こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
介護業界の仕事は人手不足や、長時間労働のイメージを持っている方も少なくありません。従業員の健康や精神をケアするためにも、残業の削減や労働環境の改善がこれからの介護業界には必要になります。
この記事では介護業界の残業時間や残業が多い理由、残業時間を減らすメリットについてご紹介します。介護業界の残業を減らす具体例についても解説するので、介護業界で働いている方やこれから働きたい方はぜひ参考にしてみてください。
目次
介護業界の残業時間はどれくらい
介護業界に対して、残業が多いイメージを持っている方も少なくありません。実際のところは残業が少ない介護施設もあるので、データをもとに介護業界の残業時間について解説していきます。
介護業界の平均的な残業時間
介護業界の平均残業時間は、正社員で10.2時間、非正規社員で3.7時間になっています。介護職全体では8.2時間となっていて、イメージよりも少なく感じた方も多いのではないでしょうか。
介護業界では36協定や人材確保のため、労働環境の改善が行われています。しかし、人手不足に悩んでいる介護施設も少なくないため、従業員が減ってしまうと業務負担が増えて残業時間が増える可能性もあります。
今回のデータはあくまでも平均値なので、介護施設や地域によって残業時間に差があることは理解しておきましょう。
36協定とは
36(サブロク)協定とは、労働基準法第36条によって定められた労使協定のことです。時間外労働や休日労働の上限を月45時間・年360時間に定めていて、超えた場合は企業に罰則が課される可能性もあります。
また、長時間労働をさせることで、離職率が高くなってしまったり従業員の健康に悪影響を与えることも多いです。ワークライフバランスを意識した働き方ができるように、36協定を破らないような業務管理を行いましょう。
サービス残業もしている?
基本的にサービス残業は労働基準法に違反するため、介護施設はサービス残業をさせないような取り組みを行っているはずです。しかし、口コミサイトなどを確認するとサービス残業を行っている口コミもあるので、注意が必要です。
残業時間が少なかったりしっかりと残業手当をつけてくれる企業は多いので、サービス残業を強制するようないわゆるブラック企業には気を付けましょう。
介護職の残業が多い理由
介護職の残業が多くなる理由としては、次のような点があります。
削減できる作業がないか、確認しておきましょう。
利用者の急変やトラブル
終業時間直前に利用者の急変やトラブルがあると、残業せざるをえないこともあります。トラブルの発生時は対応や関係者への報告、後任者への引き継ぎなど多くの業務が発生します。
このようなときは残業をなくすことは難しいかもしれませんが、働いた時間分の残業手当は払ってもらえるような環境づくりに取り組みましょう。
従業員の人手不足
介護業界は、慢性的な従業員の人手不足が問題になっています。従業員の数が不足している介護施設では、残業で対応をしようとして長時間労働になってしまうケースが多いです。
人手不足が解消できるように採用や教育に力を入れている介護施設で働くことで、不必要な残業時間は減らせます。
利用者の送迎に時間がかかる
デイサービスを行っている介護施設では、利用者の送迎業務がかならず発生します。利用者一人ひとりを個別に送迎してまわるため、業務時間の多くを占めることも少なくありません。
送迎ルートを固定したり従業員同士で役割分担を決めたりして、スムーズな送迎をこころがけましょう。
ミーティングや申し送りが多い
ミーティングや申し送りは業務に必要なものですが、必要以上に長時間のミーティングや入力項目の多い申し送りは業務時間を圧迫します。業務を行ううえで問題ない水準を見極めて、適切なミーティングや申し送りを行いましょう。
介護記録の入力
介護業務では利用者のケアを優先して作業するため、介護記録の記入は事後に行うことが多いです。時間が空いてから記入したり入力に手間がかかったりするので、介護記録は作業時間を圧迫します。
残業時間を減らすメリット
残業時間を減らすメリットは、
- 人件費の削減
- 生産性の向上
- スキルアップの時間を確保できる
- 従業員のワークライフバランスの実現
などがあります。それぞれ確認しておきましょう。
人件費の削減
残業時間を減らせば残業手当が減るため、人件費の削減が可能になります。残業時間を減らすために業務効率化も行うので、少ない従業員で多くの利用者をみることも可能です。
人件費の削減ができれば安定した介護施設の経営ができるため、従業員の給与に反映したり設備改善を行ったりもできます。
生産性の向上
残業時間が減ることで従業員は定時での業務終了を意識するため、集中して作業を行えます。定時での終業が定着してくれば、従業員全体のモチベーションも向上して業務効率がよくなる可能性も高いです。
経営者や役職者にとっても毎月の人件費を予想しやすくなったり、従業員のシフトを組みやすくなったりというメリットもあります。
スキルアップの時間を確保できる
残業時間がなくなることで、従業員のスキルアップの時間を確保することも可能です。残業のせいでスキルアップの時間は取りづらかったかもしれませんが、定時退社ができれば個人のスキルを磨いたり資格取得の時間ができたりします。
従業員がスキルアップや資格取得できれば、介護施設にとってもメリットがあります。業務として勉強会を開催したり資格取得を給与アップに反映したりすることで、従業員のモチベーションも上がるためオススメです。
従業員のワークライフバランスの実現
従業員にとっては、終業時間が減って自分の時間を確保しやすくなる点がメリットです。趣味の時間や家族との時間を確保できるようになるため、ワークライフバランスを実現できます。
育児や介護と仕事の両立もしやすくなるので、離職率の低下や採用率の増加にもつながります。従業員が柔軟な働き方のできる制度や環境をつくることで、人手不足の問題が解消できる可能性もあるため積極的に検討してみましょう。
介護業界の残業を減らすには
介護業界の残業を減らすためには、
- 不要な業務の削減
- ICTツールの活用
- 人手不足の解消
- 離職率の低下
などの方法があります。それぞれ具体的に解説するので、取り組みやすい方法から検討してみましょう。
不要な業務の削減
残業を減らすためには、業務の現状を把握して見直すことが大切です。無駄な業務や効率の悪い業務を洗い出して、業務内容の改善や設備や職場環境を見直すことで効率化をはかります。
また、一部の従業員に業務が偏っていないかも、確認しておきましょう。現場の意見を確認して感覚ではなく仕事量や残業時間をみえる化することで、公平な判断が可能になります。
利用者のケアや介護業務を削減することは難しいかもしれませんが、バックオフィスの業務や利用者の満足度に影響しない業務は削減が可能です。成果の少ないミーティングや勉強会は、開催頻度を減らしたり参加人数を減らしたりすることがオススメです。
ICTツールの活用
業務効率化を行うときは、ICTツールの活用も検討してみましょう。介護業界は昔ながらの作業方法が続けられていて、ICT(情報通信技術)を利用している介護施設はまだ多くありません。
ICTツールには、スケジュール管理ツールやコミュニケーションツールなど、さまざまなツールが提供されています。紙や口頭で引き継ぎや申し送りをする場合よりも、時間がかからず伝達ミスも減るため積極的に導入してみましょう。
介護記録などをデータで保管できるようになれば、紙媒体でかかっていた郵送コストや印刷コストも不要になります。ほかにも、介護ロボットやセンサーなどを導入すれば、人件費の削減にもつながるので残業の削減が可能です。
ICTツールは導入コストが高いこともありますが、長期的に考えるとメリットも大きいので介護施設に必要なツールを導入しましょう。
人手不足の解消
残業時間の削減を行うには、人手不足の解消が必要です。介護業界では人手不足に陥っている介護施設も多く、そもそもの従業員が足りていない可能性もあります。
利用者の数に対して従業員の数が足りていない場合は、どれだけ業務効率化を行っても残業時間の削減は難しいので、採用活動に力を入れるなどの対策が必要です。多くの応募をしてもらうためにも、職場環境や労働条件の見直しを行っておくことも大切です。
業務の分担もオススメで、介護職員と介護補助ではっきりと業務内容を分けることでも効率化は可能です。介護以外の業務を介護補助スタッフに担当してもらうことで、介護職員は集中して作業を行えるので業務時間の短縮が可能です。
離職率の低下
介護業界では離職率の高さも、業務時間の増加原因になっています。離職率が高いと従業員が固定できず、採用や教育を常に行う必要もでてくるため業務が増えてしまいます。
だからこそ、従業員とコミュニケーションをとったり、労働条件の見直しを行ったりして、離職しにくい職場づくりに取り組むことが大切です。
離職率を低下させて採用や教育に関わる業務を減らすことで、不要な作業の削減を行いましょう。
まとめ|介護業界も業務の見直しで残業時間の削減
この記事では介護業界の残業時間や残業が多い理由、残業時間を減らすメリットについてご紹介しました。介護業界では人手不足や業務の特性から残業は発生しやすい状況ですが、業務効率化を行うことで改善は可能です。
業務効率化を推進するにはITツールの活用や人手不足の解消、離職率の低下を行うことがオススメになります。少子高齢化の影響でこれから利用者の増加と従業員の人手不足が問題になってくるため、業務効率化を行っていきましょう。
残業時間の削減は従業員のワークライフバランスの実現にもつながるため、積極的な取り組みが必要です。残業時間を減らせれば従業員の柔軟な働き方にも対応しやすくなるため、人手不足の解消にもつながります。
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