こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
企業は先々の売上やコストを予測して損益の見通しを立てつつ、事業展開や業務改善などの経営的な判断を進めていきます。経理担当者にとって、売上予測に通じる売上管理や前受金の管理は重要な業務です。
今回インタビューをしたのはECサイト構築や運用保守サービスを展開する企業です。ECサイトの事業はさまざまな企業の売上や事業拡大には欠かせない存在で年々増加傾向にあります。しかし、一方で経理上の課題があるようです。この記事ではインタビューをもとに主に売上管理と前受金についての課題に着目して改善策を検討します。
目次
売上管理、売上予測と前受金管理が課題
今回お話をうかがった企業では、ECサイト構築や運用保守サービスを提供し、継続課金方式でのプランを軸に事業を展開しています。継続課金とはサービスの利用者に対して月ごとなど定期的に請求を行う課金方式です。とくに、ECサイト構築や運用保守サービスのような長期的な利用が前提となるサービスにとって適した決済方法といえます。それでもインタビューのなかで経理担当者が以下の2点の課題があると話されました。
- 売上予測ができるような売上管理ができていない
- 前受金の管理が煩雑で大変
売上を把握することは経営的には重要なポイントですが、それがうまくいかない状況のようでした。売上の予測には契約情報(プラン種別や契約期間など)から入金されたキャッシュについて会計上の売上として計上するタイミングを判定します。
場合によっては入金された金額を期間按分して先の売上分は前受金として処理し、サービス提供の完了が到来した時点で売り上げに計上するなどの作業が必要です。これはサービスの提供期間の完了前に受け取った場合の前受金の管理とも関連しています。
売上管理とそこからの予測、前受金の管理が現状の課題だということでした。
現在の業務を整理してわかること
ここで、現在の業務を整理してみましょう。契約プランや業務の実情から、以下のようなことが見えてきました。
(1)プランのパターンの違いで売上管理が複雑化
継続課金方式ですが月額料金は2パターンの決め方があります。
パターン1:固定の利用料だが顧客によりその金額設定が異なるプラン
パターン2:ECサイト内での売上金額により毎月料金が変わるプラン
パターン1では、固定の利用料ではあるものの顧客ごとに契約金額や期間が異なるため、それらの情報を確実に反映したうえで請求処理や売上計上をしなければなりません。そして入金の予定や売上計上の予定としてどの期間までいくらの売上が見込めるかの整理をする必要があります。
また、パターン2では請求額が変動してしまう契約体系のため、継続課金とはいえ同じ金額での請求を繰り返すという訳ではありません。変動する請求額の算出や、請求書発行時の数値の確定や反映に時間が取られてしまいます。
さらに、パターンに関わらず初期費用が一律の金額で発生します。この初期費用分の売上計上月の基準が定まっておらず、初回の納品日が売上計上のタイミングとしています。初期費用の入金のタイミングも読めないため、入金時の前受金か否かの判断がしにくいようでした。
(2)複数のシステムを利用していて情報が統合しにくい
現在使用しているシステムに着目すると、以下のようなことに問題があるようです。
- 請求書発行と入金管理を同じ販売管理ソフトで行い、契約管理は別の販売管理のシステムで管理
- 部門ごとに利用しているシステム・ソフトが異なる
入金管理と契約管理とで別のシステムを利用しているため、入金されたときに契約プランや請求対象期間などの詳細を確認するのに手間がかかります。
また、部門ごとに異なるシステムを利用しているために、請求や入金、契約情報のデータがまとまった場所に格納されていませんし、データ形式も異なるのです。これにより経理担当者が確認を行う情報元が複数存在し、転記を行うといった手作業が発生します。
これではミスの可能性や作業負荷が高くなってしまいます。現在の業務のボリュームで問題なく処理されているかもしれません。
ただし、将来的な顧客数の増加や、新たなプランなど事業拡大の可能性を視野に入れたとき、現在のような効率の悪い体制は懸念事項となるでしょう。
売上予測に関する考え方
昨今、サブスクリプション型に代表される計収益の考え方のひとつに、MRRというものがあります。MRRとは、「月次経常収益」(Monthly Recurring Revenue)を略した名称です。月次経常収益とは、ある月における収益のことを指し、毎月決まって発生する売上のみを計算の対象にして初期費用や追加料金などの1回のみの発生や都度発生するような売上は除かれて計算されます。
前の月との比較や、新規契約数・解約数がどのように収益に影響しているのかを分析する際に用いられるものです。そのため固定の金額で料金を継続的に請求する契約内容であればそれらを集計して予測を立てます。
MRRは新規契約数の増加やより料金の高いプランへの切り替え、既存の契約に追加して契約される(追加購入)ことで増加します。逆に、解約や退会、料金の低いプランへの切り替えをされてしまうことでMRRは減少します。
企業は、MRRの数値や契約案件数やプランの種別、新規案件の獲得数の予測や案件の継続率、解約率などをもとに分析し、営業活動などに反映します。MRRは今回のケースでも役立つ考え方です。
MRRを意識することで、少なくとも固定の料金で契約されるプランの売上予測は可能になります。
売上予測ができないという課題があるのであれば、まずはその算出や分析に必要な数値をそろえるということが重要です。そして、そのような情報をそろえるためにも、契約情報や売上に関する情報を管理しやすいシステムを活用することがポイントになります。
売上管理、売上予測や前受金管理を改善するには
現状の業務の詳細から売上や前受金の管理がしにくい要因が見えてきました。これらを踏まえ、どのような解決法があるのか、検討してみましょう。
まずはシステムの統合を行う
お金にまつわる情報のデータをなるべくひとつにまとめられるよう、システム導入を検討することが望ましいです。今回はシステムが統合されていないことは効率の悪さの要因の一つになるためです。
システム導入にかかる初期費用やランニングコストなども調査したうえで検討を進めると良いでしょう。とくにクラウド上で提供される販売管理や請求書発行システムであれば複数の担当者からアクセスが可能になり、各部門への作業分担は残しつつ経理担当者としては全体の情報を閲覧できるというメリットがあります。
システム選定時は売上管理に関する機能に注目する
今回の場合、売上管理の悩みを解消するような機能を持つツールを選定することがポイントになります。たとえば、案件ごとの請求額や入金状況の反映が可能で、売上計上額や売上予測まで集計できるなど、一括して管理できるシステムが有効です。
さらに、売上計上月の定まっていない請求を前受金として管理できる、MRRをリアルタイムで算出し可視化できる、といった機能があれば、より売上や前受金の管理がスムーズに行われ、業務処理のスピードアップも図れます。
このようにシステムを活用することで経理業務の負荷が低減されるだけでなく、売上予測といった経営面でも有効な手立てとなり得ます。
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