
多くの企業で当たり前のように利用されているエクセル(Microsoft Excel)。情報の一覧化や集計作業に便利なツールですが、情報共有の手段としては限界が見え始めています。
実際に、「同時編集ができない」「バージョン管理が煩雑」「アクセス制御が不十分」といった問題が現場で頻発しており、エクセルを情報共有の中心に据えることによる非効率やリスクが顕在化しています。
本記事では、エクセルによる情報共有における代表的な課題を明確化し、現在注目されている代替ツールとの機能比較、導入事例、選定のポイントについて詳しく解説します。
情報共有の質を高め、業務効率とセキュリティの両立を実現するためのヒントとして、ぜひご活用ください。
目次
なぜエクセルでの情報共有が問題になっているのか?
多くの企業が今もエクセルを使い続けている理由
エクセルは「使いやすさ」が最大の魅力で、初心者であっても基本的な表の作成や簡単な計算はすぐに覚えることができます。また、長年にわたって多くの企業で使われてきたため、以下のような理由で使い続けられています。
- 低コストで導入済み:多くの企業でOfficeライセンスを既に保有している
- 学習コストの低さ:従業員の多くが既に操作方法を熟知している
- 汎用性の高さ:表計算、グラフ作成、簡単なデータベース機能など多用途に対応
- テンプレート資産:長年蓄積された業務用テンプレートやマクロが存在する
そのエクセル運用、本当に今の業務に合っていますか?
しかし、現代の働き方では以下のような要求が高まっています。
- リモートワークでのリアルタイム共同作業
- 複数拠点間での同時編集作業
- セキュリティを重視した情報管理
- モバイル端末からのアクセス
エクセルは1人で使うにはとても便利なソフトなのですが、共有して使おうとすると同時編集ができず、現在の編集者が作業を終えるまでは「読み取り専用モード」でしか開けないというデメリットがありました。
従来のエクセル運用では、これらの現代的な業務要求に対応しきれないのが現実です。
エクセルで情報共有する3つの主要デメリット
同時編集ができず、作業が重複しやすい
エクセルの最も大きな問題点は、同時に複数の人間が編集することができないことです。誰かがファイルを編集している間は、別の人は閲覧のみの状態になります。
具体的な問題例:
- 営業チームが顧客リストを更新しようとした際、先に誰かが開いていると作業できない
- 複数人で予算表を作成する際、順番待ちが発生し作業効率が大幅に低下
- 締切間際の資料作成で、編集権限の奪い合いが発生
業務への影響:
- 作業スケジュールの遅延
- 従業員のストレス増加
- 重要な更新作業の機会損失
バージョン管理が煩雑で「最新版」がわかりにくい
エクセルファイルを共有する際、メールやファイルサーバーでのやり取りが一般的ですが、これにより深刻なバージョン管理問題が発生します。
よくある問題シナリオ:
- 「顧客リスト_最新版.xlsx」「顧客リスト_最新版_修正.xlsx」「顧客リスト_最新版_田中修正.xlsx」など、類似ファイルが乱立
- 古いバージョンのファイルを元に作業してしまい、最新の情報が反映されない
- 複数人が異なるバージョンを同時に編集し、作業内容が競合
実際の業務リスク:
- 古い顧客情報での営業活動
- 予算計算の重複作業や矛盾した数値
- プロジェクト進捗の誤った把握
セキュリティやアクセス制限の管理が難しい
レガシー共有は複数人で同時に編集できない、編集の競合が起きやすい、セキュリティリスクが高いなどのデメリットもあります。
セキュリティ上の課題:
- ファイル単位でのアクセス制御が困難
- 編集履歴の追跡が不十分
- 退職者のアクセス権限削除が漏れやすい
- 外部への誤送信リスク
コンプライアンス対応の困難さ:
- 誰がいつ何を変更したかの監査証跡が不明確
- データの暗号化やアクセスログの管理が複雑
- ISOやGDPR等の基準への対応が困難
参照:Excelの共有設定方法|新しい共有 vs. レガシー共有の違いと選び方
エクセルで情報共有するメリットとその限界
コストがかからず、誰でも使える手軽さ
エクセルの最大のメリットは、追加投資なしで情報共有を始められることです。
メリット:
- 既存のOfficeライセンスで利用可能
- 特別な研修やトレーニングが不要
- ファイル単位での管理が直感的
しかし、この手軽さは小規模チームや単発プロジェクトに限定されます。組織が成長し、業務が複雑化すると、かえってコストがかかる場合があります。
限界:
- 作業効率低下による人件費の増加
- データ消失やミスによる機会損失
- セキュリティインシデント対応コスト
長年の慣れや既存のテンプレート資産がある
多くの企業では、長年にわたって蓄積されたエクセルテンプレートや業務プロセスが存在します。
メリット:
- 業務に特化したカスタマイズされたテンプレート
- VBAマクロによる自動化機能
- 従業員の習熟度の高さ
ただし、これらの資産が逆に足かせになる場合もあります。
限界:
- 属人化されたマクロのメンテナンス困難
- 古いバージョンのエクセルでしか動作しない機能
- モバイル端末からの利用が困難
参照:Excel(エクセル)のVBAとは?マクロとの違いやそれぞれのできることを解説 - mouse LABO
簡単な表計算や集計には便利
エクセルは表計算ソフトとしての基本機能に優れています。
適用場面:
- 単発の分析作業
- 個人レベルでの計算業務
- プロトタイプ的なデータ整理
ただし、継続的な業務や複数人での作業には限界があります。
限界:
- 画像や図を多く挿入するとデータ量が増え、ファイルの動きが重くなる傾向があります
- 大量データの処理能力に限界
- リアルタイム性が求められる業務には不適切
チームの日程調整や予定共有を簡単に。

スケジュール管理
クロジカガイドブック
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- 導入事例
エクセルの限界を補う、用途別おすすめ情報共有ツール
エクセルの代替として導入が進んでいる情報共有ツールは、「共同編集」「スケジュール管理」「ナレッジ共有」などの機能に特化したクラウド型サービスです。ここでは、主要な機能ごとに代表的なツールと活用シーンを紹介します。
ファイルのリアルタイム共同編集に強い|Google Workspace
特徴:
Googleスプレッドシートでの同時編集/自動保存/詳細なバージョン管理
得意なシーン:
- 案件管理・営業進捗の共有
- 経費精算や予算表のクラウド運用
- チームでのコメント付きレビュー
スケジュールや行動予定の見える化|クロジカスケジュール管理
特徴:
チーム予定の可視化/会議室や設備の予約/出張・在席情報の一元管理
得意なシーン:
- 営業や現場担当者の外出予定共有
- 会議日程調整・会議室管理
- 社内在席確認・簡易勤怠チェック
複数拠点やリモートワークでも、「誰がどこにいるか」「空いている時間はいつか」がすぐに分かるようになり、調整・確認の手間を大幅に削減します。
ナレッジ共有・マニュアル管理に特化|ナレカン
特徴:
情報の構造化/全文検索/権限制御/承認フローによる品質管理
得意なシーン:
- 社内マニュアルや手順書の管理
- FAQや営業ノウハウの蓄積
- 技術資料や人事規程の共有
エクセルで管理していた情報が属人化・散逸しがちだった企業でも、必要な人に必要な情報が届く「ナレッジ基盤」が構築できます。
【事例紹介】エクセルから脱却して情報共有が変わった企業の声
事例1:ANA(全日本空輸株式会社)の業務効率化と情報共有の革新
導入前の課題:
- 複数の拠点間でのスケジュール管理がエクセルで行われており、情報の更新や共有に時間がかかっていた
整備部門では、紙ベースの作業指示書や手書きの記録が多く、情報の伝達や検索に手間がかかっていた - 社内外の会議や打ち合わせの調整が煩雑で、スケジュールの重複や調整漏れが発生していた
Google Workspace導入後の効果:
- Google カレンダーとGoogle Meetを活用し、リアルタイムでのスケジュール共有とオンライン会議の実施が可能に
- Google ドキュメントやGoogle スプレッドシートを使用することで、整備作業の進捗管理や情報共有が効率化
- タブレット端末を活用し、現場での情報入力や確認が可能となり、ペーパーレス化が進展
- Google サイトを利用して、社内ポータルサイトを構築し、情報の一元管理とアクセス性の向上を実現
【事例を詳しく読む】全日本空輸株式会社: 導入事例 - Google Workspace
事例2:株式会社健生の情報共有と業務効率化
導入前の課題:
- 部署が細かく分かれており、各個人の業務・行動内容の把握が困難だった
- 外回り中心の営業マンのスケジュールをエクセルで管理していたが、営業事務の負担が大きく、情報の更新や共有に限界があった
- 社員にアナログ志向が多く、過去に試したツールは操作性の問題で定着しなかった
クロジカスケジュール管理導入後の効果:
- 直感的でわかりやすいインターフェースにより、社内でスムーズに定着
- スケジュール機能でお互いの行動予定が見える化され、二度手間や確認作業が大幅に削減
- メッセージ機能で電話や社内メールのやり取りが簡素化し、拠点間の連携が円滑に
- スマートフォンとも連携できるため、外出先からも情報共有が可能に
【事例を詳しく読む】全体的な業務効率化に繋がり、期待していた以上の効果が出た | クロジカスケジュール管理
【比較表】エクセルと代替ツールの主な違い
項目 | Excel | Google WS | クロジカ | ナレカン |
---|---|---|---|---|
同時編集 | ✕ | ◎ | ◎ | ◎ |
スケジュール管理 | △ | △ | ◎ | △ |
ナレッジ共有 | △ | △ | △ | ◎ |
モバイル対応 | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
セキュリティ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
あなたにピッタリの情報共有ツールはどれ?選び方のポイント
現場やチームの状況によって、最適なツールは変わります。下記を参考に、自社に合ったツールを見極めましょう。
エクセルが向いているのはこんな場合:
- 個人作業や短期的な分析が中心
- 追加投資を抑えたい
- 既存のテンプレートやスキルを活用したい
代替ツールがおすすめなのはこんな場合:
- チームでリアルタイムに共同編集したい
- セキュリティやアクセス制御を強化したい
- モバイル端末からも快適にアクセスしたい
まとめ|「とりあえずエクセル」はもう卒業しよう
自社に最適な情報共有ツールを選ぶためには、まず現在の業務環境やチームの働き方を見直すことが重要です。
エクセルは個人作業や短期間の分析には手軽で使いやすい反面、チームでのリアルタイム共同編集や高度なセキュリティ管理、モバイルアクセスには限界があります。
もし、複数人での継続的な共同作業が多い場合や、情報の安全性をより強化したい場合、さらにモバイルからのアクセスが頻繁であれば、Google Workspaceやクロジカスケジュール管理、ナレカンといった代替ツールの導入を検討すべきでしょう。こうしたツールはリアルタイム編集や詳細なアクセス制御が可能であり、現代の多様な働き方に柔軟に対応します。
まずは自社の課題を整理し、業務の特性に合わせて最適なツールを選ぶことで、情報共有の効率化とセキュリティ向上を実現できます。
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