こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
「契約」は、企業が事業を行っていく上で必須の手続きです。特に、サブスクリプションビジネスでは顧客数が多く、サービスのプランも多彩であるため、契約管理が煩雑になりがちです。しかし、契約管理を後回しにしてしまうと、経営上のリスクが発生するほか、新たなビジネスチャンスを逃すことにもつながります。
この記事では、経営者や経理担当者の皆さまへ向けて、サブスクリプションビジネスにおける契約管理のポイントを紹介します。
目次
サブスクリプションビジネスにおける契約管理とは
契約は、企業と顧客の間で結ばれる取引の手続きで、法的な効力があります。取引は契約に基づいて進め、トラブルが発生した際は重要な証拠となるでしょう。そのため、契約の締結時に作成した契約書などは、しっかりと管理しなければなりません。
契約管理とは、契約書などの物理的な媒体の管理、契約内容の管理を指します。契約の期限や更新時期、提供するサービスの内容などを把握し、契約に沿った業務を進めるためにも必要です。契約管理を怠ると自社に損害を与えることもあるため、作成や管理は慎重に行うべきです。
サブスクリプションビジネスでは、月額課金のスタイルで事業を展開していることが多く、数か月だけ利用する顧客もいれば、長期にわたって契約する顧客もいます。
そのため、小売業などをはじめとした一般的な事業形態と比べると顧客数は多くなり、入れ替わりも激しくなります。また、提供するサービスにはさまざまなプランを用意していることが多く、契約期間中にプランを変更する顧客も多くいるでしょう。したがって、サブスクリプションビジネスの契約は、管理を要する件数が多く煩雑になりがちです。
以下の項目では契約管理業務でありがちな課題をとりあげ、解決するためのポイントを説明していきます。
契約管理業務の課題
情報共有が難しい
契約を締結する際、一般的には契約書を作成します。営業のほか、経理や総務スタッフにとっても決済・承認手続きで必要となります。よって、契約の情報は社内で共有されるべきです。
しかし、契約書などの原本は営業担当者が持っていることが多く、契約の終了時や更新後の内容がスタッフ間で共有できていないケースが多くあります。誤請求や契約更新前の内容で請求をしてしまうなど、業務に支障を及ぼすリスクがあることから、契約管理業務において情報のスムーズな共有は課題となっています。
管理体制が不十分
契約が締結された後は、契約書を適切に管理しておく必要があります。契約の管理業務は、後回しにされがちで、トラブルが発生した際に迅速な対応ができないというケースもよくあります。
契約の一覧台帳を作成し、表計算ソフトで作成する方法も考えられますが、契約の追加・更新の漏れをはじめとしたヒューマンエラーが発生しやすい環境となるほか、業務が属人化することもあるでしょう。また、契約書は紙媒体で管理することが多いと思われますが、紛失したり、悪意のある者が持ち出したりするリスクも見過ごせません。
そのほか、契約書を確認したいときにすぐに用意できないなど、検索性に問題が生じることもあります。
契約の終了・更新タイミングを誤る
サブスクリプションビジネスでは契約期間が顧客によって異なります。また、契約の終了や契約プランの変更も比較的頻繁に行われるでしょう。
契約の終了・更新タイミングを誤り、すでに終了している契約に対して請求をしたり、更新前の金額で請求をしたりすると、企業の信頼性を大きく落とすことにもつながります。
業務改善を目指すための契約管理のポイント
契約を適切に管理すると業務のミスを減らせるほか、顧客データを分析して新たなサービスを開発することにもつながります。以下のようなポイントをおさえ、業務改善を目指しましょう。
契約内容をいつでも確認できるようにする
顧客と契約に関するトラブルが発生した際、契約の内容をすぐに確認する必要があります。
このとき、契約書などの保存場所がバラバラであったら、迅速な対応ができません。可能であれば、契約の情報は集約・データ化しておき、スムーズに検索や内容の確認ができるようにするべきです。
契約の期限を把握する
サブスクリプションビジネスで提供するサービスは、数か月単位から数年単位までさまざまな期限で契約されています。加えて、多くのプランを展開している場合は、管理が煩雑になり、契約更新の案内もれが発生し、継続見込みのある顧客を見逃すことも考えられます。このように、契約の期限を把握しないことは収益をあげるチャンスを逸することにもつながるため、契約管理はしっかりと行っておく必要があります。
業務の効率化を目指す
顧客が現在契約中のプランをアップグレードしたり、契約途中で解約したりすると、当然ですが事務手続きが発生します。契約数が増えるほどこういった手続きも増加するため、スタッフの増員を検討しなければなりません。
しかし、契約に関する事務手続きのために、何人もスタッフを集めることは現実的ではありません。したがって、効率的な業務を目指す必要が出てきます。また、各顧客の契約内容を把握しておくと、ニーズに応じたサービスの案内もできるため、結果的に業務効率化へつながるでしょう。
上記のようなポイントをおさえ、業務効率化をするためには、顧客の管理から契約・請求までを一元化できるシステムを導入するなどの手段が必要です。
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契約管理でシステムを導入するメリット
契約管理をシステムで行うと、以下のようなメリットがあります。
管理にかかるコストが削減され、業務効率が向上する
契約管理を紙媒体からデータに移行できた場合、コストの削減と業務効率向上が期待できます。システムで一元管理すれば、検索性が向上するため、これまで契約書を探すために費やしていた時間を有効活用できます。また、スタッフ間での情報共有も容易になるでしょう。
サブスクリプションビジネスは契約件数が多くなる傾向があるため、システム化した際の恩恵は大きくなると思われます。
紛失や情報流出、契約内容の把握忘れを防げる
契約に関する情報は、事業をするうえで最重要といっても過言ではありません。紛失や情報の流出は絶対に防ぐことが必要です。とくに、情報流出は顧客からの信用を失うことにつながります。システムで管理すれば、アクセス権限のない従業員はデータを持ち出すことができないほか、うっかり契約書をシュレッダーにかけてしまったということもなくなるでしょう。
また、契約の内容を変更したり、更新時期が近付いたりした際はアラート機能で担当者へ知らせてくれます。
契約データを事業に活かせる
契約にかかわるデータは情報の宝庫です。情報という武器を活かすことができれば、事業の発展に寄与できるでしょう。たとえば、契約の更新時期を迎えた顧客を把握できていれば、プランのアップグレードや新たなサービスを提案できます。また、どのような顧客層が多いかがわかれば、ターゲットを絞ったサービスも開発できます。
まとめ
契約管理は、業務フロー上でもついつい後回しにしてしまいがちです。しかし、契約の件数が多いサブスクリプションビジネスでは、しっかりとおさえておくべき業務です。
契約管理を適切に行えていれば、事業をすすめるにあたり発生するリスクを軽減できるほか、ビジネスチャンスを逃すことも少なくなるでしょう。
システムで一元的に管理ができれば、ミスが少なく、効率的な業務が期待できます。契約管理をスムーズに行うためにもシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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