
こんにちは。「クロジカ請求管理」コンサルティングチームの花田です。
サブスクリプションサービスを提供している企業において重要な勘定科目のひとつに前受金があります。
前受金の性質をしっかり理解した上で、より強い財務体質を目指しましょう。
前受金の性質
基本的にお客様への代金の請求は、商品の納品完了時若しくは後日締日をもって初めて行われます。但し、受注生産や納品までに時間を要する商品の場合は商慣習として一部もしくは全部を頭金として受領することがあります。
この事前に受領したお金は、経理上何かしらの方法で処理しなければなりません。
この売上に先行してお客様から代金を受領した際に使用する科目を「前受金」と呼びます。前受金は将来的に「売上」になるお金が入金された場合に使用できます(将来売上になるかどうか不明の場合は「仮受金」等に仕訳を行います)。
一方で見方を変えれば、前受金を受領した企業サイドとしては、お客様に対して商品若しくはサービスを提供する義務を負っています。当然のことながら、お客様に納品ができなくなった場合は返金する義務が生じます。企業内の基準で、「どの時点でお客様宛に納品が完了したこととして売上を計上できるのか」の基準をしっかり定めておくことが重要といえます。
以上の特徴を押さえることができれば、前受金は商品提供前に事前にお客様から代金を受領できるので、貸し倒れリスクが無く、資金繰り上大変有利に働きます。
サブスクリプション提供企業の売上計上タイミング
先ほども述べましたが、前受金の処理において一番重要なのは売上のタイミングです。売上の基準で一般的なものは検収基準です。お客様が納品した商品に対して確認を行い問題がないと判断された時点で売上に計上するものです。
サブスクリプション提供企業にとっては、一般的に月額払いや年払いを取り入れている企業が多いので、月末等の基準日をもって納品されたこととし、売上計上するのが一般的です。また、ダウンロード回数等で上限がある場合は、その回数に到達した時点でサービスの提供をすべて完了することになるので売上を計上することになります。

サブスクリプション提供企業決算時の前受金取り扱い例
サブスクリプション企業の決算時に注意すべき前受金としては、年払い等で決算時点において履行が完了していないサービスが残されている場合です。
仮に3月末決算の場合、5月更新で年払12,000円のサービスを利用しているお客様の場合、決算時点では前受金は3,000円計上しなければなりません。
代金受領時に誤って売上計上してしまった場合には、以下の修正仕訳が必要になります。
| 借方 | 貸方 |
| 売上3,000円 | 前受金3,000円 |
決算時に求められる添付資料
決算時には前受金の残高を確認できる資料を添付する必要があります。サブスクリプション企業では、必ずお客様の契約日と契約方式(月払、年払、半年払)等を管理する社内資料があるはずですので、その資料にて決算時点で未履行のお客様分の金額を算出し、添付しておく必要があります。
また、前受金が長期に及ぶ場合等は、税理士からお客様に確認した資料を添付するようにと指示を受ける可能性もあります。その場合はお客様宛に確認書やサービス提供時点での検収書を受領するようにしましょう。
まとめ
前受金はサブスクリプション企業にとって非常に重要な科目になります。前受金をいかに獲得することができるかで、立ち上げ期などは資金繰りに大きな影響を及ぼします。
また、前受金を適切に処理せずに受け取り時に全額を売上計上してしまうと、未履行分も売上とみなされてしまい、利益が実態よりも多く計上されます。その結果税利金の支払いも前倒しで支払う必要が出てきますので、同じく資金繰りに影響を及ぼします。
しっかりと前受金の処理方法を確認し、資金繰りの助けとなる前受金を有利に活用しましょう。
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![サブスクリプションが注目を集めるようになった背景としては、ITの進展とともにソフトウェアのライセンス使用権を購入して、利用期間に応じた対価を支払うという形態が生まれたことにあります。特徴としては、定額の料金を支払うことで一定期間にわたってサービスを受けられる点があります。 会計処理としては、支払金額を実態に応じた経費科目で仕訳を行い、支払(契約)期間に応じて次年度に対応する分は前払費用として繰越されます。こちらの会計処理はユーザー側の視点からになりますが、今回はサービス提供者側の視点からの会計処理を説明していきます。 [toc] パターン毎に会計処理を解説 サービス提供者側の会計処理はユーザー側の会計処理を基本的にそのまま裏返すように考えればシンプルに理解できるでしょう。サービス提供者にとってユーザーから受領する利用料は売上科目で処理を行います。利用者側の支払(契約)期間に応じて次年度に対応する分は前受金として繰越されます。では具体的な会計処理について解説します。 (1)毎月払いの場合 ユーザーからの利用料を一定期間にわたって毎月受領する場合はその都度、売上計上します。例えば、年額12万円のライセンス利用料を毎月受領する契約であれば、毎月1万円を売上計上します。 タイミング借方貸方利用料受領月(現預金)10,000(売上)10,000決算時仕訳なし (2)一括払いで、契約期間が決算から1年以内に終了する場合 契約時に一括払いということで全額を売上計上したいところですが、会計上は当期に属する期間ぶんのみしか売上計上できないため、翌期に属する期間分は前受金として計上します。 例)3月決算で10月に年額12万円のライセンス利用契約を1年間分締結した場合 タイミング借方貸方利用料受領月(現預金)120,000(売上)60,000(前受金)60,000決算時仕訳なし (参考) 月次決算を行っている企業様であれば売上を月次で計上する必要があります。その場合は一括で全額を前受金で計上して、月額分を毎月売上に振替していく必要があります。 タイミング借方貸方利用料受領月(現預金)120,000(前受金)120,000各月月初(前受金)10,000(売上)10,000決算時仕訳なし (3)一括払いで、契約期間が決算から1年を超えて終了する場合 この事例で具体的に考えられるのは2年の長期契約です。その場合は契約期間が翌々期まで及ぶので翌々期に属する期間分は長期前受金という勘定科目として決算書上では表記する必要があります。 例)3月決算で10月に年額12万円のライセンス利用契約を2年間分締結した場合 タイミング借方貸方利用料受領月(現預金) 240,000(売 上) 60,000(前受金) 180,000決算時(前受金) 120,000(長期前受金)120,000 利用料受領時に翌々期分を最初から長期前受金の科目で計上することも可能ですが、通常は前受金の科目の内訳で管理することが一般的であり、かつ長期前受金は単純に決算書上の表記科目として設定しておく方が簡便であると思われます。 (4)前受金の管理について 上記を見てきたように前受金は将来の売上となる重要な科目です。 売上と同じレベルで内容や内訳を把握できるように会計システム上において設定しておく必要があります。 少なくとも顧客名、契約期間(開始日から終了日まで)、契約金額、契約内容がわかるように整理しておきましょう。 まとめ サブスクリプションとはもともと、雑誌の定期購読や予約購読による販売という意味を有していました。そして近年にソフトウェアのライセンス使用権の月額支払で注目を集めるようになりましたが、会計処理としては以前からあるような取引形態と同じように処理することで対応できます。 この会計処理で一番重要な勘定科目は前受金です。売上が正しく今期に属する分だけが計上されているか否かは、前受金がきちんと管理されているかに左右されます。 売上は経営上最も重要な数値であり影響が大きい科目です。サブスクリプション売上に関して、前受金の残高は売上に直結することを充分に理解しておいてください。](https://kurojica.com/invoice/wp-content/uploads/2020/11/subscription_advance_payment-main-300x158.png)


