優れた可用性と耐久性!Amazon S3のメリット・デメリット・注意点とは?

こんにちは。「クロジカサーバー管理」コンサルティングチームの西原です。

Amazon S3のは、ストレージ機能を提供するものでありクラウド型のオブジェクトストレージサービスです。ファイルなど任意のオブジェクト単位による出し入れが可能なストレージのことで、さまざまなシーンに応じた自由な使い方がしやすく、大容量のデータ保存に適しています。また、オブジェクト単位でのバージョンを残せることや、物理的データセンターに分散保存されていることで保証される障害への強さといった点でも優れています。

データであれば、動画や画像などのファイルから、サイト、アプリ、IoTデバイス、ビッグデータ分析まで、ほとんどのユースケースにおけるデータを保存できます。Webサイト制作のご経験がある方は、容量無制限で自由度の高いFTPサーバーというイメージを持つとわかりやすいかもしれません。

企業の規模・業種業態にかかわらず、すでに世界中の多くの企業がAmazon S3を利用し、データの整理・保存を行っています。ここでは、Amazon S3のメリット・デメリットと注意点について触れていきます。

Amazon S3のメリット・デメリットとは?

Amazon S3のメリット

Amazon S3には数多くのメリットがあります。それぞれのメリットについて記載していきます。

最高レベルの可用性と耐久性

利用するリソースのスケールを自由に設定でき、変動するニーズにスムーズに対応させることができます。容量に制限がないため、データの大きさを気にする必要もありません。先行投資的に余分なリソースを確保しておく必要もなく、自動的に拡張・縮小されるストレージを自由に使えるメリットは非常に大きいといえます。膨大なデータを取り扱う可能性がある場合でも、安全に継続的に使える可用性の高さは、S3の重要なポイントです。

また、極めて高い耐久性、堅牢性も特筆されます。Amazon S3では、全オブジェクトに対し、99.999999999%の耐久性を実現できるよう設計されており、データ損失のリスクがほぼないレベルに達しています。10,000,000のオブジェクトを格納し、ある1つのオブジェクトが失われる可能性は10,000年に1度という水準であるため、その安全性の高さが伺えます。予期せぬ障害やエラー、脅威からデータを守りやすい環境であることは非常に重要であり、ビジネスの貴重なデータや機密性の高い情報を管理する上で大きなメリットとなります。

低コストで利用できる

事業利用であればコストパフォーマンスも重要です。そもそもが安価で利用できるAmazon S3ですが、その上パフォーマンスを維持しつつコストを節約してデータを保存するためのソリューションもあわせて提供しています。S3ストレージクラス分析と呼ばれるもので、これを用いるとユーザーのアクセスパターンから、低コストのストレージクラスに移動すべきデータを自動検出、ライフサイクルポリシーの設定を見直して転送実行することができます。このようにコストを自動で最適化、最小限のコストで最大限のパフォーマンスを発揮させやすい仕組みが整っています。

セキュリティ性が高い

セキュリティの高さもAmazon S3のメリットです。AWS全体が不正アクセスからデータを適切に守るための暗号化機能とアクセス管理ツールを備えています。また、全サービスを最新のセキュリティ機能による安全な環境下においていることから、S3もセキュリティ面に優れています。アクセス許可のないユーザーをきちんとブロックするなど、権限の管理も確実かつ容易です。

管理負担が少ない

Amazon S3はAWS Lambdaと連携しているため、専用の管理システム基盤を追加することなく、データの分類・管理・レポーティングが可能で、アラートの定義やワークフローの自動化もすぐに行えます。AWSベースであるため、ソフトアップデートやハードウェアの管理も必要ありません。

PCI-DSS、HIPAA/HITECH、EUデータ保護指令、FISMA、FedRAMPなど、セキュリティやコンプライアンスの規制要件も標準で満たしているので、管理者負担の軽減が見込めるでしょう。アクセスリクエストに対するモニタリング機能、監査機能も多くサポートされ、シンプルに適正な運用を図りやすいメリットもあります。

サポート体制が充実

AWS MarketplaceとAWS Partner Network(APN)により、充実したサポート体制が整備されている点もメリットです。AWS Marketplaceでは、ストレージ関連の250以上のサービス、統合ソリューションを直接入手でき、APNではパートナー企業へシステム導入やソリューション選定・実装に関する相談を行うことができます。

Amazon S3のデメリット

上記で記載した以外にも多くのメリットを有しているAmazon S3ですが、全くデメリットがないわけではありません。例えば、Amazon S3単体としては、PHPやRubyなど、サーバー側の役割をするスクリプト処理にかかる機能を有していないため、直接Webアプリケーションを作成するといったことはできません。また、オブジェクト単位で出し入れをする方式であることから、HDDのようなストレージで行えるファイル追記は行えません。一度オブジェクトとして出し追記して入れるという工程が必要になります。

サーバー構築におけるAmazon S3の使い方

Amazon S3を導入するとして、どのような使い方が考えられるでしょうか。たとえば、AWSでファイルサーバーを構築する際に、Amazon EC2と組み合わせて導入する方法があります。この場合、直接マウントすることはできないため、AWS Storage Gatewayを用います。ファイルサーバーの用途環境を確保すれば、実質無制限の容量で高い拡張性をもったサーバーとして利用できるようになります。コストの低さや可用性の高さも魅力です。

Amazon S3とS3 GlacierやAmazon EFSなどを利用し、データのバックアップ管理を行うのは、より有用な使い方といえます。耐久性、安全性に優れたバックアップと復元が可能で、膨大なオンプレミスデータであってもすぐに対応可能、AWSへ自動的に送信させることもできます。S3 GlacierとS3 Glacier Deep Archiveでデータをアーカイブするのも良い活用方法です。長期間、低コストでオブジェクトを保持でき、必要なときに高速復元が可能です。アーカイブ化や長期バックアップの方法に悩んでいる際は、試したいところかと思います。

さらに、ビッグデータ分析という使い方も考えられます。Amazon S3でデータレイクを作成し、提供されている機械学習ツールや分析機能、クエリなどを適宜用いることで必要なインサイトを得ることができます。事業の意思決定や各種施策の検討などで、確かな分析データに基づいた改善を進められます。

近年、大きな課題となっている災害対策、BCP対策として使うこともできます。Amazon S3の導入により、AWSクラウドをはじめ、実行されている重要データ、アプリケーション、ITシステムを全体として保護することが可能になります。人為的ミスで生じた機能停止や自然災害、システム障害など、あらゆるリスクから事業を守り、迅速な復帰を促します。

導入における注意点

デメリットの部分でも言及したように、Amazon S3では単体でPHPやRubyなどの言語を用いたアプリケーション、動的コンテンツの作成や表示を行うことはできません。動的な処理に関しては一部、Amazon EC2やAWS Lambdaと組み合わせて用いることで可能となりますが、基本的に静的なファイルの格納、データ管理・配信に特化しているものだという認識をもって、導入方法や構築を考えます。

また、低コストで無駄なく利用できるS3ですが、その料金の仕組みはやや複雑で、最終的なコスト予想が困難になる場合があります。使った分だけの課金とはいえ、どれくらい使用したか目安をつかめていなければ、運用・経営として理想的とはいえません。

さいごに

Amazon S3は、可用性と耐久性に優れた非常に有用なサービスです。導入メリットや使い方、注意点を参考にしつつ、目的にあった活用の形を模索してみることをお勧めします。まずは、AWSの代行サービスを専門に行う会社へ相談しアウトソースを視野に件つすることも選択肢のひとつです。本稿が検討の参考になれば幸いです。

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