サブスクリプションビジネス向けの管理システムを採用するための大事なポイントとは?

サブスクリプションビジネス向けの管理システムとは

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

サブスクリプションビジネスはインターネットを活用したサービスが多く、クラウドサービスとの相性が良いため、効率的なサブスクリプション管理システムの構築・利用が可能です。

例えば、顧客情報や営業情報、請求機能を自社システムで管理している場合、クラウドサービスとAPI(Application Programming Interface)接続することで、人の手を介した作業よりもはるかに早く確実に処理できるようになります。また、顧客情報の一元化により顧客に対してどのような請求をしてきたのか、顧客の未払いの有無はあるのか等の履歴も分かりやすく網羅できます。そのため、経理側からすれば債権管理が行いやすくなり、営業側からすれば入金情報を組み合わせた顧客情報を活用して営業活動の深化等が期待できます。

サブスクリプションビジネスとは

サブスクリプション(Subscription)とは本来、予約購買・定期購読の意味でしたが、大手IT企業がソフトウェアのパッケージ売切り販売から、サービスの利用度に応じた金額を請求する会員制ビジネスに移行したことで利用顧客の裾野が広がり、サブスクリプションビジネスとして一般的に周知されるようになりました。

サブスクリプションビジネスは、基本的に利用者が一定の料金を支払うことで何度でもサービスを受けられることが特徴で、例えば個人ユーザー向け動画サービスのNetflixや、法人・個人ユーザーにサービスを提供しているMicrosoftのOffice360等が有名です。

利用者側からみると、解約金がない等によりスイッチングコストが低い(容易に契約を切り替えることができる)メリットもあるため、サービスを提供する企業側は解約を防止するためにサービス品質の向上と魅力的なプランの変更や追加、年間契約時の割引等を提供しています。

サブスクリプション管理システムを採用するために大事なポイント

サブスクリプションビジネス向けの管理システムの採用を検討する際、まずシステムの機能拡張性とそのシステムを提供している事業者を確認しましょう。

機能拡張性

サブスクリプション管理システムに高度で多機能な機能が実装されているかどうかはとても大事なポイントです。システム利用時に使うことがないような機能があったとしても、事業の拡大や自社サービス内容の拡充あった場合、スムーズに導入・移行することが可能になります。

アップデート頻度

アップデート回数が多い企業のサブスクリプション管理システムを検討しましょう。日頃からアップデートの回数が多い場合、開発会社がそのサービスに力を入れているということですし、それだけ様々なサービスが提供されています。また法制度の改正等があっても柔軟にアップデートや機能改修が行われますので、システムの安定感があります。

サポート体制

サポート体制が充実しているかどうかも大事なポイントです。万一トラブルが発生した場合、提供企業が柔軟に対応してくれるか、経理部門が自ら対応をしなければならないかは確認しておくといいでしょう。

サブスクリプション管理システムの選択ポイント

サブスクリプションビジネスは契約を維持したまま顧客数が増え続ける

サブスクリプションビジネスのサービス提供企業は絶えずサービスを改善し、顧客を満足させて長期的な関係を維持構築していくことに焦点を当てる必要があります。

そのため、事業継続につれて顧客数が積み上がっていく想定をしておく必要があります。抱えている顧客数が多くなれば顧客事情による課金プランの変更やサービスの追加等が頻繁に発生するようになりますので、顧客情報の更新をしっかりとできるサブスクリプション管理システムを選択しなければなりません。

サブスクリプションビジネスは料金体系が多い

年額課金/月額課金/従量課金/組み合わせなど

主流は「定額制」で動画・音楽配信サービス等で使われており年額あるいは月額単位での課金です。「従量制」はITサービスやメンテナンス等で使われることが多く、利用者がサービスを利用した分だけ課金します。「組み合わせ」はスマートフォンの通信利用のように一定の利用分までは定額でそれを超えたら従量制になります(その逆もあります)。

課金の仕組みにはそれぞれメリット・デメリットがあります。定額制は企業側が将来収入額の見通しが立てやすい、利用者にとってシンプルでわかりやすい等のメリットがある一方、利用頻度が少ない場合はサービスに見合った課金にならなくなり解約可能性につながるデメリットがあります。従量制はサービスの付加価値を増やすことで課金額を伸ばすことができるメリットがある一方、顧客管理が非常に煩雑になるデメリットがあります。組み合わせは定額制と従量制との折衷型といえますがやはり顧客管理は煩雑になります。

サブスクリプションの代表的な料金体系

サブスクリプションビジネスの入金消込

契約が継続するサブスクリプションビジネスでは入金消込業務は最大限に自動化できる

サブスクリプションビジネスは様々な料金体系に基づいて課金するため、顧客の契約情報確認に相当の手間がかかります。さらに月中の新規契約は日割り計算になる、年間契約では大幅な値引きが発生するなど追加作業の対応も多いです。経理事務にとって膨大な作業になるためエクセルでの管理では次第に限界が見えてきます。

管理システムの中には請求書発行機能を内包しているものもあります。請求履歴情報もリアルタイムで見ることができるので、入金遅延の早期発見、営業担当者との情報共有がスムーズになります。

また、入金消込機能では、銀行情報とAPI接続することで入出金情報の取り込みを自動化することも普及されつつあります。債権情報との照合をシステムが対応することで、入金消込業務のほとんどを自動化できるようになります。

サブスクリプションビジネスの売上管理

請求管理は契約に基づいた金額を適切に請求することに対し、売上管理は会計上の売上を適切に管理する目的の違いがあります。この売上の認識ルールが2021年4月から新しくなります。

これまでは「企業会計原則」という一般原則において、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る」という内容だけでしたので業種業態によって様々な解釈となり不透明性が指摘されていました。そこで企業会計基準委員会(ASBJ)が国際会計基準(IFRS第15号)をふまえた新たなルールを制定しました。

この「収益認識に関する会計基準」に則り適切な売上管理をするためには、顧客との契約書情報が整理され、その契約期間や請求時期、課金内容ごとにどのような会計処理をすることになるか事前に方針を決めておくことが大切です。統一された会計ルールがあれば現場担当者と経理担当者の認識の差異がなくなり、それぞれの担当者が変更になっても同じ水準で売上管理が行われ、請求書の発行ミスも起きにくくなります。

営業担当者は、顧客都合による月の途中でのプラン変更やオプションの追加、月の途中で新規契約した場合の日割り計算、もしくは解約が発生する場合に備えて、契約内容の変更履歴があるかどうかを定期的に確認して情報に間違いがないようにします。

複数月にまたがる請求の場合、役務が終了する毎に分割計上を行う必要がある

一般的なサブスクリプションサービスの利用契約書にはいつ、いくらを、いつまでに支払うと明記されていますのでそれらを「収益認識に関する会計基準」に基づき適切に売上を認識します。ここでは判断する際の主な留意点を挙げます。

一括で売上計上すべきか分割で計上すべきか(使用権かアクセス権か)

大別すると利用者からみてソフトウェアのアップデートや機能改修が予定されていない場合を「使用権」、アップデートが予定されている場合や音楽や映画などストリーミングサービスの利用は「アクセス権」となります。使用権の場合はサービスの納品時に一括して売上を計上し、アクセス権の場合は契約期間に応じて売上を計上することになります。

サービスの履行義務の充足(いつ売上を認識するのか)

例えばサブスクリプションサービスの提供を開始する際、顧客にセットアップ支援やインストールなど一時的なサービスを提供した場合は、そのサービス(作業)が完了した時点でそのサービスにかかる売上を認識します。あるいはサブスクリプション用のパソコン等を販売した場合は製品本体を顧客に引き渡した時点で売上を認識します。

通常のソフトウェアサービスでは、使用権の場合は利用開始時に一括して収益計上するか契約期間で按分し、利用権の場合は通常、月単位で顧客が便益を享受したとして売上を認識します。

値引き、リベート等の変動対価はどのように管理すればいいか

顧客誘致のため年間契約や数か月間に渡る契約ディスカウント(値引き)を用意する場合、基本的にそのディスカウント総額を契約期間で按分することになります。例えばアクセス権サービスの対価1,200万円を1年間で契約した場合、月単位の売上はその契約期間に応じて12か月間に按分した100万円を計上することになりますが、1,200万円の契約に対して値引き12%がある場合、月単位の売上は値引き分も期間按分(1,200万円×12%を12か月で除した)した後の88万円となります。顧客から値引き後の1,056万円が初月に入金されても、88万円を超える部分は「前受金」として処理します。

まとめ

請求書等の電子データによる保存を認める「電子帳簿保存法」等が整備されたことで、一定の要件を満たすクラウドサービスが発行する請求書等の電子データならば紙による保存に代えて電磁的に保存できることが認められました。使い勝手が格段に向上したことでビジネス向けクラウドサービスが急速に普及しています。

さらに2017年に銀行法が改正されたことで、一定のサービス提供企業が提供するサブスクリプションサービスについて、そのシステムがより安全に金融情報へアクセスできる環境が整いました。これにより自動的に毎日の入出金がシステムに取り込まれ、債権の消込が行われるとともに入金仕訳も処理されるようになり、経理部門、営業部門の管理業務の手間が格段に減少していきます。その一方で売上の認識に関する「収益認識に関する会計基準」が制定され、売上管理はより複雑になります。

企業を取り巻く関連制度、システムインフラの変化に適宜対応していくことは容易ではありません。適切なサブスクリプション管理システムを導入していくことで企業の経営情報を適切に表せるようにしていくことが大切です。

参考資料

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