中小企業の経理担当者の請求業務を見直すポイントとは?電子化を進めてミスを削減しよう

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

業務の効率化を図るため、さまざまな分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進んでいます。

経理の業務にも電子化が導入されていますが、経理業務の請求業務について、どのように電子化を進めればミスを防げるか悩むことも多いでしょう。そもそも、経理業務は会社のお金を扱うためミスは許されません。特に請求業務は、入金処理を伴い、ミスが発生すると金額の不一致が生じるため、会社の資金繰りに影響します。

本記事では、まず請求業務のプロセスに触れ、電子化に関連する電子帳簿保存法や、インボイス制度による消費税の計算、そして、請求業務の課題やを見直す際のポイントをお伝えします。

さらに、電子化によるメリット・デメリットなども解説しますので、請求業務の電子化を進めミスを防ぐ際の参考にしてください。

請求業務のプロセス

「請求業務」とひとことで言っても、その内容は多岐にわたります。ここで改めて、請求業務のプロセスを確認してみましょう。

請求業務は主に下記のステップで行われます。

  1. 請求内容の確定
  2. 請求書の作成と送付
  3. 代金回収と入金消込

請求内容の確定

この業務では、請求額の確定だけではなく、請求明細に記載する請求内容や支払期日の情報も必要になります。また、確定した内容について責任者の承認を得る必要があります。

承認のないまま請求書を作成する担当者のみで請求書を発行すると、不正につながりやすい側面があるため注意が必要です。

請求書の作成と送付

確定した請求内容を請求書のフォーマットに正確に記載するプロセスです。得意先指定のフォーマットがある場合は、個別の対応が必要になります。もし、指定と異なる請求書を発行すると、得意先からの入金を得られないことがあります。

電子化した請求書でのやりとりが可能であれば、得意先にPDFファイルにより送信できるため、紙ベースの印刷・封入作業や宛名書き、郵送などの作業を省けるため請求業務の効率がよくなります。

代金回収と入金消込

支払期限までに得意先から入金があったかを確認(代金回収)し、確認ができた請求分の入金の消し込みを行う業務です。支払期日までに入金がない場合には、売買基本契約書の請求書に関する項目を一度確認した上で、得意先に入金遅延がある旨を伝え、支払いの督促を行います。

特に、請求業務では、入金の消し込みを完了した後に請求書を作成し発行することが大切で、入金が不一致のまま請求書を発行すると、自社はもとより得意先の経理部門も混乱を招くことに繋がるでしょう。

他にも、発行した請求書の控えを適切に管理し、ファイリングや保存を行う付随業務も「請求業務」の一環です。

電子帳簿保存法~請求書の電子化を促進

電子帳簿保存法とは、経理業務の電子化を進めるために施行させた法律で、紙ベースの請求書を電子化したデータで保存可能とし、その保存方法などを規定しています。この法律は、簡略化して、電帳法と呼ぶこともあります。

電帳法のメリットには、データ検索の容易化、紙ベースの請求書の保管場所が不要になること、さらに、経理業務担当者がテレワークに対応できることなどがあります。

ま、電帳法は、電子帳簿の保存、スキャナによる保存、電子取引によるデータ保存などの3部構成となっているのが特徴で、請求書業務担当者は必ず内容を確認し把握しておくことが大切です。

インボイス制度~適格請求書

インボイスとは、消費税率に応じて消費税額を記載した請求書のことをいい、適格請求書と呼ばれます。インボイス制度では、仕入先は売り手からの適格請求書(インボイス)を保存することが必要です。

そもそも、消費税は売上の税額から仕入れの税額を控除した額を計算し納付しますが、これを仕入税額控除といい、仕入税額控除をする際、インボイスの保存が必要になります。

インボイス制度では、事前に登録番号を取得しなければなりませんが、登録の申請をしないと取得できないので注意しましょう。

請求業務が抱える課題

幅広くさまざまな作業を伴う請求業務ですが、ここではこの業務の抱えている課題を解説します。

契約件数が増えると業務量が膨大に

契約件数や得意先が増えれば増えるほど、請求業務の負荷は増加します。スポット取引はもとより、継続請求が多くなると、契約件数の増加とともに請求書の枚数が累積的に増加します。

中小企業の経理部門では人員が限られていることが多く、さらに昨今の人手不足や働き方改革、リモートワークなどの制約の中、余力がない状態で業務を回している企業も多いのが実情です。

こういった状況で業務の負荷が増加すると、他の業務が疎かになったり、担当者のストレスが増えたり、経理部門の健全な組織運営に悪影響を及ぼしかねません。

請求ミス・請求業務の漏れは許されない

請求業務の課題として次に挙げられるのは、ミスや漏れが起きてしまうことです。請求書の発行だけでなく、得意先への送付や入金処理など多岐にわたる請求業務ですが、その多忙さや煩雑さゆえに、ミスや漏れなどが起こり得ます。

ミスや漏れが起きると、正確な情報の確認・修正・再処理など、さらなる負荷の増大を招くことでしょう。また、請求書のミスは得意先の信用喪失につながり、企業の評判を落とすことになるので注意が必要です。

特に、請求書の送付を郵送している場合、発送先住所などを間違えると、送付の遅延を招き、入金が遅くなるなど影響が出ることがあり、結果的に資金繰りに打撃を与える可能性もあります。

属人化しやすい

請求業務が抱えがちな課題として、属人化しやすいという点も挙げられ、中小企業の経理部門が直面しやすい問題です。

請求業務は多岐にわたり、またルーティン業務として絶え間なく請求サイクルを回さなければならず、請求業務担当者は日々の業務に追われ、情報共有や可視化に対応する余裕がなくなりがちです。請求業務担当者のみが情報・ノウハウを把握し、他の人が手伝ったり、一時的に代行することが難しくなります。

その結果、請求業務担当者だけに対応依頼が殺到し、ますます手いっぱいになります。そうなると、他の人に状況を共有したり、マニュアルを作ってノウハウを伝えたりする時間がなくなり、さらなる属人化が進む、という悪循環に陥ってしまいます。

請求業務の改善計画

請求業務で発生しやすい課題を解決するために、どのように業務を見直し、改善することができるでしょうか。ここでは、請求業務の改善計画について解説します。

請求業務の課題を把握しよう

請求業務を改善するには、自社の課題を正確に把握することが必要です。

まず最初に業務フローを見直してみましょう。契約の成立から請求の発生、請求書の作成と送付、入金の処理まで、一連の流れを整理し、フローチャートを作成するなどして可視化することをおすすめします。

誰が、何を担当しているかに加えて、毎月どのくらいの件数があり何時間かかっているかなどの定量的な情報も収集してみましょう。

長年続けてきたルーティン業務でも、改めて整理することで業務の役割を再認識することができます。また、どの業務がボトルネックになっているかに気付けるかもしれません。

例えば「請求書の作成自体はそれほど時間がかからないものの、紙ベースのため郵送に時間がかかって滞りがち」「請求書の金額はすぐ入力できるが、送付先の確認に手間と時間が割かれている」などの気づきが得られることがあります。

請求業務のどの部分がネックになっているか明らかになれば、そこを解消するようなアクションをとることができます。

請求業務の改善には優先順位をつける

請求業務の課題が明確になったら、次に改善を進める業務の優先順位を付けましょう。

業務改善を実行するには、関係者への徹底的な説明と意識共有が必要です。複数の課題を一挙に解決しようとすると、結果的に全部が中途半端になってしまうことがあります。

優先順位は次の2つの軸で考えてみましょう。

難易度が低く効果が高い改善項目は優先順位を高くしましょう。ちょっとした工夫で劇的に効率が上がる、という改善策があれば、すぐに実行することが大切です。

逆に改善の難易度は高いが効果はそれほどでもない、という改善策は優先順位を低くします。このように、難易度と効果のバランスを吟味して、請求業務の改善策に優先順位をつけることをおすすめします。

改善計画のターゲットを設定しよう

請求業務の改善策に優先順位をつけたのち、次に改善計画を作成します。優先度の高い改善策から、改善案ごとに、いつまでにどのような施策を行うのか、タスクリストと期限を設定しましょう。

改善計画では、大きな目標に向かって小さな目標を積み上げていくことが効果的です。例えば「毎月50時間かかっている請求書の作成業務を、3年以内に毎月10時間に削減したい」という大きな目標を掲げたとします。

この場合「上半期中に10時間削減する」「今年度中に20時間削減する」など、最終目標に向かう道のりを刻むような、小さなターゲットをいくつも設定しましょう。

大幅な削減を一気に求められると、関係者の意欲が削がれてしまいます。また、長期間にわたる改善計画では、課題解決への意欲を維持することが難しくなります。短期的で現実的なターゲットを複数設定することで、皆が取り組みやすく、達成感を得やすくなり、高いモチベーションを維持することができるのです。

請求業務のミスを防ぐには電子化を

請求業務で効率化や時短、ミスの削減が課題となっている場合、請求情報の管理を電子化できるクラウドサービスを導入するという改善策が有効です。

請求情報の管理と請求書発行、送付をクラウドサービス化できると、請求業務にかかる負担が大幅に改善します。入金処理、前受金・売掛金の管理までも行えるクラウドサービスを使うと、月次決算時の業務負荷も軽減されます。

また、クラウドサービスを導入すると情報が一元管理できるので、属人化を排除でき、業務の見える化が容易になります。また自動化することで手作業によるムラ・ムダ・ミスを削減できるのも大きなメリットです。

また、クラウドサービスを利用する予算がとれない場合は、紙の請求書をPDFにしてメールで送信するだけでも、請求業務の手間を省けて効率化に繋がります。ただし、取引先の承諾を得る必要があるので注意しましょう。

電子化を進めると得られるメリット

取引量が多くなると、請求書の処理件数の多さによる間接コストの増加が見込まれます。間接コストが大きくなると、請求書の電子化による業務効率化や省力化によるメリットを得ることが可能です。ここでは、請求業務の電子化による具体的なメリットを紹介します。

電子データにより保管や検索が容易になる

請求書を電子化すると、請求書を保管するキャビネットや保管庫など物理的な保管場所が不要になります。さらに、既に発行した請求書を検索する際、パソコンによるデータ検索となるため、検索時間もかからず、保管場所に移動して請求書を探す必要がありません。

間接コストを削減できる

紙ベースの請求書の作成と発行(郵送)が不要になることで、ペーパーレス化を推進できるようになり、切手代、封筒代、作業者の人件費などの間接コストを削減することができます。

請求のノウハウを共有し属人化を防げる

請求業務の電子化により、情報共有や可視化への対応に繋がります。これにより、請求業務担当者以外でも情報・ノウハウを把握できますし、ほかの人が請求業務を手伝い一時的に代行することも可能です。

請求書発行のために出社しなくてもよい

テレワークを実施している企業でも、紙の請求書を発行する際には、請求書の検印や承認のためにわざわざ出社することが少なくありませんでした。

請求書を電子化することで、Web上で作業を完結できるため、スピーディな処理が実現できるようになります。

請求書の修正が容易になる

営業部からの連絡で請求内容を修正しなければならないような場合でも、請求書の再発行に向けて修正履歴を残しながら迅速に対応することができるようになります。

請求書を即時発行できる

請求情報を確定したら速やかに電子請求書を作成して、得意先にメール添付で送信が可能です。得意先が指定Webページからダウンロードして受け取る場合は、決められた日程で請求書を入手することができます。

特に、得意先が大手企業の場合は請求書の短期間発行を求められることも多く、無理なくこれに対応できるようになります。

電子化を進める際のデメリット

請求書の電子化のような新しい仕組みを導入するにあたっては、メリットのみならず何らかのデメリットが発生する可能性があることも理解しておきましょう。

自社システム対応時には追加コストがかかる

請求書を電子化して発行する企業側で独自の仕組みを構築している場合、要件定義の手間、ハードウェアの導入コスト、運用開始後のメンテナンスコストなどが発生します。IT部門のリソースも確保しなければならないでしょう。

この課題への解決として、API接続によりクラウドサービスと自社の会計システムなどが接続できれば、請求書発行システムの導入と維持コストを大幅に削減できるようになりますし、運用開始後は経理部門でもメンテナンスが可能になります。

紙の請求書対応のための個別対応は残る

得意先が電子帳簿保存法に対応していない場合、紙での請求書を継続したいと希望されることがあります。このようなことを想定して、請求書の発行前に得意先毎に紙の請求書が必須なのかどうかを定期的に確認しなければなりません。

それでも、大部分の請求書を電子化できればそのメリットはデメリットを大きく上回ることでしょう。なお、紙で受け取った請求書は紙で保存できますが、もし電子データとして保存する際は、電子帳簿保存法に保存方法の規定があるため注意が必要です。

情報漏洩リスクを防ぐ措置が必要になる

電子データは不正アクセスによる流出の危険性の他にも、担当者が誤って別の企業へ送付するケースや、アクセス・パスワードが長期間変更されないことで、担当外の人が情報にアクセスできる状況になっている可能性もあります。

クラウドサーバーを利用することで、クラウドサービス側に起因する情報流出のリスクを低減させることが可能ですが、情報漏洩防止のため、パスワードは定期的に更新するなどの措置は必須です。

請求書を電子化する際に検討するべきこと

請求書の電子化は、請求書の発行と保存をデータ化しただけでも一定のメリットを得ることができますが、最大のメリットはデータ連携によって人の手を極力減らすことで、人的リソースをより付加価値の高い業務に割り当てることにあります。

ただし、情報の電子化には情報漏洩リスクの他にも、データ改ざんや消失のリスクが紙媒体よりも高くなることから、請求業務担当者、さらに、組織の責任者などに高いITリテラシーが求められるようになります。

電子化する前に検討しておくべきこと

業種・業態によっては、電子化に消極的な企業もあります。会社のカルチャーとして紙媒体を利用するべきとしている場合、経理関係者の主導で請求書の電子化を進めることへの社内の理解は得られ難く、将来の機会を待たなければならないこともあるでしょう。

また、ビジネスで電子化に積極的であっても、バックオフィス部門のIT化には消極的な組織もあります。この場合は、外部環境の変化(税制や法令改正のタイミング)で、変化に対応する必要性を社内に周知し、電子化を進めるきっかけを模索することが考えられます。

電子化により付加価値の高い業務に集中

中小企業のバックオフィス部門では必要な人員数を揃えることができないことが多く、経理担当者は、総務や人事(給与計算、支払など)などを間接的に兼務していることがしばしば見受けられます。多忙な経理担当者にとって、請求書の発行および入金管理に費やす負担は大きく、この部分を電子化により省力化できることは大きなメリットになるでしょう。

特に、営業部門と締め日ぎりぎりまで請求情報の調整が続く状況においては、早期にクラウドサービスなどを導入することで、経理担当者の負担を減らし、かつ、請求情報を営業部門と共有することで請求漏れや二重請求を防ぐことができるようになります。

また、クラウドサービスに統制機能(担当者の再鑑や役職者による承認)があれば、自然に内部統制環境が構築されることもメリットといえます。

まとめ

本記事では、請求業務について、そのプロセスや抱える課題、そしてミスを解決するポイントと具体的な方法などを解説し、電子化を進めることで得られるメリットやデメリットもお伝えしました。

経理業務は繁忙で属人化しやすい特徴がありますが、電子化を進めることでミスの防止につながり、さらに情報の共有化や可視化も可能です。その結果、間接コストの低減も可能になります。請求業務のDX化により効率化も進み、ミスのない請求業務に発展することも可能でしょう。

請求業務の電子化のメリットを享受するためには、社内手続きの仕組み化やクラウドサービスを利用するための準備、社外関係者への周知など用意周到な対応が大切になります。

さらに、請求業務の電子化による中長期的な効率化・合理化を目指すためには、一時的に多数の工程が発生することや関係者調整を要することになりますが、一度仕組みを整えてしまえば、その後の運用は非常に楽になり、従来の作業環境に比べると驚くほどの成果を体感することができるでしょう。

また、消費税務の計算に関係するインボイス制度の導入も、請求書の電子化を進める大きな契機になります。

まだクラウドサービスを導入していない場合には、ぜひ導入の検討をしてみてください。

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