サーバー保守はビジネスのITインフラを支える重要な作業です。本記事では、サーバー保守の概要から具体的な業務内容、さらには保守の方法や費用相場まで、詳しく解説します。
この記事でわかること
① サーバー保守の基本的な概念と「サーバー運用」との違い
② サーバー保守で行うべき範囲と業務内容
③ サーバー保守の取り組み方法と外注する際の費用相場
サーバー保守とは?
サーバー保守について、基本的な概念と保守と運用の違いについてご紹介します。
サーバー保守の概要と基本
サーバー保守とは、サーバーが安定的に稼働し続けるように、定期的な点検やメンテナンス、障害対応などを行う活動です。我々が日々の生活の中で利用する水や電気などと同様に、企業や組織にとってサーバーは重要なインフラであり、その安定稼働はビジネスの継続性や顧客満足度に直結します。
そのため、サーバー保守はシステムの安定稼働を維持し、予期せぬトラブルやダウンタイムを最小限に抑えるために不可欠です。
保守と運用の違い
サーバー保守と運用は、密接に関連していますが目的などで違いがあります。保守は、サーバーが正常に動作し続けるための予防的な活動であり、運用は、サーバーを実際に稼働させ、サービスを提供するための活動です。以下では保守と運用それぞれの具体例をご紹介します。
保守:主にトラブル対応や復旧など、問題が発生した際の対処
・ハードディスクが故障した際の交換作業
・システムがクラッシュした際の復旧作業
・セキュリティ脆弱性が見つかった際のパッチ適用
運用:日常的な管理や監視を行い、予見される問題を予防
・サーバーリソース(CPU、メモリ、ディスク容量)の使用状況監視
・ログファイルの定期的な確認と分析
・定期的なバックアップの実施と管理
このように、保守がトラブルの解決を主目的とするのに対し、運用は効率的なシステム利用によりユーザーからの要求に滞りなく応える役割を担います。
サーバー保守がなぜ必要なのか
サーバー保守が必要な理由について、代表的な3つの理由を詳しく見ていきましょう。
システムの安定稼働を行うため
サーバーは、企業や組織の業務システムやウェブサイトなど、様々なサービスの基盤となっています。サーバーが停止したり、不具合が発生したりすると、業務が滞り顧客にサービスを提供できなくなります。サーバー保守を行うことで、システムの安定稼働を維持し、このような事態を未然に防ぐことができます。
企業(ブランド)のイメージダウンを防ぐため
サーバーが停止したり、不具合が発生したりすると顧客やユーザーに大きな影響を与え、企業のイメージダウンにつながる可能性があります。特に、ウェブサイトやオンラインサービスの場合、サーバーの停止は、顧客の離反や売上減少に直結する可能性があります。サーバー保守を行うことで、システムの安定稼働を維持し、企業のイメージダウンを防ぐことができます。
セキュリティ対策のため
サーバーは、様々な情報資産を保管しているため、セキュリティ対策が非常に重要です。サーバー保守には、セキュリティ対策も含まれており、定期的なセキュリティチェックや脆弱性対策などを行うことで、サーバーへの不正アクセスや情報漏洩を防ぐことができます。
サーバー保守の範囲と業務内容は?
続いては、サーバー保守の具体的な範囲と、保守対象となるサーバーの種類について説明いたします。
サーバー保守の範囲
サーバー保守の範囲は、自社のセキュリティレベルや外注時の保守契約の内容によって異なりますが、一般的には、以下の項目が含まれます。
ハードウェアの保守
サーバー本体、ネットワーク機器、ストレージなどのハードウェアの点検、修理、交換など
ソフトウェアの保守
オペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーションなどのソフトウェアのアップデート、パッチ適用、設定変更など
セキュリティ対策
ファイアウォール、ウイルス対策ソフトなどのセキュリティ対策ソフトの導入、設定変更、定期的なセキュリティチェックなど
パフォーマンス管理
CPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/O性能の最適化、負荷分散の最適化など
障害対応
サーバーに障害が発生した場合の対応、復旧作業など
バックアップ管理
定期的なデータバックアップと復旧テスト、復旧手順の策定など
保守対象のサーバーの種類
サーバー保守の対象となるサーバーは、前述した保守の範囲と同様に様々な種類があります。以下では保守対象となる各サーバーについて詳しく見ていきましょう。
Webサーバー
Webサーバーは、インターネット上でウェブサイトを表示するための重要な基盤です。主な役割は、ユーザーがブラウザでアクセスした時に、ウェブページの内容を送信することです。企業のホームページや、オンラインショップ、ブログなど、私たちが日常的に利用するほとんどのウェブサイトは、このWebサーバーによって支えられています。
定期的なメンテナンスやセキュリティ対策といった保守を行うことで、サイトの安定稼働を確保し、顧客満足度の維持やビジネスの継続性を保つことができます。
データベースサーバー
データベースサーバーは、大量の情報を効率的に管理・保存するための専用コンピューターです。例えば、オンラインショップの商品情報や、SNSのユーザーデータなどを整理して格納します。
企業の顧客管理システムや、図書館の蔵書検索システムなど、多くのサービスで使われており、必要な時にすぐに情報を取り出せるように支えています。データの整合性維持やセキュリティ確保、パフォーマンス最適化のため、定期的な保守が欠かせません。
メールサーバー
メールサーバーは、電子メールの送受信を管理する専用のコンピューターです。主な役割は、送信されたメールを一時的に保管し、受信者のメールボックスに届けることです。企業や学校の公式メールアドレス、個人で利用するGmailなどのサービスも、このメールサーバーを使っています。常に安定したメール配信を確保し、スパムやウイルスからの保護を行うため、定期的な保守が求められます。
ファイルサーバー
ファイルサーバーは、様々なデジタルファイルを集中管理するための専用コンピューターです。主な役割は、文書、画像、動画などのファイルを安全に保存し、必要な時にアクセスできるようにすることです。企業では社内文書の共有や、チームでのプロジェクト管理に利用されます。
クラウドストレージサービスも一種のファイルサーバーで、個人や組織のデータを効率的に管理・共有する手段として広く使われています。ファイルサーバーは重要なデータを扱うため、情報漏洩などのリスクを最小限にするためのセキュリティ対策や定期的なバックアップが必要です。
ネームサーバー
ネームサーバーは、インターネット上の住所案内係のような役割を果たす専用コンピューターです。主な仕事は、ウェブサイトの名前(ドメイン名)をコンピューターが理解できる番号(IPアドレス)に変換することです。例えば、「www.example.com」と入力すると、そのサイトがどこにあるか教えてくれます。このように、インターネット全体の円滑な通信を支えるため、常に安定した稼働が求められます。
サーバー保守の業務内容
サーバー保守の範囲と対象となるサーバーを理解いただいたところで、続いてはサーバー保守の具体的な業務内容を解説いたします。
障害や不具合への対応
サーバー保守の重要な業務の一つに、障害や不具合への対応があります。サーバーに障害が発生した場合、迅速かつ適切な対応を行うことで、ダウンタイムを最小限に抑え、業務への影響を軽減することができます。障害対応には、原因の特定、復旧作業、再発防止策の実施などが含まれます。
- 24時間365日のモニタリング
- 障害発生時の迅速な対応と復旧
- 障害原因の分析と再発防止策の実施
システムのメンテナンス
サーバーの安定稼働を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。メンテナンスには、ハードウェアの清掃、ソフトウェアのアップデート、セキュリティ対策など、様々な作業が含まれます。メンテナンスを行うことで、サーバーの性能低下やセキュリティリスクを抑制することができます。
- 定期的なハードウェア点検
- ディスク容量の管理
- パフォーマンスチューニング
システムのアップデート
サーバーのソフトウェアは、セキュリティ・パフォーマンスなどの観点から常に最新の状態に保つ必要があります。ソフトウェアのアップデートには、セキュリティパッチの適用や新機能の追加などが含まれます。アップデートを行うことで、セキュリティリスクを軽減し、サーバーの機能を向上させることができます。
- OSやアプリケーションの更新
- セキュリティパッチの適用
- 新機能の追加や改善
バックアップ計画の策定と実行
サーバーのデータは、重要な情報資産であり、万が一の災害や障害に備えて、定期的にバックアップを取ることが重要です。バックアップ計画には、バックアップ対象データ、バックアップ方法、バックアップ頻度、復旧手順などが含まれます。
- バックアップポリシーの策定
- 定期的なバックアップの実行
- バックアップデータの保管と管理
- 復旧テストの実施
サーバー保守はどのように行う?
インフラエンジニアを雇用する
サーバー保守を自社で行う場合は、インフラエンジニアを雇用する必要があります。インフラエンジニアは、サーバーのハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどの知識と経験を持ち、サーバー保守に必要な業務を遂行することができます。ただし、インフラエンジニアの採用には、人材探し、採用コスト、教育コストなどが発生します。
メリット:
- 社内の状況に精通した対応が可能
- セキュリティ管理が徹底しやすい
デメリット:
- 人件費が高額
- 24時間365日の対応が難しい
専門企業へ外注をする
サーバー保守を専門企業に外注する場合は、専門知識と経験を持つエンジニアが、サーバー保守業務を代行してくれます。外注することで、自社でインフラエンジニアを雇用するよりも、コストを抑え、専門性の高いサービスを受けることができます。
メリット:
- 専門的な知識と経験を活用できる
- 委託企業によっては、24時間365日の対応が可能
デメリット:
- 社内常駐ではないため、コミュニケーションのラグが生まれる
- 自社の保守要件が明確でない場合、細かな部分まで保守されない可能性がある
クラウドサービスを利用する
クラウドサービスを利用する場合は、クラウドサービスプロバイダーがサーバーの保守、運用、セキュリティ対策などを全て行います。クラウドサービスを利用することで、自社でサーバーを管理する必要がなくなり、コスト削減や運用効率の向上を実現することができます。
メリット:
- オンプレミス環境のように設備を用意する必要がないため、初期投資が少ない
- 一時的にスペックアップを行えるなど、スケーラビリティ(拡張性)が高い
デメリット:
- 最適な保守を行うために、各クラウドサービスに紐づいた専門知識が求められる
- データの管理場所に制約がある場合がある
サーバー保守を外注する際の相場
ここまでで、サーバー保守を内製で取り組む際は莫大な業務量があり、それに伴う人的リソースの確保の必要性を感じられた方は多いのではないでしょうか。そこで以下では、業務負担を軽減しつつ、人的リソース確保にも悩まされない、「サーバー保守外注」を行う際の費用相場について、オンプレミスとクラウドの場合に分けて解説します。
オンプレミスサーバー保守外注の費用相場
オンプレミスサーバーの保守を外注する際の費用相場は、サーバーの規模や複雑さ、要求されるサービスレベルによって大きく異なります。一般的な相場として、月額10万円から100万円程度の幅があります。
- 初期設定費:50万円〜300万円程度(設備調達やサーバースペックによって変動)
- 月額保守費:5万円〜30万円程度(サーバー台数や構成によりますが、一般的にサーバー構築費用の10~20%が相場と言われています)
▼ 主にオンプレミスサーバーの保守費用の内訳を解説した記事はコチラ ↓
サーバー保守の具体的な費用相場とは?コスト削減方法まで解説!
クラウドサーバー保守外注の費用相場
クラウドサービスの場合、物理サーバーやデータセンターなどの基本的なインフラ保守はクラウドプロバイダー(AWSやMicrosoft Azure)が行いますが、アプリケーション・ミドルウェア・OSなどの運用保守は委託業者が担います。以下では、一般的な費用相場を記載いたします。
- 初期設定費:10万円〜30万円程度(オンプレミスからの移行や既存のクラウドからの移行など条件により変動)
- 月額保守費:3万円〜30万円程度{利用するクラウドサービスの規模(サーバー台数やセキュリティオプション、負荷分散などのオプション)による}
▼ クラウドサーバー保守会社5社の比較解説をしている記事はコチラ ↓
クラウド保守の範囲や注意点まで解説、クラウド保守会社 5社の比較も!
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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