近年、多くの企業がクラウドへの移行を検討しており、その中でもAmazon Web Services(AWS)は人気の選択肢となっています。本記事では、AWSへの移行メリットや注意点について詳しく解説します。AWSへの移行を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
① AWSに移行することのメリット/デメリット
② AWS移行の注意点
③ AWS移行の大まかな手順
目次
AWSへの移行メリット
近年、AWSへの移行を検討する企業が増えています。そのような状況で企業がAWSへの移行を選択する理由は多岐にわたります。例えば、クラウドの柔軟性を活かしたリソースの最適化とコスト削減、AI や機械学習などの最新技術への迅速な対応が可能になるため、オンプレミスサーバーやレンタルサーバーからの移行を検討するケースが挙げられます。
以下ではAWSへの移行メリットに焦点を当ててその主な理由を詳しく解説してまいります。世界で最も利用されているクラウドサービスであり、様々な強みや特徴を持つAWSを紐解いて、オンプレミスサーバーやレンタルサーバーからの移行メリットを紹介いたします。
リソースの最適化とコスト削減
AWSへの移行は、企業にとって多くのメリットをもたらします。その中でも、特に注目すべきはリソースの最適化とコスト削減です。以下では詳細について触れていきます。
初期費用の削減
AWSへの移行は、初期費用の削減にも効果的です。従来のオンプレミス環境では、ハードウェアの老朽化や性能不足に対応するために、定期的にリプレイスを行う必要があります。一般的にリプレイスは、ハードウェアの購入費用、設置費用、移行費用など、多額の費用がかかります。オンプレミスのサーバーリプレイスに掛かる費用の概算として、中小企業でも数百万円から数千万円程度、大企業では億単位に上ります。
しかし、AWSを利用する際はAWSが保有している設備を活用することができるため、利用企業は初期費用を捻出することなくスモールスタートでクラウドサーバーを始められます。また、AWSでは、無料利用枠を提供しているため、取り組みハードルが低く手軽にAWSのサービスを試すことができます。
使用量に応じたコスト効率化
AWSは、使用量に応じた課金方式(従量課金制)を採用しているため、コスト効率の高い環境を構築することができます。オンプレミス環境では、ハードウェアを常に稼働させておく必要があり、使用していないリソースに対してもコストが発生していました。レンタルサーバーにおいても同様に、利用状況に関わらず固定料金を支払う必要があり、トラフィックが少ない期間も同じコストが発生するため、リソースの無駄が生じる可能性があります。
しかし、AWSでは、必要なリソースを必要な時にだけ利用できるため、無駄なコストを削減することができます。また、AWSは様々な割引制度を提供しており、コストをさらに削減することができます。
継続的な値下げ
AWSは、常にサービスの改善と価格の値下げを行っています。なんとサービス開始から 129 回以上の値下げを実施しております。円とドルの為替影響で日本企業は恩恵を感じにくいですが、実際にAWSはクラウドシェアNo.1というスケールメリットを活かして継続的な値下げを行なっています。
セキュリティが強固
AWSの代表的なメリットの一つとしてセキュリティの強固さを理解することは欠かせません。AWSは世界最高水準のセキュリティ対策を施し、お客様のデータを24時間365日保護しています。以下では2つの視点でAWSのセキュリティについて深掘りします。
多層的なセキュリティ対策
AWSは、世界最高レベルのセキュリティ対策を施しており、企業の重要なデータを安全に保護することができます。物理的なセキュリティ対策、ネットワークセキュリティ対策、データセキュリティ対策など、多層的なセキュリティ対策を導入しています。
また、AWSは、セキュリティ専門家チームを擁しており、常に最新のセキュリティ脅威に対応しています。実際に多国籍金融サービス企業であるNasdaqもAWSを活用しているほどです。
一方で正しい運用や設定を施すことができなければAWSとはいえ、セキュリティリスクは存在します。AWSへの移行を検討する際には、セキュリティリスクを理解し、適切な対策を講じる必要があります。
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国外のデータ保護法にも対応可能
AWSは、世界中にリージョンを持つため、海外展開を容易に行うことができます。データ保護の観点でもAWSを活用することでGDPRといった、特定の地域のデータ保護法や規制に準拠しつつ、グローバルにサービスを展開できます。AWSのリージョン選択機能は、国際的なデータ移転の制約に対応する有効な手段となります。
開発・運用の汎用性が高い
AWSの代表的なメリットとして続いては、開発・運用の汎用性の高さを取り上げます。AWSは豊富なサービスと柔軟な環境を提供し、多様なプロジェクトに対応可能です。以下では詳細についてご紹介します。
開発速度の向上と属人性の排除
AWSは、開発速度の向上と属人性の排除にも貢献します。AWSが提供するAWS Elastic BeanstalkやAWS CodePipelineといったツールやサービスを利用することで、開発者はアプリケーションを迅速に開発することができます。
AWSでは、標準化されたサービスを提供しているため、開発者(エンジニア)は、特定の技術に依存することなく、アプリケーションを開発することができます。これにより、属人性を排除し、開発チーム全体のスキルレベルを向上させることができます。
構築・運用がスピーディ
AWSは、利便性の高い自動化ツールを提供しているため、システムの構築や管理を自動化することができます。これにより、開発者はシステムの構築や管理に必要最低限の時間だけの確保で十分となります。これにより自社サービスの開発などに集中することができます。
最新技術への対応
AWSの代表的なメリットの最後として、最新技術への対応について触れていきます。近年、ビジネス環境の変化はますます加速しており、企業は常に最新技術に対応して競合優位性を高めていく必要があります。そこで最新の技術をいち早く提供するAWSを活用することで、企業はサービスとして使いやすい仕様に落とし込まれた最新の技術を容易に利用することができます。
例えば、AIや機械学習、IoTなどの最新技術を導入することで、ビジネスの効率化や新たなサービスの創出が可能になります。
AWSのAI関連サービスを一部抜粋(引用:https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202401/awsgeek-ai-ml-services/)
AWS移行のデメリット
初期設定と学習コスト
AWSへの移行には、初期設定や学習コストが伴います。AWSは多機能で柔軟性が高い反面、設定や運用には専門的な知識が必要です。特に、オンプレミス環境からの移行では、クラウド特有の概念やツールに慣れるための時間と労力が必要となります
コスト管理の難しさ
AWSは従量課金制を採用しており、利用量に応じた柔軟なコスト管理が可能ですが、逆に適切に管理しないと予想外のコストが発生する可能性があります。特に、リソースの無駄な利用や不適切な設定が続くと、コストが増大するリスクがあります。
データ移行の複雑さ
オンプレミスからAWSへのデータ移行は、データ量やシステムの複雑さに応じて大きな課題となることがあります。特に、データの整合性を保ちながら移行を行うには、計画的かつ慎重なアプローチが必要です。また、移行中のダウンタイムを最小限に抑えるための工夫も必要です。
特定のサービスへの依存
こちらはAWSに限らず言えることですが、AWSのようなサービスを利用することで、特定の技術やプラットフォームに依存するリスクがあります(ベンダーロックイン)。これにより、将来的に他のクラウドサービスへの移行が困難になる可能性があります。このような特定のサービスへの依存を避けるためには、オープンソース技術の活用や利用用途に分けてAzureやGCP などAWS以外のクラウドを併用する(マルチクラウド戦略)などの検討が必要です。
AWS移行の注意点
運用コストの管理
AWSへの移行は、初期費用を削減できる一方で、運用コストの管理には注意が必要です。AWSは、使用量に応じた課金方式を採用しているため、利用状況によっては、オンプレミス環境よりも運用コストが高くなる可能性があります。
そのため、AWSのサービスを適切に利用し、コストを管理することが重要です。AWSの利用状況を監視し、コスト削減のための対策を講じる必要があります。コスト削減の対策としてAWS BudgetsやAWS Compute Optimizerの活用を推奨します。
技術的な制約
AWSは、様々なサービスを提供していますが、すべてのシステムがAWSに移行できるわけではありません。AWSに移行できないシステムや、AWSで利用できない技術がある場合があります。例えば、古い独自のオペレーティングシステムや、サポートが終了したソフトウェアを使用しているシステムは、AWSの環境で動作しない可能性があります。具体的には、Windows Server 2003やそれ以前のバージョンを使用しているシステムなどです。
そのため、AWSへの移行を検討する際には、システムの現状を調査し、AWSへの移行が可能かどうかを判断する必要があります。また、AWSで利用できない技術については、代替技術を検討する必要があります。
現行のシステムとの互換性
AWSへの移行を検討する際には、現行のシステムとの互換性を確認する必要があります。AWSは、様々なシステムとの互換性を確保していますが、一部のシステムでは、互換性がない場合があります。そのため、AWSへの移行を検討する際には、現行のシステムとの互換性を確認し、必要に応じてシステムの改修を行う必要があります。
AWS移行の手順
システムの現状評価
AWSへの移行を検討する際には、まず、システムの現状を評価する必要があります。システムの現状を評価することで、AWSへの移行が可能かどうか、移行にどの程度の費用や時間がかかるのか、などを把握することができます。
システムの現状評価には、以下の項目が含まれます。
- システムの規模と構成
- システムの機能と性能
- システムのセキュリティレベル
- システムの運用状況
- システムの依存関係
要件定義と計画策定
システムの現状評価に基づいて、AWSへの移行の要件を定義し、移行計画を策定します。移行計画には、以下の項目が含まれます。
- 移行対象システム
- 移行スケジュール
- 移行費用
- 移行チーム
- 移行後の運用計画
テスト移行
移行計画に基づいて、テスト移行を行います。テスト移行では、AWS環境でシステムを動作させ、問題がないかどうかを確認します。テスト移行には、以下の項目が含まれます。
- 機能テスト
- 性能テスト
- セキュリティテスト
- 負荷テスト
本番移行とモニタリング
テスト移行が完了したら、本番移行を行います。本番移行では、AWS環境にシステムを移行し、運用を開始します。本番移行後も、システムの動作状況を監視し、問題が発生した場合には、迅速に対応する必要があります。
AWSへスムーズに移行するするならクロジカへ
AWSへの移行は、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、移行には様々な課題や注意点があります。スムーズにAWSに移行するためには、高い専門知識や経験が必要です。
クロジカサーバー管理は、20年間に渡りシステム構築や運用を行ってきました。AWS移行に関する豊富な経験と実績を持つ当社では、お客様のニーズに合わせた最適な移行プランをご提案いたします。AWS移行でお困りの際は、ぜひ一度クロジカにご相談ください。
監修者:クロジカサーバー管理編集部
コーポレートサイト向けクラウドサーバーの構築・運用保守を行うサービス「クロジカサーバー管理」を提供。上場企業や大学、地方自治体など、セキュリティ対策を必要とするコーポレートサイトで250社以上の実績があります。当社の運用実績を踏まえたクラウドサーバー運用のノウハウをお届けします。
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