こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
企業間の取引では、請求書を提出して一定期間経過後に代金を受け取るのが一般的です。取引件数が多くなればなるほど、入金管理も煩雑になる傾向にあります。
入金の消込業務を手作業で行っていると、時間がかかる上にミスも起こりやすくなるでしょう。
請求通りに入金されればいいですが、金額や振込名義人が一致してなかったりすると、確認に時間がかかってしまいます。
そこで本記事では、入金消込によく起こる問題と効率化するための方法を解説していきます。
事務負担を減らしたい経理担当者にとって参考になる内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
入金消込とは
入金消込とは、取引先から入金があったときの情報と、帳簿で管理している請求情報とを照合させて、一致すれば請求情報のデータを消し込む作業のことです。
通帳やインターネットバンキングなどから入金データを取得して、確認ができた案件を順番に消し込んでいきます。
データを照合させるだけなので単純な作業かと思われますが、会社の規模が大きければ入金データも膨大になり、その管理は煩雑となってしまいます。
入金消込時に起こる問題点については、後ほど詳しく説明します。
入金消込の方法
入金消込とは具体的にどのような方法で行うのでしょうか。消込の方法として最も多いのがエクセルを使った方法です。
ここからは、エクセルを使用した入金消込の方法を説明していきます。
入金データを記録する
銀行口座に入金情報があれば、そのデータをエクセルに記録します。
通帳の場合は内容を転記しなければなりませんが、インターネットバンキングでは、データをダウンロードできる場合があります。
入金データとは以下の内容です。
- 入金日
- 振込人名義(請求番号なども含む)
- 入金額
請求データと入金データを照合する
帳簿で管理している請求データと口座から取得した入金データを照合させます。入金額、振込人名義、請求番号が一致すれば、請求データを消し込むことが可能です。
この照合作業を行うことで、実際に入金できた案件と未入金の案件とを区分けできるようになります。
エクセル関数を利用する
エクセルの関数機能を利用すると、データの照合が簡単にできます。入金消込で利用できる代表的な関数は以下の通りです。
- COUNTIF関数(データの重複がないかをチェックする)
- SUMIF関数(指定したデータのみの合計を出す)
- VLOOKUP関数(振込人名義を直接照合させる)
また、振込人名義をあいうえお順にフィルタリングしたり、カタカナ表記を漢字に変換したりしておくと、より照合がしやすくなります。マクロが使用できれば、さらに作業を自動化することも可能です。
入金消込の会計処理
入金消込で最も一般的なものは、売上代金の回収です。商品やサービスを提供した後に、代金が回収される場合の勘定科目は「売掛金」で処理します。
ここからは、入金消込の会計処理について解説していきます。
入金消込の仕訳
具体例を用いて、入金消込の仕訳を見ていきましょう。
例1)70万円の商品を販売し、請求書を提出して翌月に代金を受け取ることとした。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
売掛金 | 700,000円 | 売上 | 700,000円 |
- 借方に売掛金700,000円を計上して、取引先に対する売掛金残高を把握します。
- 貸方には同額の売上を計上します。
例2-1)翌月、商品代金70万円が普通預金に振り込まれた。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
普通預金 | 700,000円 | 売掛金 | 700,000円 |
- 入金された時点で貸方に売掛金を計上し、帳簿から売掛金残高を消し込みます。
例2-2)商品代金70万円が未入金のまま決算を迎えた。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
未収入金 | 700,000円 | 売掛金 | 700,000円 |
- 未入金のまま決算を迎えた場合は、借方に未収入金を計上します。
例2-3)商品代金70万円の入金が長期間見込めないと判断した。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
貸倒損失 | 700,000円 | 売掛金 | 700,000円 |
- 売掛金の入金が長期間見込めない場合は、借方に貸倒損失の費用科目を計上します。
入金消込の会計処理の注意点
売掛金は、商品代金が未入金の状態のことです。売上高に対して売掛金残高の割合が大きい場合は、代金の回収が進んでいなく決して好ましい財務状態とはいえません。
売掛金の入金が確認できれば照合を行い、売掛金残高を帳簿から消し込むことが必要です。
入金消込は、正しい財務状態を維持するために大変重要な作業です。そのため、入金消込を行うときの仕訳についてはよく理解しておきましょう。
入金消込によく起こる問題
入金消込が正しく行われなかった場合は、二重請求をしてしまう恐れや、取引先から未払いのままとなってしまうリスクが生じます。
入金消込によく起こる問題としては、以下の3点が挙げられます。
順番に見ていきましょう。
入金額と請求額の不一致
入金額と請求額の不一致とは、実際の入金額と請求書の金額に差異が起こることです。
このケースでは、差異の原因を突き止めなければなりません。入金額と請求額の不一致には、以下のような要因が挙げられます。
- 相手先からの振込金額が違っている
- 自社の請求データが違っている
- 振込手数料が差し引かれている
- 経費と相殺している
- 複数の請求書が合算して振り込まれている
万が一ミスが生じて不一致が起きてしまった場合は、自社のミスなのか相手先のミスなのかを確認します。
その後、再度請求書を提出したり、あるいは一度入金されたお金を返金したりするなどの対応が必要です。
金額の不一致がミス以外の原因であれば、取引先に問い合わせをして、不一致の内容を確認します。
ヒューマンエラー
通帳から入金データをエクセルに転記したり、請求データを帳簿に手入力したりするときに、ヒューマンエラーを起こす可能性は十分にあり得ます。
入金金額、振込人名義、請求先などの情報は、必ずチェックしなければいけない項目です。
データの件数が少なければ大きな負荷にはなりませんが、膨大になってくるとミスが生じやすくなります。
もちろん人間が手作業で行っている以上、100パーセントミスをなくすことはできません。ミスを防ぐためには、二重チェックを行うなどが必要です。
万が一ミスをして、財務諸表に間違った数字を出してしまうと会社の信用を損ないかねませんので、特に注意しましょう。
業務の属人化
入金消込の業務は、属人化しやすい傾向があります。
例えば、エクセルでマクロを設定するなど、消込業務を複雑なやり方にしてしまうと、対応できる人が限られてしまいます。
業務が属人化すると、代わりに任せられる社員がいなくなり、担当の社員が休めない状況に陥ってしまいかねません。
担当の社員がいない状況で、消込業務がうまく進まなければトラブルを招くきっかけとなってしまいます。
消込漏れがあった場合は、取引先から入金済みにもかかわらず二重請求を起こしてしまう可能性もあるでしょう。
そのため、業務の属人化を防ぐには、複数人が業務をカバーできる体制を築くことが必要です。
入金消込の問題を解決する方法
ここでは、入金消込の問題を解決する方法を2つご紹介します。
二重チェック体制を取る
入金消込だけでなく経理の仕事の基本的な進め方は、二重チェック体制です。文字通り、担当者が行った業務を別の人がチェックする体制を取ることです。
二重チェックには、ミスを減らす効果があります。例えば一人目は表の上から順にチェック、二人目は表の下から順にチェックするなど、作業の手順を変えてチェックするとより効果的です。
業務を平準化して属人化を防ぐ
経理の業務は経験に左右されやすく、属人化しやすい傾向があります。
担当者が不在のときでも仕事が滞らないようにするために、経理部内で業務を平準化しておくことはとても重要です。
業務のやり方を社員間で共有し、誰もが同じような成果を上げられるように取り組むことが大切です。
入金消込にシステム導入がおすすめな理由7選!
二重チェック体制や業務の平準化は大切な方法ですが、それだけではトラブルの解決や業務の効率化には限界があります。
入金消込業務を効果的に進めるには、システムを導入することが最もおすすめの方法です。ここからは、入金消込にシステム導入がおすすめな理由を7つご紹介します。
- ヒューマンエラーを防げる
- データ不一致の原因がすぐに分かる
- 消込業務が速く正確にできる
- 属人化が解消できる
- リアルタイムで確認できる
- 経営状況を把握できる
- コスト削減が可能になる
ヒューマンエラーを防げる
システムを導入することで入金消込が自動化できれば、ヒューマンエラーを防げます。
入金消込を人の手作業で行うと、入力ミスや消込漏れなどのヒューマンエラーを起こしかねません。
ミスに気づかないままでいると、代金の未回収や二重請求を起こすなど取引先からの信用問題にまで発展してしまいます。
これらのヒューマンエラーを無くすためには、システムの導入が有効な手段と言えるでしょう。
消込作業を自動化すれば、従業員の負担が減って疲労の蓄積も少なくなり、手動で行わなくてはいけない作業を減らせます。
データ不一致の原因がすぐに分かる
システムを導入した場合、口座への入金データと請求データを自動で照合をかけるので、金額に差異が発生した場合に、消込みエラーとなったデータを抽出してくれます。
抽出されたエラーデータを確認することで、差額の発生原因がすぐに分かるようになります。
さらに、差額だけでなく振込人名義の不一致などもエラーデータとして抽出されるので、迅速に対応することが可能です。
消込業務が速く正確にできる
システムを導入することで、手作業で行っていた業務が自動化されるため速く正確に業務を終わらせることが可能です。
特に、規模が大きい会社ほど入金件数が多くなるため、システム導入のメリットは大きくなるでしょう。
消込業務が速く正確にできることで、売掛金残高の把握がスムーズに行えます。
属人化が解消できる
システム化をすることで、業務の属人化が解消できます。
繰り返しになりますが、消込業務は経験が豊富な担当者に任せられることが多く、属人化しやすい業務です。
システムを導入することで業務が平準化でき、誰でも消込業務ができるようになれば、ミスも減り業務時間も短縮できるでしょう。
属人化が解消され、経理部門全体の作業効率が上がれば、労働生産性の向上にもつながります。
リアルタイムで確認できる
システムを導入すれば、自動で入金データが取得できるため、リアルタイムで入金状況が確認できます。
リアルタイムで入金データを自動で取得できれば、売掛金の消込まで一瞬で終わるようになります。
また、導入したシステムがクラウド上でデータを保存できれば、外出先からでもリアルタイムで確認が可能です。
経営状況を把握できる
システムを導入すると、売掛金の回収状況がすべてデータ化されます。データ化されれば、取引先の入金状況や未回収の請求情報が容易に把握できます。
その結果、キャッシュフローなどの経営状況を把握できるため、経営者にとっては資金調達などの経営判断がしやすくなるでしょう。
コスト削減が可能になる
システムを導入することで、コストを削減することが可能です。
人がやっていた業務をシステムにやらせることができれば、人件費が削減できます。
さらに、人が長時間かけていた業務を、システムが短時間で終わらせることができれば、残業代の発生も防げます。
また、ペーパーレス化にもつながり、用紙代、印刷代、インク代、発送費などのコスト削減も可能です。
まとめ
今回は入金消込について、よく起こる問題や解決方法を紹介しました。
入金消込業務は手作業の場合にミスが発生しやすく、大きなトラブルにまで発展すると会社の信用にも関わってくるため、大変重要な業務です。
このようなトラブルを回避し、経理業務の効率化を図るためにも、システムを導入することをおすすめします。
請求管理システムは、業務の負担を減らすことや、経理の経験が浅い人にも担当を任せることができるので、是非検討してみてはいかがでしょうか。
請求管理のことなら、私たちにご相談ください。
私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。
請求書発行業務を80%削減する方法とは?
無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック
- 請求業務の課題と解決方法
- 理想的な請求業務フロー
- クロジカ請求管理の主な機能
- 請求業務を80%削減した導入事例
- 導入までの流れ