こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
売掛金と前受金などの資産・負債は収益計上する期間が既に到来しているが入金されていないもの、未到来のものが計上されており、入金ベースではなく正しい収益認識を行うために計上されています。
「収益認識に関する会計基準」により、顧客に支配が移転された時点で売上を計上する必要があります。サブスクリプションビジネスやSaaSでは、一年分の報酬を先に前受金として受け取りそのサービスが顧客に移転されたタイミングで売上に振り替える、または報酬後払いの場合にはサービスが顧客に移転された時点で売上と売掛金を計上し入金のタイミングで売掛金を消し込むなどの処理が必要になります。
これらは正しい期間損益計算を行うために必要な処理ですが、これらが行われない場合にはどういった問題が起きるのか例を挙げながら今回は説明していきます。
前受金の仕訳例
A社はコンサルティング会社で経営アドバイスを月10万円で提供するサブスクリプションサービスを提供しています。その年12月末に翌年12ヶ月分の報酬120万円を前払いされることになっています。
この事業をA社はX2年1月からスタートし、X3年12月まで継続していました。会計期間は1月から12月までです。一切決算仕訳はしません。
正しい会計処理
X1年12月末120万円入金
現金/前受金 | 120万円 |
決算 X1年
売上 | 前受金 |
0 | 120万円 |
X2年目1月末から毎月月末
前受金/売上 | 10万円 |
X2年12月末120万円入金
現金/前受金 | 120万円 |
決算X2年
売上 | 前受金 |
120万円 | 120万円 |
X3年目1月末〜毎月月末
前受金/売上 | 10万円 |
X3年12月末契約終了のため仕訳なし
決算X3年
売上 | 前受金 |
120万円 | 0円 |
誤った会計処理(財貨を受け取った時点で仕訳)
X1年12月末120万円入金
現金/売上 | 120万円 |
決算X1年
売上 | 前受金 |
120万円 | 0 |
X2年1月末から毎月月末仕訳なし
X2年12月末120万円入金
現金/売上 | 120万円 |
決算X2年
売上 | 前受金 |
120万円 | 0 |
X3年1月末から毎月月末仕訳なし
X3年12月末契約終了のため入金なし
決算X3年
売上 | 前受金 |
0 | 0円 |
それぞれの期間の収益
正しい会計処理の場合
X1年 | 10万円×0回= | 0万円 |
X2年 | 10万円×12回= | 120万円 |
X3年 | 10万円×12回= | 120万円 |
誤った会計処理の場合
X1年 | 120万円×1回= | 120万円 |
X2年 | 120万円×1回= | 120万円 |
X3年 | 120万円×0回= | 0万円 |
つまり毎年同じ金額を入金されていたためX2年は結果的には同じですが、事業開始年のX1年と終了年X3年では売上が大きく異なります。売上が120万円異なるということは利益が120万円異なります。
売掛金と前受金を計上しないとどうなる?
SaaSサービスでは毎月同じ金額を売上として計上するため毎期同じ金額同じ月で入金ベースで売上が必ず立つのであれば損益計算書の見た目は変わりませんが、以下のような問題が起こります。
- 契約年度と契約最終年度の売上額が正しく認識されません。消費税率の変更時期、契約金額変更期での売上計上額が異なるため、正しい期間損益が計算出来ません。税率変更などにより税金計算が異なると、税務調査で否認され加算税を取られる可能性があります。
- 月次年間損益が正しく出せないので、長期短期関わらず正しい原価計算できないため正確な事業計画を立てることができません。
- 入金ベースで処理をしているため、会計情報から未入金などの経理とのダブルチェックができません。
- 外部に向けて信頼できる会計情報を提供できません。
まとめ
売掛金や前受金の計上は、企業内部では正しい収益によって税金計算・事業計画・経理情報とのチェック、また外部に向けても信頼できる資料が提供できないなどの問題が発生するため、特に毎月売上が立つSaaS事業者様では必ず確認が必要です。
また不安があれば担当税理士などに確認しましょう。
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