請求書の内訳の書き方にルールはある?請求明細書との違いも解説

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

請求書を作成する際、請求書の内訳の書き方にルールがあるのか気になったことはないでしょうか。また、請求明細書の作成の依頼があり、請求書との違いや書き方に戸惑うこともあると思います。

ここでは、そもそも請求書を作成する目的と、請求書に関係する法律、そして内訳の書き方などを解説します。さらに、請求明細書の書き方と、請求書との違いなども、詳しく解説します。

請求書の内訳など書き方のルール

請求書を書く際、内訳の書き方のルールにはどのようなものがあるか、気になることがあります。特に、取引先から請求書の内訳の提出を求められた場合、どのような書き方で良いか悩むこともあるでしょう。

そこで、そもそも請求書とは何か、内訳の書き方にはルールがあるのかなどを理解しておくと良いでしょう。ここでは、請求書の内訳の書き方のルールに加え、請求書に関係する代表的な法律として、法人税法、インボイス制度、電子帳簿保存法などを解説します。

そもそも請求書とは

企業にとって大切なことは、事業により得た代金を期日内に正しい金額回収することです。代金を回収した後、資金繰りに利用し内部留保にも充当します。もし代金が正常に回収されない場合、企業の存続にも悪影響を及ぼしかねません。

そこで、代金を回収する手段として、請求書を作成し発行します。請求書を受け取った取引先は、代金を企業に送金します。このように、請求書は売上代金の回収を行う大切なツールとして機能するのが特徴です。

請求書の内訳の書き方にルールはあるの?

そもそも、請求書の内訳の書き方のルールには、明確な規定はありません。トラブル防止のため、おおむね決まった内容を書くことが一般的です。しかし、税金に関する法律では、一定の規定があります。

請求書について、税金に関する法律として、法人税法、消費税法、インボイス制度、電子帳簿保存法などがあります。それらの法律を理解しておくと、請求書の書き方の参考になるため、それぞれの法律を見ていきましょう。

法人税法

法人税法では、請求書に関する書類の記載事項について規定をしておらず、保存期間を定めているのみです。保存期間については、原則として7年、欠損金控除を利用する際は10年保存と規定があります。

国税庁のホームページによると、請求書の記載事項は消費税に関連する内容とされているため、実際の記載事項は消費税の法律を参考にするとよいでしょう。

参考:国税庁「請求書などの記載事項や発行のしかた

消費税法

消費税に関する法律では、以下の5つの請求書の記載事項を定めています。

イ 書類の作成者の氏名または名称

ロ 課税資産の譲渡などを行った年月日

ハ 課税資産の譲渡などに係る資産または役務の内容

二 課税資産の譲渡などの対価の額

ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称

法令検索「消費税法第30条第9項第1号

このように請求書を作成する際は、記載内容におおむね定めはあるものの、内訳の書き方のルールを定めていません。

インボイス制度(適格請求書など保存方式)

請求書に複数の消費税率がある場合、消費税率ごとに消費税額を記載するなど、一定の事項が記載された請求書を「適格請求書(インボイス)」といいます。仕入税額控除を受けるには、適格請求書を保存しなければならず、適格事業所として税務署への登録も必要です。

インボイス制度においては、消費税率と消費税額、登録番号などの記載を求めているものの、具体的な内訳の書き方までは規定していません。

参考:国税庁「適格請求書など保存法式(インボイス制度)

電子帳簿保存法

電子データにより届いた請求書を紙で保存することを禁止した法律が、電子帳簿保存法です。紙で届いた請求書を保存する際には、一定の要件を満たす必要があります。

この法律においても、請求書の内訳の書き方については規定していません。

参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要

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請求書を書く際は、まず「売買基本契約書」を確認

請求書の書き方にルールがないことを先に説明しましたが、実際に請求書を書く際は、取引先との記載事項の取り決めを確認しなければなりません。それらは「売買基本契約書」に記載されています。ここでは、売買基本契約書について、請求書を作成する上で確認すべき点を解説します。

請求書の内訳の書き方にルールがないことを先に説明しましたが、まず、請求書作成する際は、記載事項の取り決めを確認しなければなりません。請求書は、関連する法律に基づき作成するのが基本ですが、「売買基本契約書」において独自の取り決めがなされている場合もあります。

そもそも売買基本契約書とは

売買基本契約書とは、企業間の取引を円滑にし、トラブルが生じた場合の法的な措置の取り方などを記載した契約書をいいます。まず、企業間の取引を開始する以前に、売買基本契約書について、企業と企業の間で条文の内容を確認します。

条文の内容に異議があれば、相互の話し合いにより条文の変更などを行い、もし、それでも折り合いがつかない場合は、取引自体を取りやめる可能性もあります。売買基本契約書は、そもそも請求書の内訳の書き方のルールを定めたものではありませんが、請求書の基礎知識として押さえておくことをおすすめします。

請求日と支払いサイト

請求書では、いつの日に発行したのかが分かるように、必ず請求日を記載します。請求日を記載すると、いつからいつまでの期間が対象となり、どの商品を請求するかが明確になるからです。

定期的に掛売をする場合、一定の期間に区切って、その範囲内の商品がどれに当たるかを確認し請求書に記載します。この一定の期間を、支払いサイトといい、売買基本契約書にはその期間が記載してあります。

請求する金額

請求書には請求する金額を記載しますが、請求書の1行につき1種類の商品を記載するのが一般的です。この場合、支払いサイト間に、1種類の商品をいくつ売り上げたのか、その累計金額を記載します。

累計金額を記載する理由は、請求書に取引や商品を記載する際、取引の回数が多くなると、請求書自体が膨大な量になり、その作成が煩雑になるからです。また、請求書を受け取った側も、内容の確認に手間がかかってしまいます。

請求書の送付先と送付する方法

売買基本契約書には、請求書の送付先や送付方法なども規定しています。この場合、売買基本契約書には、要領にて別途定める、と規定していることもあり、要領を確認する必要も出てきます。

取引先の規模が大きくなると、商品の販売先と請求先が異なり、請求書の送付先を間違えると入金してもらえないことも考えられます。請求書には販売先がどこかを分かるように記載し、請求書の送付先も別に記載をしておきます。

正常に入金されない場合

取引先に請求書を送付しても、正常に入金されないことがあります。その場合、まず、自社内で理由を調べることが大切です。ある程度の理由付けができないまま取引先に連絡すると、信用を失いかねません。

自社内では、請求書が売買基本契約書の要件を満たしているか、再確認が必要です。請求書に誤りがあれば早急に修正し、取引先に確認を依頼します。もし、取引先に原因がある場合、売買基本契約書の規定に基づき対応を考えます。万が一、規定がない場合は、上長の判断を得た上で慎重に対応します。

請求書の内訳の具体的な書き方と注意点

そもそも、請求書や請求書の内訳の書き方にルールがないことは先にお伝えしていますが、請求書に関連する法律や、売買基本契約書に基づく具体的な内容などを踏まえた上で、一般的な請求書の記載事項と内訳の書き方などを解説します。

請求日

請求した日が明確であると、いつの期間の売上が対象になるのかが正確に分かります。売上は時間軸で計上していくため、請求日には間違いがないようすることが大切です。

相手先の住所と名称

請求書を送付する際、送付先の住所や名称に間違いがあると、取引先に届けることができません。期日内に届かなければ、次回の請求となり入金が遅れ、会社の資金繰りにも悪影響を与えます。

請求者の住所と名称

請求を作成する側の住所と名称も正しく記載します。取引先には、請求書による支払いの根拠となるため、請求者の住所と名称に間違いがあると、架空の請求者と捉えられかねません。

販売した商品の名称、数量と単価、合計額

請求額を構成する項目として、販売した商品の情報と金額が分かるように記載します。インボイスでは消費税率ごとに分けて記載する必要があるため、注意が必要です。

請求書の内訳が必要な項目

例えば、商品をセットで販売している場合、そのセットの内訳を記載し、取引先に分かりやすくしておきます。まず、セット商品の名称、数量と単価を1行で記載し、その下の行に内訳をそれぞれ記載します。この場合、書き方に法律などによる規制がないのは、お伝えしている通りです。

必要があれば前回請求の調整額

請求書は入金確認後に作成を開始するのが一般的です。もし、入金に差額があり、原因が明確な場合は、請求書に前回調整額の項目を設け、今回の請求額と合算した金額を表記します。

但し、取引先の確認を得ないまま請求書を送付すると、認識の違いによりトラブルが発展する可能性もあります。前回調整額を記載する際は、取引先とのコミュニケーションを取っておくことが大切です。

入金口座の情報

請求処理は売上入金の完了を持って終了します。入金口座の情報に間違いがあると、入金がなされず、取引先では送金エラーとなり、自社では入金遅延となります。取引先の経理にも事務負担を増やすため、入金口座の情報は正確に記載しましょう。

入金期日

売買基本契約書に記載してある通り入金期日を記載します。取引先の支払いサイトが自社の支払いサイトより長い場合、自社の支払いサイトに合わせて入金をしないことも考えられます。その場合は、売買基本契約書の規定を取引先と確認し合うことが大切です。

入金にかかる手数料の負担先

入金確認をする際、入金額との差額が発生することがあり、その差額が振込手数料であることも起こりがちです。一般的には売買基本契約書に負担先を記載しますが、請求書にも振込手数料の負担先を記載しておくと良いでしょう。

請求明細書とは

一般的な請求書の書き方を先に解説しましたが、取引が複雑であったり記載内容が膨大になると、請求書の内訳を明確にした書類の提出を求められることがあります。この内訳書を「請求明細書」といい、取引先の要望に合わせて請求書と別に作成しなければなりません。

「請求明細書」についても、書き方のルールに決まりはなく、取引先との取り決めによって記載内容を決定します。ここでは請求明細書について、請求書との違いや作成するメリット・デメリット、さらに発送方法などを解説します。

請求明細書は請求書の詳細な内訳書

請求書に記載しきれない内容であったり、取引先からの依頼があれば、請求明細書を作成します。その際、請求明細書は請求書の補助的な役割を果たしており、請求書とセットにして取引先に送付するのが特徴です。

売上代金は請求書で作成し明確になっており、請求書に関する法律などの条件は請求内訳書がない状況でも、正確に作成していれば法規制の対象となることはありません。あくまで、請求書の売上の情報を、内訳書として取引先に明確にするのが目的です。

請求明細書による内訳の書き方

請求書の内訳書の書き方にルールはないものの、書き方はどの企業でもおおむね同じです。商品に関する情報の明細を求められることが多く、請求書に記載された商品名や個数、単価、数量、税抜金額、消費税、税込金額などを記載します。

この場合、請求書には、請求する上で通常必要な情報と、商品の合計金額を記載しておきます。その合計金額の構成が分かるように、請求明細書を作成し金額の一致を確認し発行します。なお、取引先によっては、請求明細書に合計金額を記載せず、商品名と単価のみ記載するケースもあるため、書き方には十分な注意が必要です。

請求明細書を作成するメリット

請求明細書の最大のメリットは、請求者にとって請求漏れの発見をしやすいことです。請求書に商品の合計金額のみ記載されていると、具体的な請求内容のイメージが湧きにくく、請求書のダブルチェックをすり抜けてしまうこともあり得ます。

請求書を受け取る側にもメリットがあり、作成者側と同様に請求内容の確認がしやすいことと、もし請求書に間違いがあり支払いを行った場合でも、原因の特定に時間がかからず、誤送金の対処をスピーディに行えます。

請求明細書を作成するデメリット

内訳を細かく記載するには、商品や取引の情報をこと細かく調べる必要があるため、経理担当者の事務負担が大きくなってしまいます。

また、突発的な事案があり、請求明細書に記載を求められた場合は、事案の検証や確認に時間がかかり、この場合も経理担当者の負担が大きくなります。いずれにしても、請求書の内訳に書き方のルールはないため、必要以上に詳細に記載することは避けることが賢明です。

まとめ

ここでは、請求書について、一般的な書き方や、内訳の書き方などについて解説しました。請求書とその内訳の書き方については、明確なルールはないため、まず請求書の目的や一般的な書き方を理解したうえで、内訳の記載に取り組むことをおすすめします。

また請求書とセットで作成される請求明細書についても、書き方のルールがないため、一般的な書き方やメリット・デメリットなどを解説しました。特に請求明細書は作成すると、請求トラブルの回避に役立ちますが、詳細に記載しすぎると経理担当者の事務負担が大きくなります。取引先との要望と事務負担のバランスを見ながら請求明細書を作成することが大切です。

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