医療施設でのペーパーレス化は難しい?手順とポイントを見極めることが重要

こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。

日本政府による働き方改革やコロナ禍によるリモートワークの普及で、ペーパーレスという言葉を聞く機会も多くなったのではないでしょうか。

ペーパーレスは業務効率化の一環であり、書類や稟議書などの業務フローを電子化することをいいます。

本記事では、一般的なペーパーレス化についてと、医療施設におけるカルテや診療情報のペーパーレス化の可能性について説明していきます。

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、従来紙媒体で行っていた書類管理や決裁、稟議などの業務フローをパソコンやスマホ上で行えるように電子化することです。パソコンが普及した現代、インターネット上でのやり取りが便利になったことで、ペーパーレス化の必要性も増していることでしょう。

働き方改革やデジタル化を推進している日本政府も、人手不足を補うための業務効率化として、ペーパーレス化への環境づくりを始めています。それだけ、日本の社会や企業におけるペーパーレス化の重要性も高まっているのです。

医療施設においても、カルテや処方箋を電子化する動きが見られます。

ペーパーレス化が必要な理由

ペーパーレス化が必要な理由については、まず何より業務を効率化するためだといえます。日本の医療の現場は需要過多な場合が多く、長い時間患者が待たされる光景は日常茶飯事です。しかし、いくら患者が多くても、患者からすれば長い間待たされずスムーズに診療してほしいと思う人が多いでしょう。

また病院にとっても、カルテや処方箋を従来の紙媒体で行っていれば、業績停滞や悪化の原因ともなりかねません。他に電子カルテや処方箋を導入してスムーズな診察ができる病院があれば、そちらに患者が流れてしまう可能性があるからです。

逆にいえば、それらの書類や業務をペーパーレス化することで、業績が一気に改善することもあり得るのです。

ペーパーレス化の一般的なメリット

ペーパーレス化を行うことによって得られる、一般的なメリットをみていきましょう。

コスト・仕事スペースの削減

ペーパーレス化のメリットとしてまず挙げられるのは、今まで印刷代にかかっていたコストが不要になることです。これまでの印刷代が1枚3円で、50人の社員が毎日10枚ずつ印刷していたとすると、1か月で45,000円の出費、1年では54万円もの出費がかさむことになります。しかし、電子上での書類管理にはお金が発生しません。

また、書類をペーパーレス化することで、デスクやオフィス回りが綺麗に片付きます。当然ですが、紙媒体での書類管理だと、書類が増えるにつれて、その書類を管理するために必要なスペースも増えていきます。その結果、デスクの周りが書類だらけになってしまったり、書類保管用の部屋を作ったりしなければなりません。

しかし、書類を電子上で保管していれば、どれだけ新たな書類が生まれても、デスクが書類まみれになったり、保管スペースを割いたりする必要もなくなるのです。また、紙媒体での書類管理は、いざというときに必要なものがすぐに出てこないなど、探すことに無意味な時間を費やしてしまうことにもなります。

業務効率化

従来の会議などでは、人数分の資料を印刷しておく必要がありました。しかし、ペーパーレス化をすれば会議に必要な資料は事前にパソコン上で共有できるため、印刷に割く時間を省けて業務効率化につながります。

また、資料の内容が変更になった場合、紙媒体だと印刷し直さなければいけません。それに比べて、電子上のファイルであれば変更するのも簡単です。

バックアップ

グーグルドライブやITツールなどのクラウド上に保管した書類は、バックアップを取ることができます。電子上で書類のバックアップを取っておけば、紛失や過失で消えることがありません。もし使っているパソコンが壊れてしまっても、ユーザーIDやパスワードさえ覚えていれば、他のパソコンやスマートフォンから確認することが可能です。

紙媒体での書類管理だと、誤ってシュレッダーにかけてしまったときや地震や火災などでオフィスがなくなってしまったときなどは、復元するのが難しいでしょう。このような場合に備えるためにも、書類を電子化してペーパーレス化することは非常に重要だといえます。

情報共有・検索が容易

書類を電子化してペーパーレス化することで、情報共有がスムーズになります。紙媒体での情報共有だと、紙のあるところまでわざわざ出向く必要があったり必要な書類を探さなければならなかったりと手間がかかります。しかし、電子上にファイルとして保管しておけば、メールやITツール上で簡単にやり取りができるため、情報共有の活性化にもつながります。

また、書類を探すのが大変だった紙媒体とは対照的に、ファイルを簡単に検索することができるため、探す手間も省けるのです。

承認フローの迅速化

ペーパーレス化の効果が最も出やすいのが、稟議書などの承認フローだともいわれています。必要事項を紙に書いて、複数の決裁者に承認を受けるまでのプロセスは、決裁者の不在などで遅延してしまうことも多いでしょう。

このプロセスを電子化することで、申請者は紙に記入する手間が省け、決裁者からの承認をもらいに行く必要もなくなります。また、この流れは電子上で可視化されるので、決裁者にとっても業務効率化につながるはずです。

稟議書がスムーズに承認されれば、社内全体の業務も効率化され、会社の業績にも良い影響をもたらすことでしょう。

セキュリティ強化

クラウド式のITツールなどを使えば、パスワードなどで情報が保護されているため、セキュリティの強化にもつながります。クラウド式とは、ペーパーレス化のためのツールなどを提供する会社が、インターネットを介してそれらのサービスを提供することをいいます。

医療施設におけるペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化は、業種問わずにメリットが多数ありました。医療施設にフォーカスを置いた場合のメリットは、カルテやレセプトのペーパーレス化が挙げられています。

電子カルテ

病院など医療施設で使用されるカルテを電子化しペーパーレス化することで、さまざまな手間が省けます。患者が記入した問診票を電子カルテに入力する際の入力ミスなどを防いだり、レセプトの作成やスタッフ同士の情報共有がしやすくなったりします。

また、患者や受診者に見せるための診療情報なども電子化することで、説明する際の手間が省けるなど、効率化につながることもあります。

レセプト

レセプトは保険者に請求する診療報酬明細書のことです。医療費のうち患者が窓口で負担する3割の残りの7割を、保険者に請求します。

厚生労働省は、2024年9月末までのタイムリミットを設け、医療機関に対するオンラインでのレセプト請求への移行を原則「義務化」で求めています。

従来のレセプトは紙に印刷して郵送で保険者へ送ることもありましたが、オンライン請求に移行すれば、紙の印刷代や郵送コストを削減できます。さらに、過去のデータも一元管理できるため、必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。

ペーパーレス化のためのポイント

ペーパーレス化をうまく導入するためのポイントについては、以下が挙げられます。

目的を明確に

ペーパーレス化できる分野は多岐に渡るため、まずはペーパーレス化したい分野や目的を明確にしておきましょう。ペーパーレス化はしたいけど、具体的に何をすれば良いかわからないという場合は、ITツールの会社へ資料請求や問い合わせてみてもよいでしょう。

従業員の理解を得る

ペーパーレス化を行う際は、事前に社員や従業員たちにアナウンスしておきましょう。急な報告で社員たちが慌てないように、ペーパーレス化のためのツールや使い方などを教えて、理解を得られる状態にしておきましょう。

そうすることで、ペーパーレス化の運用までもスムーズに行われるはずです。

段階的な導入

ペーパーレス化が決まり、社員の理解が得られたからといって、一気に導入を推し進めることはオススメできません。社内の業務システムを一気にガラッと変えてしまうよりは、段階的にペーパーレスを導入していき、社員や従業員に慣れさせるようにしましょう。まずは会議の資料から電子化していくなど、社員の負担にならないように進めていくことが重要です。

クラウド型ITツールを選ぶ

ペーパーレス化したいけどここまで読んでもよくわからないという方には、まずはクラウド型ITツールの導入をオススメします。

自社でシステムを構築する必要がなく、初期費用が安く始められることも特徴です。ペーパーレス化するための機能はもちろん、業務効率化のための様々な機能が備わっています。

まとめ|医療施設でのペーパーレス化も可能

ペーパーレス化をするメリットは、コストや仕事スペースの削減、業務効率化につながること、バックアップが取れること、情報共有や検索が容易、承認フローの迅速化、セキュリティ強化などがあります。

医療施設においては、カルテを電子化することで、業務効率化ができてスムーズな診察が可能になります。その結果、患者を短い待ち時間で診れるようになり、業績も良くなるでしょう。

医療施設でのペーパーレス化は、手順やポイントを掴めば決して難しいものではありません。ペーパーレス化をすることで、病院側と受診者側の双方にとってメリットとなり得るでしょう。

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