大変な期間按分計算を楽にするために!「エクセル管理」と「システム管理」のメリット・デメリットとは

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

経理業務において、エクセルで期間按分科目の管理をしている経理担当者も多いのではないでしょうか?

該当期間に適合した金額を作成するには、正しい按分計算が不可欠です。しかし、管理科目のボリュームが膨らむほど、期間案分は大変な作業になります。

本記事ではそのような負担を軽減するため、按分管理のツールとして「エクセルによる管理」、「システムによる管理」などのメリット、デメリットを解説し、それぞれの管理方法を徹底比較していきます。

期間按分について

そもそも「按分」とは、全体の金額に特定の基準の数を比例した割合で割り振り、その割合の分を明らかにすることです。経理業務においては、さまざまな計算がありますが、按分計算は比較的多く発生する作業のひとつです。

そのため、期間按分計算を必要とする科目は幅広く、管理科目が多くなるほど正確な管理をしなければならず、経理担当者に大きな負担がかかります。

期間按分科目と聞いて真っ先に思い出すのが、「商品等の資産やサービスの所有や支配などが、取引先に移動した時点」で振替をする「前受金」や「前払金」ではないでしょうか?

これらの勘定科目は取引先別、案件別、期間別などに管理が必要なため、経理の作業ボリュームは膨らむ現状があります。

また、「売掛金」の分割入金や「買掛金」の分割支払においても、「前受金」や「前払金」と同じように期間按分による管理が必要です。さらに「敷金や保証金の償却」や「減価償却費」など、期間按分が必要な勘定科目は多岐に渡ります。

期間按分科目の管理課題

期間按分が必要な科目は「資産」「負債」「資本」と幅広く、按分期間も「短期」から「長期」までさまざまです。これら全てに、取引先別、案件別、対応期間別などで正しい管理が要求され、管理件数が多くなればなるほど、経理業務は複雑になってしまいます。

複雑になるほど事務作業の工数が膨れヒューマンエラーも起こりやすくなるため、特に注意が必要な経理業務のひとつです。この複雑になりがちな処理を効率よく正しく行い、振替と残高管理を正確に行うことが、期間按分科目の最大の課題です。

期間按分の計算を実施する際のポイント

次に、期間按分科目の管理方法について解説します。

期間按分科目を管理するにはまず、期間按分金額の対象期間を正確に把握します。対象期間は、数ヶ月と短期なものから、数年と長期に渡るものもあるでしょう。この按分期間を誤ってしまうと計上金額が誤ってしまうため、請求書や契約書などで正しく把握することが大切です。

実際に按分科目を管理する方法として、「エクセル管理」や「システム管理」などが一般的です。どちらのツールにもメリットとデメリットが存在します。

例えば2年の保守契約をした場合、1年目と2年目の経費を各年度で計上するために期間按分計算をします。つまり、保守を受ける側は経費をどの期間にどの科目でいくら計上するか、また、資産科目は各決算期末(月末)にどの科目にいくら残高があるかの管理が必要です。

一方、保守を実施する側では売上と前受金などの負債科目の管理をすることになります。

期間按分の計算を実施する方法

期間按分については、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、チェックしてみてください。

期間按分とは?前受金・減価償却費・長期前払費用などの勘定科目の対応も解説

エクセルを利用し期間按分を行う際のメリット・デメリット

経理担当者の必需品であるエクセルは、とても身近で非常に利便性の高いツールです。エクセルを駆使して日々の業務をしている経理担当者の方も多いでしょう。ここでは、エクセルを利用し期間案分計算を行う際のメリットとデメリットをそれぞれ3つずつ解説します。

エクセルを利用し期間按分する際の3つのメリット

普段から使い慣れている

エクセルを使って経理業務を行っている方は多く、日常業務の延長線上で対応できます。また、担当者同士、お互いにエクセルファイルの共有や送受信をすることで、期間案分したデータを共有することが容易です。

期間案分を計算するための追加費用がかからない

エクセルを日常業務で使用している場合、期間案分を計算するために新しいソフトウェアを購入する必要はありません。そのため追加費用はかからず、コスト削減により経費を節約できます。

自社オリジナルの管理表を作成できる

期間案分の管理表を作成していると、表中に追加したい情報が生ずることもあります。エクセル管理の場合、シートに列や行などを追加することで、自社オリジナルのフォーマットにより期間案分の管理表を作成できます。

エクセルを利用し期間按分する際の3つのデメリット

ヒューマンエラーの発生する可能性が高い

エクセルは自動で計算できますが、経理担当者が計算式を間違えたり、コピー&ペーストでミスをしたりと期間案分の計算を間違えることもあります。このようなヒューマンエラーを防ぐため、計算式までよくチェックすることが大切です。さらに、正確を期すためのダブルチェックも必要となり、その作業に人手と時間などを要します。

管理表などの作成に時間がかかる

最初に管理表を作成する時間がかかります。一度、管理表を作成しても、より効率的に管理できるように作り直すこともあります。そのため、管理表作成やメンテナンスに時間がかかります。

作業が属人化しやすい

管理表が複雑になるほど作成した本人しか表の計算式などを理解できない場合があります。そのため、作成者が部署移動などでいなくなると、管理表をメンテナンスできず、再度管理表を作成するなど非効率になる可能性があります。

システムを利用し期間按分の計算を行う際のメリット・デメリット

システムを利用すると、エクセルにないメリットを得ることが出来ますが、システムならではのデメリットもあります。ここでは、システムにより期間案分を行う際のメリット、デメリットを解説します。

システムを利用し期間按分する際の3つのメリット

ヒューマンエラーが起きにくい

システムによる管理の場合、システムへの情報登録時に入力を間違える可能性はありますが、一度登録すると計算式の入力が不要なため、ヒューマンエラーのリスクを減らすことができます。

管理表を作成する時間と手間を短縮できる

基本的に一度登録すれば管理表の行・列を追加するなどの作業が不要になるため、管理表を作成する時間と手間を短縮することができます。

属人化せず業務の引き継ぎが容易

システムによる管理の場合、経理の担当者が異動しシステムの使い方がわからなくなったとしても、システム会社の窓口に問い合わせをすれば確認できます。

システムを利用し期間按分する際の3つのデメリット

システムの導入費用がかかる

最初にシステムの導入費用がかかります。システムによっては毎年費用がかかるものもあるため、導入前に経費面でいくらのメリットがあるか調査し、導入の可否の検討が必要です。

システムを使い慣れるまで時間がかかる

新しくシステムを導入すると、経理の担当者が操作に慣れるのに時間がかかります。登録方法など最初に手順を覚えることも必要ですし、今後の引き継ぎのことも考えてマニュアルの作成を検討する必要があるでしょう。

自社で追加したい情報を追加できない場合がある

システムの場合、予めフォーマットが決まっているため、必要な情報を追加して管理する際、システム改変の対応が難しい場合があります。システムの改変を、システム会社に依頼できることもありますが、追加費用がかかるのが一般的です。

まとめ

ここでは、期間案分計算をエクセル、システムで行う際のメリット、デメリットなどを解説しました。

業種によっては、複雑な管理を求められる場合があり、管理項目が増えて複雑な処理が必要になることもあります。

期間案分の計算については、まず、エクセルによる管理からはじめ、管理する件数が増えたり、計算が複雑になったり、さらに時間や労力がかるなど場合は、システムによる管理に切り替えの検討をおすすめします。

システム導入による追加費用などを考慮した結果、システムによる管理のメリットの方が多ければ、エクセル管理からシステム管理への移行を検討することをおすすめします。

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