こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
SaaSをはじめとするサブスクリプションビジネスにおいて会計上の前受金は発生しやすいものです。前受金は会計上の負債科目で、サービスの提供前に入金されたものから期間按分をしてサービスの提供が完了した時点で売上計上をする、といった流れになります。経理担当者は按分計算などのために契約内容を確認し、受け取ったお金をどう処理するかを判定して管理します。売上にも直結する内容のため担当者としては要注意な処理のひとつです。
しかし前受金管理は煩雑になりやすく、現場では非効率さを感じている担当者も多くいるようです。今回の記事では、前受金の管理に課題を抱える採用管理システムSaaS企業へのインタビューから、前受金管理を円滑にする方法や業務効率化を検討します。
目次
前受金管理が多くなりがちな契約体系とは
今回インタビューをした企業では、採用管理システムや採用系のAIエンジンのサービスを提供しています。SaaS企業として基本は年間一括の契約のみで運用しているそうです。初期費用はなく、継続的な利用が前提で契約は自動更新のため、個別の顧客からの入金は年間に1回、一括で年額が入金されます。この年額で入金されたものを前受金として仮置きし、サービスの提供が完了した月ごとに売上計上していきます。
顧客数や契約の件数が少ない段階では前受金の管理はそこまで煩わしくありません。入金予定のものが入金されたかの確認や、按分計算も単純のように見えます。ただ、今回のケースでは年額で一括入金という契約体系が基本のため、事業が拡大すれば単純な作業でも管理は煩雑になります。
課題はエクセル管理の前受金処理
今回のインタビューでは、前受金の期間按分の計算や管理方法に関する悩みが話題になりました。契約内容は営業支援システムで管理しているのに、そのシステム内では売上の按分計算が正確にできないことが要因にあるようです。
そのため、営業支援システムからエクスポートしたデータ情報を改めて別管理のエクセルシートへ反映し、前受金に関する情報だけを集計作業を行い、期間按分の計算をしているということです。このエクセルシート内の加工や集計作業に時間を費やしている点が、大きな課題でありクリアしたいポイントとのことでした。
エクセルでの作業は慣れてしまえばある程度のスピードで処理できるかもしれません。ただし、その中にミスがないとは言い切れないことや、時間的にロスが全くないというものではありません。ただでさえ年額で一括入金される契約体系がほとんどのため、管理する件数が多くなりやすい業態です。処理件数が多い業務に非効率的な手法を用いている点に疑問を感じるのは当然でしょう。どのような業種・職種でも業務の効率や正確性は重要です。担当者が明確に課題感を抱いているということは、本当に見直しが必要な状況だと言えます。
現在の業務内容の詳細
実際の業務の流れを整理して、ほかに課題はないか、また、解決案に通じるポイントを確認します。
先述の通り、契約内容は営業支援システムで把握しますが、請求業務は専用の請求書発行システムを使用しています。基本は年額を一括払いすることから、請求書の発行は新規に年間契約を結んだものと契約更新(自動更新)で請求をするものになります。月ごとの請求書発行がないため、請求書の発行件数は月に数十件ほどです。逆に言えば、月数十件の処理のために、営業支援システムから請求書発行システムに情報を転記し、請求書を発行するという手間が発生しています。
次に、請求後は顧客からの入金があり、請求内容と入金内容の照合・消込の作業と、前受金の判定や情報確認の作業が発生します。
入金消込の作業は会計管理システムで行っているそうです。請求書発行システムとは別のシステムとなるため、会計管理システムへ顧客への請求額を別途インプットし、入金確認後に消込の情報をインプットします。その後、この会計管理システムで月に数百社分の売上計上を行いますが、会計管理システムのみでは完結しません。入金があったものに関しては前受金管理用のエクセルシートに情報を反映する必要があります。また、売上計上するにも、前受金管理用のエクセルで売上計上の金額を集計しているので、そちらの情報から売上計上を行う金額を確認する必要があるのです。
このように、前受金の管理でエクセルを利用していることから、業務の流れが分断的になっている印象です。前受金管理だけでなく、業務全体の中で利用しているシステムやツールが複数に分かれていることは、各ツールに情報のインプットを行う作業が発生し、さらに確認作業のためにシステム間の情報を比較しミスがないかのチェック作業が発生してしまいます。
現業務内容と使用しているツール
- 契約情報の詳細把握:ツールA
- 請求情報管理、請求書発行:ツールB
- 入金管理(入金消込作業):ツールC
- 前受金管理(期間按分、売上計上額集計)-エクセル管理
- 財務会計(売上計上など):ツールC
前受金管理を円滑にして業務効率化する方法
前受金管理を含む業務フローの一元管理がポイント
インタビューでお聞きした業務の流れの詳細から、システムやツールが複数あることで業務の流れが途切れがちだとわかりました。そしてそれにより手作業や確認作業が発生し、ミスの可能性が高く手間のかかる工程になっていたようです。
今回のケースでは、営業支援システム・請求書発行システム・会計管理システム・エクセルツールと複数のツールが利用されています。とくにエクセル管理している前受金の処理は、年額で一括入金が多い事業であることからその管理は重要な業務になります。この前受金管理の重要性を踏まえ、一連の業務のフローとして組み込むことが大切です。
改善策はシステム導入による円滑化
このような状況を打破するには、なるべく業務フローを円滑に進められるように一元管理ができる体制が理想的です。たとえば、できる限りシステム間の互換性が高いものを選定するなどの方法があります。ただ、今回の事例では、現状多くのシステムやツールを使用していることを考慮すると、同じシステム内でデータを管理し、一括で処理ができるようにするのが最も効果的でしょう。
現在、請求書発行から前受金管理・入金管理まで同じシステムで管理できるツールがあります。契約期間、契約金額・請求月・入金予定期日などの契約情報を入力すれば、その後の工程で必要な期間按分の計算や入金消込、前受金の管理を行う仕組みです。これまで別管理していたエクセルシートへのデータ転記などの必要がなく処理を進められます。システムによっては請求書の送付をボタン一つでできる機能や、銀行口座と連携して入金を自動消込できる機能、売上計上の期間按分の自動計算など、業務効率化に有効な機能を持つシステムがあるのです。
メリットは業務全般の効率化やミスの事前防止
このようなシステムには、その他の業務も効率化する機能が充実しているものがあります。システムによっては以下のような前受金管理以外の業務へのメリットが見込めます。
- 作業のログが残ることで確認作業の効率化、ミスの早期発見
- 入金状況の進捗を可視化し、月ズレの発見や督促業務をスピードアップ
- 売上計上額、毎月の前受金・売掛金の残高を自動的に集計して活用
- ARRを自動算出し、月の推移を可視化して経営面にも役立てる
前受金管理の業務を円滑にすることで、その他の業務フローまで円滑になり得るのです。ムダな作業が減りミスの低減が期待できます。システム導入による一元管理はとても有効でしょう。
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