顧問料の仕訳と勘定科目はどうする?税理士・社労士・弁護士など業種別の顧問料を解説!

顧問料の仕訳と勘定科目はどうする?税理士・社労士・弁護士など業種別の顧問料を解説!

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

サブスクリプションサービスを提供していると、契約書の作成や決算申告の際に税理士や弁護士といった専門家に業務委託を行うことがあります。企業が専門家に業務委託を行う際は手数料として顧問料を支払うことになります。

ここで発生した手数料は確定申告の帳簿書類の中では勘定科目として仕分ける必要がありますが、どの科目で仕分ければ良いか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では専門家に業務委託する際の顧問料を見ながら、適切な勘定科目や仕訳について解説していきます。

顧問料とは?

顧問料は事業やサービスを運営する際の法務・財務・会計などの課題を解決するために専門家に継続的に業務委託を行う際に支払う料金です。税理士や弁護士などの専門家には事業やサービスの規模が大きくなるほど、様々な課題解決のサポートを受けることになるため定期的に報酬を支払う企業が多いです。また、決算申告や就業規則を作成する際は別に手数料の支払いが発生します。

専門家の顧問料

専門家の顧問料は依頼する業務や事業規模によって大きく金額が変わると言われています。ここではサブスクリプションサービスを提供する中小企業が利用することの多い、税理士・弁護士・社労士・行政書士の業務を見ながら、具体的な金額をみていきます。

税理士の業務と顧問料

税理士は企業の確定申告や青色申告などの税務手続きの代行や、税務書類の作成が主な業務になります。サブスクリプションサービスを提供している中小企業では、確定申告の手続きや書類作成の際に業務委託を行うケースが多いです。

また、事業規模の大きい企業では、顧問税理士に税務や経営に関するアドバイスやサポートを受けるケースも多いです。料金は事業規模によって大きく異なりますが、法人の場合は月額顧問料として1〜3万円。確定申告の代行業務として7〜15万円が相場と言われています。

弁護士の業務と顧問料

弁護士は企業内で起こる法律問題の解決や契約書の整備などが主な業務となります。サブスクリプションサービスを提供している企業では事業規模やサービスの拡大に合わせて法務関係のトラブルがでてくることも考えられるため、顧問弁護士に業務委託を行い、継続的に相談やサポートを受けることも多いです。

法人への顧問料は3〜5万円が相場で、税理士に比べるとやや高額に設定されています。

社労士の業務と顧問料

社労士は企業内で起こる労働問題や社会保険に関する書類の作成や代行を行う専門家です。サブスクリプションサービスを提供している企業では、社内の従業員数が増え、労務に関する書類や手続きが増加してきた際に業務委託を行うケースが多いです。

法人の月額顧問料は1〜2万円が相場ですが、社員数の数に応じて料金が高くなるケースが多いです。また、就業規則を作成する際は10〜25万円前後のまとまった報酬を支払うことになります。

行政書士の業務と顧問料

行政書士は自治体や省庁への許可や申請を代行する専門家です。サブスクリプションサービスを提供する企業では馴染みのない士業ですが、中小企業のビジネスを全般的に手助けする役割もあるため、事業規模によっては業務委託を行う場合があります。

月額顧問料は事業規模によって相場が異なりますが3〜10万円とされています。また、他の士業業務を兼ねているケースでは相場よりも料金が高額になることもあります。

税理士の顧問料を仕訳する場合の勘定科目

専門家との顧問契約や業務委託を依頼した際の費用は確定申告の際に経費として計上することができます。専門家の顧問料を仕訳する際の勘定科目は企業や経理担当者によって使用する科目が異なりますが、基本的には任意のものを使用することができます。本章では顧問料の勘定科目として一般的に使用するものを税理士の事例を見ながら紹介していきます。

支払手数料

支払い手数料は税理士との顧問契約で頻繁に使用されます。専門性の高い業務の科目として使用されることが多いため、弁護士との業務委託でも使われるケースもあります。また、銀行への振り込みや出店費用などにも頻繁に使われる勘定科目であるため、支払い先がどこであるかを明記しておくと、他の科目と混同することを防げます。

業務委託費

業務委託費は業務の一部を他の会社や個人事業主に業務委託した際に使用します。税理士への依頼は顧問契約や決算申告といった継続した取引になることが多いため、業務委託費として計上されることも多いです。

取引先となる企業や個人事業主が多い企業の場合は、支払い手数料と同様に業務委託費が何度も計上されることがあるため、補助科目に支払い先を明記しておくことも大切です。

支払報酬料

支払報酬料は専門性の高い業務を専門家に業務委託した際に使用します。税理士の業務は国家資格が必要な専門性の高い業務が多いため、科目として用いられることも多いです。また、依頼した業務の中に他の業種でも引き受けることができる専門性の低いものが含まれている場合でも同じ勘定科目で計上できます。

支払顧問料

支払顧問料は顧問として業務委託を行なっている弁護士や税理士に支払った費用を計上する際に使用します。顧問として継続的に専門家に業務委託を行う際に使用されます。また、顧問契約とは別に行なった業務に関してもまとめて計上できます。

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仕訳する際に注意するべき勘定科目

顧問料は企業や経理担当者によって使用する科目が異なるため、様々なものが使われることがあります。しかし、何を目的にしているかわからない科目については使用しないことが好ましいです。本章では仕訳する際に注意が必要なものを紹介します。

雑費

雑費は一時的な出費や他の経費として計上できない費用に対して使われることが多いです。専門家への顧問料が発生する機会が少ない企業の場合は、雑費として勘定科目に計上することもできますが、他の費用と混同しやすいため基本的には使わないことが好ましいです。

外注費

外注費は企業や個人事業主に業務委託を行った際に支払った手数料を計上する際に使用されます。外部に業務委託を行うという意味では、支払手数料や業務委託費と同様ですが、専門性の高い業務に対する顧問料については使わないことが好ましいとされています。専門家への業務委託は専門性の高い業務が多いため、外注費としての計上は注意が必要です。

わかりやすい勘定科目を使用する事例

顧問料の勘定科目は税法上の取り決めはないため、わかりやすい勘定科目を使用する事例もあります。特に複数の専門家に対して業務委託を行っているケースでは、税理士報酬、弁護士報酬が使われることも多いです。

逆に税理士のみに業務委託を行っているケースでは、士業報酬が使われることもあります。それぞれが区別されており、報酬を支払ったことを記録できれば問題ありません。

社労士・行政書士の顧問料の場合は?

社労士・行政書士に業務委託契約を行う際も、税理士や弁護士と同様の勘定科目が使われます。専門家の業務の多くは国家資格を有する専門的な業務であるため、支払い手数料や支払報酬料を使用することができます。税理士と社労士にそれぞれ業務委託契約を行った際は、補助科目を利用し支払先がわかるようにしておくことが好ましいです。

顧問料を仕分けする場合の注意点

顧問料を仕分けする場合の注意点

専門家の顧問料の仕分けではいくつかの注意点があります。適切な勘定科目を選ぶことはもちろん、業務委託を行う専門家が個人事業主である場合は計上する金額が異なるため、支払い調書や源泉徴収などについても理解が必要です。

同じ勘定科目を使う

専門家への顧問料に用いる勘定科目は必ず同じものを使用してください。専門家への勘定科目は様々なものが使われますが、最初に使ったものはその後も継続的に使用することが原則となっています。業務委託費として計上していた経費を途中から支払顧問料に変更するなどはできないため注意が必要です。

源泉徴収の有無

業務委託を行う専門家が個人事業主である場合は源泉徴収を行う必要があります。個人事業主である専門家に報酬を支払う際は企業側が源泉徴収を予め差し引いた金額を顧問料として支払うため、勘定科目として計上する金額も異なります。

支払い調書

専門家に対して源泉徴収を行った際は企業側に支払い調書の発行義務があります。支払い調書は業務委託の報酬と源泉徴収の金額を明記し、企業側が国と委託先に提出することになります。支払い調書を発行する際は、会社のこれまで支払ったすべての顧問料と勘定科目をまとめておく必要があります。

そもそも源泉徴収とは?

源泉徴収は業務委託を行った際の報酬から、所得税などを差し引いて納付する制度です。委託先の専門家が個人である場合は企業側で源泉徴収を行う必要があります。納付する税額は顧問料の金額によっても計算式が異なるため、事前に必ず確認しましょう。

源泉徴収の計算式

専門家に支払う報酬に対する源泉徴収の計算式は、支払い金額に対して10.21%の税率をかけた金額になります。しかし、一人に対して支払われた金額が100万円以上になる場合は、100万円を超えた金額に対して20.42%の税率をかけた金額を徴収する必要があります。

報酬の消費税については、基本的には含めた金額から徴収を行うことになりますが、取引先の請求書の消費税が区別されている場合は、消費税を除いた金額を源泉徴収しましょう。

源泉徴収が不必要なケース

業務委託を行う士業事務所が法人である場合や、依頼を行った事業者が従業員のいない個人の場合は源泉徴収を行う義務はありません。しかし、業務委託を依頼する専門家と専属契約を結んでいる場合は給与報酬を支払う際に源泉徴収の義務があるため注意しましょう。

源泉徴収を納付するには?

専門家に支払う報酬から源泉徴収を行った場合は、報酬を支払った翌月の10日までに、最寄りの金融機関や税務署で納付手続きを行う必要があります。納付手続きでは給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書を記入し、提出する義務があります。

また、顧問の専門家に対する源泉徴収した所得税は納期の特例を受けられるため半年分をそれぞれ7月10日と1月20日に税務署に納付することもできます。

行政書士は源泉徴収

税理士や社労士といった個人の専門家に業務委託を行う際は、報酬に対して源泉徴収を行うことがほとんどです。しかし、行政書士に関しては報酬が少額であることが多く、たくさんの業務委託を請け負うという業務体質を考慮され源泉徴収の対象外となっています。行政書士に外注を行う際は注意が必要です。

専門家への業務委託を効率化

サブスクリプションサービスは、契約する取引先が増えやすい業種であるため、請求書や売上データが煩雑になりがちです。請求書や売上データは確定申告や税務書類の作成に必ず必要になるため、書類の不備があると顧問税理士に業務委託を行う際のトラブルの原因にもなります。

近年はSaaSとして提供される会計ツールの中にも扱いやすいものが増えているため、規模の小さい企業では売上や請求書の管理に利用するのもおすすめです。また、サブスクリプションサービスを展開する事業者向けの専用の請求管理ソフトもリリースされているため、サブスクリプションを事業の中核に据えている企業はぜひ利用してみてください。

請求業務システムの活用

サブスクビジネスの請求業務を管理できるオンラインサービスが登場しています。請求管理を一人で行う事業者は無料で利用できるものもあるため、中小企業がコストをかけずに試験的に導入することもできます。

取引先への請求書を一括で管理できるだけでなく、売り上げデータとして自動的に管理できるものもあり、専門家へ業務委託を行う際の作業効率を高めることはもちろん、サブスクリプション事業を拡大するためにもツールを組み込むことは役立ちます。

専門家への顧問料は同じ勘定科目を使用する

税理士や弁護士といった専門家に支払った顧問料を経費として計上する際の勘定科目は、支払手数料、業務委託費、支払報酬料、支払顧問料が使われることが多いです。

顧問料で使用した科目は一度使ったものを継続して使用することが原則とされているため、複数の専門家に業務委託を行う際は補助科目にそれぞれを区別するための支払い先の情報を記載しましょう。

委託先の専門家が個人事業主である場合は、企業側が顧問料を支払う際に源泉徴収の義務もあるため注意が必要です。

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