製造業の保守契約における電子帳簿保存法の要件と概要を解説!エクセルでの請求書発行はどうする?

こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。

ビジネスにおいて日々さまざまな業務を行う中で、重要な契約書類の作成や請求書の発行は欠かせない業務です。

しかし、これらの事務作業に時間を費やしすぎて、本来行うべき企業の成長につながる業務が滞ってしまうことがあるかもしれません。

本記事では製造業の保守契約に着目し、契約書の管理方法やエクセルによる請求書発行のメリットとデメリットを解説します。

さらに、効率的な請求業務を行うための一案として、電子帳簿保存法改正に伴い契約書類を電子化する方法や、請求管理システムの導入方法についても紹介します。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、仕訳帳などの国税関係帳簿や国税関係書類について、紙ではなく電子データでの保存を認める法律で、1998年に制定されています。今回は「製造業」の保守契約に着目し、電子化するための要件について解説します。

電子帳簿保存法の目的

電子帳簿保存法は、国税に関する帳簿書類の保存負担を軽減することを目的に、会計データや関連書類を電子データで保存することを容認するものです。従来は、帳簿書類や領収書等は「紙」保存が原則でしたが、この法律により、一定の要件を満たせば、電子データによる保存が可能になりました。

また、契約書類も電子化が容認されたことにより、クラウドサーバー等を用いたオンライン上で、契約書類の作成や送付、受領が可能です。これにより、紙の保存や送付にかかる手間や書類保管のためのスペースを大幅に軽減することができます。経理担当者はこの法律を理解し遵守することで、企業の業務効率化やコスト削減に貢献できます。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、法令上「国税に関係する帳簿書類や領収書等」を対象としています。この対象は、大きく「帳簿書類」、「決算書類」、「取引書類」に区分されます。

①帳簿書類

帳簿書類は主に会計データに関する情報で、総勘定元帳、仕訳帳、売上帳、売掛金元帳などが該当します。これらは、日々の取引に関する会計処理の履歴を残す重要な帳票書類であり、企業の経理業務に欠かせないものです。

②決算書類

決算書類は企業の決算に関わる文書で、決算書や棚卸表などが該当します。これらの書類には、企業の財務状況や業績が反映されていることより、企業の信頼性や透明性確保のためにも、正確かつ適切な保存が必要です。

③取引書類

取引書類は契約書、領収書、見積書、請求書などの文書で、企業の「帳簿書類」のエビデンスとして取引の実態を証明する重要な役割を担っています。

これらの書類は、電子帳簿保存法によって電子データで保存することが可能となりました。この変更により、従来の紙保存から電子データでの保存が促進され、企業の業務効率化やコスト削減につながります。ただし、保存する要件が定められているため、適切な対応が必要です。

電子帳簿保存法の要件と税制改正のポイント

次は、電子帳簿保存法における要件と税制改正のポイントについて解説します。

①税務署による事前承認を廃止

これまで国税関係書類となる紙の契約書を電子データとして保存する場合、3ヶ月前までに税務署長の承認を得る必要がありましたが、令和4年1月1日以降に行う場合はこの事前承認が廃止されました。

②スキャナ保存要件の緩和

スキャナで読み取る契約書類については、タイムスタンプの付与が必要です。これまでは、タイムスタンプの付与は3日以内、受領者がスキャナで読み取る場合は書類への自署が必要とされていました。

現在は、タイムスタンプの付与期間は最長約2ヶ月となり、書類への受領者の自署が廃止されています。また、クラウドサーバー等を利用し、登録日時の証明ができる、訂正削除の履歴が残るまたは訂正や削除ができないシステムを導入している場合には、タイムスタンプの付与は不要です。

③適正事務処理要件の廃止

スキャナで読み取る契約書類は、これまで書類の受領者が読み取った後、受領者以外の経理担当者および第三者が事務処理を行う相互けん制が必要でした。さらに、1年に1回以上の定期検査を行い、定期検査の終了までは原本の保管が必要です。また、この定期検査により不備が発覚した場合は、原因究明と再発防止策の実施が義務付けられています。

改正後の現在は、これらの相互けん制および定期検査の実施、再発防止策の社内規程整備等が廃止されています。

④電子取引における書面保存の廃止

電子データで受け取った書類について、従来は出力して紙で保存することが認められていましたが、現在は電子データによる保存が義務づけられています。ただし、23年12月31日までは、電子データを出力して紙で保管し、税務調査等があった場合に提示・提出できる場合は、出力して紙で保管することが可能です。

⑤不正対応の明確化

電子データの保存に関し要件が緩和される一方で、スキャナ保存された電磁的記録に関連した不正があった場合の重加算税の加重措置が整備されました。スキャナ保存した電子記録に関し仮装または隠蔽の事実があった場合、その事実に関連する申告漏れ等に対して課される重加算税が10%加重される措置が整備されました。

以上のとおり、税制改正により電子帳簿保存法の要件が大幅に緩和されました。次は、製造業の保守契約における請求書発行の方法について解説します。

製造業の保守契約における請求書発行

製造業の保守契約において、請求書発行は非常に重要な業務です。保守契約は一定の期間にわたり保守サービスを提供し対価を得るビジネスのため、定期的に請求書を発行しなければなりません。実際の業務では、請求書のフォーマットをエクセルで作成し、取引先に送付する企業も多いでしょう。ここからは、エクセルで請求書を発行する際のメリットとデメリットを解説します。

エクセルで請求書を発行するメリット

エクセルの請求書発行には、手軽さと柔軟性という2つのメリットがあります。

まずは手軽さについてです。エクセルは多くのビジネスマンが日々使用しているソフトであり、インターネットでも請求書の様式が無料で提供されていて、少し使い方を学べば誰でも簡単に請求書を作成することができます。

次に柔軟性についてです。エクセルはデザインやレイアウトを自由にカスタマイズできるため、企業の目的にあわせて請求書の様式を作成することができます。社内で変更の必要が生じた場合はもちろん、取引先から情報追加の要望があった場合でも即座に対応することができます。

さらに、エクセルでの請求書発行では、既存の請求書をコピーして新しい請求書を作成できるため、作業を効率化できます。また、請求書データの一元管理により履歴管理をすることで、必要に応じて過去の請求書の確認も可能です。さらに、エクセルで作成した請求書をPDF化することでメール送信が可能になるため、郵送や手渡しの手間を削減できます。

これらのメリットにより、多くの企業はエクセルを使用して請求書を発行しています。

エクセルで請求書を発行するデメリット

エクセルの請求書発行には、手軽さと柔軟性というメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在するため、以下で解説します。

1つ目は、計算式が複雑化すると一部のスタッフしか扱えなくなることです。

エクセルには、計算式を組み込んで自動で計算してくれる便利な機能があります。しかし、請求書のフォーマットに要求される機能が増えると、計算式が複雑化し専門的な知識が必要になります。これにより、ファイルの扱いに慣れた担当者または知識のある担当者しか作成・編集できないファイルになる可能性があります。

2つ目は、エクセルでは一つ一つの請求書を手動で作成する必要があることです。

請求書の件数が多くなると作成に多くの時間がかかり、他の業務を行う時間が圧迫され、業務効率が悪化する可能性があります。

3つ目は、手作業による人為的なミスが発生する可能性があることです。

例えば、商品やサービスの名前や金額、消費税の計算方法に誤りがあった場合、顧客には誤った金額を請求することになり、迷惑をかけるとともに企業の信頼を失うことにもつながります。

4つ目は、実際の請求内容と作成した請求書が一致していることの確認が必要となることです。特に保守契約の場合は、定期的に請求書を送付するため、事業が拡大すればするほどチェック量が増えることになります。さらに、人の目でチェックする都合上、どうしても二重請求や請求漏れのリスクが発生する可能性があります。

最後5つ目は、エクセルで作成した請求書は記録や保管が煩雑となり、時間や件数の増加により検索が困難になることです。決算処理や税務調査対応など、必要なときに必要な書類を準備することができない場合、業務に支障をきたす可能性があります。

上記のようなデメリットを解消するためにはどうすればいいのでしょうか。次は、手作業で入力する手間を省き、効率的な請求書発行を行うための施策を紹介します。

効率的な請求書発行を行うために

エクセルでの請求書発行は、手軽に利用でき、企業の目的に合わせて自由にカスタマイズすることができますが、デメリットや問題点もあることを解説しました。効率的な請求書発行業務のためには、売上計上から請求までを一元管理できる請求管理システムの導入がおすすめです。ここでは、請求管理システムを導入するメリットを3つ解説します。

1つ目は、エクセルでは個別に作成していた売上データをシステムで一元管理できることです。

売上データの一元化により、必要な情報を探す手間がかからず、より正確な請求書作成が可能になります。

2つ目は、請求管理システムの導入により、保守契約などの継続的な収益を自動で按分計上できることです。

さらに、売上データとの連携により請求書を作成し請求フラグを自動で割り振ることができるため、二重請求や請求も漏れを防止することができます。この効果は、手作業で行われていた請求書発行業務の時間削減だけでなく、請求誤りによる追加作業や企業の信用を失うリスクの解消など大きなメリットにつながります。

3つ目は、クラウド型の請求管理システムを導入することです。

クラウド型のシステムはインターネット経由でアクセスするため、時間や場所を選ばずに利用できます。複数の担当者による同時利用が可能となり、スタッフの負担軽減にもつながります。また、クラウド型システムはセキュリティ対策がしっかりとなされており、請求データの漏洩や改ざんを防止することにも効果的です。

請求管理システムで手作業によるミスを軽減し事務作業を効率化することで、経理担当者は業績改善に向けた生産性の高い業務に注力することができます。

電子帳簿保存法に対応するシステムを利用しよう

契約書類の電子化により、契約書の作成、相互確認、締結までをオンライン上で完結できるようになり、契約書をやりとりする時間の削減や書類の紛失防止が実現します。また担当者の引継ぎ時でも契約書を容易に検索できるため、業務効率が向上し、契約更新時期にはあらかじめ顧客に対し次の契約に向けて交渉する準備が容易になるというメリットもあります。

さらに、電子データを社内で共有化し関連部署へ顧客情報を連携することで、契約の背景や契約内容を一元管理できます。これにより、関連部署間での情報共有が促進され、顧客情報の不整合や重複が解消されるため、業務効率化にも効果的です。

一方、契約書類の電子化には電子帳簿保存法に則った運用が必要となります。そのため、専用のシステムを利用して電子帳簿保存法に対応し、安全かつ適切な形で契約書類を保管することが求められます。また、契約書の管理には、アクセス権の制限やデータのバックアップなどのセキュリティ対策も必須となり、適切な対策を講じることが重要です。

まとめ

保守契約などの請求管理業務は多くの事務処理を必要とするため、手間が多く人的ミスが生じることもあります。そこで、売上計上から請求書発行までを一元管理できる請求管理システムを導入することで、この問題を解決することができます。

請求管理システムでは、売上データを一元管理することにより請求書作成時に必要な情報が取得できるため、事務作業の改善につながります。また、保守契約など収益の按分計上の自動化が可能となり、売上データとの連携により請求書の作成まで行えるため、二重請求や請求もれを防止することもできます。クラウド型の請求管理システムの場合、複数の経理担当者が同時利用できるため、担当者の負担軽減が可能です。さらに、契約書類のスキャナ保存により、書類をやりとりする時間の削減や書類自体の紛失を防止することでさらに業務効率を高めることができます。

以上より、保守契約を含む請求管理業務においては、請求管理システムの導入と契約書類のスキャナ保存により、業務効率化と正確性の向上に加え、経理担当者の負担軽減を実現しましょう。

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