こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
ITツールでの業務効率化を考えていても、導入後のトラブルやリスクに不安を感じる方もいるでしょう。ITリスクは、適切なリスクマネジメントを行うことで対策できます。
事前にITリスクマネジメントをすることで、効率的なトラブル対処が可能です。そこで今回は、ITリスクマネジメントが大切な理由やITツール導入のリスク、さらにはリスク管理の手法についてご紹介します。
目次
ITリスクマネジメントが大切な理由
ITツールを使ううえで、ITリスクマネジメントは欠かせません。いまやグループウェアなどのITツールの導入は一般的になり、使わずに業務を行うのは非効率で、会社の経営が成り立たないともいわれています。
一方で、ITツールを利用する場合、同時にリスクも存在します。これを防ぐためにもITリスクマネジメントを適切に行い、被害を最小限に抑えることが重要です。ここでは、ITリスクマネジメントが大切な4つの理由について詳しく解説します。
ITツールが常識になった
前述のとおり、ITツールは業務に欠かせないものとなっています。情報共有用のグループウェアから、社内外との連絡手段であるメールまで、社会人の多くは意識せずともITツールを使っています。
例えば、相手との連絡は全て固定電話で行う、手書きでしか文書を作らないという職場はほとんどありません。ITツールを使わずにビジネスを行うのは、不可能といってもよいでしょう。ITツールは電気や水道と同じように、社会におけるインフラの一つにもなっているのです。
リスクは常に存在する
何事にも、リスクはつきものです。ITツールを利用する場合、自然災害によりIT機器の破損、クラッカーによる不正アクセス、従業員による人的ミスなど複数のリスクが存在します。
これらのリスクは、いつ発生しても不思議ではありません。極端にいえば、隕石が会社に落ちてきて全てのパソコンが破壊されることもリスクの一つですが、ITリスクは身近なものが多く、発生した場合の管理が大切です。
被害を最小限に食い止める
ITリスクは、マネジメントを適切に行うことで、被害を最小限に抑えられます。想定されるリスクを洗い出し、事前に対策を練ることが大切です。事故が発生してから対策を考えていると、感染症のパンデミックのようにあっという間に被害が広がってしまいます。
また、リスクを想定していれば、リスクの発生自体を防げます。このように、被害を最小限に抑えるだけではなく、被害を未然に防ぐためにもITリスクマネジメントは非常に重要です。
トラブル対応を効率的に行える
ITリスクマネジメントを行うことで、リスク発生時にスムーズに対応できます。トラブルが発生してから対策を講じても、突然のことに考えが行き届かない場合もあるでしょう。
トラブル対応においては、事前に措置を講じることで、効率的な対策が可能です。その中で、対策チームや担当者を決めておけば、「自分のやるべきこと」に即座にとりかかれるため合理的に行動できます。このように、トラブル対応を効率的に行うためにも、ITリスクマネジメントは欠かせません。
ITリスクにはどういうものがあるのか?
ITリスクは、大きく3つに分けられます。
- システム上のリスク
- 災害リスク
- 人によるリスク
システム上のリスクはセキュリティソフトなどで一定の対策が行えるもの、人によるリスクの場合はシステム上で防止できるものなどがあります。ここでは、3つのリスクに対する考え方を詳しく解説します。
システム上のリスク
ITツールを使用する場合、セキュリティ上のリスクは避けられません。ウイルスやクラッカーなど、ITツールならではの危険性があります。
まず、企業の機密情報は外部から常に狙われていると考えなければなりません。個人情報の漏洩は企業の信用失墜につながり、最悪の場合は倒産もありえます。ITツールは情報管理において利便性が高いからこそ、システム面の高いリスクを負っているのです。
災害リスク
ITツールは、自然災害の影響を受ける可能性もあります。台風や地震などの天災によって電気や通信障害が発生すると、ITツールを使用できなくなることが考えられます。発生しうる災害の深刻度や頻度を考慮し、対策の優先順位をつけておくことが大切です。
例えば、近くに河川がある事務所では、「浸水害によるIT機器の故障」の対策が必要です。一方で、高台や丘の上ではこのような災害はほとんど発生しないため、リスクを許容します。自然災害リスクは常に存在しますが、地形や発生頻度を考慮し、対応の有無を考える必要があります。
人によるリスク
人的リスクは、次の2種類に分けられます。
- 操作ミスによるもの
- 人が故意に発生させるもの
しかし、これらのリスクはミスの原因を特定しシステムを構築することで、被害を未然に防げます。人の手によって起こりうるITリスクを解明し、適切なITリスクマネジメントを行うことが大切です。
操作ミスによるもの
人間はミスをする生き物です。「ヒューマンエラー」という単語があるように、操作を間違えなければよいという考え方は捨てましょう。いくら優れている人間でも、疲労や睡眠不足による集中力低下などで、間違いを起こすことも珍しくありません。
例えば、個人情報の誤入力というシンプルなミスであっても、後に重大な事態に陥ることもあります。このようなミスを発生させないためにも、システム上で誤操作を防ぐ仕組みが必要なのです。
人が故意に発生させるもの
人的リスクは、人の手によって故意に行われる場合もあります。その多くは、会社に対して不満を抱いている人、またはお金に困っている人が会社にダメージを与えるために起こしています。そのほか、過去に会社が所有する個人情報を売却する事件も発生しました。
今後も、金銭を目的とした故意の情報漏洩が発生するかもしれません。被害を防ぐためには、情報を持ち出せなくするシステムを構築するなどの対策が必要です。
ITリスクマネジメントの方法
ITリスクマネジメントは、主に次の4つのフローで行われます。
- リスクを特定する
- 対応するリスクの優先順位を決める
- リスクに対処する
- 経過観察を行う
特に重要なポイントは「優先順位」です。これを間違えてしまうと、リスクに対処しても無意味になってしまう場合があります。手順を確認し、適切なITリスクマネジメントを行うことが重要です。
1. リスクを特定する
ITリスクマネジメントを行う場合、リスクの特定がその第一歩です。マネジメントする対象を理解したうえで、適切な対策を講じます。まずは、社内で使用するITツールの弱点を把握し、想定されるリスクを特定します。
また、入力ミスなどのヒューマンエラーによるリスクの特定も大切です。人によるミスはどのようなものがあるのかを把握することで、システム上での対策も行えます。
このように、ITリスクマネジメントのスタートは、リスクの洗い出しからです。対策の要否を判断するために、思いつく事象を全て書き出しましょう。
2. 対応するリスクの優先順位を定める
リスク対応の優先順位は、「発生頻度」と「影響度」から考えます。頻繁に発生し、影響が大きいリスクは、最優先に対応しなければなりません。例えば、コンピュータウイルスによる個人情報漏洩などが挙げられます。
反対に、めったに発生しない影響度の小さいリスクは優先順位を下げる、あるいは対策をしないというのも一つの考えです。このように、リスク対応では「発生頻度」と「影響度」を分析し、優先順位を設定していきます。
発生頻度
リスクの発生頻度は、リスクマネジメントにおいて重要な指標です。どれだけ影響が大きくても、発生頻度が極めて少ない場合は許容します。例えば、隕石の衝突により事務所のIT機器が全て破壊される可能性は、ゼロではありません。
しかし、そこまで対処していたらキリがなく、リスク対応することで業務が非効率になってしまいます。このように、リスクの発生頻度は、マネジメント実施の判断材料にもなりうるのです。
影響度
ここでは、リスクが発生した場合の影響度を考えます。例えば、社内資料の記載ミスであれば影響度は軽微ですが、他社への企画・提案資料の場合、ミスが多いと仕事を獲得できない恐れがあります。
さらに、一般に公開する資料や個人情報での誤入力は、信用の失墜や損害賠償の発生から、最悪の場合は倒産にまでつながる可能性があります。このように、同じようなミスであっても、場面によって社会への影響度は大きく異なります。
3. リスクに対処する
発生頻度や影響度からリスク対応の順序を設定したら、優先度の高いものから対処していきます。特に、経営や事業運営に大きな影響を与えるリスクから対策することが重要です。
自社への影響が小さいものは、後回しでもかまいません。しかし、頻繁に発生するリスクをそのままにしていては、業務を行ううえで非効率です。その場合は、ITリスクマネジメントとしてではなく、業務効率化の観点から早めに対策を講じる必要があります。
リスクの対処を誤ると、経営に大きな影響を及ぼしかねません。優先順位を見極め、リスク対策を行いましょう。
4. 経過観察を行う
リスク対処後は、その経過をモニタリングします。適正に対処していても、思わぬトラブルの火種が残っている場合もあるため、適切な処理ができているか一定期間確認する必要があります。
例えば、不正アクセス対策にセキュリティソフトを導入しても、それでこの先も安心とはいきません。さらにその上をいくコンピュータウイルスが開発されれば、新たなトラブルが発生します。
常に変化を続けるIT環境において、経過観察は欠かせません。リスク対策を行って終了ではなく、その後の経過を見守ることで、対策が適切かを見極めることが肝心です。
ITリスクを管理する方法とは
ITリスクの管理方法として、主に次の2点が挙げられます。
- 社内でITチームを作成
- 外部サービスの導入
社内チームで行う場合は、融通が利きやすい反面、育成に時間やお金がかかります。近年のIT人材不足を考慮すると、社内で行えるのは一部の大企業やIT企業に限られます。
一方、外部サービスは導入コストがかかりますが、社内で社員の育成や人件費を考える必要はありません。自社の人材や企業規模に応じて、適正なITリスク管理方法を選びましょう。
社内でITチームを作成
社内でIT専門部署を創設し、ITリスクマネジメントを一任するのも一つの手段です。この場合、自社に合ったITリスク対策を行うことができます。
IT専門家が常駐していることで、研修や情報共有を通じて社内のITリスク意識を高められる点もメリットの一つです。このように社内で専門チームを組織して対策を行う方法が考えられます。
外部サービスの導入
外部サービスを導入することで、効率的に対策を行える場合があります。IT人材は貴重で採用が難しいため、そのような場合に外部サービスの導入が有効です。
その一例として、「Acronis Cyber Protect」などの外部サービスを用いて、バックアップやサイバーセキュリティ対策を行う方法があります。外部サービスには、即効性と実施の確実性があることが特徴です。サービスの内容から、導入を検討してみてください。
*参考 Acronis|ITリスクマネジメントとは何でしょうか?
まとめ|ITトラブルを回避するためにリスクマネジメントは重要
今回は、ITリスクの解説とリスクマネジメントの重要性、方法について解説しました。ITツールを使用する以上、常にリスクは存在します。しかし、適切なITリスクマネジメントを行うことによりトラブルを回避できます。
また、リスクマネジメントは事故の予防や、被害の軽減にもつながります。正しくITリスクの対処を行い、事故が発生した際は迅速に対応することが大切です。
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