こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
トラブルへの事前対策をおこないたいが、どのように危機管理やリスクマネジメントをおこなえばいいのか、そもそも2つはどう違うのかなど悩んでいませんか。危機管理は「対処法」で、リスクマネジメントは「予防案と対策案の構築」のことであり、危機管理も含まれています。
リスクマネジメントは、トラブルの予防に加えて、業務効率化にもつながります。危機対策だけではなく、日常業務へも良い影響が多くあるのです。そこで今回は、リスクマネジメントのメリットや実施するうえで大切なことを詳しく解説します。
目次
リスクマネジメントと危機管理の違い
ここでは、リスクマネジメントと危機管理の違いについて解説します。
危機管理は危機への対処法に特化し、リスクマネジメントは危機を予防できることが大きな違いです。リスクマネジメントではリスクの洗い出しから予防案、対策案の構築をおこないます。
このため、危機管理はリスクマネジメントに含まれます。適切なリスクマネジメントのために、双方の目的を正しく理解しましょう。
危機管理とは
危機が発生した場合の対応が、危機管理です。危機には災害、事故、不祥事などさまざまな種類があります。
危機管理は「危機が発生した場合の対応」に特化しており、被害を最小限に抑える策を策定します。仮に危機が発生した場合どう対処するか、という考え方が求められます。
たとえば、食品業者で異物混入が発生した場合は、出荷を停止し商品回収をおこなうでしょう。危機(異物混入)が発生すると対策(出荷停止・商品回収)をおこなう、この一連の流れを事前に策定しておきます。危機管理は、災害等が発生したあとの「対処法」であることが特徴です。
リスクマネジメントとは
リスクマネジメントでは、リスクを洗い出して事前に予防案や対策案を構築しておきます。危機管理との大きな違いは、リスクを「予防」できることです。
データの受け渡しで考えてみましょう。外部記憶媒体でデータを受け渡しするのは、外部記憶媒体の紛失による情報漏洩というリスクがあります。これを予防するために、データの外部記憶媒体を使用できない仕組みにします。このように、リスクマネジメントではリスクを予防することができます。
危機管理はリスクマネジメントの一部でもある
リスクマネジメントでは、予防できない問題に対して事前に対策案を策定します。この「事前に対策案を策定」することが危機管理です。
危機管理はリスクマネジメントの一部です。分けて考えるのではなく、リスクマネジメントの一環として取り組みましょう。
しかし、リスクマネジメントの中でも危機発生後の対応は重要です。危機管理専門のチームを構築するのもいいでしょう。
リスクマネジメントのメリット
ここでは、リスクマネジメントの5つのメリットについて解説します。
- リスク予防で業務が効率化できる
- スケジュール管理につながる
- 被害が最小限に収まる
- 早く危機から回復できる
- 正しい判断ができる
どれも事業の運営に良い影響を与えます。メリットを理解し、前向きにリスクマネジメントを実施しましょう。
リスク予防で業務が効率化できる
リスクを予防することで、トラブルを回避でき業務効率化につながります。
リスクマネジメントでは、重大な危機から日常的なリスクまで洗い出し、予防・対策をおこないます。そのため、トラブル対応などの業務を減らすことができ、業務の効率が上がります。
たとえば、「家具の組み立て方法がわかりにくい」というクレーム対策のために、イラスト付きの説明書をつけます。その結果、説明書にイラストを付けるという事前の作業は増えても、クレーム応対時間は減らすことができ、顧客満足度の低下を防ぎつつ業務効率化を狙えます。このように、リスクマネジメントで業務を減らすことが可能です。
スケジュール管理につながる
リスクマネジメントをおこなうと、スケジュール管理ができるようになります。
リスク管理をせず、いつ発生するかわからない状況では、トラブル発生時に業務スケジュールを変更する必要があります。通常業務の納期が迫っている状況でトラブルが発生した場合、どちらの対応も遅れてしまうでしょう。
しかし、リスクマネジメントにより「こういう状況ではトラブルが発生しやすいから、事前に通常業務を進めておこう」と対処することができます。こうして、通常時およびトラブル発生時を問わずにスケジュール管理できるのもメリットです。
被害が最小限に収まる
リスクマネジメントにより、被害を最小限に収められます。事前に対応策が決まっているため、対応が後手に回り被害が大きくなってしまうということはありません。また、対応スケジュールが定まっているため、次の一手を早期に打てます。
たとえば、事故への対応として早急に「謝罪する」という最初の手段に加えて、「補償金をいくら支払う」といった踏み込んだことまで同時に発表できれば、下手な憶測を生むことなく最小限の被害で済みます。このように、リスクマネジメントでは被害の拡大を抑えることが可能です。
早く危機から回復できる
早期に危機対応ができるため、危機からの回復が早いです。トラブル発生後も事業を継続するためには、早く通常業務に戻ることが必要です。
リスクマネジメントをおこなわずに場当たり的な対応をし、被害が拡大してしまうと収束に時間がかかります。そして、収束するまでは通常業務を続けるのは難しいでしょう。
事業の目的は危機からの脱出ではなく、回復し継続することです。早期回復のためにも、リスクマネジメントを適正におこないましょう。
正しい判断ができる
リスクマネジメントにより、正しい判断ができるようになります。
場当たり的に対応をしていては、その対処法が適正かどうかを判断できません。間違った対応では、余計な時間や新たなトラブルを生んでしまいます。
しかし、事前のリスクマネジメントにより対応策を構築しておけば、最適で素早い対応ができます。焦って考えた対応策よりも、事前に想定された策は優れているでしょう。
このように、効果的で適切な対処のためにもリスクマネジメントは欠かせません。
リスクマネジメントで大切なこと
リスクマネジメントでは、以下の5点が大切です。
- 危機は必ず発生すると考える
- リスクに優先順位をつける
- 迅速に対応する
- 誠意ある行動を心がける
- 担当チームを決めておく
リスクマネジメントを実施する前に、上記がなぜ大切なのかを理解して取り組みましょう。
危機は必ず発生すると考える
サイバー攻撃や自然災害など、社内管理を徹底しても防ぎきれない危機は多数あります。このように、危機は常に発生するという意識が大切です。人間には「正常性バイアス」があり、多少の異変であれば大丈夫だと先入観を持ってしまいます。
たとえば、パソコン上で「ウイルスに感染している恐れがあります」とメッセージが表示されても、「何かの誤作動だろう」と判断する人もいます。しかし、本当に誤作動かは確認しなければわかりません。
このように、危機意識がないとリスク検知システムがあっても無意味になってしまいます。
リスクに優先順位をつける
優先順位づけは、リスクマネジメントで最も大切です。これを誤ると、適切なリスクマネジメントができません。
優先順位は、影響度と発生確率によって順位をつけます。影響が大きく、発生確率が高いものから順に対策をします。マトリクス図でまとめるとわかりやすいです。
たとえば、個人情報の漏洩のように影響が大きく発生確率が高いものは、優先的に対策が必要です。自然災害のように、影響は大きいが発生確率の小さいリスクもあります。このとき、自然災害よりも個人情報漏洩のリスク対策を優先すべきでしょう。
優先順位を間違えると、リスクマネジメントの目的を果たせません。適切に優先順位をつけましょう。
迅速に対応する
ここからはリスクが発生した場合の対応です。まずは、迅速な対応が求められます。時間が経つほど被害は拡大していきます。
また、不祥事による危機の場合は、憶測が新たな噂を生み、根も葉もない話が吹聴されます。こうなると収束は困難です。被害を最小限に抑えるためにも、迅速に対処しましょう。
誠意ある行動を心がける
社内の不祥事やミスによる危機には、誠意ある行動を心がけましょう。隠ぺいや言い訳は、信用失墜というさらなる被害を生みます。
はじめに謝罪、そして事実の説明をして、すべての質問に答える、こういった誠意ある行動で信用を取り戻すところからはじめましょう。このように誠意を持って対応し、危機が発生したとき以上に信用を失わない対処が必要です。
担当チームを決めておく
リスクマネジメントは、担当チームを決めておくといいでしょう。当事者はまだしも、通常のチームメンバーでトラブル対応をしていては、通常業務がおこなえず滞ってしまいます。
しかし、担当チームを決めておけば、リスクマネジメントの結果を反映させた適切な対応を、迅速におこなうことができます。このように、リスクに備えて担当チームを構築しておくのもリスクマネジメントでは大切です。
リスクマネジメントを実施するために
ここでは、リスクマネジメントを実施するための準備について解説します。リスクマネジメントには、危機意識とリスク情報の2つが必要です。
危機意識がない場合、リスクの認識や対処が不可能です。また、危機意識があってもリスク情報がなければ、予防・対策案の構築ができません。
リスクマネジメント実施にあたって、危機管理意識を持つこととリスク情報の入手は、準備段階で必要です。
危機管理意識を持つ
トップが危機管理意識を持つ、そして従業員にも意識させることが必要です。意識改革にはトップからの働きかけが大切でしょう。
意識することで、何気ない作業の中に含まれるリスクに気付けます。また、危機管理意識がない人は、「リスクがある」と指摘されても、「大丈夫」と根拠なく一蹴してしまいます。このように、危機管理意識を持つことは、リスクを認識し、リスクマネジメントを実施するための重要なポイントになります。
リスク情報を入手する
リスクに対処するためには、的確に情報を入手する必要があります。自社トラブルの場合、事前に情報連絡系統を定めておけば、早期に報告できます。
しかし、災害等のリスク発生時は、情報の入手や精査が困難で時間がかかるでしょう。「FASTALERT」というAI情報収集サービスを利用すれば、自然災害・事件などが発生した場合に、AIが精査した情報を即座に入手できます。
事故発生状況を迅速に把握するために、外部サービスの導入も検討しましょう。
まとめ|リスクマネジメントをして業務を効率化しよう
今回はリスクマネジメントの大切なポイントやメリットについて解説しました。リスクマネジメントは、リスク予防や適正な対処法によって効率よく危機対策ができます。
また、事業を運営する以上、常にリスクは存在します。トップが危機管理意識を持って、従業員の協力を得ながら前向きにリスクマネジメントを実施しましょう。
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