こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
SaaSサービス事業者の経理は、売上計上や請求、入金消込など、手間のかかる業務が多くあります。手間のかかる理由は、売上の按分や請求書の作成、入金データの突合など、手作業で行わなければならない工程が多いことにあり、ミスの温床となっていることもしばしばあります。そのため、今後改善するべき課題としている企業も多いのではないでしょうか。
上記の課題は、自動化により大部分を解決できます。この記事では、煩雑な手作業を自動化させ、効率的な経理処理を行う方法を紹介します。
目次
SaaSサービスの経理処理の課題とは
SaaSは、料金を支払えば一定期間ソフトウェアを使用できるというサービスです。テレワークの普及などによって近年増えており、「わが社でもSaaSサービスを提供している」という会社も多いのではないでしょうか。
SaaSは、顧客を確保できれば継続して安定的な収益を生み出せる有用なビジネスですが、裏方である経理担当者にとっては、頭を悩ませる要素が多くあります。
以下では、SaaSの経理処理でよくある課題を紹介します。
①売上計上の課題
SaaSでは、サービスの提供が完了した時点で収益を認識するため、まとめて一定期間分の料金を受け取ったとしても、売上は按分計上しなければなりません。そのため、以下のような課題が発生します。
課題1:月ごとに収益を認識しなければならない
SaaSサービスでは、6か月や1年など一定期間分の利用料金を前もって受け取る(前受金)ことが多くあります。会計上、前受金は、一時の収益ではなく月ごとに按分して計上しなければならないというルールがあるため、収益の計上タイミングを管理する必要がでてきます。
按分は、契約ごとに手動で行っていることが多いため、ミスが発生しやすい環境であるといえるでしょう。
課題2:月次決算に時間がかかる
月次決算は、タイムリーな情報を得られるため、現状把握や今後の対策に有用です。締め日から5~10日程度で経営者へ情報提供できるのが理想ですが、月次決算の完成が1か月後という話もよく耳にします。
完成が遅れる原因にはさまざまなものがありますが、売上計上額の集計に時間がかかるという点も理由のひとつです。SaaSでは、前述のとおり売上を按分する処理が必要なため、実績をまとめるために時間を要してしまいます。
②請求の課題
請求業務は、SaaSサービス事業者の経理担当者が「面倒だな」と感じる業務のひとつです。請求頻度や特殊な料金形態であることから、以下のような課題が発生します。
課題1:請求書の発行頻度が高い
請求書は、請求内容を自社の請求書フォーマットに流し込み、顧客ごとに発行していることがほとんどと思われます。SaaSは、定期的に利用料金を受け取るビジネスであるため、小売業などの売り切り型のビジネスと比べると請求書の発行頻度が高い傾向にあります。そのため、請求書の発行は、経理担当者にとって負担の大きい業務となっているのです。
課題2:料金形態が複雑
月額課金や従量課金、オプションなど、SaaSサービスは複雑な料金形態となっていることが多くあります。そのため、顧客ごとに請求内容や金額を確認し、計算する必要があります。計算にミスは許されないため、担当者にプレッシャーのかかる作業となっています。
課題3:契約中の解約や契約変更が多い
SaaSは、月単位や年単位でサービスを提供しますが、契約期間中の解約やプラン変更、オプション追加が多いビジネスモデルです。中途解約の場合は日割りでの請求、プラン変更やオプション追加の場合は請求額の変更が必要になります。
請求書は発行のほか、印刷や封入、郵送もしなければならないため、件数が多ければ人手も必要です。また、料金形態が複雑で変更などが多いと、顧客ごとの料金をその都度確認しなければならなくなります。
③入金消込の課題
請求データと銀行の入金情報を突合し、債権(売掛金など)残高を消していく作業が入金消込です。企業によって入金消込の手順は異なりますが、おおむね以下のようなプロセスで行われます。
入金消込の処理手順例
- 自社口座の入金データを取得
- 表計算ソフトなどで管理する請求データと入金額を突合(手作業)
- 金額や内容が一致したら、請求データを編集(手作業)
- 消込の会計仕訳を入力(手作業)
上記の手順は、一見すると単純な作業のように見えますが、実務では以下のような課題が発生します。
課題1:請求データと入金額が一致しない
複数契約分の料金がまとめて入金されていたり、振込手数料を差し引いた額が入金されたりした場合、請求データと入金額が一致しません。不一致の理由を調査する必要がありますが、時間を要します。
課題2:消込忘れや二重消込、会計仕訳の入力ミスが発生する
入金されているにもかかわらず消込を忘れたり、すでに消込している請求データを再度消込したりすると、料金の請求漏れや二重請求につながります。また、消込は正しく行えた場合でも、会計仕訳で入力ミスをする可能性があります。
課題3:件数が多いため時間がかかる
上記の処理手順例で2~4は手作業で行っています。数十件程度の消込であれば人力で処理できますが、100件、1,000件と増えていくほど作業に時間がかかり、スタッフが残業することも増えるでしょう。
自動化は表計算ソフトで?それともシステムで?
これまで紹介してきたSaaSサービスの経理で頻出する課題は、手作業が原因となっている場合がほとんどでした。そのため、手作業で発生する課題を解決するためには、人の手が入る作業を減らし、業務を自動化する必要があるといえます。
自動化の手段として考えられるのは「表計算ソフトの活用」と「システムの導入」です。
表計算ソフトは、会社にあるPCであれば、たいていインストールされているほか、使い方も普及しているため、手軽に活用できます。また、マクロや計算式を使いこなせれば、自動化もある程度は可能です。
しかし、事業規模が拡大し、データ量が増えてくるとソフト自体の動きが重くなってきます。複雑なマクロや計算式を組んだ場合、データの作成者でなければ動かせなくなる、「業務の属人化」が発生する恐れもでてきます。属人化には、担当者が長期離脱したり、退職したりすると業務の流れが止まるというデメリットがあるため、避けるべきです。
さらに、表計算ソフトでは業務を完全に自動化することはできず、人の手で入力する箇所がでてきます。そのため、売上・請求管理専用でつくられたソフトやシステムと比べると、効率化の効果は薄くなるといわざるを得ません。
対して、売上・請求管理に特化したシステムには、顧客データの処理から請求書の発行、消込まで一元管理できるものがあります。システムのなかで一連の処理が完結するようになっているため、業務の多くが自動化できます。そのため、より効率的に経理を自動化したい際は、「システムの導入」をおすすめします。
システムを活用した自動化でできること
システムを活用して自動化をした場合、以下のようなメリットを得られます。
- 月ごとの収益を自動で按分・集計
- 月次の売上集計の高速化
- 定期発行する請求書の自動作成
- プランやオプションの変更時はアラート機能で確認可能
- 入金データと顧客データと紐づけできるため、消込が自動化できる
システムは、クラウド環境で利用するものが多いため、テレワークにも対応可能です。また、経理のほか営業担当者などにアカウントを付与すれば、契約内容の変更などが容易に共有でき、「契約変更の連絡を忘れていた」という事態も回避できるでしょう。システムの導入は経理以外でもメリットがあるため、会社全体の業務改善に寄与できます。
まとめ
SaaSサービスの経理は、請求書の発行頻度が高いことや、特殊な料金形態であるなどの理由から、手作業で行うと手間と時間がかかり、ミスのリスクもありますが、逆にいえば、自動化での恩恵が大きいと捉えられます。
表計算ソフトで自動化を目指すのもよいですが、いずれはソフト性能の限界が訪れるほか、業務の属人化というデメリットも大きいです。
売上・請求管理に特化したシステムであれば、売上の按分や面倒な請求書作成、消込など多くの作業が簡単に自動化できるでしょう。
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