こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
企業の不祥事がクローズアップされ、コンプライアンスが厳しく求められる昨今、企業には内部統制を整備することが求められています。この記事では、請求書発行と入金消込業務における、内部統制を意識した業務構築のポイントを解説します。
目次
内部統制とは
経営者や財務経理担当者は、「内部統制」という言葉をよく耳にすると思います。「今さら人には聞けない」、「調べても要点がよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。ここで改めて内部統制の目的と意義を押さえておきましょう。
すべての企業は、違法行為や不正、またその兆候を早期に発見し、是正できる仕組みを構築しなければなりません。組織が健全かつ有効・効率的に運営されるよう、各業務でルールや手続きを定め、それに基づいて管理・チェック・運用を行う必要があります。
このような適切かつ適法に事業活動を行うための仕組みを「内部統制」と言います。「リスク管理体制」と言い換えることもできます。
内部統制は、これまでは財務報告の不正を排除するためのものとして捉えられていました。しかし最近では、コンプライアンスや経営方針・業務ルールの遵守、経営および業務の効率性の向上、リスクマネジメントなどより広い範囲が対象となっています。
内部統制がコーポレート・ガバナンス(企業統治)のための機能・役割とみなされるようになり、より重要性が高まっています。
内部統制の目的
内部統制には次の4つの目的があります。
1. 業務の有効性・効率性の確保
事業活動の目標の達成のため、業務の有効性及び効率性を高めること。
2. 財務報告の信頼性の確保
開示する財務諸表と財務諸表に重要な影響をおよぼす可能性がある情報について、その信頼性を担保すること。
3. 法令遵守
事業活動に関わる法令や会計基準もしくは規範、各社の倫理綱領やガイドラインを順守させること。
4. 会社資産の保全
会社の資産(有形・無形、人的資源も含む)の取得やその使用、処分が正当な手続きや承認のもとで適切に行われるように資産の保全を図ること。
以上が内部統制の目的です。不正の排除に焦点が当てられがちですが、業務の効率性や、資産の保全も目的であることに留意しましょう。
内部統制・6つの基本的要素
内部統制を整備するためのプロセスには、6つの基本的要素があります。
1. 統制環境
統制環境とは、組織内のすべての者の意識に影響を与えるとともに、他の5つの要素の基盤となる環境のことです。
2. リスクの評価と対応
リスクの評価とは、組織の目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析するプロセスです。リスクへの対応とは、リスクとして認識されて事象に対する適切な対応を行うことです。
3. 統制活動
統制活動とは、経営者の指示が適切に実行されることを確保する活動です。例えば、ある業務について、責任者を定め、責任者がその業務をコントロールする体制づくりが挙げられます。
4. 情報の収集・伝達
必要な情報が認識・処理され、関係者に正しく伝えられることを確保することです。報告・連絡・相談をスムーズに行なえる組織づくり、仕組みづくりが必要になります。
5. モニタリング
モニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスです。上記のプロセスで構築した内部統制を、継続して運用・維持できているかをチェックするプロセスです。
6. IT対応
上記の内部統制の目的、基本的要素を踏まえて情報システムを構築することがIT対応となります。上記の目的・要素に適合したシステムを導入することなどが代表的なIT対応といえるでしょう。
出典:金融庁 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」
内部統制のメリット
内部統制システムを構築し、運用することは、会社の信用を向上させます。ひとたび不正や情報漏洩が起きてしまうと、失った社会的信用、評価を回復させることは容易ではありません。
また、内部統制の目的・要素を意識した業務構築を行うと、非効率な業務フローや不透明な意思決定を排除することができます。
社会的地位の維持・向上と収益の確保、生産性向上のために内部統制の整備は欠かせません。
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請求書発行業務と入金消込業務における内部統制
ここからは、請求書発行業務と入金消込業務における内部統制のポイントを見ていきましょう。
売上が正しく計上されているか?
請求書発行と入金消込業務は、売上計上と直接リンクする業務です。売上計上の内部統制では、今年度に発生した売上だけが計上されているか?が一つのポイントになります。
つまり、まだ売上が実現していないものが売上になっていないか、をチェックできる体制を作らなければなりません。
特に、サブスクリプション型ビジネスでは、前もって一括で代金を受け取って前受金を計上し、サービスの提供状況に応じて、売上を計上するというプロセスが発生します。
サービスの提供が完了した部分だけを、正しい会計期間の売上に計上する業務構築が必要です。会計期間のずれや過大計上、架空計上が起きにくい仕組みづくりを意識しましょう。
職務分掌
1つの事項に対して、2人以上の従業員を関わらせることを「職務分掌」といいます。「職務分掌」は不正を防止する手段として有効です。
たとえば、営業担当者と売上計上を行う人は、別々の人でなければなりません。また、販売担当者とは異なる人が請求書発行を担当するべきです。
ひとりの担当者が単独で請求書発行を行い、誰からもチェックを受けていないような場合、不正やミスが発生しやすくなります。
また、営業担当が自己の利益のために不正な取引を行おうとしても、請求書を作成する人によって発覚することを恐れて、不正を思いとどまるでしょう。特定の人または組織に業務が集中することを避けることで、不正を抑止できるのです。
これは内部牽制制度と呼ばれ、社内における処理を合理的に分担することにより、ミスや不正などを未然に防ぐための仕組みです。
一定規模以上の企業では部署そのものが分離されている場合もありますが、少数精鋭の企業では職務分掌が曖昧になりがちです。その場合も不透明なプロセスがないか、ミスがあった場合に発見できるか、という視点で業務フローを見直してみましょう。
承認フローの構築
請求書発行と入金消込業務においては、承認者と承認フローの決定も重要なポイントです。これは先に述べた内部統制の6つの基本的要素における「統制活動」の根幹を成す部分です。
責任者を明確にし、承認のない請求書を発行することができない業務構築を行いましょう。請求書の不正発行を防ぎ、架空請求やミスが発生しないようにする統制活動が必要です。
また、電子帳簿保存法やインボイス制度など、電子データへの対応が迫られています。このような関連法の遵守も内部統制の目的です。紙で請求書を作成し、責任者の捺印を得て承認済請求書としている場合は、この機会に電子化を検討しましょう。
データでワークフローとして承認申請を送り、責任者はシステム上で承認するというシステムやクラウドサービスが提供されています。このようなシステムは申請日時や承認履歴がログとして残るため、より有効な内部統制となります。
内部統制に有効な業務の構築
内部統制の観点から請求書発行と入金消込業務を構築する場合、自動化システムの導入を検討するのがおすすめです。
前受金の入金処理、請求書発行から入金消込業務までを一気通貫で自動化できるシステムの導入を検討しましょう。こういったシステムを活用することで、売上計上プロセスにおける不正や恣意的な判断を排除することができます。
また、定期的に請求書を発行する場合は、請求業務を自動化できるシステムを活用することで、請求書の発行漏れを防ぐことができます。内部統制の目的のひとつである業務の有効性・効率性の確保につながります。
承認フローの明確化や、電子帳簿保存法などの法令遵守にも、自動化システム導入は有効です。内部統制を意識した業務構築を行うことが、結果的には効率の良い、生産性の高い請求書発行業務・入金消込業務の構築につながります。
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