
サーバーの管理や更新を担当している方々にとって、「サーバーの耐用年数」は大きな懸念事項ではないでしょうか。本記事では、サーバーの耐用年数に関する基本的な情報から、長持ちさせるためのポイント、リプレイスのタイミング、さらには税務面での注意点まで、幅広く解説していきます。
この記事でわかること
① サーバーの耐用年数と一般的な寿命
② 物理サーバーの管理において税務面で注意すること
③ サーバーを長持ち・安全管理させるポイント
④ サーバーリプレイス時期のサイン
⑤ サーバー管理・運用コスト削減の方法
目次
サーバーの耐用年数は?
サーバーの耐用年数は、その用途や種類によって異なります。ここでは、一般的な指標と法定耐用年数について説明します。
サーバー(その他の電子計算機)
サーバーを含む「その他の電子計算機」の法定耐用年数は5年とされています。これは税務上の基準であり、実際の使用可能期間とは異なる場合があります。
パーソナルコンピュータ(サーバーを除く)
パーソナルコンピュータの法定耐用年数は4年です。ただし、これはサーバーを除く一般的なPCの場合です。ただし、使用頻度や目的によって変わるため、高負荷の作業用PCはより短く、単純作業用なら5年以上使用することもあります。
参照:国税庁_主な減価償却資産の耐用年数表_<器 具・備 品>_事務機器、通信機器


サーバーの寿命は?
実際のサーバーの寿命は、使用環境や負荷によって大きく変わります。一般的には3〜5年程度で更新を検討することが多いですが、適切な管理を行えば5年以上使用することも可能です。サーバーをより長く使うためのポイントについては後述いたします。
3〜5年間の使用を経てサーバーの寿命が尽きると、性能が低下したり、故障が発生したりするリスクが高まります。そのため、サーバーの寿命を把握し、適切な時期にリプレイスすることが重要です。万が一、サーバーの故障によってデータの復旧が必要な場合はサーバーのデータ復旧専門家への相談を検討しても良いでしょう。
▼ サーバーの処分方法について解説した記事はコチラ ↓
サーバー処分の方法や注意点を解説!
税務面で注意すること
サーバーの耐用年数を考える上で、税務面での知識も重要です。
法定耐用年数の確認
先ほど触れたように、物理サーバーの法定耐用年数は一般的に5年です。例えば、100万円のサーバーを購入した場合、*毎年20万円を減価償却費として計上できます。ただし、用途や構成によって耐用年数が異なる場合があるため、正確な年数は税理士や税務署に確認するのが賢明です。適切な耐用年数の適用は、適正な経費計上と納税額の算出につながります。
*定額法の場合
減価償却方法の選択
前述した通りサーバーを購入した場合、その費用を一定期間にわたって償却することができます。償却方法は、定額法と定率法の2種類があります。定額法は、毎年同じ金額を償却する方法です。定率法は、毎年残存価額に対して一定の割合を償却する方法です。どちらの償却方法を選択するかは、企業の経営状況や税務上のメリットなどを考慮して決定する必要があります。
リース契約の取り扱い
サーバーをリース契約で導入する場合、リース期間が耐用年数に影響を与えることがあります。リース期間が耐用年数よりも短い場合は、リース期間終了後にサーバーを返却するか、買い取るかの選択を迫られます。リース期間が耐用年数よりも長い場合は、リース期間中にサーバーが陳腐化する可能性があります。
このようにリース契約を検討する際には、耐用年数とリース期間の関係をしっかりと確認する必要があります。また、リース契約が*ファイナンスリース(所有権移転リース)かオペレーティングリース(所有権移転なしリース)かによって、減価償却の方法や費用計上のタイミングが異なるため、税務面での影響も考慮する必要があります。
*ファイナンスリースの場合、リース資産を自社の固定資産として計上し、減価償却を行います。一方、オペレーティングリースの場合は、リース料を毎期の費用として計上します

サーバーを長持ちさせるために
サーバーは精密機器に分類されるように、長く使用するためには適切な管理が欠かせません。以下では、いくつかの重要なポイントを解説いたします。
定期的なメンテナンス
サーバーを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。メンテナンスには、ハードウェアの点検・清掃、ソフトウェアのアップデート、セキュリティ対策などがあります。具体的には、冷却システムの点検や埃の除去、ディスクのクリーンアップ、ファームウェアのアップデート、セキュリティパッチの適用などが含まれます。
定期的なメンテナンスを行うことで、サーバーの故障を予防し、安定稼働を維持することができます。また、メンテナンスの記録を残すことで、将来的なトラブルシューティングや計画的な更新作業にも役立ちます。
適切な環境管理
サーバーは、温度や湿度、埃などの環境に影響を受けやすい機器です。そのため、サーバーを設置する場所の環境管理が重要です。適切な温度(推奨範囲:18〜27℃)や湿度(推奨範囲:40〜60%)を保ち、埃の侵入を防ぐことで、サーバーの寿命を延ばすことができます。
具体的には、エアコンや加湿器・除湿器を使用して温度と湿度を管理し、空気清浄機やフィルターを設置して埃を除去することが効果的です。また、定期的にサーバールームの清掃を行い、ケーブルや配線の整理整頓を心がけることも重要です。これらの環境管理を徹底することで、サーバーの安定稼働と長寿命化を実現できます。

サーバーを安全に管理するためのポイント
サーバーの寿命を延ばすだけでなく、安全に運用することも長期的な管理を目指す上で重要です。
アクセス制御の強化
物理サーバーの安全管理には、アクセス制御の強化が重要です。例えば、サーバールームへの入室を許可された人員のみに制限し、ICカードや生体認証を導入します。また、サーバーへのリモートアクセスには強力なパスワードと多要素認証を義務付けます。
未使用のネットワークポートは無効化し、管理者アカウントの使用を最小限に抑えることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。さらに、アクセスログを定期的に監視し、異常なアクセスが検出された場合には迅速に対応する体制を整えることも重要です。これらの対策を講じることで、物理サーバーの安全性を高めることができます。
定期的なセキュリティアップデート
物理サーバーの安全管理には、新たに発見された脆弱性からサーバーを保護するという観点で定期的なセキュリティアップデートが不可欠です。
例えば、OSやソフトウェアの最新パッチを適用することで、既知の脆弱性を修正し、不正アクセスやマルウェア感染のリスクを低減できます。また、ファームウェアの更新も重要で、ハードウェアレベルのセキュリティ強化が図れます。これにより、サーバーの安定稼働とデータの安全性を確保することができます。
バックアップとリカバリ計画の実施
物理サーバーの安全管理には、バックアップとリカバリ計画の実施が不可欠です。例えば、毎日増分バックアップを行い、週に1回フルバックアップを実施します。バックアップデータは、オンサイト(社内)とオフサイト(外部)の両方に保存し、災害時にも復旧できるようにします。
また、定期的にリカバリテストを行い、実際に復元できることを確認します。さらに、バックアップスケジュールや保存期間を明確に定め、古いバックアップデータの適切な管理も重要です。これにより、データ損失のリスクを最小限に抑え、迅速な業務復旧が可能になります。

サーバーの入れ替え・リプレイス時期のサイン
以下のような兆候が見られたら、サーバーのリプレイス(入れ替え)を検討する時期かもしれません。押さえておきたいサインについて詳しく解説していきます。
耐用年数が迫ってきた時
サーバーの耐用年数である5年が近づいたら、リプレイスを検討する時期です。例えば、4年目に入ったら計画を立て始め、予算確保や新システムの設計を行います。5年目には試験運用を実施し、動作確認後に本番環境へ移行します。並行運用期間を設けることで、安全に新サーバーへの移行を完了できます。
早めの準備で、業務への影響を最小限に抑えられます。また、サーバーのパフォーマンス低下やハードウェアの故障頻度が増加する兆候もリプレイスのサインです。これらの兆候を見逃さず、適切なタイミングでのリプレイスを行うことが重要です。
サーバーの調子が悪い状態が続く
サーバーの動作が遅くなったり、頻繁にエラーが発生したりする状態が続く場合、リプレイスを検討すべき時期です。例えば、アプリケーションの応答が遅い、再起動が頻繁に必要、ディスクエラーが増加するなどの症状が見られます。このような兆候が現れたら、まず現状分析を行い、ハードウェアの状態やパフォーマンスを評価します。その結果に基づいて、新サーバーの仕様を決定します。
その後、移行計画を立て、テスト環境での検証を経て、本番環境への移行を実施します。並行運用期間を設けることで、安全に新サーバーへの移行を完了できます。早めの準備で、業務への影響を最小限に抑えられます。
サーバーの処分方法や注意点について
OSのバージョンが古い
OSのバージョンが古くなると、サーバーリプレイスの時期です。例えば、Windows Server 2012のサポートが2023年10月に終了する場合、1年前の2022年10月頃から計画を立て始めます。新しいOSの選定、ハードウェアの検討、アプリケーションの互換性確認を行い、テスト環境での検証を経て、段階的に新環境へ移行します。計画的なリプレイスで、セキュリティリスクを回避し、新機能も活用できます。
また、サポートが終了したOSはセキュリティパッチが提供されなくなるため、脆弱性が放置されるリスクが高まります。これを避けるためにも、適切なタイミングでのリプレイスが重要です。

サーバーの管理・運用コストを削減するには?
クラウドサーバーの活用
クラウドサーバーは、インターネットを通じてサーバーを利用できるサービスです。以下では、クラウドサーバーを利用することで、サーバーの管理・運用コストを削減する方法をサーバーの「管理」と「運用」に分けてわかりやすく解説していきます。
管理コストの削減
オンプレミスサーバーの管理には、人材(専門人材)や時間、費用(空調代など)がかかります。そこでクラウドサーバーを利用することで、サーバーの管理を外部に委託することができ、管理コストを削減することができます。以下では、管理コスト削減の2つのポイントをご紹介します。
物理的な管理作業からの解放
オンプレミスサーバーの管理で必要だった、「物理的な管理作業」がクラウドサーバーでは必要ありません。「物理的な管理作業」はクラウドプロバイダー(AWSやAzure)が対応するため以下のような管理作業から解放されます。
【クラウドサーバーの活用で不要になる管理作業】
・サーバーの設置場所の確保
・メンテナンス
・故障対応
・サーバーの電源管理
・サーバーの冷却 etc...
設備投資の最適化
クラウドサーバーを利用すると、高額なサーバー機器の購入が不要になります。クラウドプロバイダーが提供するサーバーを必要な時に必要な分だけ利用でき、事業の成長に合わせて柔軟にリソースを調整できます。
そのため、急な需要増加にも迅速に対応でき、逆に使用量が減れば費用も抑えられます。このようにクラウドサーバーを活用することで、初期投資を抑えつつ、プロバイダーが提供する最新の設備や技術を利用できるため、設備投資の最適化が図れます。

運用コストの削減
サーバーの運用には、電気代、通信費、保守費用など、様々な費用がかかります。クラウドサーバーを利用することで、これらの運用コストを削減することができます。以下では、運用コスト削減のポイントをご紹介します。
従量課金制のメリットを活かす
「管理コストの削減」でも少し触れたように、クラウドサーバーは、使った分だけ支払う仕組み(従量課金制)です。繁忙期には必要な分だけリソースを増やし、閑散期には減らすことで、コストを最適化できます。
このように、固定費用が発生するオンプレミスと違い、需要に応じて柔軟に対応できるため、無駄な支出を抑えられます。また、短期プロジェクトや実験的な取り組みにも、低コストで挑戦できるメリットがあります。
一方で、従量課金が故に急な需要によって想定しているコストよりも高くなってしまう可能性もあります。そのような状況を未然に防ぐためにAWSでは以下のような予算管理ツールも提供されています。
・AWS Cost Explorer
・AWS Budgets
参照:AWSのコスト管理ツール一覧

オンプレミスとクラウドサーバーのコスト比較
オンプレミスの耐用期間(5年)に合わせたコストをクラウドサーバーにかかるコストと比較してみました。下記はコスト比較にあたり前提となる条件です。
費用項目 | オンプレミス(5 年間) | クラウド (AWS EC2) (5 年間) | 前提 |
---|---|---|---|
ハードウェア購入費 | ¥500,000 | ¥0 | 初期一括。5 年は継続利用と想定 |
ソフトウェアライセンス費 | ¥100,000 | ¥0 | 商用 OS/ミドルウェアは買切り、クラウドは OSS/ライセンス込み |
サーバー設置場所費 | ¥300,000 | ¥0 | データセンター利用料 5,000円/月×60 ヵ月 |
インターネット回線費 | ¥300,000 | ¥167,000 | 帯域保証型 5,000円/月×60 ヵ月。クラウドは回線料不要だが ENI/固定IP を最小限利用 |
電気代 | ¥150,000 | ¥0 | 150 W×8,760h×5 年×27円/kWh(日本平均) |
ストレージ費用 | ¥50,000 | ¥36,000 | オンプレは増設用 HDD 5 TB×10円/GB、クラウドは gp3 40 GB/×60 ヵ月×$0.10/GB |
データ転送費用 | ¥0 | ¥133,000 | インターネット向け 1 TB/月×60 ヵ月×$0.09/GB |
セキュリティ対策費 | ¥100,000 | ¥83,000 | FW/IDS 更新料と AWS WAF 最小プラン相当 |
バックアップ費用 | ¥67,000 | ¥50,000 | オンプレは HDD+ソフト、クラウドは EBS Snapshot 40 GB/月 |
5 年間合計 | ¥1,567,000 | ¥469,000 | 運用・保守費用を除外した純粋な設備・サービスコスト |
運用・保守費を除いた単純な設備・サービス費だけで見ると、今回のモデルではクラウドが低コストに見えます。しかし データ転送量・ストレージ利用量・可用性要件 次第で差は容易に逆転します。またオンプレは初期投資が高いものの、データ大量配信や厳格なガバナンス要件では依然優位を保ちます。最終判断には、①自社のワークロード特性、②金銭的なリソース/運用ポリシー、③リスク許容度を踏まえて比較検討されることをお勧めします。
オンプレミスからクラウドサーバーへ移行する際に多くみられるケース
近年はオンプレミス環境からクラウド環境へサーバーを移行する企業が増えていますが、その際によく見られるパターン・ユースケースがあります。自社システムをすべて一度にクラウドへ切り替えるのではなく、用途や状況に応じて段階的・選択的にクラウドを活用するといった例です。ここでは、オンプレミスからクラウド移行でよく挙がる代表的なケースをいくつか紹介します。
開発・検証環境
開発やテスト用の環境をクラウドに移行・新設するケースは非常に多く見られます。開発・検証環境は本番ほどの高負荷は不要で、必要なときだけ起動できれば良いという性質があります。そのため、自社でサーバーを抱えるよりクラウド上に都度立ち上げる方がコスト効率と柔軟性に優れます。
例えば、新しいシステム開発プロジェクトで開発サーバーが必要になった際、オンプレミスでは物理サーバーの手配やネットワーク設定に時間がかかりますが、クラウドなら数分で仮想サーバーを用意できます。テスト規模に応じてサーバー台数を増減することも容易ですし、プロジェクト終了後にはサーバーを削除して課金を止めることもできます。
加えて、本番と同様の構成をクラウド上に再現してステージング環境を用意し、本番リリース前の最終検証を行うケースもあります。オンプレ本番+クラウド検証環境というハイブリッドな形です。こうすることで、本番サーバーに影響を与えず安全にテストができます。
季節/キャンペーンによる一時的アクセス集中
自社サービスやECサイトなどで、繁忙期やキャンペーン時のみアクセスが急増するようなケースでは、クラウドを使った一時的なリソース拡張がよく活用されます。平常時はオンプレミスのサーバーで十分さばけているが、特定の時期だけ大規模な負荷がかかる。こうしたパターンは多くの企業で見られます。例えば、小売業で年末セール時にECサイトのアクセスが何倍にも増える、期間限定キャンペーンでユーザートラフィックが集中する、イベント応募開始直後にアクセスが殺到する、などです。
このような一時的ピークに備えてオンプレミス側でサーバー増強すると、ピーク以外の時期にはその設備が遊んでしまいコスト的に無駄が生じます。そこで、「繁忙期でアクセス集中する期間のみクラウドを活用して負荷分散する」という方法が取られるわけです。
グローバル配信・多拠点展開
自社サービスをグローバルに提供したり、社内システムを複数拠点で利用するケースでも、クラウド移行がよく見られます。オンプレミスでサーバーを運用していると、一つのデータセンターに集中配置することが多く、海外からのアクセス時に遅延が大きくなったり、遠隔地の支社から利用する際にパフォーマンスが低下したりしがちです。そこでクラウドの世界中に分散したデータセンターを活用し、ユーザーに近い場所でサーバーリソースを提供することで、通信遅延を大幅に改善できます。
例えば、コンテンツ配信(WEBサイトや動画など)を北米・ヨーロッパ・アジアそれぞれの地域に応じてクラウドの各リージョンから配信するようにすれば、どの地域のユーザーにも快適なレスポンスを提供できます。オンプレミスでそのようなことを実行しようとすると、各地域にデータセンターを設ける必要があり莫大な投資になりますが、クラウドなら既存のリージョンにデプロイするだけです。さらにCDN(Content Delivery Network)のようなクラウドサービスを利用すれば、世界各地のエッジサーバーからコンテンツ配信が可能になり、地理的距離による遅延をほぼ意識しなくて済みます。
災害対策(DR/BCP)環境
災害対策(DR:ディザスタリカバリ)や事業継続計画(BCP)目的でクラウドを活用するケースも一般的です。オンプレミス環境のみだと、万一自社データセンターが被災・停電した場合に全システムが停止してしまうリスクがあります。そこでクラウドにバックアップサイトや待機系システムを用意しておき、災害時に素早く業務を再開できるようにするのです。
自社で予備の遠隔地データセンターを用意しようとすると大変ですが、クラウドなら既に複数地域に環境があり、使った分だけ費用を払えば良いので、BCP目的でも導入しやすいのです。このように、クラウドは「いざという時の保険」としても最適です。
単体LAMP構成のWebサイト移行
比較的シンプルな構成のシステム、例えば1台のサーバー上で完結するLAMP構成(Linux+Apache+MySQL+PHP)のWebサイトなどは、クラウド移行の入り口としてよく選ばれます。企業のコーポレートサイトや中小規模のWebサービスで、サーバー台数が少なく単純構成なものは、クラウド上の仮想サーバーやPaaSに載せ替えるのが容易です。
具体例を挙げると、これまで社内のラックに設置した1台のLinuxサーバーでホームページを運用していたケースを考えます。この1台にWebサーバー(Apache)とDB(MySQL)が入っており、PHPのCMSが動いているとします。
これをAWSなどに移行する場合、EC2という仮想マシン上に同様のLAMP環境を構築してデータを移せば完了します。IPアドレスを新サーバーに向ければ運用切替も比較的簡単です。大きなアーキテクチャ変更を伴わずリフト&シフト(現行をそのままクラウドへ持ち上げる)できる典型例です。
ハイブリッド構成による段階的な移行
最後に、ハイブリッドクラウド構成を取り入れた段階的なクラウド移行ケースについて触れます。既存のオンプレミス環境が大規模だったり、すべてを一気に変えるのはリスクが高かったりする場合、オンプレとクラウドを併用するハイブリッドクラウドで徐々に移行を進める戦略が有効です。
例えば、まずは非クリティカルなシステム(開発環境や一部のWebアプリ)をクラウドに移し、オンプレミスと安全に接続して共存させます。次に、負荷の一部をクラウドにオフロードするような仕組みを導入し、徐々にクラウドへの依存度を高めます。
その後、メインの業務システムについても新規機能はクラウド上で構築するなどして、段階的にクラウド側にシステムを移行させていきます。最終的には、コアなデータベースだけオンプレに残すであったり、一部はプライベートクラウドで残しつつフロントはパブリッククラウドに移管する、といったハイブリッド/マルチクラウド体制に移行することも考えられます。
このようなハイブリッド構成のメリットは、オンプレの良さ(既存投資の活用や機密データ管理)とクラウドの良さ(拡張性・コスト柔軟性)を組み合わせ、「いいとこ取り」ができる点です。一方で、システム全体が複雑化しがちで、クラウドとオンプレ両方の知識が要求されるというデメリットもあります。
ハイブリッドクラウドについて詳細に解説した記事
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AWS導入支援会社8社の徹底比較!具体的なサポート内容と選定方法を解説
ハイブリッド構成の事例(AWS)

日本航空(JAL)は、オンプレミスとAWSを組み合わせたハイブリッドクラウド基盤「CIEL」を構築しました。この構成により、重要なシステムは社内サーバーに残しつつ、新しいサービスや柔軟性が必要な部分はAWSで運用しています。
例えば、顧客対応システムをAWSに移行し、セキュリティを確保しながらコスト削減を実現しました。また、需要に応じてリソースを調整できるため、一部のシステムでは運用コストを50%削減できました。このハイブリッド構成により、安全性と効率性を両立しています。
参照:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/jal-nec/
以上、サーバーの耐用年数の解説をしつつ、長持ちのポイントやリプレイスの時期についてご紹介しました。現状のオンプレミスサーバーの使用年数の振り返りやサーバーの入れ替えやクラウドサーバーへの移行などのきっかけやヒントになりますと幸いです。弊社クロジカでは、通常20万円から100万円ほどかかるオンプレミスからクラウドサーバーの移行を無料で承っております。段階的な移行の相談などの壁打ちは無料で承っておりますのでお気軽にご相談くださいませ!
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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