こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
ストックビジネスは事業やサービスを継続的に提供することで得た収益を蓄積していくビジネスです。コロナ禍の影響で経済が不安定になっている現代で、大きく注目されています。また、これの対になるものとして消費者に販売する商品やサービスを売り切ることで収益をあげるフロービジネスがあります。
本記事ではこれら2種類のビジネスのメリットとデメリットを比較しながら、具体的な事業の事例をわかりやすく紹介していきます。新規事業や副業として新しい事業を立ち上げたいと考えている方は、それぞれの強みを理解した上で、検討してみましょう。
目次
ストックビジネスとは?
消費者に継続的にサービスや商品を提供することで収益を得るビジネスです。日本での代表的な事例を上げると水道や電気といったインフラ事業があげられます。また、月額料金を支払うことで利用できる音楽配信サービスのAppleMusicや動画配信サービスのNetflixなどのサブスクリプションサービスもこれに該当します。
また、対になる存在として、商品やサービスを提供し、その場で売り切ることで、一時的な収益を得るフロービジネスがあります。飲食店やアパレルショップといった日常で頻繁に利用する多くの小売業はこれにあてはまります。
ストックビジネスのメリット・デメリット
継続的に利益を上げられ収益が安定するといった、様々なメリットがあります。しかし、それと同時に顧客離れや膨大な初期投資といったデメリットになってしまう要素もあるため、新規事業を立ち上げる際はそれぞれを明確に理解する必要があります。
ストックビジネスのメリット
メリットとしてまず挙げられるものが継続性です。代表的な事例として不動産賃貸業のケースで見ていくと、期間を決めて契約を行うケースがほとんどで、契約している期間の間は定期的な収入として家賃収入を得られます。そのため、毎月の売上も安定しやすく、年間の売上予測や予算が立てやすくなります。
また、一度の契約で定期的な収入を見込めるため、収益を積み上げやすいメリットもあります。小売業や販売業では、日常的に営業や接客を積み重ねることで売り上げを確保していきますが、不動産賃貸業の場合は、契約の期間内であれば一定の売り上げが確実であるため、予算の達成もしやすいです。
他にも事業計画が立てやすいのもメリットの一つで、売り上げが継続に積み上げられるため、収入はもちろん支出の計画も立てやすくなります。売上予測をしながら事業計画を立てれば、事業を継続していくために必要な費用を用意することはもちろん、事業を継続していく上で発生する不意のトラブルや支出にも対応しやすくなります。
ストックビジネスのデメリット
デメリットは顧客が離れてしまうリスクがあることです。収益を安定的に上げるためには最初の契約から継続的にサービスや商品を提供していくことになります。しかし、契約を結んだことに安心して満足できる商品やサービスを提供できなくなれば、顧客が離れてしまうことにつながります。不動産の賃貸業では、共有部の修理や管理を怠ったことが原因で他のアパートに顧客が引っ越ししてしまうことも少なくありません。
また、同じ家賃でより綺麗な新築のアパートができた場合は、満足できるサービスを提供していたとしても、他の物件移ってしまうこともあるでしょう。特に競合の多い分野では一度獲得した顧客が契約を解除し、他の会社と新たな契約を結んでしまうことも多く、メリットである継続的な収入が得られなくなってしまうこともあります。そのため、顧客満足度の高い商品やサービスを展開した上で、競合の少ない分野でなければ、継続的な収入も難しくなります。
また、収益をあげるまでに時間がかかる点も大きなデメリットの一つです。顧客との契約を取るための商品やサービスを作るためには初期投資が必要になります。仮に巨額の投資をおこなって事業を展開したとしても、たくさんの顧客との契約を結べなければ、初期投資の金額を回収する前に資金繰りが厳しくなってしまうでしょう。
フロービジネスとの違いは?
フロービジネスは提供する商品やサービスを売り切ることで収益をあげるビジネスで、継続的な売り上げではなく、短期的な売り上げを立てやすいです。代表的な事例を挙げると飲食店や小売店が挙げられ、季節や期間によって売上の予測こそ立てられますが、増減の差が非常に大きく安定的な収入を得ることは難しいです。
また、景気や社会情勢などの影響を受けやすく、状況によっては大きく業績を落としてしまうことも多いです。しかし、商品やサービスを大きく改善、吟味することで短期的に大きく収益を伸ばすことも可能です。
サブスクリプションもストックビジネス
動画配信や音楽配信などで人気を集めているサブスクリプションサービスも代表的な事業の一つです。サブスクリプションは自分の必要なサービスに対して月額料金を支払って利用でき、コロナ禍の影響を受けた日本経済においても大きく業績を伸ばしているビジネスです。
最大の特徴は、利用者が商品やサービスを所有しないことです。利用する顧客は契約期間の間だけ料金を支払うことで、任意のサービスを受けられますが、解約してしまえば、もう一度契約するまでは利用できなくなります。そのため、利用者の満足度の高いサービスを提供し続けることで、継続的な売り上げが見込まれます。
サブスクリプションの具体例としてNetflixの事例をみていきましょう。Netflixは月額・年額の利用料を支払うことで、映画・アニメ・ドキュメンタリーといった動画コンテンツを閲覧・保管できます。
動画配信サービスが普及した近年は、同サービスでしか閲覧できない映画やドラマも増えており、視聴するためには月額契約が必要になります。作品の中には別途で利用料がかかってしまうケースもありますが、契約をしている利用者は24時間好きなタイミングで自由にコンテンツを利用できます。
ストックビジネスのビジネスモデルの種類
ビジネスモデルにはサブスクリプション以外にも様々な種類があります。本章では、日本でも馴染みのあるビジネスの具体例として6種類の事例を紹介します。新規事業にストックビジネスを取り入れようと考えている方は、具体的な事例を参考にしながら、新しい商品やサービスを検討してみましょう。
定期購入
定期購入は契約した商品を定期的に届けるサービスです。アマゾンなどの大手インターネット通販では化粧品や日用品といった消耗品の定期発送サービスを行っており、利用者の立場から見ると買い忘れを少なくできるだけでなく、安い料金で購入できるメリットもあります。
企業側の立場から見ると定期的に商品を販売することになるため、売上の予測が立てやすく安定した取引を確保できるメリットがあります。
点検
点検は建物や車などの点検をサービスとして提供します。建物や車は購入者が長期的に所有することが前提になっている場合が多いため、数ヶ月に1回、数年に1回という頻度で定期的点検や修理を行うことで売り上げを立てられます。
車は車検と呼ばれる法的整備が乗用車で2年に1度義務付けられているため、自動車の販売店や整備工場では2年に1度の頻度で点検の売り上げを立てられます。
保険
保険は貯蓄や掛け捨てなどの種類に分けて保険料を負担することで、万が一の病気や事故の際に給付を受けられるサービスです。契約を顧客と結ぶと一定の年数は毎月安定した収入を上げられます。
保険は契約が終了した際に同業他社に乗り換えられますが、契約している間に契約を解除すると違約金として手数料がかかってしまうため、一度契約した顧客からは長期的に安定した収益を期待できます。
保険には生命・自動車・火災といった様々な種類があるため、ストックビジネスの中でも多くのサービスが存在します。
レンタル
レンタルは用意した商品を顧客に貸すサービスです。ビデオやレジャーグッズのレンタルは契約期間が短期的であるため継続的に安定した収入を得ることは難しいですが、車や情報機器のレンタルでは年単位の契約になることも多く、安定した収益が期待できます。
しかし、レンタルで継続的に収益をあげるためには、複数の顧客に対して商品を貸し出す必要があるため、大きな初期投資が必要になる場合が多いです。
消耗品
消耗品を定額で供給するサービスです。食べ物や生活雑貨などの消耗品を契約した顧客に定期的に提供することで、毎月安定した収益をあげられます。小売業に比べると景気の動向に左右されにくく、安定した顧客を確保できる点がメリットです。
サブスクリプションサービスが浸透した近年は、食材やサプリメントの定期サービスに加入する消費者も増えており、今後益々注目を集めることになりそうです。
教室
教室は顧客に対して様々な教育・指導を行うサービスです。ジム・英会話教室・予備校では、契約した会員が月会費として毎月一定の金額を支払うことで、施設を利用し教育や指導を受けられます。主催する企業側は契約する会員数から割り出した売り上げを毎月継続的にあげられるでしょう。
また、教室型のビジネスを応用したものに会員制のサービスがあります。代表的な事例としては会員制のバーやゴルフ場で、顧客は施設の利用料としてはもちろん、特別なステータスを手に入れるために料金支払って会員契約を行うことになります。
会員制のバーやゴルフ場では施設やサービスの質によって高額な金額に設定されていることも多く、教室に比べると高い売り上げが期待できます。
権利使用料
権利使用料は音楽やデザインを利用する際に支払うことになる料金です。音楽やデザインの権利を所有する企業や個人は、利用者がいる限り継続的に収益が得られます。しかし、権利使用料については年月を重ねる度に利用者が減っていく傾向があるため、常に新しい音楽やデザインを作り続けなければ、安定した収益をあげることは難しいです。
また、価値のある権利使用料をまとまった金額で購入し、安定した収益をあげるビジネスモデルもあります。
インフラ
インフラは水道・電気・ガスといった人の生活基盤となるサービスです。インフラは基本的なサービスを構築できれば、利用料として継続的に収入を確保できます。また、インフラに似ているサービスとしてスマホアプリがあります。
スマホアプリでは、定額の利用料とは別に追加サービスに課金ができるため、追加収入として大きな売り上げも期待できます。しかし、インフラやアプリはサービスの構築や開発に膨大な費用と時間がかかるため、大きな予算や入念な事業計画が必要不可欠です。
コミュニティ
コミュニティは特定の人しか知ることのできない情報を得られるサービスです。具体的な事例を見ると、芸能人やスポーツ選手のファンクラブや特定の会員しか利用できない有料SNSがあげられます。
契約した会員から月会費・年会費として安定した収入を得られることはもちろん、限定的な情報や特典が提供することから、同業他社に顧客が流れるリスクも少ないです。
ストックビジネスの業種の例は?
ストックビジネスの代表的な業種として知られているのが不動産業です。不動産業の中には新築分譲住宅をその場限りの売り切りで売却するフロービジネスのビジネスモデルもありますが、景気が不安定になっている近年は数が少なくなっています。
代わりに業績を伸ばしているのがビル・マンション・アパートの賃貸契約で住宅はもちろん、小売店の店舗などの多くがこれに該当します。不動産の賃貸契約は契約した期間の間だけ毎月家賃として一定の金額を支払い続けるため、ストックビジネスに該当する代表的なビジネスモデルといえます。
まとめ
ストックビジネスは商品やサービスを提供する企業はもちろん、利用する顧客から見ても様々なメリットが期待できることから大きく注目を集めているビジネスです。ストックビジネスに該当する業種は、IT技術の発達やサブスクリプションの普及によって増加傾向で、利用する顧客も年々増えていると言われています。
企業として新たな事業を展開したいと考えている方は、ストックビジネスのメリットとデメリットを明確に理解した上で、安定かつ継続的に売り上げを確保する方法として検討してみてはいかがでしょうか。検討する際は顧客に継続して契約を続けてもらうためのサービスや商品を同時に考えてみましょう。
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