製造業で販売管理システムを導入するメリットとは?基幹システムとの連携はどうする?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

製造業で販売管理システムを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

製造業は受注から納品、売上入金までの一連の期間が非常に長く、工程数が多いのが特徴です。

そのため、各工程間での情報共有に課題があり、生産効率の悪さやデータの活用に頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。

製造業で販売管理システムを導入すると、この一連の工程を可視化することで、全体像が把握しやすくなります。これは、各工程の作業者にとっても、全体を把握すべき経営陣にとっても、とても重要な意味を持ちます。

今回は、製造業で販売管理システムを導入するメリットと、基幹システムとの連携ポイントを解説します。

販売管理システムとは?

販売管理システムとは、受注(売上)・仕入・入荷・出荷・支払・入金といった業務をまとめて管理するためのツールです。製造業は受注から出荷、売上入金までの期間が長い為、この工程を一元化して管理できる販売管理システムはとても重要です。

一元管理することで、情報共有が効率化され、大幅な業務の効率化につながるでしょう。

また、集計され蓄積したデータは、経営状況の把握や今後の企業の意思決定をするために役立つ、大切な資産となります。

販売管理システムの主な機能は以下の通りです。

販売管理見積・受注・売上計上・請求・入金などを管理する業務
在庫管理製品の出荷や在庫の状況を管理する業務
購買管理製造に必要な部材を発注・支払を管理する業務

製造業で販売管理システムを導入するメリットは?

販売管理システムの大きな役割は「正確で迅速な情報管理・共有」と「業務の効率化」です。

製造業で販売管理システムを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説します。

ヒューマンエラーによるロスの防止

販売管理システムの導入は、ヒューマンエラーによるロスを防止してくれるメリットがあります。

受注や仕入発注、在庫管理や支払・入金管理を全て人の手で行おうとすると、必ずヒューマンエラーが生じます。

聞き間違いや記載漏れ、のちに気付いた時の確認時間や、取引先に与えてしまう損害等、きっかけとなったミスは微細なものでも、とんでもないロスにつながってしまうこともあります。時には取引先からの信頼さえ失ってしまうでしょう。

情報を迅速に共有することで、例え入力ミスが起きたとしてもシステムで警告してくれたり、他の担当者が気付いたりするきっかけも多くなります。

データを共有することによるメリット

販売管理システムを使うことによる、即効性のあるわかりやすいメリットが、データを共有することで起きる大幅な業務効率化です。

販売管理システムを導入すると、業務にかかわるすべての工程で、情報を共有することが可能になります。

情報共有時間とヒューマンエラーが起こる可能性を大幅に削減することができます!

製造業の場合、営業から生産管理、資材購入、製造、出荷、経理と、工程に応じて部門も細かく分かれているケースが多いでしょう。そういった場合、どうしても他部署との情報共有が難しく、確認する手間に多くの労働力が費やされてしまうのです。

例えば、製造に必要な部品が通常納期よりも長く、仕入れ値も倍以上の単価でしか手に入れられなかったとしましょう。

資材購入担当は、まずは営業担当に連絡して、取引先と納期と金額について確認してもらう必要があります。

納期について了承をもらえるのか、もしくはキャンセルするのか、金額についてはどうか、営業担当が取引先と話をつけたら、その結果を今度は資材担当、生産管理担当、製造担当、経理担当に全て連絡しなくてはなりません。

納期について取引先から了承をもらえたのであれば、資材担当は部品の発注を即座にする必要があります。生産計画がずれることで、生産管理担当と製造担当は計画を見直す必要があるでしょう。

部品の仕入れ値と取引先への売値、出荷日が変わったのであれば、経理は支払いや入金計画を修正しなくてはなりません。

製造業は「モノを作って売る」という作業を、多くの工程や部門で分業して行っているため、たった1点の変更がすべての部署に関わっていきます。

この情報共有が全て人の手によって行われていると、度々漏れや滞りが起きてしまいます。

  • 材料納期遅延の連絡が製造担当にいっておらず、未入荷の材料を探し回っていた
  • 売値変更の連絡が経理担当にいっておらず、変更前の金額で取引先に請求してしまった
  • 仕入値高騰の連絡が営業担当にいっておらず、取引先に価格交渉しないままに納品、請求、入金されてしまった
  • 仕様変更の連絡が経理担当だけにしかいかず、変更前の仕様で取引先に納品、請求は変更後の売値で請求してしまった

挙げればきりがないほど、受注から売上入金までの工程も長く、取引数も多い製造業では日々いろいろなケースのロスが起きてしまうのです。

問題に気付いた時点で、各部署と情報をすり合わせて現状把握、対応策を練り、都度の問題を解決する、この一連の流れが業務にすり替わってしまっている企業も多いことでしょう。

ここですべきなのは、都度の問題解決もさることながら、その問題の根本となる情報共有の方法にこだわることなのです。

経営判断に役立つ

販売データの一元管理、情報共有により効率的に分析ができるようになると、販売戦略の立案や、迅速な経営判断に役立つ材料になります。

「いつ・どこで・誰に・何を・なぜ・どのように・いくつ・いくらで」販売したのか、また現在の在庫や仕入れの状態を集約することで、具体的な数値や動きとして可視化できるようになります。

そのことにより、効率的な販売戦略をたてることができ、ビジネスチャンスを逃さず、即時に意思決定や経営の判断をするための材料になるのです。

基幹システムと連携するポイントは?

製造業では会計や人事などに加え、生産管理システム、購買管理システムなどの基幹システムがすでに導入されていることも多いでしょう。

販売管理システムを導入する場合、すでに導入しているシステムと連携できるかどうかも大きな検討ポイントになります。

すでに導入されている基幹システムと連携がうまくできないと、同じ情報を二重にそれぞれ入力する手間が増えるなど、逆に非効率になってしまうケースもあるからです。

場合によっては、基幹システムを乗り換えるという選択肢も大いにあるでしょう。

連携する目的を明確にする

上述したとおり、すでにいくつかの基幹システムが導入されているケースが多いでしょう。

あらかじめ、何のためにどのシステムと連携させたいのか、明確にしておくことが大切です。

製造系のシステムは未導入でも、会計や給与に紐づく人事関連の基幹システムは導入済の企業が多いことから、会計や人事で使用しているシリーズの販売管理システムを導入するケースも多いのが実情です。

確かに、同じソフト会社の同シリーズはいろいろな面で導入のメリットがあります。

第一に同シリーズなので、体系的に作られていることが多いです。そのため、連携させやすいメリットがあげられます。

別会社のシステム同士では、それぞれに同じ機能を持っていた、反対にどちらのシステムでもカバーできない箇所があったという場合もあります。

データ連携も、片方のシステムをバージョンアップさせたらうまくいかなくなってしまった、というケースが考えられるでしょう。

第二に、すでに導入済であることから、初期コストを抑えられる可能性が高いことが挙げられます。

通常、大がかりなシステムを導入すると、運営が軌道に乗るための教育費などの導入コストも高くつきます。しかし、すでに導入済ということで割引がきいたり、すでに操作性に慣れた従業員がいたりするなどの理由で、導入にかかる費用を低く抑えることが可能になります。

しかし、これはあくまで導入する容易さのメリットであって、連携する目的が明確になっていなければ、あまり意味がありません。

会計システムと揃えて、販売管理システムを導入したある製造業の実例をご紹介します。

仕入れの伝票と製品の納品情報を経理担当者が販売管理システムに登録し、会計システムに連動させていきます。買掛金の支払いも売上の入金も、販売管理システムで登録し、そのデータを会計システムに連携させるのです。

しかし、携わっているのが経理担当者だけに留まってしまっていて、本来の販売管理の目的を果たしていません。要するに、売上と支払いの明細登録、入金登録のみしかしていなかったのです。

納期や販売量、製品ごとの原価管理、請求業務など様々な管理をすることができる多機能なシステムであるにもかかわらず、有効に活用されていないのです。

これは、このシステムを導入する目的が明確でなかったか、もしくはその目的のための利用体制がよく検討されなかったかに他なりません。

販売管理ソフトを導入したい、という目的で導入したものの、同じ会社のシリーズの会計システムを使い慣れた担当者だけが作業する結果になってしまったことで、宝の持ち腐れになってしまったというわけです。

まずは連携させる目的を明確にし、それにはどのシステムに連携する必要があるのか、どんな機能が必要なのかを、充分に検討する必要があります。

目的はシステムそのものの連携や導入ではなく、業務や部署間の連携、効率化にあるはずです。

システムを利用する範囲と費用対効果を確認する

システムを連携させる目的をはっきりさせたら、利用する範囲と費用対効果の確認をしましょう。

ひとくちに販売管理システムといっても、メーカーや製品によって強みとしている機能にはそれぞれ特徴があります。

自社が販売管理システムを導入することで、どのような効率化や業務フローを目指しているのかを、より明確にイメージしましょう。

どのような目的で利用するのかが決まってくれば、システムを利用する機能や自社で利用する部署も定まってくるはずです。

その利用範囲でどれだけのコストカットが実現できるのか、システム導入にはどれくらいのコストがかかるのかの視点も大切です。

既存の基幹システムにこだわらない柔軟性をもつ

実際にいろいろと検討していく中で、既存の基幹システムと相性の悪い販売管理システムに、良いものが見つかるかもしれません。

こういった場合、既存の基幹システムのコスト面や使い勝手の良さから、販売管理システムの導入を見送ってしまうケースも多く見受けられます。

どの既存の基幹システムに重きを置くかは企業判断ですが、もし自社のワークフローや目指すところに相性のいい販売管理システムを見つけたら、まずは使ってみることをおすすめします。

既存の基幹システムが自社になじみ、それを変更することはかなりの体力を使うことは言うまでもありません。しかし、それにこだわりすぎることは賢明ではありません。

ビジネスモデルやビジネスチャンスは大きく変容し続けています。基幹システムも、臨機応変に流動的に変化し続けていく必要があるのです。

一度システムを導入してしまうと、なかなかシステム変更するのはハードルが高いように思えますが、クラウド型やサブスクリプション型のシステム契約もありますので、常に自社に合わせたシステム構築を柔軟に行っていくのが、これからのビジネスモデルに合っているのではないでしょうか。

まとめ

  • 製造業に販売管理システムを導入するメリットは、情報の可視化による受注から製造、納品、入金までの一連の流れの全体像の把握ができることにある
  • 全体像の把握ができると、各工程の業務効率化が図られヒューマンエラーによるロスの防止にもつながる
  • 全体像の把握、効率的なデータ分析は販売戦略の立案や迅速な経営判断に役立つ
  • 基幹システムと連携するポイントはまずその目的を明確にすることにある
  • 販売管理システムの利用範囲と費用対効果を確認しておくことで、自社にあったシステム導入をすることができる
  • 既存の基幹システムとの相性で導入に迷ったら、既存システムを変更する視点があってもよい
  • 販売管理システムも含め、基幹システムにはクラウド型やサブスクリプション型のシステム契約もあるので自社に合わせてシステム構築をするのもおすすめ

販売管理システムは、製造業にとって導入のメリットが大きい不可欠なシステムといえます。「モノを作って売る」製造業には「販売管理」は不可欠な業務だからです。

部材・製品のモノの流れと、受注・支払にかかる資金の流れを即座に確認することで、「モノを作って売る」万全な体制を構築することができるでしょう。

自社の利用目的や利用範囲、利用シーンなどを具体的にイメージし明確にし、その上でいろいろな販売管理システムを検討・導入してみてはいかがでしょうか。

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