製造業のハードウェア契約は管理が煩雑!その解決ポイントとは?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

企業の活動において、ハードウェアの契約は必要不可欠です。

特に製造業においては、他の業種よりも製造に必要な機械設備の契約が多く、その管理の煩わしさに、頭をかかえている企業が多いのではないでしょうか。

自社購入なのか、リース購入なのか、保守契約はどうなっているのか、ビジネスのスピードが急激に加速する中、ハードウェアもバージョンアップを行う頻度が増し、その管理はますます複雑になってきました。

しかし、この管理をしっかり行えなければ製造効率は下がり、製造原価が膨らむ要因になってしまいます。また、顧客のニーズに対応できなくなり、企業の体力はどんどん衰退していってしまうでしょう。

今回はこのハードウェア契約の管理について、詳しく解説していきます。

製造業のハードウェア契約の管理はなぜ煩雑なの?

ハードウェアとは、パソコンなどに代表される電子機器類のような「実体を持ち、目に見える」機械装置・設備を指します。

「ものづくり」の現場である製造業において、元来ハードウェア契約はそれほど複雑ではありませんでした。

「ものづくり」には、ハードウェア(機械設備)を使用しない手作業が、現在よりもずっと多かったからです。また、機械設備を導入する場合でも「ハードウェアのみ買い切り(購入)」する場合がほとんどでした。

しかし、現在ではものづくりの現場でもシステム化やIoT化が進み、機械設備の買い切りだけでは適正な生産体制を構築することが難しくなってきています。

そうした背景もあわせながら、なぜ製造業のハードウェア契約の管理が煩雑になるのか、その理由をみていきましょう。

契約数が多い

製造業は、他業種よりもハードウェアの導入数を多く必要とします。単純な理由ですが契約数が多いことは、それだけ管理の手間も煩雑になります。

イメージできる最小規模の個人事業主のビジネスモデルで、ハードウェアの必要数を比較してみましょう。例えば、服の卸売販売をするAさんと、製造販売をするBさんで考えてみます。

今はネット販売も一般的ですので、Aさんの必要なハードウェアの最小を考えると、パソコン1台のみでも可能です。運営に必要充分な最低スペックの数万円のパソコンのみ、となれば保守契約も必要ないでしょう。導入時の費用計上だけで、その処理や契約管理は終了します。

かたやBさんは、服を製造するための機械などの設備を導入しなければなりません。取得費用が高額であれば、リース契約での購入や保守契約も必要になってきます。

製造設備は一般的な量産型のハードウェアとは異なり、製品や作り手に沿った特有の設備がカスタム販売されることが多くなります。そのため、契約内容も複雑になることがほとんどです。

また、パソコンのような消耗品のハードウェアとの決定的な違いが「買換えのタイミングが明確ではないこと」にあります。このことにより、ハードウェア契約はさらに増えていく傾向に進んでいきます。

Aさんが唯一導入したハードウェアであるパソコンを買い替えるタイミングは、おそらくこのパソコンが古くなったり壊れたりしてしまった時でしょう。

しかし、Bさんの機械設備には、明確な買い替えのタイミングは存在しないと言えます。高額で、製造に必要な機械設備であれば、例え壊れてしまっても、保守契約や修繕で対応するでしょう。多くの製造業では、古い機械は修繕を繰り返しながら動き続けています。

しかし、顧客から求められるスピードや品質に見合う製品を作り続けていくためには、常に機械設備もバージョンアップが必要です。

ものづくりの多くの現場では、

  1. 新しい技術を取り入れ、製造効率を上げていくためのハードウェア契約
  2. 使用していた機械の劣化や、修繕不可により買い替えるためのハードウェア契約
  3. 本来であれば必要ないが、まだ使えるので現場の片隅に置かれているハードウェア契約

の、3パターンのハードウェア契約が存在しています。

顧客や社会のニーズ、自社の企業体力を見極めながら設備投資をしていくことはとても重要ですが、なかなか難しいことです。

そのため、必要に迫られて②のハードウェア契約だけは最低限やりつつ、過去の①の契約がいつの間にか③となって企業体力を削っていってしまうのです。

契約の種類が多い

機械設備などのハードウェア契約には、購入・リース・レンタルの主に3つの選択肢があります。

購入がいいのか、リースやレンタルを選んだ方が得なのか、これには決まった正解はなく、その時点での自社の状況によっても異なります。

そのため、同じ機械の設備投資でも、契約形態が異なることが多く生じてきます。また、一括リースした設備を、一部のみ再リース、残りはリースアップするなど、実際の設備の利用状況によって契約内容を更新していくこともある為、その管理はますます煩雑になっていくのです。

簡単に、3つの契約の選択肢についてみてみましょう。

  • 購入

購入金額や減価償却費の計算方法にもよりますが、一般的な定率法の場合は購入初年度に多くの減価償却費を計上できます。このため、利益処分対策としても大きなメリットが得られます。所有権が自社にあるため、償却資産税の対象となり手間が増えるのがデメリットです。

  • リース

リース会社が企業の代わりに設備を購入して、企業に長期にわたって賃貸する仕組みです。初回契約やリース期間の管理、再リースもしくは返却の必要があるのがデメリットとなります。2年目以降の費用計上を考えると、法人税が総じて安くなる可能性が高く、また所有権はリース会社にあるため、償却資産税の対象外となるメリットがあります。

  • レンタル

レンタル会社の所有物件から、必要なものを必要な期間だけレンタルする仕組みです。レンタル料はすべて費用計上でき、中途解約や期間設定も自由な点が大きなメリットです。自社の必要なものではなく、すでにレンタル会社が所有しているものからしか選べない点がデメリットですが、自社の需要にあう物件が合えば最適な調達方法ともいえます。

製造業のハードウェア契約の管理のポイントは?

製造業の煩雑なハードウェア契約を管理するには、どのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、3つのポイントに絞って解説していきます。

管理に必要な情報を整理する

契約管理番号契約数取得金額契約先
契約期間機器種別契約種別保管場所

ハードウェア契約を適切に管理するためには、上記の情報が最低限必要になります。

契約時にこれらの情報を集め、記録します。このとき必ず該当の機械設備にも、管理番号や機器種別などの情報を書いた、シールなどを貼っておくとよいでしょう。

何もせずに現場に設置してしまうと、時間の経過や担当者の変更が重なった後に、記録した内容と実際のハードウェアとの突き合せが困難になってしまいます。

このような場合、期末の棚卸の時にもあるかないかわからない機械設備を、消すに消せず残したままの固定資産台帳になってしまいます。

上記の必要情報に加え、契約管理番号のつけ方や機器名の登録の仕方など、ルールの統一を決めておくことも大切です。

当たり前のことですが、実際にこれができておらずに困っているケースも多いのです。

例えば、「〇〇機械(メーカー名) 全自動圧着機(機械名) 両端圧着機(製品名) GH-554A(型番)」というハードウェアを契約したとします。

「機器種別には購入メーカー名・製品名・型番を登録する」というルールを決めておかないと、登録するタイミングや担当者によって、同じ機械でも「全自動圧着機」や「〇〇機械 GH-554A」などと登録されてしまい、一見しただけでは同じ機械だとわからなくなってしまいます。

製品そのものを特定できる「シリアル番号」や「製造番号」などがあれば、必ずその情報も登録しておくとよいでしょう。

また、リース物件だと知らずに「壊れてしまってもう使えないから」と、誤って現場の人が廃棄してしまうケースも実際にあります。

リース契約満了の際に「もう使っていないから解約しよう」とリース契約を更新せず、いざ物件を返却しようとした時に「廃棄してしまってもう現品がない」ということに気付きます。

そうなってからでは遅いのです。

情報共有が適正な管理につながる

製造業は他業種に比べて、分業がより明確な業界ということができるでしょう。

人件費も、原価かそうでないかによって、賃金または給与にわけられます。そのほかの経費も、原価か販管費かによって区分けされるため、実際の業務も明確に区分けされていることが多いのです。

この仕組みはものづくりにとって効率的な側面もありますが、製造部門と管理部門の間で情報共有がうまくいきにくい状況を生んでしまうこともあります。

ハードウェアを使用するのは製造部門ですが、契約やその後のコスト管理や契約更新などは管理部門が行うことが一般的でしょう。

管理部門は、そのハードウェアにどれだけのコストがかかっているのかを知っていますが、今後どれだけ必要なのか把握していないことが多いのです。

製造部門は、現在その機械がどれだけ使われているかは知っていますが、かかるコストや今後の生産計画にどれだけ必要になるのか、よくわかっていないかもしれません。

ハードウェア契約の管理がうまくいっていない会社で見受けられるのが、管理部門から製造部門に単に「再リースの時期ですが、この機械はまだ使いますか?」と聞いてしまうケースです。

製造部門は、今後の生産計画で使うかもしれないことを考え、「(とりあえず)使うよ」と答えてしまいがちです。

そんなやりとりを繰り返していくと、現場には売上に貢献できずにコストばかりがかかる、そんなハードウェアで溢れていってしまいます。

大切なのは、製造部門も管理部門も今後の生産計画を常に把握したうえで、現状のコストの情報を共有認識することです。

そうすることで、無駄な契約を省き、煩雑な管理を最小限に抑えることができるでしょう。

システムを使うことで一目瞭然にする

ハードウェア契約の管理は、一般的に次のような流れで行われています。

  1. ハードウェアの契約、会計で処理及び固定資産台帳への登録
  2. 現品に固定資産台帳と紐づけるシールなどの情報貼付
  3. 移動や契約変更があった都度、固定資産台帳の情報を修正していく
  4. 期末に固定資産台帳との突合をして管理・確認

それほど複雑な手順ではありませんが、製造業には機械設備が多く、契約スピードや多様性もどんどん加速していきます。

製造拠点がいくつもあるような企業では、生産体制の再構築などによって、機械設備の設置場所を何度も変えていくこともあるでしょう。同じ型式の機械設備を何台も購入するケースも少なくありません。ちゃんと管理ができていないと、機械設備の実際の動きと固定資産台帳の記録がまったく合わずに、管理担当者の悩みの種になってしまいます。

システムを使って、ハードウェア契約を一元管理することで、製造部門でも管理部門でも内容を確認することができます。

期間やリース更新の記録、現在のバージョン情報などを全て登録・共有できれば、月額の利用料や契約内容の変更なども怖くありません。

リース契約の場合、契約期間を過ぎると自動更新されてしまう契約がほとんどです。リース契約は5年間などといった比較的に長期間で設定されているため、不要な契約が自動で更新されてしまうケースも少なくありません。システムで一元管理することで、契約期間満了前にもれなく、確認できるのも大きなメリットです。

まとめ

  • 製造業は他業種に比べて必要なハードウェア契約が多い為、必然的に管理が煩雑になる
  • 購入・リース・レンタルと契約の種類も多く、それに伴い保守契約も同時に発生するためにさらに煩雑になる
  • 製造業のハードウェア契約の管理のポイントは、必要な情報を整理して、ルールを決めて情報共有することにある
  • 製造業のハードウェア契約の管理は膨大な情報量が伴う為、システムで管理して一目瞭然にしておくことがおすすめ

製造業は、受注から代金回収までの時間軸も長く、また事業に必要なヒト・モノ・カネを多く必要とする、横軸も広い業種といえます。

ハードウェア契約の管理を適正に行うことは、情報を一元化し、製造工程や時間軸の流れにひそむ、ブラックボックスを少なくしていくことにつながります。

システムを上手に取り入れ、企業全体で把握・管理していくことを目指していきましょう。

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