の保守運用とは?費用相場や外注サポートのメリットデメリットを解説.webp)
24時間365日の保守体制は、予期せぬトラブルからシステムを守り、事業継続性を高めます。しかし、自社で保守体制を構築するにはコストや人材の課題が伴います。本記事では、24時間365日保守体制の構築方法から、外注による効率化、コスト削減まで、最適なシステム運用戦略を解説します。
この記事でわかること
① 24時間365日(24365)保守運用の対象範囲
② 自社内製での24/365の課題
③ 24/365の効率化・コスト削減の手段
④ 24/365保守運用の一般的なコスト
目次
24時間365日(24365)の保守運用とは?
24時間365日(24365)の保守運用とは、システムやインフラストラクチャを文字通り、昼夜、週末、祝日を問わず、継続的に監視、管理、維持する体制のことです。現代のビジネス環境において、特にWebサービスやECサイトなどでは、顧客が24時間いつでもサービスを利用できることが期待されています。
そのような状況下において、システムの可用性は事業継続に不可欠であり、一時的な停止や障害が大きな損失につながる可能性があります。そのため、多くの企業が24時間365日の保守運用体制を構築し、システムの安定稼働を追求しています。
保守運用(監視)の対象範囲
保守運用(監視)の対象範囲は、企業のシステム環境やビジネスニーズによって大きく異なります。以下では、主な対象範囲について見ていきましょう。
システム監視・障害対応
システム監視は主にサーバー、ネットワーク機器、アプリケーションなど、システムを構成するあらゆる要素を継続的に監視し、異常な兆候を早期に検出することを目的としています。
具体的な実施方法例としては、監視ツールを用いてCPU使用率、メモリ使用量、ディスク容量、ネットワークトラフィックなどのパフォーマンス指標をリアルタイムで把握します。そして、これらの指標が事前に設定された閾値を超えた場合、アラートが生成され、担当者に通知されます。そして障害の原因が特定できた後に、適切な復旧作業(障害対応)を実施します。
障害対応の例
<サーバーの過負荷が原因>
リソース使用状況の詳細分析を行い、CPU、メモリ、ディスクI/Oなどのボトルネックを特定する。短期的対応としてプロセスの再起動や不要サービスの停止を実施。中長期的対策としてサーバー増強、負荷分散構成の導入、アプリケーションコードの最適化を行う。
<ネットワーク障害が原因>
通信経路の特定と代替ルートの確保を行うとともに、ファイアウォールやルーターの設定を見直す。必要に応じて機器の交換や冗長構成の強化を実施する。
上記のような障害対応を、迅速かつ正確に行うことが重要です。ダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスへの影響を軽減するためには、標準化された手順や自動化されたツールを活用することが効果的です。こちらの点については、下記「システム改修・セキュリティ対策」で後述いたします。
データ保全・IT資産管理
事業継続性を確保するために、データの損失や破損を防ぐ必要があります。例えば、定期的なバックアップ取得とその検証、災害復旧計画の策定と実行訓練などを行います。
バックアップについてもう少し触れていきます。まずバックアップの目的としては、システム障害や災害が発生した場合に、データを復旧することです。具体的な実施方法としては、フルバックアップと差分バックアップを組み合わせてのデータの復旧が挙げられます。また、バックアップデータの保管場所も分散させ、災害時のリスク分散を図ることも重要です。
そしてIT資産管理では、自社が所有するハードウェアやソフトウェアのライセンス管理、資産台帳の整備、使用状況の把握などを行います。これにより、無駄な投資を抑制し、適切なリソース配分が可能になります。

システム改修・セキュリティ対策
システム改修では、OS、ミドルウェア、アプリケーションの定期的なアップデートやパッチ適用を行います。これらの作業は、サービス提供への影響を最小限に抑えるため、計画的に深夜や早朝の時間帯に実施されることが多いです。
またセキュリティ対策では、不正アクセスやマルウェア感染などの脅威からシステムを守るための継続的な対応を行います。具体的には、ファイアウォールやIDS(不正侵入検知システム)の管理・監視、脆弱性スキャンの定期実施、セキュリティパッチの適用などがあります。加えて、ログ監視を通じて不審な活動を検知し、早期対応することも重要です。
サイバー攻撃は24時間いつでも発生する可能性があるため、常時監視体制と迅速な対応プロセスの確立が必要です。新たな脆弱性情報にも常にアンテナを張り、予防的な対策を講じることが求められます。

自社内製での24/365の課題
自社内製で24時間365日の保守運用体制を構築・維持するには、多くの課題が存在します。以下では大きく2つの課題に触れていきます。
業務の属人化
システム運用における業務の属人化は、特定の担当者に業務ノウハウが集中している状態であり、担当者の退職やシフト変更により運用品質が大きく低下するリスクがあります。
さらに、保守運用のナレッジが十分に社内共有されていない場合は、同様の障害が繰り返されるなど、運用効率悪化の原因にもなります。このように業務の属人化は組織としての安定したサービス品質維持を困難にする深刻な課題です。
これを防ぐためには、業務の可視化・標準化・文書化、複数担当者での分担と知識共有が重要です。しかし、これらの対策を講じるにも相応のコストと時間がかかります。

採用・教育コストが発生
24時間365日の保守運用体制を維持するためには、常に複数の人員を確保しておく必要があります。システムの規模などにもよりますが、様々なリスクを考慮して最低でも4〜5名程度のエンジニアが必要となります。
しかし、ITエンジニアの採用は競争が激しく、採用コストが高騰しています。さらに、採用したエンジニアを即戦力として活躍してもらうためには、教育コストも必要となります。また、人材の流動性が高いIT業界では、せっかく育てた人材が流出するリスクも考慮する必要があります。
24/365の効率化・コスト削減の手段
24時間365日の保守運用を効率化し、コストを削減するためには、様々なアプローチが存在します。以下ではそれぞれの項目について見ていきましょう。
運用状況を可視化
システムの稼働状況や運用業務の内容、工数、発生した障害とその対応時間などをデータとして収集して、分析可能な形で可視化することで保守運用の効率化やコスト削減が期待できます。
具体的には、監視ツールやダッシュボードを活用して、CPU使用率、メモリ消費量、ディスク使用量などのリソース状況をリアルタイムでグラフ化します。また、backlogなどのチケット管理システムと連携させて、障害対応にかかった時間や頻発する問題の傾向分析も行います。
これにより、システムのボトルネックや改善すべき運用プロセスが明確になり、効果的な対策を講じることができます。
例えば、特定の時間帯に負荷が集中する傾向が見えれば、その時間帯のリソース配分を最適化できます。また、繰り返し発生する障害を特定し、根本的な解決策を実施することで、長期的な運用コストの削減につながります。

運用体制の整備
適切な運用体制を敷くことで、限られた人員でも質の高い監視・対応が可能になります。具体的には、シフト制の導入やオンコール体制の確立が基本となります。シフトは4班3交代制などを採用し、過度な負担がかからないよう配慮します。
また、一次対応と二次対応の役割分担を明確にし、エスカレーションルートを確立することで、適切な判断と迅速な対応を実現します。さらに、運用手順の標準化とマニュアル化も重要です。障害対応フローや作業手順を詳細に文書化し、担当者によらず同品質のサービスを提供できるようにします。
これにより、新メンバーの教育コスト削減や、対応時間の短縮にもつながります。定期的な振り返りミーティングを通じて体制の見直しを行い、継続的な改善を図ることも効率的な運用体制には欠かせません。

クラウドサーバーの活用
現在オンプレミスでの運用をしている企業にとって、24/365運用の効率化・コスト削減の手段としてクラウドサーバーの活用は選択肢の一つになります。クラウドサーバーは、初期費用を抑えつつ、柔軟なリソース拡張を可能にします。また、必要な時に必要な分だけリソースを調達できるため、無駄なコストを削減することができます。
さらに、AWSなどのクラウドプロバイダーが提供する様々なマネージドサービスを活用することで、運用面をクラウドプロバイダーが担当してくれるため運用負荷を軽減することができます。
このように、ITインフラの最適化の観点でクラウドサーバーは有効的ですが、実際にクラウドサーバーを選択・活用する際には、セキュリティ、可用性、パフォーマンス、コストなどを考慮する必要があります。自社の要件と照らし合わせて適切なサーバーの導入を検討しましょう。
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専門業者への外注
当然ですが、専門業者は豊富な知識と経験を持っているため、トラブル対応や保守作業を迅速に行えます。また、業者によっては24時間体制の監視サービスを提供しているため、問題の早期発見と解決が可能です。
自社でこれらを実現するには、複数の専門スタッフの雇用や教育、シフト体制の構築が必要ですが、外注することでこれらの負担を心配する必要がありません。さらに「セキュリティアップデート代行」や「延命保守サービス」など必要なサービスだけをスポットで契約することで、自社の人的リソースを活用することなく最低限のコストで利用できるのも大きなメリットです。
24/365保守運用の外注メリット
先ほどの「専門業者への外注」の項でも触れましたが、24時間365日の保守運用を外部の専門業者に委託することには、多くのメリットがあります。以下では外注による主要なメリットについて深掘り解説いたします。
運用コストの削減
24時間365日の保守運用業務を外注することで、自社で24時間365日体制を構築する際に必要な人件費や深夜手当、教育・研修費などの費用を抑えられます。専門業者は効率的な運用プロセスと複数の顧客へ均一のサービス提供を行うスケールメリットを活かして、月額固定料金で高品質な運用が可能です。
開発など自社サービス向上に注力できる
保守運用業務を外部専門業者に委託することで、自社の技術者やIT部門は日常的な監視作業やトラブル対応に悩まされる心配が緩和されます。これにより、彼らの時間と能力を新機能の開発、既存サービスの改善、ユーザー体験の向上など、ビジネスの成長や競争力強化に直結する戦略的業務に集中投下できるようになります。
結果として、市場の変化に素早く対応し、顧客ニーズを満たすサービスをより早く提供することが可能になります。このように、保守運用の外注は単なるコスト削減策ではなく、自社の中核業務に経営資源を集中させ、企業価値を高める戦略的な選択肢といえます。

障害発生時の早期対応
24時間365日の保守運用を外部の専門業者に委託することで、障害発生時に迅速に対応してもらうことができます。多くの専門業者では24時間体制でシステムを監視しており、異常を検知した場合、迅速に原因を特定し、復旧作業を行います。
これにより、システムの停止時間を最小限に抑え、ビジネスへの影響を軽減することができます。 特に、夜間や休日に障害が発生した場合、自社で対応することが難しい場合があります。しかし、外部の専門業者に委託することで、緊急対応を行ってくれるため安心感を得ることができます。
24/365保守運用の外注デメリット
24時間365日の保守運用を外部に委託することには、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。主要な外注デメリットを以下で解説いたします。
外注先ごとのサービス品質のばらつき
外注先企業によって技術力、対応スピード、コミュニケーションに大きな差があります。一部の業者は高度な専門知識と豊富な経験を持ち、迅速かつ正確な対応が可能ですが、別の業者ではスキル不足や人員体制の問題で対応が遅れたり、解決策がその場しのぎになり、継続的に同じ問題が続いてしまうといった場合があります。
また、SLA(サービスレベル合意)の解釈や運用方針についても業者間で差異があり、「24時間対応」と謳っていても実際の対応時間や解決までのプロセスには大きな違いが生じることがあります。
このばらつきを軽減するには、実績評価、明確なSLA設定、定期的な会議の実施、複数業者との比較になど、慎重な選定と継続的な管理が不可欠です。
社内に保守運用ノウハウが蓄積されづらい
24時間365日の保守運用を外部に委託することで、社内に保守運用ノウハウが蓄積されづらいというデメリットがあります。これは当然ですが、保守運用の実務を外部に委託するため、自社のIT部門が経験を積む機会が減ってしまうためです。
ノウハウが蓄積されない場合、将来的に内製化を検討する際に、必要なスキルや知識が不足している可能性があります。ノウハウの蓄積を促進するためには、全てを外注するのではなく、自社でコントロール可能な範囲は内製対応を検討する。また、外注先との情報共有を積極的に行うといったことが重要です。
また、外注先のエンジニアを招いて、社内研修を実施したり、OJT(On-the-JobTraining)に参加させたりすることも有効です。 社内にノウハウを蓄積することは、長期的な視点で見ると、自社のIT部門の競争力を高めるために不可欠です。

24/365保守運用の一般的なコスト
24時間365日の保守運用にかかるコストは、自社内製で行う場合と外部に委託する場合で異なります。以下ではそれぞれについて見ていきましょう。
自社内製での費用感
まず人件費については、24時間365日の運用体制を安定して維持するためには最低でも5人程度の人員が必要となります。これは交代制でシフトを組み、休暇や病欠なども考慮した場合の最低限の人数です。そして、1時間あたりの人件費を3,000円とすると、月額約225万円の人件費がかかる計算になります。
そして設備関連では、サーバールームの維持費用として光熱費やOAフロア工事費用が継続的に発生します。大規模なデータセンターを自社で運用する場合は、消火設備や発電機の維持に数億円規模の初期投資と月額数百万円の維持費がかかります。
外注時の費用相場
オンプレミスの24/365保守運用を外注する場合の費用相場は、システム規模や要求されるサービスレベルによって大きく変動します。
一般的に、基本監視サービスで月額30万~50万円程度、障害対応や定期メンテナンスを含む包括的なサービスでは月額100万~300万円程度が相場です。緊急時の駆けつけ対応やオンサイト常駐型サービスを追加すると、さらに高額になります。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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