こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
昨今のビジネスモデルの一つとして、サブスクリプションビジネスが注目を浴びていますが、サブスクリプションビジネス主たる事業とする企業の株式公開も徐々に増えてきております。
今回は、サブスクリプションを主たる事業とした上場会社の財務諸表を分析し、その特徴についてご紹介したいと思います。
分析対象としたサブスクリプション関連企業
今回、分析に利用したサブスクリプション企業は、任意に選んだ次の6社です(フリー株式会社/Sansan株式会社/ウォンテッドリー株式会社/株式会社カオナビ/株式会社ユーザベース/弁護士ドットコム株式会社)。公開されている直近の有価証券報告書をもとに、連結財務諸表を作成している会社は連結ベース、連結財務諸表を作成していない会社は個別財務諸表の損益計算書について2期分分析しました。
サブスクリプション関連企業の損益計算書の特徴
まず、各社の損益計算書の特徴について解説致します。
1つ目の特徴としては、高い売上総利益率です。公表数値からは、詳しい原価内容はわかりませんがFreeeやSansanなどSaaS企業の場合に想定されるソフトウェア開発費用などは、主に支出時に研究開発費として先行処理され、売上原価に計上される金額が売上に対しては低くなっている可能性があります。
2つ目の特徴としては、売上高に対する広告宣伝費率(販売費比率)が高いことです。各社認知度を高めるために概ね20~30%程度のコストをかけており、TVCMやWeb広告などで、企業名や商品名を比較的目にすることが多いのも、このためかと思います。
3つ目の特徴としては、サンプル数の影響があるかもしれませんが、売上高成長率が高い傾向であるものの、営業損益段階で、いまだ赤字の会社が多いことが目に留まります。これは先ほどの広告宣伝費比率が高いことも関係し、人件費など積極的に先行投資することにより、ユーザー数やARR(Annual Recurring Revenue)などのシェア拡大に注力していることがわかります。
なお、営業利益の黒字化している2社については、他社に比較して上場後の年数も経過していることもあり、安定的な高い営業利益率を確保している段階に入っています。
損益計算書以外の重要な収益指標の開示
また、Freeeの有価証券報告書では、損益計算書含めた財務3表には含まれない、サブスクリプションビジネスの特徴を示す指標として、ARRとARPUが開示されています。
ARRとは各期末月のMRRを12倍して算出したもので、MRRとはMonthly Recuring Revenueの略称で、対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益を含まない)をいいます。
また、ARPUとは1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価をいいます。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出したものになります。
サプスクリプションビジネスの成長性を図る指標としては、ARRは特に重要な数値であることから、Freeeでは財務諸表以外の記載部分で、積極的な開示を行っていることは、IRの観点からも有用になると考えられます。
まとめ
サブスクリプションビジネスの特徴として、ユーザー数を拡大することにより、継続的な月額課金の獲得を目的とすることから、シェア拡大のために、広告宣伝費などの先行投資が続き、比較的営業損益段階でも赤字が継続している会社が多いことが見受けられる。
これは、将来の収益獲得のための先行投資の結果であることを理解するとともに、単純な業績不振との違いを判別できるように、分析することが重要になります。
参考資料
以下のサブスク関連企業(上場企業)の直近有価証券報告書
請求管理のことなら、私たちにご相談ください。
私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。
請求書発行業務を80%削減する方法とは?
無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック
- 請求業務の課題と解決方法
- 理想的な請求業務フロー
- クロジカ請求管理の主な機能
- 請求業務を80%削減した導入事例
- 導入までの流れ