
こんにちは。「クロジカサーバー管理」コンサルティングチームの西原です。
昨今では、テレワークの普及により、様々なクラウドサービスが増えてきている中、AWSが人気を集めています。Amazonが提供するクラウドサービスであるAWSは、世界中の企業で利用されており、世界シェアも1位です。AWSは、なぜここまで普及したのでしょうか?本記事では、AWSが普及した理由について触れていきます。
この記事でわかること
① AWSの代表的なサービスの概要と活用用途
② 8つのサービスの特徴から見るAWSが人気の理由
目次
AWSの代表的なサービス
AWS「Amazon Web Services」は、Amazonが構築したインフラやアプリケーションを公開したことから、サービスが始まりました。AWSは350を超えるサービスの豊富さが特徴ですが、代表的なサービスは以下になります。
- サーバー環境構築
- データ保存、コンテンツ配信
- データベース
- プログラムの実行
それぞれのサービスについてご紹介していきます。
サーバー環境構築:Amazon EC2
Amazon EC2は、仮想サーバーのサービスです。必要に応じて、スペックの変更が可能です。作成が数分でできるだけでなく、ハードディスクやメモリのスペック変更に関しても、簡単な操作で変更できます。
くわしく知りたい方へ
データ保存、コンテンツ配信:Amazon S3
Amazon S3は、ストレージ機能と静的なコンテンツ配信ができるサービスです。データ容量やファイル数に制限がないだけでなく、データ消失の可能性は1,000万年に1度と圧倒的に高い耐久性を誇っています。保存したデータにインターネット経由でアクセスが可能です。そのため、静的なコンテンツとして配信できます。
くわしく知りたい方へ
データベース:Amazon RDS
Amazon RDSはデータベースのサービスです。MySQLやPostgreSQL、Oracleといったデータベースを作成できます。画面上の操作で、冗長化・バックアップといった処理も可能です。フルマネージドなため、データベースサーバーを管理する手間もかかりません。パッチの適用もAmazon側で行ってくれます。必要なデータベースを必要な時に使用できるサービスです。
くわしく知りたい方へ
プログラムの実行:AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバーを管理することなくコードを実行できるサービスです。従来のシステム開発では、コードを動かすためにサーバーを用意し、設定・維持管理する必要がありましたが、Lambdaではその手間がありません。
必要なときだけ自動的に起動し、処理が終われば停止するため、「使った分だけ」支払う仕組みになっています。例えば、ウェブサイトで画像がアップロードされたら自動的にリサイズする処理や、データベースに新しい情報が追加されたら通知を送る、といった作業を自動化できます。
AWS人気の理由|高いシェア率
まず前提として、AWSの人気度は高いシェア率が物語っています。実際にどれくらいのシェア率なのか。また、なぜシェアを増やすことができたか。についてをAWSの特徴から紐解いていきます。
シェア率30%
世界中の企業で利用されており、2024年2月に米調査会社Synergy Research Groupより発表されたレポートよると、AWSの世界シェアはおよそ31%です。クラウド市場の3割に相当するシェアを数年に渡って維持していることからAWSが堅調な人気を誇っていることが読み取れます。

シェアを増やした理由
AWSは、クラウドサービスの先駆けとして2006年にサービスをスタートしました。他のクラウドプロバイダーと比較して先行的にサービスを始めたこともシェアを増やした理由のひとつですが、1番の要因ではありません。
1番の理由は、MicrosoftやIBMといった技術を持った企業が、Amazonに比べて、クラウドサービスの需要を予測していなかったことです。MicrosoftやIBMがクラウドサービスの需要に気付くまでの間にAWSはユーザーからの要望を取り入れ、その要望を技術に落とし込むことでサービス品質を高め、技術としてのノウハウを蓄積していきました。その結果がシェア率トップという地位に至っています。
AWSの人気をサービスの特徴から見る
そんな、シェア率トップのAWSにはどんな特徴があるのでしょうか?以下では、AWSの人気をサービスの特徴から見ていきます。
低コスト
初期費用や運用コストはサービスを利用する上で大きな判断基準になります。AWSの料金設定はユーザーに寄り添ったものになっており、以下の特徴があります。
- 初期費用が不要
- 料金は定額制ではなく、使用したデータ量によって請求
- サービスの利用と中止がワンクリックで可能
- 1年間の無料利用枠
利用したサービス以上の料金を支払う必要がないだけでなく、サービス利用の手続きが単純なため、サービスの利用に対する判断を迅速に行えます。また導入後の運用次第でコストダウンが可能です。
値下げへの取り組み
2006年にサービスを開始したAWSですが、その反響は大きく、すぐに利用者が拡大しました。利用者が増えることで利益が拡大したことと、新しい技術を取り入れることにより、サービス提供に係るコストダウンに成功しています。
そのような背景があり、AWSは、コストダウンから得た利益をユーザーに還元する取り組みをしています。サービス提供開始から85回を超える値下げを実施するなど、目に見える便益を示すことで、ユーザーの信頼獲得につなげました。
接続ポイント数
エッジロケーションと呼ばれる接続ポイントは、700ヶ所以上※に及びます。これにより世界中で高速なデータ配信をすることが可能になります。また、世界に36のデータセンターや114のアベイラビリティーゾーンを提供※2しており、障害対策やバックアップ用途で、国内外の複数の地域にデータを分散させることが可能です。
※1 2025年2月22日時点(参照:https://aws.amazon.com/jp/about-aws/global-infrastructure/)
※2 2025年2月22日時点(参照:https://aws.amazon.com/jp/about-aws/global-infrastructure/)
機能改善
AWSが多くのユーザーに支持される大きな理由の一つに、継続的な機能改善があります。AWSは年間3,000回以上ものバージョンアップや機能改修を行っており、常に最新技術を提供し続けています。
特筆すべきは、これらの改善の90%以上がユーザーからのリクエストやフィードバックに基づいて実装されている点です。つまり、AWSはユーザーの声を積極的に取り入れ、実際のニーズに応える形でサービスを進化させています。このような「お客様ファースト、問題解決ファースト」の姿勢が多くの企業から選ばれる理由の一つとなっています。
コミュニティで情報共有
AWSは世界中でコミュニティ活動を積極的に支援しています。例えば「AWS User Groups」や「AWS Heroes」といったコミュニティやプログラムを通じて、グローバルにクラウド知識の共有と技術者同士の交流を促進しています。また、「AWS re:Invent」などの大規模カンファレンスも開催し、最新技術や事例を発信しています。
日本においては「JAWS-UG」が最大のコミュニティとして各地で勉強会やハンズオンを実施しています。AWSユーザー同士の学び合いの場として定着しています。さらに、「Startup Loft Tokyo」はスタートアップ向けの施設として、無料コワーキングスペースの提供や技術相談、ワークショップを展開して、日本のスタートアップ支援に貢献しています。
このように、AWSは世界規模のコミュニティ基盤を構築しつつ、日本にローカライズしたコミュニティ支援を行い、クラウド技術の普及と発展を後押ししています。
サービスの豊富さ
AWSは350以上※3のクラウドサービスを提供するプラットフォームです。前述した、サーバー(EC2)やストレージ(S3)といった基本サービスから、管理不要のサーバーレスコンピューティング(Lambda)、様々な種類のデータベース(RDS、DynamoDB)、AI・機械学習サービス(SageMaker)まで幅広くカバーしています。
これらのサービスは世界中で36※4のリージョンで利用可能で、高可用性を実現するための設計になっています。例えば、アプリケーションのバックエンド構築、大量データの保存・分析、AIモデルの開発・デプロイなど、ほぼすべてのIT課題に対応可能です。これにより、スタートアップから大企業まで、自社のニーズに合わせた最適なシステム構築が可能になっています。
※3, ※4 2025年4月18日時点の情報
拡張性
ビジネスの成長に合わせてITリソースを簡単に増やせることもAWSの大きな魅力の一つです。
従来のIT環境では、将来のアクセス増加といった成長に備えて最初から大きなサーバーを購入する必要がありました。しかし、AWSでは「必要なときに、必要なだけ」リソースを追加できます。例えば、EC2では管理画面上でスムーズにサーバーの性能を上げたり、数を増やしたりできます。
特に便利なのが「Auto Scaling」機能です。たとえばウェブサイトへのアクセスが急増したとき、自動的にサーバー数を増やし、アクセスが減れば自動的に減らします。これにより、手動操作なしでピーク時にも安定したサービスを提供でき、同時にコスト効率も最適化できます。さらに、世界中の複数の地域(リージョン)にシステムを展開できるため、グローバル展開も容易です。
セキュリティ
AWSのセキュリティは「責任共有モデル」という考え方がベースになっています。つまり、インフラ部分はAWSが責任を持ち、ユーザー側はデータやアプリケーションを守る責任があります。
インフラ部分となるAWSのデータセンターは、24時間365日の監視体制、生体認証による入退室管理、多層防御システムなど、高いレベルの物理セキュリティ対策を実施しています。さらに、一部サービスにおいて、データ暗号化やネットワーク分離などの技術的な保護も標準で提供されています。

今回は、さまざまな角度からAWSが人気の理由を挙げてきましたが根本的な要因は徹底的なユーザーファーストではないでしょうか。クラウドサービスの需要にいち早く気付き、付随するサービス群を他のプロバイダーの追従を許さない圧倒的なスピードで提供することで、他の企業に対して技術面で優位に立つことができました。
また、効率的な活用方法をサポートするためのコミュニティ形成や多言語に対応したドキュメントなど、ユーザーに継続的にサービスを利用いただくための投資に余念がありません。その結果が世界トップシェアという実績に繋がっているのではないでしょうか。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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