
建設現場での工事進捗管理は、現場を担当する施工管理者にとって日々の大きな課題となっています。
複数の現場を掛け持ちする中で、工程の遅れを防ぎ、職人との情報共有をスムーズに行いながら、納期内での工事完了を実現するのは決して簡単なことではありません。
従来のExcelや紙ベースでの管理から脱却し、デジタル化によって進捗管理を効率化したいと考える現場監督や施工管理者の方に向けて、現場を止めることなく進捗管理を行う具体的な方法と、実際に現場で活用できるおすすめツールをご紹介します。
目次
工事現場における進捗管理の重要性とは?
工事現場における進捗管理とは、事前に策定した施工計画に対して実際の作業がどの程度進んでいるかを継続的に確認し、必要に応じて調整を行う業務です。工事全体の工程を管理する「工程管理」とは異なり、進捗管理では各作業の進行状況により細かく焦点を当てて管理を行います。
建設現場では多くの職人や協力会社が関わり、天候や資材調達などの外的要因によって日々状況が変化します。そのため、リアルタイムで進捗状況を把握し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を整えることが工事の成功に直結します。
進捗管理が遅れると何が起こるか
進捗管理が適切に行われないと、工事現場では深刻な問題が次々と発生してしまいます。
最も大きな影響は工期の遅延です。進捗状況の把握が遅れることで、問題の発見と対策が後手に回り、結果として全体の工程に遅れが生じます。工期の遅延は顧客からの信頼失墜につながり、遅延損害金の発生や次の工事受注への悪影響も招きかねません。
進捗管理の不備は予算オーバーの原因にもなります。想定以上の人員投入や資材の追加発注が必要になったり、急な工程変更により非効率な作業が発生することで、当初の予算を大幅に超過するリスクが高まります。
品質面への影響も深刻です。進捗に追われて検査や確認作業が疎かになると、手戻り工事や欠陥工事につながる可能性があります。
余裕を持った予備日を設定する
建設現場では予想外の事態が発生することが日常的にあるため、工程計画には必ず予備日を設けることが重要です。天候による作業中断、資材の到着遅延、設計変更への対応など、様々なリスクに備えて適切なバッファを確保しておく必要があります。
予備日の設定では、工事全体の期間や規模、現場の条件などを考慮して柔軟に対応することが大切です。一般的には全工期の10〜15%程度の予備日を設けることが推奨されますが、特にリスクの高い工程や初回施工の作業については、より多めの予備日を確保しておくことが賢明です。
進捗状況を「見える化」する方法
効果的な進捗管理のためには、現在の状況を関係者全員が一目で把握できるような「見える化」の仕組みを構築することが不可欠です。
ガントチャートは進捗状況の見える化に最も効果的なツールの一つです。各工程の開始予定日、完了予定日、実際の進捗率を視覚的に表示することで、計画と実績の乖離を素早く識別できます。
現場写真を活用した進捗報告も非常に有効です。定期的に撮影した工事写真に進捗率や気づいた点をコメントとして付加することで、離れた場所にいる関係者も現場の状況を正確に把握できます。
進捗管理におすすめのツール3選【現場で使える】
現場での進捗管理を効率化するために、実際に多くの建設会社で導入されているツールの中から、特に使いやすく効果的な3つのツールをご紹介します。
比較軸 | ダンドリワーク | 現場ポケット | ANDPAD |
---|---|---|---|
情報の一元管理 | ◎ | ○ | ◎ |
コスト | 初期費用 20万〜 月15,000円〜 | 初期費用 要見積もり 月14,850円 | 要見積もり |
進捗管理機能 | ◎ | ○ | ◎ |
対象規模 | 中〜大規模 | 小〜中規模 | 中〜大規模 |
多機能性 | ○ (進捗中心) | △ (限定的) | ◎ (多機能) |
ダンドリワーク|情報の一元化とリアルタイム共有が強み
ダンドリワークは、建設現場に特化したクラウド型施工管理サービスで、10万社以上の導入実績を持つ信頼性の高いツールです。
主な機能と特徴:
- 図面・写真・工程表・連絡事項などをクラウドで一元管理
- 情報の散逸や伝達ミスを防止
- チャットや掲示板でリアルタイム情報共有が可能
進捗管理での活用ポイント:
- 現場から写真・作業報告をアップロードし、その場で全関係者と共有
- 進捗確認のための報告業務が大幅に効率化される
現場ポケット|コスパ重視の中小規模現場に最適
現場ポケットは、2022年度グッドデザイン賞を受賞した、施工管理専用アプリです。必要な機能に絞り込み、使いやすさとコストパフォーマンスを両立しています。
主な機能と特徴:
- 年間契約で月額14,850円(税込)という低価格
- 現場向け日報、報告書、写真共有などが標準装備
- アカウント数無制限で複数現場でも活用しやすい
進捗管理での活用ポイント:
- 作業時間の記録により、勤怠や作業進捗を「見える化」
- 報告書機能が充実しており、テンプレートと定型文で短時間作成が可能
ANDPAD|機能重視で一括管理したい企業向け
ANDPADは、21万社・55万人以上が利用する業界トップクラスの施工管理プラットフォームです。進捗管理にとどまらず、工程・品質・安全・原価管理までカバーしています。
主な機能と特徴:
- 多機能でスケールの大きい現場管理が可能
- モバイル・PCどちらでも直感的に操作可能
- 他ツールとの連携性も高く、業務効率全体を底上げ
進捗管理での活用ポイント:
- ガントチャート形式の工程表で、複数現場の進捗を一目で確認
- 関係者間のタスク管理やコメント機能も充実
建設現場に最適な進捗管理ツールの選び方
現場に最適な進捗管理ツールを選択するためには、以下の重要なポイントを総合的に評価することが必要です。
モバイル対応・オフラインでも使えるか?
建設現場では、パソコンを使える環境が常に整っているとは限りません。作業員や現場監督が現場を移動しながら作業することも多く、スマートフォンやタブレットでスムーズに操作できるモバイル対応は、現場業務の効率化に大きく貢献します。
たとえば、図面や作業指示の確認、写真の共有、チェックリストの入力など、すべて現場で完結できることで、タイムロスやミスの防止にもつながります。
また、現場では常に安定したインターネット接続があるとは限らず、山間部や地下などでは通信が不安定になることもあります。そうした状況でもスムーズに使えるよう、オフラインでも一定の機能が使えると安心です。通信環境に左右されにくい設計かどうかは、現場での使い勝手を左右するポイントといえるでしょう。
現場スタッフにも使いやすいUIか?
進捗管理ツールが現場で効果を発揮するには、ITに不慣れな職人の方でも直感的に操作できるUI設計が重要です。
現場ではスマートフォンやタブレットでの操作が中心となるため、小さな画面でも情報が見やすく、写真撮影や入力がスムーズに行えることが必要です。ボタン配置の分かりやすさ、適切な文字サイズ、少ない操作手順、直感的なアイコンなどがポイントとなります。
複雑な機能よりも必要最小限の機能を簡単に使えることが重要で、手袋着用時の操作性や屋外での視認性など、現場特有の環境に配慮されたツールを選ぶことで導入後の定着率が向上します。
導入前に確認したいQ&A・トラブル対策
新しい進捗管理ツールを現場に導入する際には、様々な課題や抵抗に直面することがあります。よくある問題とその対策を事前に把握しておくことで、スムーズな導入を実現できます。
使い方が難しいと感じたときは?
新しいツールの導入初期には、「操作が複雑で覚えられない」という声が現場から上がることがよくあります。このような場合は、段階的な導入アプローチが効果的です。
まず、すべての機能を一度に使い始めるのではなく、写真撮影と簡単なコメント入力など、基本的な機能から慣れてもらうことから始めましょう。職人の方々が基本操作に慣れてきたら、徐々に進捗入力や報告書作成などの機能を追加していきます。
現場リーダーや比較的ITに慣れた職人の方に最初に使い方をマスターしてもらい、その方々が他のメンバーに教える「現場指導員制度」を設けることも有効です。
参照:建設現場で必要なスキルが身につく!人材育成に役立つ方法とは?
現場に浸透しないときの対処法
せっかく導入したツールが現場に浸透しない場合は、その原因を明確にして対策を講じる必要があります。
最も多い原因は、従来の作業方法との併用期間が長すぎることです。古い方法と新しい方法を並行して使っていると、職人の方々は慣れ親しんだ従来の方法に頼りがちになります。一定の移行期間を設けた後は、明確にツールの使用を義務化することが重要です。
現場での成功体験を積み重ねることも浸透のカギとなります。ツールを使用したことで作業効率が向上した事例や、問題の早期発見につながった事例を現場で共有し、使用するメリットを実感してもらいましょう。
まとめ|工事の進捗管理は「ツール活用」と「情報共有」が鍵
効果的な進捗管理には、従来のExcelや紙ベースからクラウド型ツールへの移行が不可欠です。リアルタイムでの情報共有により、工程遅延の早期発見と迅速な対応が可能になります。
ツール選択では、現場規模・予算・職人のITリテラシーを考慮し、使いやすさを最優先に検討することが重要です。ダンドリワーク、現場ポケット、ANDPADなど特徴の異なるツールから、無料トライアルで実地検証して選定しましょう。
導入成功のカギは段階的なアプローチと現場スタッフの理解です。適切な進捗管理により工期短縮・品質向上・コスト削減を実現できます。
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