前受金は税務調査で狙われる?サブスクリプションビジネスで賢く管理する方法とは

前受金は税務調査で狙われる?サブスクリプションビジネスで賢く管理する方法とは

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

サブスクリプションビジネスが広まりを見せる中、「前受金」という勘定科目の幅が広がり、その管理が煩雑になってきています。

企業の成長につながり、また、税務調査への対策もできる賢い管理をしてみませんか。

前受金とは?どんな勘定科目?

前受金は負債の部に属する勘定科目

前受金は、商品を納品する前に受け取る金額のことを指します。将来の売り上げというイメージから、負債の部がしっくりこないという方も多いと思います。前受金は、商品を提供する義務を負っているということから負債の部に属すことになります。

賃借対照表
(借方)(貸方)
資産の部負債の部
 前受金
 前受収益
資本の部

前受金と前受収益の違い

前受金とよく似た科目として前受収益があります。いずれも、売上(収益)を適切な時期に計上するための科目です。企業会計原則では、以下のように定義されています。

前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。

企業会計原則

役務の提供はサービスのことですので、継続的なサービス提供で前払いを受けているときには「前受収益」、それ以外のモノを販売する場合には「前受金」で処理するのがよいということになります。

前受金が生じる取引例と仕訳

収益計上時期について

売上は、企業の利益や税金に大きくかかわってくるため、計上時期が重要になってきます。利益という結果だけではなく、今後の売上把握や目標策定にも有効ですので、月次で管理できるのが理想です。

例えば、5月15日に以下のようなサブスクリプションの契約をするとします。

  • 利用期間は6月からの1年間、毎月商品をお届けする
  • 毎月10万円の利用料を12ヶ月分前払い

この場合は、5月の入金時に120万円の売上を計上するのではなく、実際に商品を提供するそれぞれの月で売上へ計上していくことになります。

サブスクリプション契約の前受金計上例

入金時の仕訳

5月に前払いで入金された場合は、いったん全額を「前受金」として計上します。

前受金の属する負債の部は貸方の勘定科目ですので、前受金発生(増加)時は貸方金額、売上への振替(減少)時は借方金額で処理をします。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
5/15現預金120前受金 A社120
(単位:万円)

売上への振替時の仕訳

契約期間の6月~5月の1年間は、毎月10万円を「売上」へ振替計上していきます。

毎月計上することで、月々の売り上げを正確に把握することが可能です。

会計ソフトを使用している場合には、日付を入力することで自動で時系列に並ぶため、事前に入力しておくこともできます。また、顧客別に補助科目を設定しておくと、管理やチェックが容易になります。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
6/30前受金 A社10売上10
7/31前受金 A社10売上10
(単位:万円)

上記仕訳を翌年5月まで続けます。決算期をまたぐ場合は、決算月までの入力にしておきましょう。

3月決算の場合には、翌期分に計上すべき10万円×2か月=20万円が決算書上「前受金」として残ることになります。

税務調査の益金算入に狙われる前受金

前受金の売上計上漏れには要注意!

前受金は、売上に直結する科目です。そのため、税務調査の際にも注意深くチェックされる項目になります。

利益操作のため、本来前受金のまま置いておくべきものを売上に計上したり、逆に売上計上しなければならないものが前受金のままになっていないかなどの確認が入ります。

利益操作という故意的な場合には重加算税が課されますが、計上ミスの場合にも加算税や延滞税はかかってきますので、前受金はしっかりと管理していきましょう。

益金算入の修正申告による加算税・延滞税の課税

益金とは、簡単に言うと法人税を計算する上での収益のことです。

税務調査で売上計上漏れが発覚した場合には、法人税申告書の別表(4)という書類の益金算入欄に「売上計上漏れ」として加算されます。益金に加算されるということは、支払う法人税が増加するということ。

法人税が増加する場合には「過少申告加算税」が、事実の隠蔽や不正など故意の場合には「重加算税」が課税されます。また、税務調査が入った段階では、修正する会計年度の申告期限は既に過ぎているため、延滞税も課税されます。さらに、売上計上漏れの場合は、消費税も絡んできます。計上ミスといっても、出費が増えてしまいます。

税金名称主な税率※
過少申告加算税増加した税金×10%~15%
重加算税増加した税額×35%~50%
延滞税増加した税額×7.3%~14.6%

※税率は、納税時期やその会社のこれまでの申告の経緯などにより異なります。

延滞税の計算について詳しくはこちらをご確認ください。(国税庁サイト

サブスクリプションの前受金管理を簡単に行うには?

これまでご紹介してきた通り、前受金を正確に管理していくことは、自社の現状把握、目標設定、不要な出費を防ぐためにもとても重要です。

とはいえ、企業の成長に伴って顧客数は増え、取扱商品やプランも増えていきます。これはうれしいことですが、管理はどんどん複雑になっていきます。毎月人の手で漏れのないよう計上したり、エクセルなどの表計算で管理したりというのにも限界がきます。

そんな時は、自社のビジネスモデルに合ったシステムを導入してみるのはいかがでしょうか。最近では、サブスクリプションビジネスの拡大に伴い、請求入金消込前受金管理などが容易に行えるサービスが登場しています。

前受金の管理に費やしていた時間や人員を、新たな企画やサービスの立案に費やすことで、さらなる企業の成長につなげてください。

請求管理のことなら、私たちにご相談ください。

私たちは、請求書の郵送やメール送信ができる請求管理クラウド「クロジカ請求管理」を提供しています。 豊富な知見を活かし、お客様の業務フローに合ったシステムの連携方法をご提案します。 請求業務でお悩みの企業の方は、気軽にご相談ください。

請求書発行業務80%削減する方法とは?

無料ではじめる請求管理

無料ではじめる請求管理
クロジカガイドブック

「クロジカ請求管理」の詳しい内容がわかる資料をご用意しました。
  • 請求業務の課題と解決方法
  • 理想的な請求業務フロー
  • クロジカ請求管理の主な機能
  • 請求業務を80%削減した導入事例
  • 導入までの流れ

請求業務を80%削減

請求書発行・入金消込・売上計上を自動化して、時間とコストを削減する具体的な解決策を記載した資料をダウンロードできます。
クロジカの機能や事例が分かる
無料資料ダウンロード