
「AWSを導入した(これから導入したい)ものの、運用保守に不安を感じている」「技術的な知識は限定的で、社内リソースも不足している」
そのようなお悩みを抱える、情報システム担当者様やIT担当者様向けに、AWSの運用保守を効率化する方法をお届けします。コスト効率と安定運用の両立を目指しつつ、強固なセキュリティ対策を行うためのアイデアを見ていきましょう。
この記事でわかること
① AWSにおける運用保守の具体的な業務内容
② 運用保守を効率化させるAWSサービスと外部リソースの活用方法
③ 運用保守を外注する際のポイントと主要な保守代行会社について
目次
AWSの運用保守の業務内容について
前提としてAWS(Amazon Web Services)の運用保守は、クラウド環境を安定稼働させ、Webサイトやアプリケーション、ウェブサービスの価値を最大化するために不可欠です。
また、一口にクラウド環境を安定稼働させる。といっても、リソース管理、セキュリティ管理、バックアップと災害対策、コスト最適化、システム更新とパッチ管理、ネットワーク管理など多岐にわたる業務が含まれます。これらの業務を適切に遂行することで、システムの可用性、安全性、効率性を高めることができます。以下では、具体的なAWSの運用・保守内容について見ていきましょう。
リソースの管理
AWSにおけるリソース管理は、EC2インスタンス、S3バケット、データベース(RDS など)、ネットワークリソースなど、多種多様なリソースの準備(割り当て)、設定、監視、最適化を行うことを指します。
具体的には、システムの需要に応じて適切なリソースを割り当て、不要なリソースを削除し、リソース使用状況を監視することで、コスト効率の良いシステム運用を実現します。また、リソースのパフォーマンスを継続的に監視し、ボトルネックを特定して改善することも重要な業務です。
リソース管理の例
・EC2インスタンスのCPU使用率やメモリ使用率を監視し、必要に応じてインスタンスタイプを変更したり、オートスケーリングを設定
・S3バケットのストレージ使用量を監視し、不要なデータを削除したり、ライフサイクルポリシーを設定
セキュリティ管理
AWSのセキュリティ管理は、クラウド環境をサイバー攻撃や不正アクセスから保護するために非常に重要な業務です。
具体的には、IAM(Identity and Access Management)によるアクセス制御、VPC(Virtual Private Cloud)のネットワークセキュリティ、セキュリティグループによるファイアウォール設定、暗号化によるデータ保護などを行います。また、セキュリティ脆弱性を定期的にスキャンし、適切なパッチを適用することも重要です。
セキュリティ管理の例
・セキュリティグループを設定し、必要なポートのみを開放し、不要なポートを閉鎖
・VPCを適切に設定し、パブリックサブネットとプライベートサブネットを分離し、ネットワークトラフィックを制御
・IAMロールを適切に設定し、最小権限の原則に従ってユーザーやサービスに権限を付与
セキュリティ対策について深掘りした記事
障害対応
障害対応は、システム停止やサービス中断時に迅速な復旧を実現するために不可欠な業務です。具体的には、CloudWatchアラームやEventBridgeによる異常検知を設定し、SNSを通じて障害対応が可能な担当者へ即時通知を行います。異常検知後は、まずCloudWatchのダッシュボードやCloudWatch Logs Insightsで影響範囲と原因候補を特定し、自動リカバリ手順をトリガーします。
例えば、EC2インスタンスのステータスチェックが失敗した場合はAuto Recovery機能での再起動を試み、設定がない場合はSystems Manager Automationドキュメントや事前用意したLambda関数によりAMIからの再プロビジョニングを自動実行するといった対応を取ります。
障害対応完了後は、障害レポートを作成してチーム全体で共有することで、障害対応の手順書やアラート条件、復旧スクリプトの改善を行うことで、同様の障害発生頻度を低減することが期待できます。
バックアップ
バックアップと災害対策は、システム障害やデータ損失が発生した場合に迅速にシステムを復旧し、業務継続性を確保するために不可欠な業務です。
バックアップに関して具体的な対応としては、EC2のEBSスナップショットを日次で自動取得し、差分スナップショットを活用してストレージコストを抑制します。さらに、S3バケットにはLifecycleルールを設定し、アクセス頻度に応じてStandardからGlacier Deep Archiveまで用途別ストレージクラスへ自動移行することでコスト最適化を図ります。
また、RDSでは自動バックアップ期間とポイントインタイムリカバリ設定により、必要な復旧ポイント(RP)を保証しつつ、バックアップ保持期間を最適化します。
災害対策
災害対策としては、S3のCross-Region Replication(CRR)でオブジェクトを別リージョンへレプリケーションし、RDSのクロスリージョンリードレプリカやAurora Global Databaseを活用して異常時のフェイルオーバーを可能にします。DR環境はAWS CloudFormationやTerraformでInfrastructure as Code化し、DR演習を定期的に自動実行。復旧時間目標(RTO)と復旧ポイント目標(RPO)の達成状況を検証し、BCP要件に適合した運用フローを構築します。
AWS運用において災害対策や障害対策について解説した記事

コスト最適化
AWSの利用料金はリソースの使用量に応じて変動するため、継続的かつ体系的なコスト最適化は重要な業務です。まず、Cost ExplorerやTrusted Advisorを使ってサービス別・部門別のコスト分析を実施し、タグベースで可視化されたレポートを定期的にレビューします。
さらに、未使用リソースの検出ではEC2の停止状態インスタンスやアタッチされていないEBSボリュームをLambda関数で自動検出し、Slack通知や自動削除ワークフローを組み合わせてクリーンアップを行います。Reserved Instances(RI)およびSavings Plansの活用は、過去90日間の使用実績を基にカバレッジ率と割引率を算出し、四半期ごとに購入・更新を判断するなども必要でしょう。
そして、ストレージコストの最適化には、S3のLifecycleルールを設定してアクセス頻度に応じたストレージクラス(Standard–IA、Glacier Deep Archive)への自動移行を実行。データアクセスパターンをCloudWatch Metricsでモニタリングし、ライフサイクルポリシーの閾値を適宜調整します。
これらの最適化施策は、EventBridgeやCloudWatch Eventsでスケジュール化し、月次または週次の自動レポートをSNSまたはSlackへ配信。担当者やステークホルダーが運用状況をリアルタイムに把握できる仕組みを構築し、コスト異常を即時に検知・対応できる態勢を整えます。
AWS運用において災害対策や障害対策について解説した記事はコチラ
システム更新とパッチ管理
システム更新とパッチ管理は、ソフトウェアの脆弱性を修正しシステムの安定性を維持するために不可欠です。具体的には、OS、ミドルウェア、アプリケーションの最新バージョンを適用し、セキュリティパッチを適用します。注意点としては、更新作業によるシステムへの影響を最小限に抑えるために、事前にテストを実施し、バックアップを取得するといったことです。
例えば、EC2インスタンスのOSを最新バージョンに更新し、セキュリティパッチを適用します。また、アプリケーションの脆弱性をスキャンし、必要に応じてパッチを適用します。これらのシステム更新とパッチ管理を適切に行うことで、システムのセキュリティと安定性を維持できます。
ネットワーク管理
ネットワーク管理では、VPCやサブネットを適切に分けて通信経路を整理し、外部との接続やアカウント間ネットワークを安全に設計・運用します。
まずVPCを作成し、パブリックとプライベートのサブネットを分けることで、インターネット経由の通信と内部通信を明確に分離します。
次にロードバランサーを設定し、ALB(Application Load Balancer)でHTTP/HTTPSのトラフィックを複数のEC2インスタンスに振り分けながら、ヘルスチェックで障害のあるインスタンスを自動で除外。必要に応じてNLB(Network Load Balancer)に切り替え、高速なTCP通信を安定的に処理します。
そしてDNSはRoute 53を使い、ドメイン名とIPアドレスを紐づけるほか、障害時のフェイルオーバー設定で可用性を高めます。また、VPC PeeringやTransit Gatewayを活用してアカウントやリージョンをまたいだ通信を簡単に繋ぎ、複雑化しがちなネットワークを一元管理できるようにします。
さらに、セキュリティグループとネットワークACLで通信の許可・拒否ルールを細かく設定し、不正アクセスを防ぎます。加えてVPC Flow Logsで通信履歴を記録し、CloudWatch Logsで確認することで、異常な通信を早期に発見できる体制を整えます。
これらの運用を定期的に見直すことで、低遅延かつ安全なネットワーク環境を維持し、システム全体のパフォーマンスと信頼性を支えることができます。

AWS運用保守の効率化と外部リソース活用
AWSの運用保守を効率化するためには、前述したAWS運用保守の業務内容で一部触れたように、AWSが提供する各種サービスやツールを積極的に活用することが重要です。
以下では、運用効率化の一例として、AWS Systems ManagerやCloudWatchなどのツールを活用することで、運用保守作業を自動化し、効率を高めることができる点をご紹介します。また、運用保守を外部に委託して、効率化する手段にも触れていきます。

AWS Systems Managerの利用
AWS Systems Managerは、AWSリソースの管理と運用を自動化して一元的に管理するためのサービスです。具体的には、パッチ管理、インベントリ管理、設定管理、自動化スクリプトの実行などを行うことができます。Systems Managerを活用することで、手作業による運用保守作業を削減し、ヒューマンエラーを減らすことができます。
例えばAutomationドキュメントを用いて定期的にEBSボリュームのスナップショットを取得し、その結果をParameter Storeに記録するように設定することで、バックアップ状況をコードベースで可視化できます。
さらに、Run Commandを使ったOS設定変更はタグをトリガーに自動実行し、タグ付けミスが発覚した場合は即時ロールバックするLambdaスクリプトを組み込むことで、作業ミスを防止するといったことも可能です。
監視ツールの活用と自動化
システムの状態を把握するには、前述したようにCloudWatchでCPUやメモリ、ディスク使用率といった基本的なメトリクスを監視します。これに加えて、Amazon Managed Grafanaを利用すると、CloudWatchメトリクスをそのまま可視化できます。さらに、アプリケーション固有のPrometheusフォーマットのメトリクスを扱いたい場合は、Amazon Managed Service for Prometheusをデータソースとして組み合わせ、同一画面に表示することも可能です。
そして、監視項目には閾値を設定して、例えばメモリ使用率が80%を超えるとEventBridgeを通じてSlackに通知が届く仕組みにします。同時に、メモリ使用率超過を検知したLambda関数を起動し、問題が軽微であればインスタンスを再起動するといった簡単な自動復旧を行うことで、運用負荷を減らせます。
このように、基本的なメトリクス監視とアラート設定、さらに軽微な復旧処理を組み合わせることで、異常発生時の対応時間を短縮できます。
Infrastructure as Code(IaC)とCI/CDパイプライン構築
Infrastructure as Code(IaC)とは、サーバーやネットワークなどのクラウドリソースの設定をコード(スクリプト)として管理する方法です。これにより、手動での設定ミスを減らし、同じ環境を何度でも再現できます。
AWSにおける活用例としては、Terraform※2やAWS CloudFormationを用いてVPCやサブネット、セキュリティグループ、IAMロールなどを定義し、同じ設定を開発・テスト・本番環境へ適用できます。これらのコードはGitで履歴管理し、プルリクエストを通じたレビュー・承認後に適用することで、安全性を担保します。
このIaC定義をCI/CDパイプライン※3に統合することで、インフラ変更とアプリケーションリリースを一貫して自動化できます。具体的には、GitHub ActionsやAWS CodeBuildで以下を自動実行します。
- Terraformの
plan
とapply
を実行し、変更内容を自動反映 - フォーマットチェック(terraform fmt)や静的解析(TFLint、Checkov)で設定ミスを検出
- アプリケーションコードのビルド・ユニットテストを実行
- テスト通過後にステージング環境へデプロイし、統合テストを実施
- 問題なければ本番環境にローリングデプロイし、失敗時は自動ロールバック
これにより、インフラとアプリケーションを同じフローでデプロイ可能となり、手動作業を排除しながら品質とスピードを向上できます。
※2 Terraformとは:HashiCorp社が開発したオープンソースのインフラ構成管理ツール。コードで定義した通りにクラウドやオンプレミスのリソースを自動的に作成・変更・削除可能
※3 CI/CDパイプラインとは:ソフトウェアの変更を自動でテスト・ビルド・デプロイし、品質を保ちながら迅速にリリースする仕組み
マネージドサービスを積極的に活用する
AWSが提供するマネージドサービスを利用すると、サーバー管理の手間を大きく減らせます。たとえば、データベースはAmazon Aurora Serverlessを選ぶと、利用状況に応じて自動でスケールアップ・ダウンし、ピーク時の負荷にも耐えながら、閑散時には無駄なコストがかかりません。
コンテナ環境ではAmazon EKS on Fargateを使うことで、ノード(サーバー)の管理やパッチ適用といった運用作業を不要にできます。アプリケーションの実行に必要なリソース(CPUやメモリ)をFargateに指示するだけで、AWS側が裏でインフラを管理してくれるため、チームはアプリケーション開発や改善に集中できます。
ストレージでは、EFSのライフサイクルポリシーを設定し、利用頻度の低いファイルを自動で低コストなストレージ層へ移動。これにより、必要なときにすぐアクセスできる性能を維持しつつ、ストレージコストを削減できます。
AWS運用保守会社に外注する
ここまでは、AWS運用保守の具体的な内容や運用を効率化するためのAWSサービスについて紹介してきました。ただ、社内のリソース不足や、開発に力を入れて運用保守の負荷を分散させたい。といった理由でAWSの運用保守を自社で行うのが難しい場合や、より専門的な知識や経験が必要な場合には、AWS運用保守会社に外注することも有効な手段です。
以下では、AWS運用保守を外注するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
AWS運用保守会社の具体的なサポート範囲について解説した記事
AWS運用保守を外注するメリット

専門知識・ノウハウの活用
AWS運用保守会社には、豊富な事例と専門知識を持ったエンジニアが在籍しています。そのため、社内でゼロからナレッジを蓄積する手間を省き、AWSのベストプラクティスや自動化ノウハウを比較的短期間で導入できます。さらに、運用設計や障害対応手順、セキュリティ対策など、多岐にわたる専門領域を一気通貫で提供できる点が大きなメリットです。
運用コストの最適化
運用保守会社はクライアントの環境のリソース利用状況を詳細に把握・分析し、不要なリソースを適切に削減します。例えば、過剰スペックのインスタンスを必要な要件に応じたサイズへリサイズし、コスト最適化された構成を設計します。さらに、スポットインスタンスやリザーブドインスタンスの使い分けなど利用用途に応じて最適に使い分けることで、オンデマンドコストを抑制し、無駄なリソース維持コストを削減できます。
可用性・セキュリティ強化
可用性やセキュリティ対策の観点で、運用保守会社に外注するメリットについては、24時間365日の監視体制など、自社では難しい迅速な障害検知と対応が実現できるという点です。さらに、WAF設計や改ざん検知、脆弱性スキャン、自動バックアップ、DR対策などのセキュリティ対策を実施可能な業者に外注することで、高度なセキュリティ対策を継続的に適用できます。
AWS運用保守を外注するデメリット

内製運用と比較してコストがかかるリスクがある
外注費用は一般的に、運用保守を行う環境に応じた月額料金や障害時の緊急対応費用が含まれるため、短期間で見ると内製よりも高コストになる場合があります。特に利用頻度の低い業務や単発対応では、内製運用と比較した費用対効果を慎重に評価する必要があります
ノウハウが社内蓄積されづらい
運用ノウハウやトラブル対応手順が外注先に集約されるため、社内エンジニアへの技術ノウハウが蓄積されづらいというデメリットも考えられます。そのため、長期的に内製化を検討する場合には契約時にインハウス運用支援などを視野に入れて、全てを外注先へ委託するのではなく自社内でコントロールする対象を定めておくということも重要です。
AWS運用保守を内製するか外注するかの判断基準
先ほど、AWS運用保守を外注するメリット・デメリットについて解説いたしました。それぞれの利点やリスクについては理解したものの、結局自社で内製をした方が良いのか。それとも外注した方が良いのか。という判断をつけるのは難しいのではないでしょうか。そのため以下では、内製運用か外注の判断基準について触れていきます。

社内リソース・スキルの充足度
まず、AWS運用保守を自社内で最適に実行するためには、AWS特有のサービス理解やベストプラクティスなどを理解した認定資格保持者やIaC・自動化ツールの運用経験者が十分に在籍していることが必要となってきます。自社で運用保守が必要な環境に対して、必要な人員とスキルレベルを洗い出し、不足がある場合は外部研修やツール導入、その分野に特化した外注も検討しましょう。
長期的な費用対効果の考慮
続いてコストの観点では、自社内製でかかってくる初期投資や継続的な人件費、技術的な教育費用と、外注する際にかかる初期費用や月額費用を総合的に比較し、三年・五年単位での費用対効果を算出します。予測可能なコストと柔軟性を天秤にかけ、自社の経営計画や予算枠に合致する選択を行うことが重要です。
コア業務とのバランス
運用保守に要する時間や工数を可視化し、コアビジネスである新規開発やプロダクト改善にどれだけ注力できるかを評価しましょう。仮に運用タスクが重くのしかかる場合は、内製リソースの再配分や外注による負荷分散を進めることで、組織全体の生産性を高める効果を狙いましょう。
AWS運用保守会社5選
AWS運用保守を外注する際には、自社の要件に合った適切な会社を選ぶことが重要です。ここでは、実績のあるAWS運用保守会社を5社紹介します。各社が提供するサービス内容や特徴を比較検討し、自社に最適なパートナーを選びましょう。
クロジカサーバー管理(TOWN株式会社)

クロジカサーバー管理は、2004年の創業以来、法人向けにクラウドに精通したエンジニアによる高度なセキュリティを担保したクラウド運用を提供し続けています。有人対応の技術は当然のことながら、独自の自動復旧システムの構築により安定したサーバー環境を実現しています。 AWSコンサルティングパートナーとして、可用性とセキュリティを重視したAWSの導入支援から運用保守まで一貫してサポートをしています。現在は、クロジカシリーズ合計で1,800社以上の導入実績があり中小企業から大手上場企業まで幅広い支援を行っています。
クラスメソッド株式会社

クラスメソッド株式会社は、AWSのプレミアティアサービスパートナーとして、累計1,700社以上、5,000アカウント以上の導入実績があります。また、24時間365日のサポート体制も備えています。さらに、AWS認定資格保有者が多数在籍しており、AWS環境の構築や運用のみならず、データ分析などお客様のニーズに合わせた幅広いソリューションを提供しています。
参照:https://classmethod.jp/
株式会社サーバーワークス

株式会社サーバーワークスは、AWSに特化した導入支援を行っており、クラスメソッド同様にAWSプレミアティアサービスパートナーです。得意としているのは、売上高100億円以上のエンタープライズ企業です。導入実績は1,340社案件実績数は21,800件に上ります。また、内製化支援にも注力しており、単なる導入支援にとどまらず顧客へのノウハウ提供も行っています。
参照:https://www.serverworks.co.jp/
株式会社ディーネット

株式会社ディーネットは、AWSアドバンストティアサービスパートナーとして小売、不動産、金融業など多種多様な企業のAWS導入支援を行っています。データ分析基盤の構築やコールセンターシステムのクラウド化など、幅広い分野でのAWS活用実績があります。また、ドメインやSSL証明書の取得管理も代行可能で、包括的なクラウドサービスを提供しています。監視通知のみの必要最低限の対策からマネージドサービスまでサービス展開しているため、自社に必要なサポートのみを依頼することができ費用を抑えてAWS活用を進めることができます。
参照:https://denet.ad.jp/
NHNテコラス株式会社

NHNテコラス株式会社は、クラウドとオンプレミスの両方に精通したハイブリッドクラウド活用に強みを持つ企業です。契約数は5,000件以上に上り、AWSのみならずGCPやオンプレミスなどITインフラ環境を全般的にカバーしております。グループ会社との連携もあり、ゲーム/アプリ領域の構築・運用に強みを持っています。
参照:https://nhn-techorus.com/
自社にあったAWS運用保守会社の選定方法
AWS運用保守会社を選定する際には、自社の要件を明確にし、複数の会社を比較検討することが重要です。ここでは、AWS運用保守会社を選ぶ際に考慮すべき3つのポイントについて解説します。

運用代行サービスを利用する目的を明確にする
まず、なぜAWS運用保守を外注する必要があるのか、その目的を明確にする必要があります。例えば、自社のエンジニアのリソース不足を補いたいのか、具体的にどのような専門的な知識や技術を求めているのか、リソースのコストを削減したいのか24時間の監視をしたいなど、目的によって選ぶべき会社やサービスが異なります。目的を明確にすることで、より自社に合った会社を見つけやすくなります。
運用代行会社の実績と資格を確認する
次に、運用代行会社の実績と資格を確認しましょう。AWSの認定資格を持つエンジニアが多数在籍しているか、過去にどのような実績があるかなどを確認することで、その会社の技術力や信頼性を判断できます。また、自社の業種やシステム構成と類似した実績がある会社を選ぶことも、成功への近道となります。
自社が求める要件に対して過不足のない会社かどうかを確認する
最後に、自社が求める要件に対して過不足のない会社かどうかを確認しましょう。契約内容別の運用保守の範囲、運用保守を対応する時間帯、料金体系などを比較検討し、自社の予算やニーズに合った会社を選ぶことが重要です。
また、AWSの運用保守は日々の細かい変化に対して調整を加えることで最適化が図れるため、コミュニケーションが円滑に行えるかどうかも、会社を選ぶ際の重要なポイントです。
クロジカ(TOWN株式会社)の運用保守事例
【事例1】個人情報を扱う病院サイト
■ 課題
医療法人のコーポレートサイトを運用されていたお客様は、既存の専用サーバーではトラフィック増加に伴うスペック不足に悩み、かつ一部機能で個人情報を扱うためセキュリティ強化が必須でした。
■ 解決策

- AWS EC2 2台構成
- WebサーバーとDBサーバーを分離し、攻撃面を縮小。
- MySQL on EC2 採用
- バッチ処理要件を踏まえ、RDSではなくEC2上にMySQLを構築して自由度を確保。
- ACL 設定によるアクセス制御
- セキュリティ製品導入予算が限られる中、ネットワークACLで不要な通信を遮断し、最低限の防御を実現。
- 安定稼働の担保
- 柔軟なスペック変更と可用性設計により、構築後はダウンタイムや障害なく安定運用を継続。
これらの施策により、コストを抑えつつ個人情報保護に配慮したセキュアなサイト運用を実現しました。
【事例2】WordPressをEC2とS3で冗長化
課題
- 初期構築担当者の離脱により既存サイトの構成がブラックボックス化し、メンテナンスや機能追加が困難になっていた
- アクセス増加により単一サーバーではパフォーマンス低下や障害リスクが高まり、高可用性と継続的運用が必要であった
解決策

- EC2二台構成+ロードバランサー設置
Webサーバーを2台のEC2インスタンスで冗長化し、Application Load Balancer経由でトラフィックを分散。いずれか片方の障害でもサービス継続を担保。 - 静的コンテンツのS3ホスティング
画像やCSS/JSなど静的リソースをS3バケットに移行し、CloudFrontでキャッシュ配信。EC2への負荷と帯域消費を大幅削減。 - GitHub連携の自動デプロイパイプライン構築
GitHub Actionsをトリガーとしたデプロイメントを実装。CodeDeployまたはユーザースクリプトでローリング更新を行い、無停止で新旧インスタンスを切り替え。 - OS・WordPressプラグインの最新化
OSやミドルウェア、WordPressのプラグインを最新化し、セキュリティを強化。 - 監視・アラート設定による安定運用
CloudWatchでサーバー状況とレスポンスタイムを監視し、異常時は運用チームへ即時通知。 - 可用性・拡張性の評価とチューニング
WordPressサーバーの冗長化およびオートスケールが容易な構成を設計。
これらの施策により、従来のブラックボックス化した環境を最適なAWSアーキテクチャへ刷新し、「無停止かつ高可用」なWordPressサイト運用を実現しました。
【事例3】リージョン間同期構成による複数サイトの災害対策
課題
海外のクラウドサーバー上でコーポレートサイトやブランドサイト、ECモール向け画像配信を運用していたところ、災害時にリージョンがダウンするとサイトが全停止し、既存ベンダーからは有効な対策提案が得られず移行を検討されていました。また、ブランドごとに異なる PHP バージョンを稼働させる必要や、毎月1 TBを超える画像配信トラフィックが課題となっていました。
解決策

- Dockerコンテナを用いたEC2二拠点構成
各リージョンにWordPressコンテナ稼働用のEC2を配置し、rsync
でコンテンツを双方向同期。PHPバージョン差をDockerで吸収。 - サーバーレス画像配信基盤の導入
画像サーバーはS3+CloudFrontのサーバーレス構成とし、S3のクロスリージョンレプリケーションで自動同期。1 TB超の配信にもスケーラブルに対応。 - 自動フェイルオーバーの実装
- EC2:Route 53のDNS フェイルオーバーで障害時に別リージョンへ切り替え
- S3:CloudFrontオリジングループ機能でプライマリ障害時に代替リージョンを自動選択
- 運用手順書と権限設計
S3 へのアップロードやキャッシュ削除など日常運用を考慮し、簡易手順書を提供してお客様自身でも運用負荷を低減できるように整備。
これにより、リージョン障害発生時でも自動的に切り替わる高可用性インフラを実現しつつ、日常のサイト更新運用もスムーズに継続できる体制を構築しました。
その他の導入事例はこちら
AWSの運用保守に関するよくある質問(FAQ)

Q:内製化に必要なスキルセットは何ですか?

A:内製化を成功させるにはAWSリソースの理解だけでなく、“設計から運用、障害対応、セキュリティ対策”といった運用プロセス全体を設計・実行できる能力や体制が必要です。例えば以下のような点をカバーできているかを確認してみましょう。
・クラウドアーキテクチャ設計(Well-Architected準拠)
・インフラ自動化(IaC:Terraform/CloudFormation)
・監視・ログ分析(CloudWatch/Logs Insights)
・インシデント対応と(原因調査と再発防止策の策定を含む)
・セキュリティ運用(Amazon GuardDutyやAmazon Inspectorなどの活用)

Q:AWS運用保守を外注する場合の費用相場はどれくらいですか?

A:AWS運用保守を第三者に委託する場合、インスタンス単位やプラン別(監視プランやフルマネージドなど)での価格設定が多く、以下が費用相場の一例です。
- 監視+運用セットプラン: 1インスタンスあたり月額30,000~45,000円程度 ※4
- 監視中心プラン: 1インスタンスあたり月額5,000~20,000円程度 ※4
- 保守・運用サービスに加えて監視、証跡管理など総合的な保守範囲を含む場合: 月額料金は10万円~40万円程度 ※5
※4 参考:AWS運用保守サービス12選。料金の目安や選び方は?
※5 参考:AWSの費用相場と自社運用と外注を徹底比較
これらの費用は、対応範囲やAWSのリソース数などに応じて各社変動するため、見積り依頼時にはインスタンス数や必要機能を明示のうえ、複数社から比較することをおすすめします。
本記事で解説したようにAWSの運用保守は、システムの安定稼働と効率化を実現するための重要な要素であることをご理解いただけたかと思います。自社で運用保守を行う場合も、外注する場合も、各々のメリットとデメリットを理解し、適切な戦略を立てることが重要です。
自社のビジネスニーズに最適な運用保守方法を選ぶことで、コスト削減、セキュリティ強化、システムのパフォーマンス向上を実現することができます。今後もAWSの技術が進化する中で、本記事が皆様の運用保守最適化のヒントになりますと幸いです。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
コーポレートサイトをクラウドでセキュアに

サーバー管理
クロジカガイドブック
- コーポレートサイト構築・運用の課題を解決
- クロジカサーバー管理の主な機能
- 導入事例
- 導入までの流れ