こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
近年では、会社の従業員がSNSやインターネットに不適切な投稿をすると、会社の負うリスクが非常に大きくなります。このリスクのことをソーシャルリスクといいます。企業を長く継続していくためには、このソーシャルリスクをマネジメントしていくことが大事です。
これから、企業におけるソーシャルリスクの要因、企業のソーシャルリスクマネジメントの3つのポイント、ソーシャルリスクが顕在化したときの対策などをご紹介します。
目次
ソーシャルリスクが企業に与える影響
ソーシャルリスクが企業に与える影響は、企業の提供しているサービスのブランドイメージと、企業自体のイメージの毀損につながるのです。
企業秘密や内部情報、従業員の不適切な投稿、不祥事の記事などが拡散されると、SNSが炎上する可能性があります。これにより、企業やサービスのブランドイメージの毀損につながってしまう危険性が高いです。
稀に、SNSで炎上しても即座に対応して、ソーシャルリスクを回避できるケースもあります。しかしそれは例外的な話です。一般的には、一度でもSNSで炎上してしまうと沈静化するのは難しいです。
SNSで炎上すると、そのままソーシャルリスクにつながる確率の方が高くなります。そのため、企業にはSNSでの炎上に対応できる体制づくりと、知見が求められています。
企業におけるソーシャルリスクの要因
企業におけるソーシャルリスクの要因には、どのようなものがあるのでしょうか。事前に知っておくことで、ソーシャルリスクを回避したいケースで役立つはずです。
- 利用者のクレーム
- ニュースによる拡散
- 風評被害
- 従業員による不適切な投稿
- 従業員からの内部告発
- 公式アカウントによる不適切な投稿
これらが、企業におけるソーシャルリスクの主な要因です。これから順番に解説していくので、確認してみてください。
利用者のクレーム
企業におけるソーシャルリスクの要因に、利用者のクレームが挙げられます。特に飲食店は、食品に関するクレームが発生すると、企業やブランドイメージを大きく毀損する恐れがあります。
日本では、食品への異物混入などが拡散されやすい傾向です。一度拡散されると、一気にユーザーの離脱につながる危険性があります。
ニュースによる拡散
ニュースによる拡散も、企業におけるソーシャルリスクの要因の一つです。企業の不正や不祥事がマスコミに報道されると、それがそのままSNSに波及するケースも多いです。
そして、当事者のSNSが掘り起こされる可能性もあります。その結果、新たな事実や疑惑が登場した場合は、新たな炎上騒動に発展するのです。
風評被害
企業におけるソーシャルリスクの要因に、風評被害が挙げられます。事実無根の風評を書き込まれてしまい、それが拡散される場合もあるのです。身に覚えがないことで、企業やブランドのイメージが下がることは、最大のソーシャルリスクだといえます。
このようなケースでは、書き込みがあった媒体の運営者に申請を行うことで、書き込みの削除ができるパターンもあります。風評被害にあった際は、まずは専門家に相談してみてください。
従業員による不適切な投稿
従業員による不適切な投稿も、企業におけるソーシャルリスクの要因の一つです。バイトテロのように、従業員によって不適切な投稿が拡散されることは、ソーシャルリスクの大きな火種となります。
不適切な投稿が大きく拡散されると、連日ワイドショーやネットニュースのネタとして世間を騒がせることになるでしょう。
バイトテロのような事例は減ってきましたが、大きなソーシャルリスクの危険性をはらんでいることは間違いありません。
従業員からの内部告発
企業におけるソーシャルリスクの要因に、従業員からの内部告発が挙げられます。従業員からの告発で「〇〇株式会社は新卒研修でパワハラを行い、自殺者を出した。会社はそれを黙認している」といった投稿が拡散されるケースです。
近年では労働基準法違反とも受けとられる、働きかたに関わる内部通告や、セクハラやパワハラなどのハラスメント行為は特にSNS世論に響きやすいです。これらの投稿が拡散されると、企業やブランドイメージの毀損につながりやすいという特徴があります。
公式アカウントによる不適切な投稿
公式アカウントによる不適切な投稿も、企業におけるソーシャルリスクの要因の一つです。これは、個人アカウントと間違えて誤爆してしまったものが多いといわれています。しかし、それ以外でも通常の投稿が拡散されることも少なくありません。
特にプロモーション活動に関する投稿は、賛否を招くことが多いです。何が起きても大丈夫なように、軸を持って発信するよう心がけるとよいでしょう。
企業のソーシャルリスクマネジメントの3つのポイント
企業のソーシャルリスクマネジメントを行ううえで、3つの重要なポイントがあります。これらを知っておくことで、ソーシャルリスク回避に役立つはずです。
上記が、企業のソーシャルリスクマネジメントの3つのポイントです。それぞれ解説していくので、確認してみてください。
SNSガイドラインの策定
企業のソーシャルリスクマネジメントの1つめのポイントは、「SNSガイドラインの策定」です。SNSガイドラインを策定しておけば、SNSで炎上が発生した際も、世間にイメージアップを訴えかけることが可能です。
これにより、ソーシャルリスクを抑えられる可能性もあります。なおSNSガイドラインを策定する際は、弁護士や専門家の監修を受けているガイドラインを導入するのがオススメです。
さらに、従業員のSNSリテラシー教育の場で、周知を徹底しなければなりません。従業員がSNSガイドラインを守ることが重要になってくるためです。
Webモニタリングの導入
企業のソーシャルリスクマネジメントの2つめのポイントは、「Webモニタリングの導入」です。すばやくソーシャルリスクの火種を察知することは、迅速な対応をとるために必要不可欠といえます。そのため、Webモニタリングを実施するのです。
毎日担当者がSNSを確認するのは大変なので、Webモニタリングを専門で行っている業者に依頼するか、専用のツールを導入することがオススメです。
従業員のSNSリテラシー向上
企業のソーシャルリスクマネジメントの3つめのポイントは「従業員のSNSリテラシー向上」です。従業員のSNS利用によるソーシャルリスクを防ぐためには、まずは従業員の教育が必要になってきます。
ベテラン層には、すべての発信が相手に届いてしまうこと、それによって相手が傷つき報復される可能性があることを伝えていくのが大事です。若い層には学生気分の延長で気軽にSNSを使っていると、社会的な制裁などを受ける可能性があることを教えましょう。
なお、従業員のSNSリテラシー向上の研修や教育は、普段から企業の風評などに触れている専門業者に任せるとよいでしょう。さまざまな事例を交えて研修や教育を行ってくれるので、活きた知識を得られるためオススメです。
ソーシャルリスクが顕在化したときの対策とは
ソーシャルリスクが顕在化したときの対策には、どのようなものがあるのでしょうか。対策を知っておくことで、すばやく対応できる可能性が上がります。
- 従業員に対する懲戒処分や損害賠償請求
- 掲載メディアに対して削除請求を行う
- 発信者情報開示請求で投稿者を明らかにする
- 刑事告訴を検討する
上記が、ソーシャルリスクが顕在化したときの主な対策です。これから解説していくので、確認してみてください。
従業員に対する懲戒処分や損害賠償請求
ソーシャルリスクが顕在化したときの対策に「従業員に対する懲戒処分や損害賠償請求を行う」というものがあります。従業員の問題行為でソーシャルリスクが引き起こされた場合には、懲戒処分にすることも検討しなくてはなりません。
まずは、就業規則に懲戒処分の理由が定められているかどうかを確認します。そして、従業員自身の言い分もヒアリングし、相応の重さの処分を選択していく必要があります。
次に、従業員に対する損害賠償請求です。従業員が故意または過失でソーシャルリスクを引き起こし企業に損害を与えた場合、従業員の会社に対する不法行為に該当します。この場合、不法行為について定める民法709条に基づき、会社は従業員に対して損害賠償請求を行うことが可能です。請求する損害額には、ソーシャルリスクを鎮静化するために必要になった費用、休業補償、人件費、失った利益などが含まれます。
商品への異物混入など、軽い気持ちのいたずらでソーシャルリスクが顕在化した場合もあります。再発防止や模倣犯の防止のためにも、厳しい損害賠償請求を検討する必要があるでしょう。
*参考 チューリッヒ保険会社|債務不履行(責任)と不法行為(責任)とは。損害賠償の違い
掲載メディアに対して削除請求を行う
「掲載メディアに対して削除請求を行う」のも、ソーシャルリスクが顕在化したときの対策の一つです。SNSなどのインターネット上の情報発信が要因となるソーシャルリスクは、即座にストップする必要があります。
インターネット上の情報は、簡単にコピーできるため拡散スピードがかなり速いです。そのため、早急に削除請求を行い、ソーシャルリスクの被害を食い止めなければなりません。
Facebook・YouTube・X(旧Twitter)などのSNS上で、会社の権利を侵害する投稿がされている場合は、権利侵害を理由にして削除申請を行うことが可能です。
発信者情報開示請求で投稿者を明らかにする
ソーシャルリスクが顕在化したときの対策に、「発信者情報開示請求で投稿者を明らかにする」というものがあります。SNSを含むインターネット上では、会社に不利益な情報が公開されていることがあるのです。
しかし、5ちゃんねるなどの匿名掲示板に代表されるように、誰が書いたかわからないという問題があります。投稿者が不明な場合でも、会社にとって権利侵害に当たる投稿の場合は、投稿者を明らかにできます。プロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」を行うことで、投稿者を特定できるのです。
発信者情報開示請求には、仮処分と訴訟が必要なケースが少なくありません。IT関連の法務が得意な弁護士に相談するのがオススメです。
刑事告訴を検討する
刑事告訴を検討するのも、ソーシャルリスクが顕在化したときの対策の一つです。ソーシャルリスクの程度が重いケースや、冗談半分で不適切動画の投稿を行うなど悪質な場合は、刑事告訴を検討することがあります。従業員の不適切投稿によるソーシャルリスクは、刑法上の業務妨害罪、名誉棄損罪などの罪に該当する可能性があるからです。
企業側が適切なソーシャルリスクマネジメントを行っていても、起きてしまう事件はあります。その場合は、従業員の悪質な故意によるものが原因と考えることもできます。
リスクマネジメントにスケジュール管理が役立つ
ソーシャルリスクマネジメントには、スケジュール管理が役立つのです。企業にスケジュール管理を導入することで、チームメンバーは予定を共有して、業務の進捗状況や担当者を明確に把握できるようになります。
その結果、チーム内でのコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトやタスクがスムーズに進行できるようになるのです。スケジュール管理を活用すれば、チームリーダーが各従業員に適切なタスクを割り当てられるようになります。
これにより、重要なタスクや緊急の仕事を均等に分担することが可能です。特定の人に過度な負担がかかることも防げます。そうしてメンバー間の不均衡を解消し、生産性を向上させられるはずです。
このように、スケジュール管理を導入すると会社の環境が向上するのです。そのため、従業員が自社を大事にするようになります。そうして、従業員からの内部告発や、不適切な投稿を防止する効果が期待できます。
まとめ|ソーシャルリスクの要因をマネジメントで回避
近年では、企業にとってソーシャルリスクは見逃せないものになってきました。ソーシャルリスク管理の優劣が、企業の命運をわける時代になってきたのです。
企業はソーシャルリスクによる脅威を軽視せずに、SNSガイドラインの策定や従業員への教育、Webモニタリングの導入など、あらゆるリスクマネジメントを講じる必要があります。
まずは今回ご紹介した、ソーシャルリスクの要因を把握することが重要です。その後、ソーシャルリスクマネジメントの3つのポイントや、ソーシャルリスクが顕在化したときの対策を活用して、ソーシャルリスクを回避するようにしましょう。
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