現業と別場所にあるときは、その経理部門に送付しなければなりません。請求書を間違えて現業部門に送付すると、そこで紛失し経理部門に請求書未着となることがあります。

また紙の請求書は封筒に入れる時、送付先を入れ間違えないように注意が必要です。請求書に取引先の住所が記載されており窓あきの封筒で送付するとこの間違いは防げますが、定形外やレターパックなど表面に印字が必要な封筒を利用する際にこのミスは起こり得ます。

電子化して送付する方法と注意点

電子帳簿保存法の施行により請求書をPDF化し送付する方法が普及しています。この法律により自社で紙の請求書を保管する必要がないため、保管に関わる労力を減らすことが可能です。さらに書庫やキャビネットなどの保管スペースも削減でき経費節減にも繋がります。

まず電子化した請求書をメールで送付する際は、メールアドレスを間違えないようにします。パソコンに数百のメールアドレスを登録しているときは、似たようなアドレスの間違いがないか送信ボタンをクリックする際に確認をし、送信します。

また請求書を電子化する際、保存する名前を間違えないように確認することが大切です。特に表計算ソフトで請求書を保存する際、前回作成したファイル名が残っており、それを上書きし、ファイル名を間違えるということもあるので注意しましょう。

取引先独自のシステムを利用する方法と注意点

この方法は請求書を電子化することに加え、インターネットや専用の通信機器を通じ取引先のシステムを利用し売上事務を連動させる方法です。取引先によっては独自の請求・仕入管理システムを開発し運用しているケースがあります。

この場合、製品や仕掛品など出荷し取引先が受け入れた時点で自動で売上を計上します。大手のチェーン店で店舗数が多く、店舗に直接納品した際にこのシステムを利用します。店舗ごとに請求書を作成する必要がありません。

自社で請求書を作成しなくても良いシステムの場合、取引先にも事務処理の軽減となりメリットがあります。しかし、システム利用料を請求額から控除されることがあり、入金処理する際は金額の確認に手間がかかることもあるでしょう。その際は送金明細で確認することになりますが、控除されたシステム利用料自体に間違いがないか契約書で確認が必要です。

ベンダーのクラウドサービスを利用

請求書の発送方法で取引先の開発したサービスを利用す方法を紹介しましたが、それとは別にベンダーの開発したインターネットによるクラウドサービスを自社で利用する方法もあります。

このサービスを利用する場合は自社でサービス料を負担することになり、取引先からシステム利用料を請求額から控除されることはありません。いずれにしても請求に関わる計算式は組み込んであるため、請求額自体の計算間違いは発生しません。

また自社と取引先とデータ連動するサービスもあり、この場合は取引先が承認すればそのまま請求書のデータ作成も可能です。さまざまなクラウドサービスが普及してきたので、自社の目的や予算に応じてクラウドサービスの導入を検討してみると良いでしょう。

請求・入金処理でありがちなトラブル

請求書を発行し取引先に送付後、正しい金額で入金されなければなりません。しかし請求書の処理の実務では起きてはならないトラブルが発生することもあります。ここでは本来であれば起きてはならないが、実務では起きがちなトラブルをお伝えします。

修正前の請求書を送付

まず請求書の金額に修正を加えた場合、どの請求書が最新のものか区別できず、修正前の請求書を送付してしまうトラブルがあります。表計算ソフトにより手作業で請求書を作成する際に起きがちです。

またパソコン内のファイルやフォルダが十分に整理できていない場合にもこのトラブルは起こりやすく、請求書を受け取った取引先は修正前の金額で送金するかもしれません。請求書の金額と入金額に相違があると、原因調査に労力を要するため注意が必要です。

請求書が期日内に届かずに入金遅延

期日内に請求書が取引先に届かないと入金遅延となるトラブルがあります。請求書の送付先を間違えた場合や、紙の請求書を送付した際、配送途中の交通事情や最悪の場合、請求書が行方不明となることもあるでしょう。

入金遅延の際は、請求書の未着に加え取引先での信用不安なども考えられます。入金が遅延した際には原因を調べる必要がありますが、信用不安かどうかはデリケートな面もあるため、取引先とのやりとりには十分な注意が必要です。

取引先の担当者が請求書を紛失

請求書のトラブルでは請求書を受け取った取引先の担当者が請求書を紛失することもあります。特に支払権限のない取引先の担当者と請求書のやりとりをする場合には注意が必要です。

請求書を受け取りはしたが取引先の経理に請求書がまわされていないと、当然、取引先の支払処理にかけられません。この場合は経理担当から営業担当に入金遅延の連絡があり、取引先の営業担当と連絡を取って請求書の紛失が発覚することがあります。

請求・入金処理のトラブル対策

請求や入金処理を正常に行うには予想されるトラブルを未然に防ぐことが大切です。それらのトラブルを完全になくすとこは難しいかもしれませんが、発生の頻度を少なくすることは可能です。ここでは実際に使えるトラブル対策を紹介します。

請求書のダブルチェック

請求書を作成する際は、作成する人と確認する人の二人でダブルチェックを行うことでトラブルを防止できます。請求書作成者のみで請求書を発送してしまうことによる請求額の桁間違いなど大きなトラブルを防ぐことができます。

ダブルチェックを行う際は、もしチェックの担当者が不在の場合でも代わりの人が必ず確認しなければ請求書を送付できないように仕組化することも大切です。そのため請求書の確認には誰でも取り掛かれるよう会社で体制を作る必要があります。

入金遅延・金額相違の際はすぐに確認

請求書を発行し取引先に無事とどいても入金が遅れた場合や金額に相違がある場合などはすぐに原因を調査し確認します。原因の調査が遅くなるほど解明が困難になることが多く、会社の資金繰りに悪影響を与えるため確認にはスピードが必要です。

入金処理の実務では入金の遅れや金額の相違は発生するものとして予め想定しておき、そのようなトラブルがあった場合は早急に対応できる体制を作っておくことも大切です。

まとめ

ここでは請求書の正しい書き方から送付まで、さらに請求・入金処理のトラブル例とその対策などを紹介しました。また近年のデジタル化に伴い、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法令の知識も請求書事務には必要です。

取引先に正確に請求書を作成・送付し入金処理を滞りなく進めるためにも請求書の事務処理は大切です。

この記事を参考に請求書の処理を適切に進めてみてください。

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