こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
製造業の経理にはヒューマンエラーによるミスが起きがちです。経理はお金を扱う業務のため、金額に間違いがあると取引先からの信用を失いますし、自社の資金繰りなどにも悪影響を及ぼします。
ここでは、まずヒューマンエラーについて触れ、ヒューマンエラーによる経理のミスの事例、そして対応策などをご紹介します。さらに経理のIT化によるDXとその展望などについてもお伝えします。
この記事を参考にヒューマンエラーによるミスを予防し、経理DXを進めてみてください。
ヒューマンエラーの定義と種類と原因
経理のミスの原因として大きな要素となるのがヒューマンエラーです。ヒューマンエラーとは読んで字のごとく人に起因する間違いを意味します。ここではヒューマンエラーの定義についてお伝えします。
ヒューマンエラーの定義
人を介する行為により、求められる結果とは異なる結果となることをヒューマンエラーといいます。
ヒューマンエラーは「人が意識せずに起きている」とも考えられ、意識して起こしたミスでないことが重要となります。人が意識して会社の者や人に与える間違った行為はミスとは言いません。
また、会社のマニュアルやルールを守っていて生じたミスもヒューマンエラーとはいいません。この際はマニュアルやルールに問題があり、人が無意識に起こしたミスでないことがわかります。つまりヒューマンエラーとは人を介し無意識に起こるミスのことです。
ヒューマンエラーの2つの種類
ヒューマンエラーは人為的なエラーをいい、やるべきでないことを行ったことにより生ずるコミッションエラーと、やるべきことを行わなかったことにより生ずるオミッションエラーの2つの種類があります。
コミッションエラー
決めごとと異なる作業をした際に起きるエラーをコミッションエラーといいます。このエラーは作業に慣れていない従業員に起きることが多く、実行エラーとも呼ばれます。
オミッションエラー
ルールでやるべきことを省略することにより起きるエラーをオミッションエラーといいます。作業に慣れている従業員に起きることが多く、省略エラーとも呼ばれます。
ヒューマンエラーが起きる5つの原因
思い込みによるミス
思い込みとは先入観ともいい、先入観をもとに作業をすると本来とは異なる結果を招くこともあります。人の先入観を取り除くのは難しいため、ルールの確認は徹底しておかなければなりません。
間違った判断によるミス
こちらの方が正しいと下した判断に誤りがあるとミスの原因となります。自分だけの独自の判断で行動し上長の確認を得ずに行うと、業務にミスが生じてしまいます。
情報共有不足によるミス
多くの人数で作業する際、情報がうまく共有できていないことによりミスが生じます。情報の提供と受理については確認が必要で、チェック体制が出来ていない際に起きるミスです。
スキル不足によるミス
作業を行うのに求められるスキルを満たしていない際にもミスは起きます。スキル不足でも運用できるようサポート体制が整っていないと起きるミスです。
心身の疲労によるミス
人は精神的、肉体的に疲労が溜まると集中力が低下しミスを起こしがちです。職場の人間関係がよくないと精神的に疲弊することもあるでしょう。また、過重労働が続くと肉体的にも疲労が溜まります。いずれも集中力の低下によるミスの原因となります。
経理のミスの事例
ヒューマンエラーによる経理のミスはパターン化されています。ここでは経理の業務の内容ごとにミスの事例をお伝えします。
データ処理のミス
桁数の入力ミス
桁数を1桁多くしたり少なくしたりする桁数の入力ミスが経理では起きがちです。数字の入力する際にカンマを確認せずに入力すると、桁数間違いとなります。データ処理後の債権債務が正しく把握できなくなるため注意が必要です。
計上もれ
「データ処理を失念している」「計上となる証憑をなくした」などのヒューマンエラーは経理の代表的なミスです。データ処理のチェックリストがない場合に起きるミスです。
期日の入力ミス
データ処理の際、期日を間違えることがあります。このミスには日にちや月、そして年のズレなどがあります。日にちや月のズレは月末・月初に起きやすく、年のズレは年の変わり目に起きやすいです。
経費精算のミス
領収書の紛失
保管の不備により領収書を紛失することがあります。領収書の保管場所を決めていないと紛失する可能性が高くなりがちです。また、整理整頓ができていないと領収書がどこにあるか分からず、間違えて捨ててしまうかもしれません。
経費と立替金の清算ミス
会社の経費で処理済のものを立替金として処理し従業員に代金を渡してしまうミスです。例えば会社のクレジットカードにより駐車場代を支払ったものの、その時の駐車場代を立替金として処理した際などに起きます。
桁数、期日の入力する際は、データ入力時に一旦作業を止めて、確認画面にて問題がなければ登録をします。
領収書の合計額が申請書と一致しない
経費精算を従業員の申請により毎月一括で行う際、領収書の合計額と申請書の金額と一致しないことがあります。申請書を表計算ソフトで作成する際、申請者が入力を間違えた、また表計算の式が間違っていることなどがこのミスの原因です。
請求処理のミス
請求書の締日ミス
請求する期日を売買契約書で確認していないとこのミスは起きます。請求書の締め日を間違えると入金するタイミングがずれてしまい、場合によっては次回の請求日に延期されることも少なくありません。
請求書の重複計上
請求書を再発行した際、新旧の請求額を重複して計上してしまうことがあります。最新の請求書の確認ができていないことがこのミスの原因です。請求書を重複して計上すると債権額も変わり、資金繰りに影響するので注意しましょう。
請求書の紛失
営業担当が表計算ソフトにより請求書を作成し経理担当にメールで転送したものの、そのメールを誤って削除した場合にこのミスは起きます。売上管理を表計算ソフトで行い、会計ソフトで売上管理をしていないことが原因です。
支払処理のミス
請求書の紛失
自動引き落としでなく請求書を受け取るたびに支払処理する際に、請求書を紛失し支払できないミスも起きがちです。代金の支払処理に遅延があると信用問題となるため特に注意が必要です。
重複計上
同じ請求書が2つあったためどちらも計上してしまうと重複計上となります。特に仕入先が請求書を再発行した際、訂正前と訂正後の請求書があることに気づかずにこの処理を行うことがあります。その結果、重複して支払うと仕入先に返金処理の依頼をしなければなりません。
支払日の間違い
取引先と約束した支払サイトと異なる期日で支払処理をするミスがあります。このミスは取引先との売買契約書の支払に関する項目を見間違うと起きるミスです。
早めに支払うと自社の資金繰りに影響し、支払遅延では信用問題に繋がるため、請求書の紛失と同様、特に注意する必要があります。
経理のミス対策
経理のミスについて業務ごとに事例を分類しましたが、経理の業務ごとに起こりがちなミスはパターン化されています。ここではまず経理の末端業務であるデータ処理、そして経理の三大業務である、経費精算業務、売上回収業務、仕入支払業務などのミス対策についてお伝えします。
いずれの対策もヒューマンエラーを前提としており、ミスを防ぐための経理担当の処理方法を紹介しています。なお証憑の紛失はどの業務でも発生しがちのため、証憑を受け取った際は紛失しないよう、従業員をはじめ上長にも注意喚起をしておきましょう。
データ処理のミス対策
データ処理でのミスを防ぐには、まずデータ入力時に間違いが起きないようにルールを作ることです。例えば、データ入力の確認画面では、二度確認する、金額が大きい場合は上長確認のもと入力するなどの方法があります。
また、入力する証憑やデータを一ヶ所に集めておき、入力後に全件の処理が終わっているか1件ずつ突合すると漏れがありません。データ処理にヒューマンエラーはつきもののため、事務処理に慣れてきても確認を怠らないようにするとよいでしょう。
経費精算のミス対策
経費精算は経理事務の中でも煩雑な作業で、従業員の提出資料に不備があると差し戻しをし、再提出を依頼することになります。まず経費精算はその都度清算し、現金で渡すのでなく、毎月末締めの提出期日を設定し、給与に振り込むようにすると、事務作業の煩雑さによるミスを防げます。
また、清算する経費の証憑類は紛失しないように、従業員は元よりその上長にも周知をしておきます。また経費精算の提出期日を過ぎた場合は、次回の給与で清算するようにルール決めすると効果的です。
請求処理のミス対策
請求書を初めて発行する際は、必ず売買契約書の条文に目を通しておきます。売買契約書には締日や振込口座、振込手数料の負担元などが記載してあります。特に初回の請求書発行時にはミスがないよう十分に確認することが大切です。
また、請求書の重複計上を防ぐには、請求処理の終了後、取引先ごとに前回の金額と比べる方法があります。前回の金額より大きい金額が計上されていた場合、入力データを確認するとともに営業担当に理由を確認することが必要です。
支払処理のミス対策
支払処理のミスを防ぐには、まず初回の支払時に売買契約書を十分確認しなければなりません。請求書を発行する際と同様に、初回の支払時には十分注意します。
また支払処理での重複計上を防ぐには、請求書の確認方法と同じく、仕入先ごとに前回の金額を比べてみるとよいでしょう。支払額が前回より極端に多い場合は重複計上が疑われますが、仕入担当に金額が増えた理由を確認しておきます。
経理のミス対策にはルール決めと体制作りが必要
経理の業務ごとにミス対策をみていきましたが、経理全般にいえることはミスを起こさないようルールを決めておくことが必要です。もしルールを決めた際は情報をしっかりと共有しておき齟齬の生じないようにしておきます。
また、ミスの起きない体制を作ることも大切で、ミスが続くようであればその処理の代わりの方法がないか調べてみましょう。もしその処理自体をやめることができるのであれば、ミス自体が発生しなくなるため、処理自体の必要性も確認する必要があります。
このように、ルール決めをして体制作りをし、有効活用できるようになれば経理のミスを大幅に減らせます。もしヒューマンエラーにより経理でミスが起きても、ルール作りや体制に問題があるとの認識で、それらの修正をすると属人化することもありません。
ヒューマンエラーを防ぐ経理のDX
先に経理や従業員などによるヒューマンエラーの事例とその対策をお伝えしました。ここでは、ITを利用したDXによるヒューマンエラーのミス対策をお伝えします。さらに、これからのDXによる経理のミス対策、さらに経営効率化へと繋がる経理業務の変革も合わせてご紹介します。
紙の書類をデジタル化
ヒューマンエラーをなくすため、まず最初にすべきは紙の書類をデジタル化することです。経理のDXを進めるには、コンピューターで扱えるデータにしておく必要があります。コンピューターはデジタル化したデータしか扱えないからです。
紙の書類をデジタル化するには、電子帳簿保存法の内容を理解しておく必要があります。この法律では請求書やECサイトでの購入明細、さらに法人カードの利用明細など紙で保存せずデータ化するように規定しています。
もし紙で請求書が届いた場合は、スキャナ保存によりペーパーレス化することができます。ただしスキャナ保存しただけでは経理のデータ処理につながらず、スキャナ保存自体が業務の対象とならないよう注意が必要です。
経理部門と他部門をデジタル化し連動
スキャナ保存によるペーパーレス化が進めば、次は別の部署と繋がる業務をデジタル化します。先に経理の三大業務である、経費精算業務、売上回収業務、仕入支払業務についてヒューマンエラーによるミス対策をお伝えしました。
経理業務のデジタル化を進めるには、経理の三大業務のデジタル化に取り組む必要があります。それらの業務は経理部門だけでなく他部門と連携して行うため、会社内では横の繋がりの業務となります。
会社内の横の繋がりをデジタル化し連携すると、他部門から経理部門にデータや証憑を渡す際のヒューマンエラーを防止できます。経理部門内部のデジタル化ノウハウを会社内で横展開できるのがDXの効果です。
経理業務のDXへの期待
特にAIを利用しOCRスキャンのデータをコンピューターに計上する技術が、AI-OCRという技術です。具体的には、スマホの家計簿アプリがあり、レシートを画像で取り込み、費目ごとに集計したりカレンダーで日ごとの支出額を確認したりできます。
AI-OCRを利用することで経費のヒューマンエラーを防ぐことができますし、データ処理も自動化されるため経理担当者の業務も軽減されるでしょう。さらに経理業務に留まらず全社でのデータ共有も可能となるため経理のDXは期待されています。
ここではヒューマンエラーの定義と原因、そして経理のヒューマンエラーによるミスとその対策などお伝えしました。いずれにしてもヒューマンエラーを根絶するのは難しいかもしれません。経理のDXによって経理業務のミス対策はもとより、他部門との連携、そして全社でのデータ共有にまで繋がる可能性があります。
請求管理のことなら、私たちにご相談ください。
私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。
請求書発行業務を80%削減する方法とは?
無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック
- 請求業務の課題と解決方法
- 理想的な請求業務フロー
- クロジカ請求管理の主な機能
- 請求業務を80%削減した導入事例
- 導入までの流れ