
AWSの導入を検討しているものの、社内にクラウド環境の構築・運用ができる人材がいない、または技術的なノウハウが不足しているとお悩みではありませんか?
そんな企業の課題を解決するのが「AWS構築・運用代行サービス」です。本記事では、AWS構築・運用代行サービスの概要から、メリット・デメリット、業者選定のポイント、そして厳選した10社の代行会社(AWSコンサルティングパートナー)をご紹介します。AWSをスムーズかつ効率的に利用したいという方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
① AWS構築・運用代行サービスのサポート内容
② AWS構築・運用代行サービスの利用メリット・デメリット
③ 代行会社の選定方法
④ AWS構築・運用代行会社10選
AWS構築・運用代行サービスの概要
AWSは、世界中で利用されているクラウドプラットフォームです。その多様なサービスを活用することで、企業は自社のビジネスニーズに合わせた柔軟なシステム構築と運用を実現できます。しかし、AWSの高度な機能を使いこなすには専門的な知識と経験が不可欠であり、自社だけで対応するには限界がある場合も少なくありません。そこで注目されるのが、AWS構築・運用代行サービスです。
AWSの構築・運用代行サービスは、AWSにより公式に認定された専門家(コンサルティングパートナー)が企業のクラウド環境構築から運用、保守までをトータルでサポートします。さらに導入計画の策定、最適なアーキテクチャ設計、セキュリティ対策、パフォーマンス監視など、幅広いニーズに対応可能です。
このようなサポートにより、企業はAWSのメリットを最大限に引き出し、自社の商品開発やサービス改善といったビジネス成長に集中できます。そのため、AWSの導入を検討しているものの、専門知識やリソース不足に悩んでいる企業にとって、AWS構築・運用代行サービスは非常に有効な選択肢となるでしょう。
サポート範囲
AWS構築・運用代行サービスのサポート範囲は、サービス提供事業者によって異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。これらのサポート範囲をまとめて委託する、もしくは、サポートしてもらいたい点をピンポイントで委託することで、自社のリソース活用を最小限にして最適なAWS活用を実現できます。
1.コンサルティング
AWS導入に関する相談、現状分析、最適な構成の提案など、導入前の支援を行います。企業のビジネス要件や課題をヒアリングし、AWSのどのサービスをどのように活用するのが最適かをアドバイスします。
2.環境調査・設計
既存のIT環境を詳細に分析し、AWSへの移行に必要な情報を収集します。ネットワーク構成、サーバー構成、データベース構成などを調査し、AWS上に最適な環境を設計します。
3.移行・構築
既存システムからAWSへの移行作業を代行します。サーバー移行、データ移行、アプリケーション移行など、移行に必要な作業を計画から実行まで支援します。
4.運用・保守
AWS環境の監視、障害対応、パフォーマンス改善、セキュリティ対策など、システムを安定稼働させるための運用・保守を行います。24時間365日の監視体制を提供している事業者もあります。
5.最適化
AWS利用料金の最適化、パフォーマンス改善、セキュリティ強化など、既存のAWS環境をより効率的にするための改善提案と実施を行います。コスト削減やシステム効率化に貢献します。

費用相場
AWS構築・運用代行サービスの費用相場は、サポート範囲、システムの規模、契約期間などによって大きく変動します。一般的には、初期費用と月額費用が発生するケースが多いため以下ではそれぞれの相場について触れていきます。
初期費用
AWS環境の設計・構築、移行作業など、初期段階に必要な費用です。シンプルな構成の場合は、数十万円ほどで、大規模な環境を構築する際は数百万円程度が相場となります。例えば、一般的なLAMP構成のWordPressの場合であれば15万円〜30万円の幅での費用が一般的です。
月額費用
AWS環境の運用・保守、監視、障害対応など、継続的なサポートに必要な費用です。例えば、Webサイトが正常に稼働しているか否かの監視だけであれば、月額数千円から提供している企業もあります。また、シンプルな構成のウェブサイトにおいて、24時間365日の障害対応まで含めた月額費用の相場は10万円ほどからが相場となります。また、保守対象のサーバーの台数を増やしたり、オプションで追加できる一般的なセキュリティ対策を含めると追加で費用がかかってきます。
料金体系は、固定料金制、従量課金制、複合型など、サービス提供事業者によって異なります。固定料金制は、一定の範囲内で定額料金を支払う方式です。従量課金制は、AWSの利用量に応じて料金が変動する方式です。そして、複合型は保守運用などにかかる固定料金とデータ転送料などの従量課金を組み合わせた方式です。
費用を抑えるためには、自社のニーズに合わせて必要なサポート範囲を明確にし、複数のサービス提供事業者から見積もりを取ることが重要です。また、長期契約を結ぶことで割引を受けられる場合もあります。

AWS構築・運用代行サービスの利用メリット
AWS構築・運用代行サービスを利用することで、企業は多くのメリットを得られます。以下に、主なメリットを3つご紹介します。これらのメリットを理解することで、自社にとってAWS構築・運用代行サービスが有効な選択肢であるかどうかを判断するのに役立ちます。各メリットの詳細を検討し、自社の状況と照らし合わせてみましょう。
社内リソースを有効活用できる
AWSの構築・運用には専門的な知識とスキルが求められます。自社でAWSを導入・運用する場合、担当者の育成や採用に時間とコストがかかります。また、既存のIT担当者がAWSの業務に時間を割かれることで、本来注力すべき業務がおろそかになる可能性もあります。そのような状況でAWS構築・運用代行サービスを利用することで、これらの問題を社内リソースを活用することなく解決できます。
その結果、自社のIT担当者を新サービスの開発や既存サービスの改善など、より戦略的な業務にリソースを振り分けることが可能になります。また、担当者の負担を軽減することで、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。
コスト最適化
AWSの利用料金は、構成や利用方法によって大きく変動します。適切な構成を選択し、利用状況を最適化することで、コストを大幅に削減できます。しかし、AWSの料金体系は複雑であり、自社で最適化を行うのは容易ではありません。
AWS構築・運用代行サービスを利用することで、専門家がAWSの利用状況を分析し、コスト最適化のための提案と実行を行います。例えば、不要なリソースの削減、適切なインスタンスタイプの選択、自動スケーリングの設定などにより、無駄なコストを削減できます。このように継続的なコスト最適化により、長期的に見ると大きな費用対効果を得られます。
また、代行業者は多くのお客様のアカウントを長期にわたって運用しているため、事前に利用期間を予約してサーバーを購入して通常料金よりも安くサーバーを活用する(リザーブドインスタンス)などのAWSの割引制度を活用しています。そのため、お客様自身でAWSからサーバーを借りるよりも安い価格での利用が期待できます。
安定性の向上
AWS環境の安定稼働は、ビジネスの継続性を確保する上で非常に重要です。障害発生時の迅速な対応や、セキュリティ対策の徹底はシステムの信頼性を高めるために欠かせません。こちらも自社で十分な対策を講じるには、高度な知識と経験が必要です。
AWS構築・運用代行サービスを利用することで、専門家が24時間365日の監視体制を構築し、障害発生時の迅速な対応を行います。また、要件に応じた適切なセキュリティ対策の実施、脆弱性診断、不正アクセス対策などにより、セキュリティレベルを向上させることができます。
さらに、定期的なバックアップや災害対策(DR)の構築により、万が一の事態に備えることができます。これらの対策により、システムの安定稼働を維持し、ビジネス機会の損失を防ぐことができます。

AWS構築・運用代行サービスの利用デメリット
AWS構築・運用代行サービスの利用には多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを事前に理解しておくことで、サービス導入後のミスマッチを防ぎ、より効果的な活用につなげることができます。以下に、主なデメリットを3つご紹介します。デメリットを考慮した上で、自社にとってAWS構築・運用代行サービスが最適な選択肢であるかどうかを慎重に判断しましょう。
継続的に代行費用が発生
当然ですが、AWS構築・運用代行サービスを利用する場合、初期費用に加えて、月額費用などの継続的な代行費用が発生します。既に自社で十分なコストの最適化や自動化などによる構築運用体制の効率化ができている場合と比較して、ランニングコストが増加する可能性があります。
特に、長期的に利用する場合、費用総額は大きくなる傾向があります。ただし、代行費用を支払うことで、専門知識を持つ人材を雇用したり、育成したりするコストを削減できます。また、AWSの利用料金最適化や、障害対応時間の短縮などにより、間接的なコスト削減効果も期待できます。費用対効果を十分に検討し、長期的な視点で判断することが重要です。
社内に技術的なノウハウが蓄積されにくい
AWS構築・運用を代行業者に委託する場合、社内にAWSに関する技術的なノウハウが蓄積されにくいというデメリットもあります。自社でAWSを運用する場合、担当者が経験を通じて知識やスキルを習得できますが、代行サービスを利用する場合は、その機会が限られます。
この問題を解決するためには、代行業者との連携を密にし、積極的に情報共有を求めることが重要です。例えば、構築・運用に関するナレッジ共有を依頼したり、定期的な報告会を開催したりすることで、社内でもAWSに関する知識を深めることができます。また、代行業者に研修プログラムを提供してもらうことも有効な手段です。
仮に将来的に自社運用への切り替えを検討している場合は、いざという時にゼロからの学習が必要にならないように、上記のような対策を取っておきましょう。
コミュニケーションコストの発生
AWS構築・運用代行サービスを利用する場合、代行業者とのコミュニケーションが必要になります。要件の伝達、進捗確認、問題発生時の対応など、様々な場面でコミュニケーションが発生します。このような事象が積み重なると、社内で完結できていた状態に比べて調整に時間がかかることがあります。また、自社のビジネスや既存システムへの理解が不足している場合、意図した通りの環境構築ができないリスクもあります。
これらの問題を最小化するためには、定期的なミーティングの設定や、プロジェクト管理ツールの活用など、細かなコミュニケーション体制の構築が重要になります。また、移行前には事前に明確な要件定義を行い、代行業者との間で共通認識を持つことが重要です。

代行業者の選定方法や基準
AWS構築・運用代行サービスを提供する事業者は数多く存在します。その中から自社に最適な事業者を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。実績、技術力、サポート体制、費用対効果など、様々な要素を比較検討し、慎重に選定することが重要です。以下に、主な選定方法や基準を3つご紹介します。
実績と技術力
AWS構築・運用代行業者を選定する上で、最も重要な要素の一つが実績と技術力です。過去にどのようなAWS構築・運用プロジェクトを手がけてきたのか、自社と類似した業界の事例はあるのか、どのような規模のシステムを構築・運用してきたのかを確認しましょう。
また、AWS認定資格の保有者数や、特定のAWSサービスに関する専門知識の有無も重要な判断材料となります。さらに自社で対応できないタスクを代行できるかどうかも重要なポイントです。
サポート体制と対応力
サービスページやリアルタイムな情報発信が必要なWebサイトをAWS上で運用している場合などでは、緊急時のサポート体制が重要となります。サポート体制に関しての選定基準としては、24時間365日の監視体制があるか、緊急時の対応フローはどうなっているか、平均対応時間はどれくらいかなどを確認しましょう。
また、担当者の変更や増員にも柔軟に対応できるか、障害報告書、定期的な報告会などの仕組みがあるかなども重要なポイントです。サービスの基盤となるシステムの構築や運用保守業務を委託するとなると、長期的な関係構築が欠かせないため、コミュニケーションの質と頻度は十分に考慮すべき要素です。
費用対効果と料金の透明性
AWS構築・運用代行サービスの費用は、サービス内容や契約期間によって大きく異なります。複数の事業者から見積もりを取り、費用対効果を比較検討しましょう。単に料金が安いだけでなく、提供されるサービスの内容や品質、サポート体制などを考慮して、総合的に判断することが重要です。
また、料金体系が明確であることも重要です。初期費用、月額費用、追加費用など、どのような費用が発生するのかを事前に確認しましょう。隠れたコスト(追加作業による料金発生の有無)がないか、契約内容を細かく確認しましょう。不明な点があれば、必ず確認をして、自社が求める要件を正確に満たしているかを把握した上で契約することが大切です。

AWS構築・運用代行会社10選
数あるAWS構築・運用代行会社の中から10社を厳選してご紹介します。各社の特徴や強み、料金体系などを比較検討し、自社のニーズに合った最適なパートナーを見つけましょう。自社の課題や要望を明確にした上で、各社の情報を参考に、最適な選択をしてください。
クロジカサーバー管理(TOWN株式会社)

クロジカサーバー管理は、2004年の創業以来、法人向けにクラウドに精通したエンジニアによる高度なセキュリティを担保したクラウド運用を提供し続けています。サーバー稼働数は315台に上り、サーバー稼働率は99.989%と高水準の環境を提供しています。24時間365日の監視保守対応はもちろん、独自の自動復旧システムの構築により安定したサーバー環境を実現しています。クロジカシリーズ合計で1,800社以上の導入実績があり中小企業から大手上場企業まで幅広い支援を行っています。
クラスメソッド株式会社

クラスメソッド株式会社は、AWSプレミアティアサービスパートナーとして知られる日本のIT企業です。クラウド導入からアプリケーション開発、運用保守まで幅広いサービスを提供しています。特にAWSに特化したサービス提供に強みを持ち、多数のAWS認定資格保有者を擁しています。クラウド保守においては、24時間365日の監視体制を整え、障害対応や性能最適化、セキュリティ管理などを包括的に行っています。同社の実績は多岐にわたり、大手企業から中小企業まで、様々な規模・業種の顧客にサービスを提供しています。
参考URL:https://classmethod.jp/
株式会社サーバーワークス

株式会社サーバーワークスは、AWSに特化したクラウドインテグレーションサービスを提供しています。AWSプレミアティアサービスパートナーの認定を受けており、クラウド移行からシステム構築、運用保守まで一貫したサービスを展開しています。クラウド保守においては、24時間365日の監視体制を敷き、独自開発のクラウド運用管理ツール「Cloud Automator」を活用した効率的な運用を実現しています。多数のAWS認定技術者を抱え、大手企業から中小企業まで幅広い顧客に対してサービスを提供し、多くの導入実績を有しています。
参考URL:https://www.serverworks.co.jp/
NHNテコラス株式会社

AWS・クラウド、ビッグデータ解析などのIT分野で包括的なサービスを提供しています。クラウド保守においては、オンプレミスとクラウドの両方に精通したエンジニアが、初期設計から移行・導入、ハイブリッド環境の統合管理までワンストップでサポートしています。同社のManaged Cloud構成・運用サービスでは、24時間365日の監視体制を整え、クラウド環境の安定運用と最適化を実現しています。
参考URL:https://nhn-techorus.com/
株式会社ディーネット

株式会社ディーネットは、AWSアドバンスドコンサルティングパートナーとして小売、不動産、金融業など多種多様な企業のAWS導入支援を行っています。データ分析基盤の構築やコールセンターシステムのクラウド化など、幅広い分野でのAWS活用実績があります。また、ドメインやSSL証明書の取得管理も代行可能で、包括的なクラウドサービスを提供しています。監視通知のみの必要最低限の対策からマネージドサービスまでサービス展開しているため、自社に必要なサポートのみを依頼することができ費用を抑えてAWS活用を進めることができます。
参考URL:https://denet.ad.jp/
株式会社アールワークス

株式会社アールワークスは、30年以上のシステム運用代行実績を持つ企業です。AWS導入支援サービスとして、コンサルティングから設計、構築、監視、保守までをトータルでサポートしています。また、24時間365日のエンジニアによる運用体制が強みです。そして、オンプレミスとハイブリッド環境のサポート実績も豊富です。
参考URL:https://www.rworks.jp/
株式会社BeeX

株式会社BeeXは、2016年設立のクラウド専業インテグレーターで、特にSAPシステムのAWSへの移行と運用に強みを持っています。2024年2月にAWSプレミアティアサービスパートナーに認定されました。SAP on AWS、クラウドネイティブ開発、データ分析、内製化支援などを得意としており、200以上のAWS認定資格を持つエンジニアが在籍しています。AWS運用支援サービス「BeeXPlus」では、マルチクラウドの設計、構築、運用をサポートし、コスト可視化ツールも提供しています。
参考URL:https://www.beex-inc.com/aws
アイレット株式会社

アイレット株式会社は、2010年からクラウド事業を開始し、日本初のAWSプレミアコンサルティングパートナー(現プレミアティアサービスパートナー)の一社として、2013年から継続して認定されています。クラウド設計・構築から運用保守までをトータルでサポートする「cloudpack」を提供しており、24時間365日の監視・障害対応が可能です。2,500社以上のAWS導入実績があります。AWS請求代行サービスでは、10%の割引と日本円での請求書払いが可能です。
参考URL:https://www.iret.co.jp/
株式会社シーズ

株式会社シーズは、2004年の設立以来、ウェブシステムの開発、運用、保守に携わっており、2020年4月よりAWSアドバンストティアサービスパートナーとして認定されています。AWSに特化したクラウドインテグレーションサービス「acCloud」を提供しており、AWS構築、運用、保守を包括的にサポートしています。AWS認定資格を持つエンジニアによる運用保守を提供しており、他社が構築したAWS環境の運用も可能です。
参考URL:https://www.seeds-std.co.jp/
CloudShift(株式会社スタイルズ)

CloudShiftは、株式会社スタイルズが提供するAWS活用支援ブランドで、AWSセレクトティアサービスパートナーです。AWSへの移行、導入から、セキュリティ、監視・運用・保守、クラウドネイティブなサーバーレス開発まで、AWS活用をワンストップで支援します。ハイブリッドクラウドや段階的な移行にも柔軟にも対応可能です。AWSセキュリティに強みを持っており、顧客のニーズや運用状況に合わせたセキュリティソリューションを提供します。AWS環境の初期導入費用が無料になるキャンペーンなどを実施しています。
参考URL:https://www.stylez.co.jp/
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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