BtoBサブスクリプションに新規参入!売り切り型からの移行で注意すべき3つのこととは?

BtoBサブスクリプションに新規参入!売り切り型からの移行で注意すべき3つのこととは?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

「BtoBサブスクリプションってどうやって始めたらいいの?」「売り切り型のビジネスモデルとどう違う?」

そのように思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、BtoBとBtoCの違い、サブスクリプションと売り切り型のビジネスモデルの違いを理解することで、売り切り型からサブスクリプションへ移行するためにやるべきことを3つ説明します。

サブスクリプションビジネスとは

サブスクリプションビジネスとは、顧客が毎月定額料金を支払うことで、特定のサービスを利用できるビジネスモデルです。一度売ったら終わりではなく、長期間商品やサービスを利用してもらうことで、利用料を継続的に受け取れます。

有名なサービスとしては、アマゾンプライムNetflixなどの動画や音声配信サービスが挙げられます。このように個人を対象とした動画や音声配信サービスは、BtoC型のサブスクリプションと呼ばれます。食材や洋服、車もサブスクリプションで利用でき、サービスの対象はどんどん拡大中です。

一方、adobe社のソフトウェアやMicrosoft社のOffice365は、主に企業を対象としたサービスです。企業を対象としたサービスは、BtoB型サブスクリプションと呼ばれます。これに関連して、「SaaS」という言葉も覚えておくとよいでしょう。SaaSは「Software as a Service」の略で、これまでパッケージで販売していたソフトウェアをクラウドで提供するサービスです。会計システムや勤怠システムなどの業務系システムの利用が急速に拡大しています。

このようなサブスクリプションと対照的なのが、買い切り型のビジネスモデルです。買い切り型は、顧客が1つの商品やサービスを購入するたびに料金を支払います。

アマゾンプライムやNetflixが急激に伸びていることからもわかるとおり、顧客の行動は「所有から利用へ」と変わっています。パソコンやスマホを使い無料で利用できるサービスが増え、モノを所有することへの関心が下がっていることが、サブスクリプションの増加につながっています。

企業としても、買い切り型の商品やサービスを売って利益を出すことが難しくなっています。個人の消費行動にあわせて、「所有から利用へ」のビジネスモデルに移行し、サブスクリプションを導入する企業が増加しています。

BtoBとBtoCの違い

ここで「BtoB」と「BtoC」について少しだけ確認します。BtoBは「Business to Business」の略で、法人対法人の取引を指します。対して、BtoCは「Business to Customer」の略で、法人対個人との取引です。

BtoBとBtoCそれぞれの特徴は、以下の表をご覧ください。おおまかに整理すると、BtoBは企業が対象となるため、利益が出ることに加え多くの関係者が関わり製品を検討することから、合理的な判断基準が重視されます。一方BtoCは個人が対象となるため、合理性だけでなく直感や満足感といった観点も重視される傾向です。


BtoB(法人向け)BtoC(個人向け)
判断基準・高機能、多機能なものを重視
・利益が出るかという投資対効果が重要
・必ずしも高機能、多機能優先ではない
・費用対効果もあるが、直感や満足感を重視
意思決定者・複数部門の決裁者が専門的に判断
・客観的かつ合理的な判断基準が必要
・意思決定者は本人のみ
・個人の直感を重視
購入サイクル・複数部門がかかわるため、検討期間が長い・必要なときに購入するため、検討期間は短い
価格・高機能、多機能で、高額になりやすい・一般的な機能で比較的安い

サブスクリプションと従来の売り切り型との違い

次にサブスクリプションと従来の売り切り型との違いについて確認します。最初に言っておくと、これはどちらが良い/悪いということではありません。サブスクリプションと売り切り型の特徴を理解し、販売する商品にあわせて適切なビジネスモデルを選択することが重要です。

サブスクリプションと従来の売り切り型との違い

(1)ビジネスモデル

サブスクリプションは、商品やサービスを一度販売したらそれで終わりというわけではありません。顧客との継続的な関係を築き、顧客が商品やサービスを利用してくれる限り、企業は継続的に安定した収益を得ることができます。

一方従来の売り切り型のビジネスでは、一度販売できたとしてもまたゼロから売上を重ねていくことになります。継続的に安定した収益はサブスクリプションの大きな特徴のひとつです。

(2)顧客の意識

サブスクリプションは顧客が商品やサービスに魅力を感じなくなると解約されてしまうため、企業は顧客の不満に気づきやすいという特徴があります。長期の関係構築で解約を防ぐことが重要です。

一方売り切り型では、商品を販売した後に顧客が利用しなくなった場合でも企業がそれに気づくことは困難です。サブスクリプションは売り切り型と比較して、商品やサービスを利用している顧客の意識がつかみやすい傾向にあります。

(3)料金設定

サブスクリプションでは商品やサービスの内容を顧客のニーズに合わせて調整し、料金も柔軟に設定できます。一方売り切り型では、原価率や利益率をベースに料金を設定するため、柔軟な料金設定は困難です。

既存の顧客が購入後に値下げを行うと、値下げ前の高い値段で購入した既存顧客からの反発が予想されます。料金設定の柔軟性に違いがあることには注意が必要です。

売り切り型からサブスクリプションへ移行するためにやるべきこと

サブスクリプションビジネスは商品やサービスを提供する企業にとって、継続的に安定した収益を期待できるという大きなメリットがあります。しかし、顧客が商品やサービスに魅力を感じなくなるとすぐに解約されてしまいます。

顧客に継続的に商品やサービスを利用してもらうには、以下の3つが重要です。

(1)顧客満足度を上げるための体制構築

BtoBサブスクリプションでは顧客の解約を防ぐため、顧客満足度を向上させることが重要です。購入時に満足度が高い商品であっても、継続して収益を上げることができるとは限りません。そのためサブスクリプションを提供している企業では「カスタマーサクセス」を成功させるための体制構築を行っています。カスタマーサクセスは直訳すると「顧客の成功」となり、ここでは顧客の業績アップを意味します。

顧客に成功体験を感じてもらうことで、自社製品を継続して使用してもらうカスタマーサクセスでは、顧客の状況を適切に把握し、積極的に働きかけることが必要です。次にカスタマーサクセスを成功させるための重要なポイントを説明します。

①顧客の課題解決に貢献する

カスタマーサクセスに取り組むことで、顧客が感じている課題を解決できます。そして将来発生する可能性があるトラブルを防ぎ顧客の不満を解決することは、解約率の改善に効果的です。

また、顧客との関係を深めることで解約のリスクに気づくようになり、解約につながる前に対応策を打つことができます。

②顧客から選ばれる存在になる

カスタマーサクセスの目的は、顧客が達成すべき目標を明確にし、その達成に向けてサポートすることです。そのサポートがよければ顧客はその企業に愛着を感じるようになり、販売した商品を継続して使用してもらいつつ単価を上げるアップセル、売上を増やすためのクロスセルを期待できるようになります。アップセルとは、既存ユーザーに対して、追加機能の採用を促し、単価アップを図ることです。

また、クロスセルは、既存の商品に関連する別の商品を購入してもらうことで売上アップにつなげることをいいます。

③商品やサービスの開発現場へのフィードバック

顧客との関係を深めることにより気づいたサービスの改善点は、サービスの開発現場へフィードバックされます。そのフィードバックはサービスの利便性を高めるだけでなく、顧客にとっては自分の希望する仕様が実装されたという経験が更なるロイヤルティの向上につながります。

(2)KPIの設定

サブスクリプションビジネスにおいて効率的に成果をあげるには、「KPIを何にするか」を考えることが重要です。KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。企業は業績が伸びているかを評価するときにいくつかの指標を設定しますが、KPIはその中でも重要なポイントとして設定される指標です。

ここでは、LTV、Churn Rate、MRRについて説明します。

①LTV(顧客生涯価値)

サブスクリプションビジネスにおける顧客単価は、「LTV(Life Time Value)」で管理しています。LTVは顧客生涯価値という意味で、顧客から生涯を通じてもたらされる利益のことです。一般的には商品やサービスの満足度が高いほどLTVは高いとされています。 

②Churn Rate(解約率)

Churn Rate(チャーンレート)は解約率を示す指標です。月間の解約利用者数÷月初の利用者数で算出され、月初にいる利用者のうち、月末までにどれくらい解約されたのかを示します。Churn Rateを毎月管理することで、顧客数の動向予測が可能となり、中長期的な計測により事業に大きなインパクトをもたらす重要な指標です。

③MRR(月間経常収益)

MRR(Monthly Recurring Revenue)は、月間経常収益という意味です。MRRは、利用者が増えると増加し、利用者が減ると減少します。利益の増減分析は、商品やサービス戦略の適切な見直しにつながります。MRRの測定により、サブスクリプションビジネスでどのくらいの利益を獲得できているか、今後起こすべきアクションは何かを明確にすることが重要です。

(3)改善の継続

サブスクリプションビジネスで成功するためには、改善を継続することが重要です。「所有から利用へ」、「モノからコトへ」の移行は、今後も進むことが予想されています。サブスクリプションビジネスは継続的に安定した収益を得ることができる一方で、顧客が満足するサービスを常に提供することが重要です。

サブスクリプションの商品やサービスは完成がなく、常に進化していくことが求められます。カスタマーサクセスを活用し顧客のニーズをつかみ、常に商品やサービスの改善に取り組むことにより、サブスクリプションビジネスで成功できます。

サブスクリプション移行後は請求管理システム導入により効率化

サブスクリプションは、顧客が一度契約手続きを済ませれば継続的な売上が見込めるビジネスモデルです。このビジネスモデルは利用者の人数と継続率が重要な鍵となりますが、継続率を高めるためには、前述のとおり商品やサービスの価値を常に改善させる必要があります。

一方で利用者の人数が増えれば増えるほど請求業務や決済業務が煩雑になり業務負荷が増大します。そのような問題が生じた場合は、請求管理システムの導入がおすすめです。最後に請求管理システムを導入すべき理由を説明します。

①サブスクリプションサービスがすぐに始められる

サブスクリプションサービスをすべて一から提供するには多くの時間が必要です。請求管理システムを導入すれば、自分で一からシステムを構築する必要がなくなり、早期にサービスを展開することができます。

②事務作業の効率化

サブスクリプションは、経理・会計業務、顧客情報管理など多くの事務作業が発生します。月額料金の請求、回収も行う必要があり、事務負担が重くなりがちです。請求管理システムを導入すれば定期的な請求業務を省力化・自動化できるため、人的ミスの抑制が可能です。

また、システムの機能を活用し、販売データを分析することで更なる売上アップにつなげることができます。

まとめ

BtoBとは「Business to Business」の略で、法人対法人の取引を指します。BtoBサブスクリプションは企業が相手になるため、高機能、多機能の商品が重視され、企業の複数部門の決裁者が専門的に判断するため、客観的かつ合理的な判断基準が必要とされています。

売り切り型からサブスクリプションへ移行する場合には、顧客の解約を防ぐために顧客満足度を向上させること、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し高めること、商品やサービスの改善を継続すること、の3つが特に重要です。

サブスクリプション移行後は、請求管理システムの導入が効果的です。請求管理システムの導入により、定期的な請求業務の効率化や事務作業を削減できます。その削減した時間をシステムの機能を活用した販売データ分析に使うことで、更なる売上アップが可能です。請求管理システムの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

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