こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
クラウドサービスによる会計処理は、自社内にシステムを置くオンプレミス型の会計処理とは大きく異なります。また、会計処理に利用するクラウドサービスには、IaaS・PaaS・SaaSといった3種類があり、それぞれに特徴があります。
本記事では、クラウドサービスの種類毎にどのように異なるのか、利用者側と提供者側の双方のケースについて解説していきますので、自社に該当する会計処理システムを確認してみましょう。
目次
SaaSとは
SaaSは「Software as a Service」の略で、インターネットによりソフトウェアが提供されるサービスであり、提供されたアプリケーションをすぐに利用することができるので、改めて自社内でシステムを構築する必要はありません。
SaaSを利用した場合の会計処理方法
自社内にハードウェアやOSなどのシステムを構築するオンプレミスのシステムの場合は、設備部分を自社の資産として計上しなければなりません。一方、SaaSの利用にかかる経費は基本的に全て費用計上することができます。
通常、自社で所有するシステムなどは資産、ベンダーから提供されるソフトウェアなどは費用となりますが、SaaSはソフトウェアも含め全てベンダーからの提供ですから、初期導入に要する経費やカスタマイズにかかる経費も全て費用計上することとなります。
PaaSとIaaSとの違い
PaaSとIaaSとは?
PaaSとIaaSについて、その違いを説明します。
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略で、SaaSと異なりソフトウェアそのものは提供されませんが、その開発環境であるプラットフォームが提供され、ユーザーによってソフトウェアが開発されることとなります。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、OSやサーバといったインフラが提供されますので、PaaSのようにはじめからソフトウェア開発のためのプラットフォームが整ってはいませんが、その分ユーザーによるソフトウェア開発の自由度が高いのが特徴です。
IaaS会計処理方法
IaaSの場合、利用者はクラウドサービスの提供者から提供されるサーバやOSといったインフラを利用しているだけですから、そのインフラにかかる利用料金などの経費を費用計上することになります。IaaS導入に際して必要となるカスタマイズ経費も取得価格に含めることができ、費用として計上します。
一方、利用者が開発したソフトウェアや開発のための環境などは、無形固定資産として資産計上することになります。
PaaS会計処理方法
PaaSを利用した場合も基本的な考え方はIaaSと変わりません。ただし、PaaSの場合、クラウドサービス提供者が、ソフトウェアの開発環境であるプラットフォームも提供しますので、プラットフォームの提供を受けるまでに要した経費を費用計上します。
なお、利用者が開発したソフトウェアについては資産として計上することになります。ちなみに、これらのクラウドサービスの導入にかかった費用が特に高額である場合は、税務上、繰延資産として扱われ、これに要した経費を複数年にわたって損金計上することができます。
クラウドサービス会計処理方法
少し細かな話になりますが、クラウドによる会計処理サービスを提供するベンダー自身の会計処理は、どのような考え方になっているのか、見ていきたいと思います。
結論から言えば、提供するサービスがSaaS、IaaS、PaaSのいずれであるにかかわらず、基本的な考え方は同じと言ってよいでしょう。
サーバーなどの関連施設を調達したり、システムを開発することでクラウドサービスの環境を整備し、クラウドサービスを提供した場合は、その調達した施設や開発したシステムを、自分の保有する資産として計上することになります。
また、クラウドサービスの対価としてユーザーから使用料金を受け取った場合は、収益として計上することになります。
簡単にいえば、この2点だけなのです。
クラウドサービスを提供するために整備した環境については、それができあがった時点で「有形固定資産」として計上し、その金額は取得原価や再評価額とします。これらのクラウドサービス用の環境は、有形固定資産ですので、当然に減価償却ができることとなります。
また、クラウドサービス提供のためのサーバーなどの設備をリースする場合も多いと思いますが、その場合は設備の取得価格等は資産として計上し、設備の減価償却費と支払利息については費用として計上することになります。
ただし、経営上のリスクを低減する目的で少額の調達などをバランスシートから除外する「オフバランス処理」として、5,000米ドル以下の少額リースやリース期間が12ヶ月以内の短期リースにかかる価額を資産として計上しないことが認められています。
SaaSによるクラウドサービス提供については、少し注意が必要です。
SaaSでは、サービス提供側でソフトウェアまで開発して提供しますので、開発したソフトウェアについて「無形固定資産」として計上する必要があるのです。そして、そのソフトウェアの開発を「研究開発」と捉え、これが終了するまでにかかった費用は「研究開発費」として計上することが認められています。
サービス提供側がユーザーから受け取る使用料金は収益として計上するのですが、そのタイミングは、例えばユーザーが会員登録をするなど、クラウドサービスが使える状態となった時ということになります。
オンプレミス会計処理
本章では、オンプレミス型のシステムを使用している企業の場合、会計処理がどのようになるのか、見ていきましょう。
オンプレミス利用した企業の会計処理方法
オンプレミスのシステムを導入する場合は、システムだけ用意すればいいというものではなく、サーバーやネットワーク・データベースといったインフラの他、これらハードウェアを置くための建物やスペースを確保しなければなりません。
こうしたシステムのためのハードウェアや建物といったインフラは、自社の設備ですので、資産として計上することになります。
少し細かい話になりますが、例えば価格が10万円以上で、かつ1年以上の使用可能であるサーバーを購入した場合、償却資産として扱われ固定資産税の課税対象に含まれることになります。仮に価格が200万円で使用期間が5年であれば、毎年40万円を減価償却費として費用計上することになります。
一方、同じサーバーでも価格が10万円未満か使用可能期間が1年未満であれば、消耗品として費用に計上することになります。
オンプレミスを提供した企業の会計処理方法
オンプレミスのシステムを販売するベンダー側の会計処理については、システムを販売した時点でその利益を収益計上することになります。サーバーなどの設備はシステムのユーザーが購入しますので、ベンダー側には関係がありません。
システム開発に要する経費は、SaaSの場合と同様に「研究開発費」として計上することになりますし、開発したシステムは無形固定資産として計上することになります。
IaaSクラウドサービスのメリットと会計処理の注意点
クラウドサービスの中でも、IaaSはOSやサーバーが提供されるのみで、インフラ環境が整っているわけではありませんが、ソフトウェアを自由にカスタマイズできるのがメリットといえます。
ただし、IaaSなどのクラウドサービスは、オンプレミスのサービスとは費用、資産として計上する範囲がそれぞれ異なりますので、会計処理には注意が必要です。
クラウド会計処理の導入で働き方改革や業務効率化を
クラウドサービスによる会計処理には、様々なメリットがあります。どこにいてもインターネット環境さえあれば、作業をすることができますので、リモートワークが可能ですので、働き方改革が大きく進むことになります。
これにより通勤にかかる時間や経費も大きく削減できますし、経理担当者の人件費や業務負担を削減することにもつながります。クラウドを通じて、最新データを入手することも可能ですから、事業計画の作成にも役立ちます。
クラウド会計処理システムを試用できるサービスもありますし、低額料金プランも用意されていますので、自社にとってメリットのあるサービスを検討してみてください。
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