こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
従来から電子帳簿保存法の改正が段階的に行われ、要件の緩和が進められてきました。今回の令和3年度税制改正では、大幅な手続きや要件の緩和が図られることになり、より納税環境の整備が進むことになるでしょう。本記事では、令和3年度税制改正に関する電子帳簿保存法の改正ポイントをご紹介致します。
電子帳簿保存法の見直し概要
令和3年度税制改正により、納税環境の整備の一つとして電子帳簿等保存制度の見直しがなされました。
経理を電子化することにより、生産性の向上やテレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用により、利用者の記帳水準の向上に資するために、帳簿書類を電子的に保存する際の手続が抜本的に見直されております。
また、スキャナ保存制度や電子取引に係るデータ保存制度について、ペーパーレス化を一層促進する観点から、電子データの改ざん抑止のための措置を講じた上で、現行の手続き・要件の大幅な緩和が図られました。
国税関係書類の電磁的記録等による保存制度の見直し
電子帳簿書類の電子保存にあたっては、事前承認が必要であり、複数の保存要件や一定水準の検索機能が求められるなど、必ずしも導入しやすい環境にあるとは言い難い状況でした。今回の改正により、事前承認制の廃止、保存要件や検索機能の簡素化によって、企業が帳簿書類の電子化をより進めやすい環境に改善されます。
現行ルール | 改正案 | |
---|---|---|
承認申請 | 必要 (帳簿の備え付けや書類の保存開始する日の3か月前の日までに、承認申請書を提出) | 不要 |
保存要件 | イ)訂正等の履歴が残ること ロ)帳簿間で相互関連性があること ハ)検索機能があること ニ)モニターやプリンタ、説明書等を備え付けておくこと | モニターやプリンタ、説明書等を備え付けておくことは必要。 (現行ルールの ニ)と同じ) なお、現行ルールの ハ)について、税務調査にて調査官からのダウンロード要請に応じるなら不要 |
優良電子帳簿の特典 | 現行ルールのイ)~ニ)の要件をすべて充たし、かつその旨を届け出た場合(優良な電子帳簿)、過少申告加算税が5%軽減される |
スキャナ保存制度の見直し
ペーパーレス化を一層促進する観点から、スキャナ保存制度の手続き・要件が大幅に緩和されるとともに、電磁的記録改ざん等の不正行為の抑止担保措置が導入されます。
現行ルール | 改正案 | ||
---|---|---|---|
早期入力方式 | 業務処理サイクル方式 | ||
承認申請 | 必要 (保存を開始する日の3か月前の日までに、承認申請書を提出) | 不要 | |
タイムスタンプの付与期限 | 受領者等がスキャンする場合は概ね3営業日以内にタイムスタンプの付与が必要 | 受領者等以外の者がスキャンする場合には、最長2カ月+概ね7営業日以内にタイムスタンプの付与が必要 | タイムスタンプ付与までの期間は最長2 カ月+7 営業日以内に統一 訂正・削除履歴の残るシステムに、最長2カ月+概ね7営業日以内に格納する場合にはタイムスタンプが不要 |
その他の保存要件 | 受領者等がスキャンする場合には本人の署名が必要 | 書類への署名は不要 | 書類への署名は廃止 |
本人以外の者が内容確認(必要に応じて原本チェック) | 受領者等の本人がスキャンする場合、本人以外の者による画像と原本確認 | 受領者等がスキャンする場合、本人以外の者による内容確認不要 | |
定期的な検査(原本とデータのチェック)が必要 | 定期な検査(原本とデータのチェック)が不要 | ||
罰則 | 改ざん等の不正行為があった場合でも、重加算税の他に特別な罰則はない | スキャナ画像に関連して改ざん等の不正が把握された場合は、重加算税を10%加重する |
電子取引に係るデータ保存制度の要件の見直し
電子取引のデータ保存制度についても、スキャナ保存要件と同様、手続き・要件が大幅に緩和されるとともに、電磁的記録改ざん等の不正行為の抑止担保措置が導入されます。
現行ルール | 改正案 | |
---|---|---|
保存上の措置 (タイムスタンプ) | 電子データの保存方法として、タイムスタンプを付与するときは、受領後、遅滞なく付与しなければならない | タイムスタンプ付与までの期間はスキャナ保存と同様に 最長2カ月+7営業日以内に統一 |
保存方法 | 電子取引データを書面で出力して保存することも認められる | 電子取引データを書面に出力して保存する方法は廃止 |
罰則 | 改ざん等の不正行為があった場合でも、重加算税の他に特別な罰則はない | 電子取引データに関連して改ざん等の不正が把握されたときは、重加算税を10%加重する |
なお、電子帳簿保存等に係る改正は、2022年1月1日から施行されます。
電子帳簿については2022年1月1日以降に備え付けを開始する国税関係帳簿から適用され、スキャナ保存も同日以後に保存を行う国税関係書類に、また、電子取引の取引情報も同様に同日以後から適用されます。
まとめ
電子帳簿保存を進めるメリットとしては、紙の保管が不要になるためのオフィスの省スペース化や印刷や保管に関するコスト削減、また盗難や紛失を防ぐセキュリティの強化、データ化によるテレワークの推進、環境への配慮などあげられます。
今回の改正により、導入するためのハードルがかなり下がりましたので、上記のメリットを享受するためにも、積極的に推進すべきでしょう。
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