こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
多くの経理担当者が活用するエクセルやスプレッドシート。経理・会計業務ではこれらの表計算機能を持つツールを使いこなすことが必須といえるでしょう。その一方、従来から利用しているという慣習から、エクセルやスプレッドシートによる管理が不便に感じつつも継続しているケースがあるようです。
また、エクセルやスプレッドシートによる集計や管理は便利で共有しやすいので利用しがちですが、安易に共有すべきではない情報が含まれていることもあり注意が必要です。
経理上、煩雑と言われる業務のひとつに前受金管理がありますが、これもエクセルやスプレッドシートで管理している担当者が多いのではないでしょうか。今回の記事ではインタビューの内容から、煩雑になりやすい前受金の管理方法を、内部統制上の視点や業務負荷の視点から業務改善できる方策がないかを検討します。
目次
前受金管理で感じる課題
今回インタビューしたのはハードウェア製造・販売・保守事業を行う企業の経理担当者です。こちらの企業では、主にPC・サーバー・ストレージの販売や3~5年契約の保守を行っています。そのうち、エクセルで管理している契約情報や請求、前受金の管理について、リスクマネジメントの面で不安を感じているそうです。経理担当者はそれらの管理方法や業務フローに内部統制上の問題があるのではないかと懸念されていました。
また、これらの契約情報や請求・前受金管理の業務が、契約数が増えるにつれ、負担が大きくなっていると実感しているそうです。従来通り、エクセル管理を続けていくことに疑問を抱いており、改善したいというお話でした。
現在の業務の流れ
それでは、業務の流れは具体的にどのような流れになっているのでしょうか。
先述の通り、こちらの企業ではPC・サーバー・ストレージの販売や保守を行っています。保守契約は3~5年単位で一括請求していて、直接の契約数は数十社ほどですが、それに紐づく顧客を含めると数百社にまでのぼります。契約や販売管理は自社システムで管理をしていますが、請求書の発行や入金管理、前受金の管理はエクセルで管理をしている状況です。そして最終的に財務会計システムで会計上の処理を行う流れになっています。
自社システムや財務会計システムに加えて、エクセルで請求書の発行や入金管理、前受金の管理を行っていることが、作業の煩雑さを感じる要因であるとともに、情報の管理など内部統制上の問題が懸念される点といえます。とくに、請求・前受金の管理のために、おおもととなる契約情報を自社システムからエクセルへ転記する作業が発生しているため、情報を再度入力する作業工数や、手作業によるミスの発生などに通じることも考えられます。
前受金をエクセルで管理している背景
今回の事例のように、請求や入金状況を反映する入金消込の作業、前受金の管理をエクセルで行っている企業は少なくありません。その要因として、以下のようなことが背景にあるようです。
1.請求や入金消込、前受金の性質上の背景
- 一括請求・入金が多くあり、入金時点で製品やサービスの提供が終わっていない前受金を売上に振り替えるための準備(契約期間の確認や月額へ按分する作業)が必要なため。
- 一括で入金されたときに複数の契約分が含まれていた場合、契約別に細分化して前受金の管理などを行う必要なため。
- 取引先数が少ない時期に前受金をエクセルで管理し始めたが、契約期間が長い案件があり、他のシステムに移行しづらくなり、そのまま継続している。
2.システム・ツールの背景
- 販売管理のシステムに請求・入金消込や前受金管理の機能がないために、財務会計システムの処理の前段階で別管理する必要が出た。
- 主に契約情報や販売管理システムの入力は営業部門の担当者が行い、その後の請求・入金消込や前受金管理から経理担当者の仕事として分業されていた。
- 財務会計システムに債権債務の管理機能が備わっていても活用しきれていない
これらの背景から、エクセルやスプレッドシートで管理する企業は多いようです。すでに使っているツールを利用するのが慣れているし、それが当たり前、システムを変えるのが手間だと感じる担当者も中にはいるでしょう。
エクセルやスプレッドシートの管理の注意点
エクセルやスプレッドシートの表計算機能は、請求・入金消込や前受金の管理に適しているように見えるのは確かです。実際に、件数が少ない時点であれば、もしくは、契約期間がそこまで長くない案件が大半であれば、エクセル管理でも更新時の作業工数やミスはそこまでではないでしょう。
ただ、実際に今回のケースのように処理する案件数が増えてきた場合や、契約期間が長いサービスを提供している場合に先述のような課題が生じます。契約案件の数が増大するにつれ、作業の負荷は高まり、ミスも増えることが予測されます。ミスを防ごうと考えてチェック作業を増やしても、それは結果的に工数が増えることになり有効とはいえません。加えて、管理する情報量・作業する頻度が増えたタイミングで、万が一情報が流出した場合に、そのリスクが大きくなるのです。このようなセキュリティの側面からも業務フローの質が問われるでしょう。
情報を適切に管理することが企業に求められています。そして、その情報をもとに、企業は正確な売上計上などの会計処理を行い、経営数値の把握をしなければなりません。もし、ご自身が今回のインタビューの事例のように悩みを抱えている場合は、現状のエクセルやスプレッドシートの管理で実現できるか、今一度、検討するのが賢明といえるでしょう。
前受金管理の課題を解決する方策
今回の事例のように、内部統制を機能させるような体制整備をするためには主にシステム面からの検討が有効だと考えられます。具体的には、以下のような方策を検討するのが望ましいのではないでしょうか。
一連の業務フローを見直し、作業の担当者(部署や職位)や閲覧権限を持つ担当者などを見直す
システム面をいきなり見直すよりは、いったん全体の業務の流れや担当者の割り振り、従来の方法で二度手間がどこで発生しているのか、ミスが発生しやすい箇所などを洗い出すことが大切です。今回のケースであれば契約管理から請求書発行、入金消込、前受金管理の業務が検証の対象です。どの担当者にどこまでの権限(閲覧のみか、変更・更新などの作業まで可能か等)を与えるのかも合わせて検討することで、内部統制上のリスクを防ぐことも実現しやすくなるでしょう。
一連の業務を一元管理できるシステムへリプレイスする
次に、販売管理の情報(契約情報)から紐づけて、同一システム内で請求・入金消込、前受金管理まで行うことができるシステムへ、すべて切り替える方法があります。この場合、現状使用している販売管理システムからデータを移行し、エクセルで管理していた情報も新たなシステムに乗せ換える必要があります。また、相当のコストがかかることが予想されますので、可能な限り時間をかけて、関係部署なども交えて検討するのが良いでしょう。
エクセルで管理している作業(請求や入金消込、前受金の管理)を行うことができるシステムを活用する
ひとつのシステムで一元管理するフローが確立しにくい、コスト的に難しいと言った場合は、現行で利用しているシステムを残しつつ、エクセル作業部分のみをシステムで管理する方法が考えられます。この場合、システムデータのアウトプット・インポート機能などがあり、手作業なしにシステム間のデータ連携をさせられると、さらに良いでしょう。手作業部分が少なくなれば、業務工数が減り、ミスも生じにくくなります。
いかがでしょうか。上記のようなシステム化の際は、特に内部統制の視点から情報更新や変更・削除時の操作のログが残るシステムを利用するのが望ましいでしょう。エクセルやスプレッドシートでの管理に不安があるようでしたら、本記事を参考に検討されてみてはいかがでしょうか。
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