こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
DXの推進に伴い、請求書に限らず取引の書類をペーパーレス化する動きが進んでいます。
しかし、請求書のペーパーレス化が必要か悩むこともあるでしょう。もし、請求書のペーパーレス化を進めるには、どのような法律の規制があるか確認する必要があります。
また、請求書をペーパーレス化するメリットや注意点の確認もしておきましょう。本記事では、請求書をペーパーレス化する手順などについても、わかりやすく解説します。
目次
請求書のペーパーレス化について
会社のさまざまな業務で使用する紙の量を減らし、コスト削減を図る必要性は以前から説かれていました。最近では、感染症の拡大の対策もあり、社会的にペーパーレス化に取り組む場面が増えています。
ここでは、そもそもペーパーレス化とは何か、政府のペーパーレス化を推進、そして、ペーパーレス化と法律の関係について、わかりやすく解説します。
そもそもペーパーレス化とは
ビジネスにおいてペーパーレス化とは、仕事で使う紙などの書類を電子化して活用することによって、コスト削減や業務効率化を行うことをいいます。
経理業務では、かつてはパソコンやサーバーの普及にともない、紙の利用を減らすことでコスト削減のみを図るケースがほとんどでした。現在では、テレワークの拡大にともない、コスト削減に加え、業務効率を高めるためにペーパーレス化を取り入れる企業が増えています。
経理の書類において、特に請求書は売上を確定し、取引先に債権である売掛金を期日内に入金してもらう重要な書類です。請求書は定期的に発行するため、取引先の増加や取引期間の長期化により紙でやりとりをすると膨大な量となります。その大量の書類の扱いの手間をなるべく減らすことに、ペーパーレス化は大きな役割を果たしています。
政府がペーパーレス化を推進
我が国でペーパーレス化を推進し電子保存化する法律として、e-文書法があります。なお、e-文書法は相称で、民間の電子データ保存に関する2つの法律をまとめてe-文書法とよんでいます。この法律は、会社法や証券取引法、法人税法などで保存の義務付けがある書類を、電子データで保存することを認めており、2005年4月に施行されました。
電子データとして保存するには、経済産業省の定める、「見読性」「完全性」「気密性」「検索性」などを、対象になる書類によって留意する必要があります。このように、ペーパーレス化は政府による推進もあり、広がりを見せているのが特徴です。
ペーパーレス化には国税庁の規制がある
ペーパーレス化を進めるには、闇雲に紙の使用量を減らすのではなく、法律の規定に準じているか確認が必要です。
経理業務には、さまざまな法律が関係しているため、正しい対処方法が求められます。企業会計のルールにもとづく日常業務はもとより、税金に関するペーパーレス化の規制には注意が必要です。特に、電子帳簿保存法はペーパーレス化に関する規定として、経理業務担当者に必須の知識であり、遵守しなければなりません。
電子帳簿保存法におけるペーパーレス化について
請求書を電子データ保存し、ペーパーレス化するには、電子帳簿保存法に従って保存しなければなりません。この法律は国税に関して規定しており、2024年1月1日より、電子取引のデータは電子データで保存し、全ての事業者を対象にしています。
なお、法律に関しては専門的な知識が必要で、税金にも影響を与えるため、もし不明な点があれば、専門家に相談することをおすすめします。
電子帳簿保存法の3つの考え方
まず、電子帳簿保存法には大きく3つの保存区分があります。この3つの区分についてポイントを押さえておくと理解が深まりますので、ここでは概要を解説します。
電子帳簿などの保存
電子帳簿などの保存とは、自社で作成した会計データなど帳簿関係のすべてのデータ保存を意味し、総勘定元帳や補助元帳、財務諸表などの電子データを電子データのまま保存することをいいます。
ただし、電子帳簿などの保存は義務でなく希望者のみの任意規定となっています。もし、すべての電子帳簿を電子データとして保存する場合、保存に必要なツールの導入が必要になり、その費用対効果が予算と見合わないこともありうるでしょう。そのため、すべての電子帳簿を電子データで保存しない会社もあります。
参考:はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)|国税庁
紙の請求書のスキャナ保存
スキャナ保存には法律の規定があり、その基準を満たしたソフトを利用し電子データとして保存します。
そもそも、スキャナ保存の対象になるのは、紙で受け取った契約書や請求書、領収書など、取引を証明する証憑類です。紙で受け取った証憑は、スキャナ保存することで電子データとして保存できますが、紙のままで保存しておくことも可能です。
電子取引のデータ保存
電子帳簿などの保存や紙の請求書のスキャナ保存は任意でしたが、電子取引のデータ保存は、すべての事業者に対し2024年1月1日からの取引で義務化されます。
なお、電子取引とは請求書だけでなく、領収書や見積書などのほか、契約書、インターネットバンキング明細、クレジットカード明細そして取引内容のわかるメールも対象となるので注意が必要です。
電子データの保存で留意するべきこと
電子データの保存方法で留意するべきことについて、順に解説します。
1.改ざん防止のための措置をとっているか
電子データは改ざんできる可能性があるため、改ざんできない運用体制や仕組み化が必要です。その方法の1つとして、電子取引データの事務処理のルールを作成し社内で共有することをおすすめします。
2.デイスプレイやプリンター等を備え付け、税務職員に指定されたデータを速やかに提出できるか
請求書担当のパソコンやプリンターは、常時使える状態に設定しておきましょう。
3.取引等の「日付・金額・取引先」で検索できるか
電子データの検索時間が短くてすむように、表計算ソフトで一覧表を作成する、もしくはファイルがきちんと整理整頓してあることが大切です。
なお、この条件を満たせない場合、売上5,000万円以下の事業規模であれば税務調査の際、電子取引データをダウンロードし印刷できれば、ルールどおり保存できています。また、電子データが整理された状態で印刷してあれば、この場合もルールどおり保存できています。
4.電子データ名に日付、金額、取引先が記載されているか
電子データ名には規則性を持たせ、検索に対応した名前で保存しなければなりません。もし、何かの調査で電子データの提出を求められた場合、検索しやすさを考慮することが大切です。
電子帳簿保存法の猶予措置
電子データの保存ができない相当の理由がある場合、この法律の猶予措置が適用されます。相当な理由とは、システムなどの整備が間に合わない、資金繰りにより対応できない、人手が不足しているなどのことです。
相当な理由がなく電子取引データを規定どおりに保存していない場合、猶予措置は適用されないので注意が必要です。
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請求書のペーパーレス化のメリット
紙ベースの請求書をペーパーレス化すると、経理業務にさまざまなメリットがあります。
そもそも、経費削減からスタートしたペーパーレス化は、請求業務の効率化やリモートワークの推進にも役立っています。
物理的な保管場所が不要
紙ベースの請求書は、物理的な保管場所を必要とします。オフィス内に請求書を保管するキャビネットを設置するスペースを確保しておいても、請求書の量が多くなってくると、オフィスと別に書庫を設置する必要が出てくるケースもあります。
しかし、請求書をペーパーレス化すると、物理的な保管場所が不要となり空きスペースができるため、オフィス空間を有効に活用できるようになります。
オフィスの空きスペースを休憩やコミュニケーション場所として有効活用している事例もあります。最近ではフリーアドレスを導入する企業も増えており、オフィス内の空間利用は変化にも対応することができるようになります。
コスト削減が見込める
会社のオフィスでは、紙の請求書を保管する場所を確保しなければならず、賃貸オフィスの場合、保管スペースの賃料も払い続けます。自社ビルにおいても、保管スペースの維持費や固定資産税の支払いも必要です。このように、長期にわたり紙の請求書を保管し続けるには、ランニングコストがかかるため、会社に大きな負担となります。
請求書をペーパーレス化すると、紙代はもとより、保管にかかるコストの大幅な削減が見込めます。また、電子データの保管は、クラウドサービスなどを利用すると、少ないコストで保管できるメリットがあります。
クラウドサービスは、利用量やサービス内容により、いろいろな種類があるため、会社にあったサービスを比較検討するのもよいでしょう。
請求業務の効率化
請求業務は属人性が高く、請求データを担当者以外が検索や参照する際、容易には閲覧できないことも多分にあると思います。
しかし、請求書をペーパーレス化し電子データで保存すると、請求書担当者以外でも容易にデータ検索できるようになるとおいうメリットがあります。
請求書のペーパーレス化により保存したデータは社内で共有されるため、請求書を作成する際のダブルチェックや決済時間の短縮化にもつながります。さらに、請求書の改ざんを未然に防ぐことも期待でき、社内のコーポレートガバナンスにも役立てることができるようになります。
リモートワークの推進
感染症が拡大し、会社に出社が難しい状況になったときも、経理担当は紙の請求書の処理のため出社しなければならないケースが発生していました。
請求書を発行する業務は、短期間で多くの取引先に送付しなければなりませんが、紙の請求書での送付は、印刷や押印、封入など煩雑な作業が多くあります。
電子データで請求書を発行できれば、そのような煩雑な作業をする必要がなくなるため、経理担当者は出社する必要がなくなり、リモートワークの推進に寄与します。
参考:テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン|総務省
請求書のペーパーレス化の注意点
請求書のペーパーレス化は、メリットばかりでなく、注意すべき点も存在します。
ここでは2つの注意点を、それぞれ解説していきます。
取引先がペーパーレス化していないことがある
商取引は、「相手がいる」取引です。自社で請求書をペーパーレス化しても、取引先がペーパーレス化に対応していないこともあるでしょう。その場合、取引先には紙の請求書を送付しなければならず、封入や郵送などの手間が生じます。
取引先数が多くなると、請求書を紙、もしくは電子データ、紙と電子データなど、さまざまな送付条件が混在することが起こりえます。もし、取引先の事情を考えず、自社の都合で一方的な要望を伝えると、取引自体がなくなるかもしれません。
このように、取引先がペーパーレス化に対応していない場合は、社内でペーパーレス化を進めても、紙の請求書業務が残ってしまいます。
システムに費用がかかる
請求書を電子データ化するには、システムを利用することが一般的です。
自社開発のシステムや、請求管理システムを導入する際、どうしても費用がかかってしまいます。
もし、費用が高額になり一定の条件をみたせば、無形固定資産として会計処理をしなければなりません。そのため、会計処理に煩雑な処理を伴い、計上には専門的な知識が求められます。
特に、起業して間もない会社や少人数の会社では、それらの会計処理に労力やお金を費やす余裕がないこともあるでしょう。
なお、請求書のペーパーレス化や送付などに対応したクラウドサービスが広がりを見せつつあり、運用費用も自社開発システムより少なくできる可能性があります。
ペーパーレス化に対応したクラウドサービスを一度検討してみてはいかがでしょうか。
請求書をペーパーレス化する流れ
請求書を電子データ化しペーパーレス化を進めるには、計画的に要領よくが必要です。会社の目的により、どの段階まで電子データ化するかを確認したうえで、効率よくペーパーレス化を進めましょう。
運用方法と体制を整える
まず、電子データ化の運用方法を確認します。請求書業務を一部外部でおこなうのか、自社で完結するのかを決めておき、それに対応する請求書のシステムやクラウドサービスを選定します。
会社の予算もあるため相見積を取得し、費用対効果に見合ったツールを導入して請求業務を運用しましょう。
そして、特定の人に負荷がかからず、ガバナンスも機能する体制を整えることが大切です。実際にペーパーレス化を開始し、問題が発生すれば、その都度、運用方法と体制を見直し、適切に運用できるようにしましょう。
取引先にペーパーレス化を周知する
ペーパーレス化した請求書は、いきなり取引先に送付するのではなく、取引先が納得し承知してもらえるかを、あらかじめ周知し確認します。取引先によっては、ペーパーレス化に対応できない、紙と電子データの両方が必要、ペーパーレス化に対応できるなど、さまざまな場面が想定されます。
商取引は、相手があって成り立つため、取引先の条件などを十分に加味することが大切です。取引先によっては、時間をかけてペーパーレス化を進めることも考えられるため、余裕を持って柔軟な対応をすると、取引先への負担が少なくてすみます。
まとめ
ここでは、請求書のペーパーレス化を進めるにあたり、ペーパーレス化の背景や電子帳簿保存法の規定、そして、電子データ化によるペーパーレス化のメリットと注意点、さらに請求書をペーパーレス化する流れなどについて解説しました。
2024年1月1日から改正電子帳簿保存法が施行され、電子データ化はこれからも進んでいくと予想されます。
法律に即し、自社に合った方法で請求書のペーパーレス化を進めていきましょう。
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