こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
現代社会においてITインフラのクラウド化は常識となりつつあります。総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、クラウド市場が2021年では前年比28.6%増、2026年には2021年の2倍以上の市場規模になると予測されています。
さらに、クラウドサービス大手のAWS(Amazon Web Service)は2027年までに日本に対して2兆2,600億円の投資計画を発表するなど、クラウド市場は益々追い風が吹いている状況となりました。
本記事では、クラウドホスティングのメリットやデメリット、機能、活用事例を通して詳しく解説します。また、クラウドサービスと混合しがちなレンタルサーバーサービスの違いについてもご紹介します。レンタルサーバーとの違いが分からない方も、ぜひご覧ください。
目次
クラウドホスティングのメリット
はじめに、クラウドホスティングの主なメリットを4つご紹介します。
コスト最適化
クラウドホスティングを利用する最大のメリットの一つがコスト最適化です。
クラウドサービスでは使用した分だけ料金を支払う従量課金制を採用しているため、無駄な出費を抑え、必要なリソースに応じて柔軟にコスト管理が可能です。
例えば、オンプレミス環境の場合サーバー1台当たり数十万円必要ですが、クラウドサービスを使うとイニシャルコストが不要となります。さらに、サーバーは通常5年~7年程度で自然故障してしまいますが、クラウドの場合はサービスプロバイダー側が資産を所有しているため買い替えの必要がありません。
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拡張性
クラウドホスティングのもう一つの重要なメリットは、その拡張性にあります。
ビジネスの成長に合わせて、必要なリソースを柔軟に増減させることができるため、企業は常に最適なサーバー環境を維持できます。例えば、Webサイトの利用者人数の増減に合わせてサーバーを水平スケーリングすることが可能です。レンタルサーバーの場合、サーバー1台での運用が前提となっており、スケーリングに対応していないものがほとんどとなります。
高パフォーマンス
続いてパフォーマンスの高さもクラウドのメリットとして挙げられます。
例えば、AWSのサーバーサービスであるEC2では、高スペックなインスタンスとして192vCPUと2TiBのメモリに加え8GPU・GPUメモリ640 GB HBM3を備えており、複雑な計算を必要とするAIアプリケーションも動作可能です。
一方レンタルサーバーの場合は、高くても128vCPUと1TBメモリ程度のスペックとなってしまいます。他にも、AWS独自のデータベースエンジンであるAmazon Auroraは、MySQLの最大5倍、PostgreSQLの最大3倍のスループットを出すことができ、エンタープライズ向けのパフォーマンス性能を持っています。
信頼性の向上
クラウドホスティングは信頼性の高いサービスを提供することでも知られています。
AWSでは日本を含む27の地域にデータセンター等の拠点があり、信頼性向上に関する数多くのソリューションが提供されています。例えば、物理的に離れているデータセンターにデプロイするマルチAZ機能や、OS・ミドルウェアの管理をプロバイダー側が担ってくれるフルマネージドサービスがあります。
レンタルサーバーの場合は、物理サーバーのマネジメントは担っていますが、同じサーバー内に入っている他のユーザーからの影響を受けやすいというデメリットが挙げられます。
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クラウドホスティングのデメリット
クラウドホスティングが多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解し、対策を講じることで、クラウド環境の活用をより効果的に行うことが可能です。
予期しないコストが発生する場合も
クラウドホスティングを利用する際には、予期しないコストが発生する可能性があります。従量課金制のサービスでは、使用量が予想を超えると料金もそれに応じて増加します。
例えば、利用しないサーバーを立ち上げた状態にしていた、間違えてハイスペックなサーバーを立ち上げて運用していた場合には高額な請求となることがあるため注意が必要です。
ただし、クラウドサービスの場合は掛かるコストについてもモニタリングすることが可能です。AWS BudgetやSNSを用いてコスト上限を設定、閾値を超えると管理者やメール通知するような仕組みも構築できます。
セキュリティ強度をコントロールできない
クラウドホスティングを利用する際のもう一つの懸念点は、セキュリティ強度を自社で完全にコントロールできないことです。物理サーバーを自社で管理する場合、セキュリティポリシーの設定からアクセス権限の管理まで、全てのセキュリティ対策を企業のニーズに合わせてカスタマイズできます。
しかし、クラウドサービスでは、セキュリティ設定の多くがプロバイダーによって管理されており、企業が直接介入できる範囲には限りがあります。これにより、特定のセキュリティ要件や業界基準を満たすことが難しくなる場合があります。
おすすめのクラウドホスティング機能4選
ここからは、企業がクラウドホスティングサービスを選択する際に注目すべき4つの機能をご紹介します。
専用のIPアドレス付与
クラウドサービスではサーバーへの固定IPアドレス付与を格安で実施が可能です。
オンプレミス環境ではインターネットサービスプロバイダー側から月額1万円程度で固定IPオプションを使ってアドレスを確保します。しかしAWSのElasticIPの場合、サーバーが常時稼働していれば固定IPアドレスは無料となります。サーバーが停止していても月額数百円程度しか発生しません。
セキュリティ機能
クラウドサービスの場合、ISOやFISCなど国際規格に則ったセキュリティ対策やDDoS対策、脆弱性確認機能、HSM(Hardware Security Module)といった強力な暗号化など多層的なセキュリティ対策が可能です。
レンタルサーバーの場合ここまでのセキュリティ対策は実装できない仕様となっています。ただし、クラウドサービスのセキュリティ対策は一定の技術スキルが必要であることに留意しておきましょう。
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スケーリング機能
スケーリング機能もレンタルサーバーにはない魅力的な機能の一つです。
Webサイトやシステム運用において、ユーザーが多い日中帯はサーバーを2台、ユーザーが少ない深夜はサーバーを1台にするといった運用が可能となります。また、AWSのストレージサービスであるS3は、容量に応じて自動拡張するといった無制限のスケーラビリティを実現しています。
一方、レンタルサーバーの場合はプラン選択型のため即時のスケーリングが困難で、プラン変更には審査が必要な場合もあります。また、サービス会社によってはスケールダウンができない場合もあるので注意が必要です。
カスタマイズ性
Webサイトやシステム構築にはカスタマイズ性も非常に重要です。
これはプログラミング言語のバージョンやライブラリ・フレームワークによってアプリケーションのパフォーマンスに違いがでるためです。クラウドサービスの場合、IaaSサービスを利用すれば自由にカスタマイズ可能となります。
一方レンタルサーバーの場合は、他ユーザーとサーバーを共用する形となるため、プログラムのバージョンに制限がある場合や、FTPが使えない、管理者権限になれない、OS・ミドルウェア関連のファイルを編集できないなどの制約があります。
まとめ
クラウドホスティングは、その柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率、およびセキュリティの強化といった多岐にわたるメリットを通じて、多様なビジネスニーズに応える強力なソリューションを提供します。
レンタルサーバーと比較しても、クラウドホスティングはビジネスの成長段階や突発的なトラフィック増加にも柔軟に対応できるため、現代のデジタル化されたビジネス環境において非常に有効です。
しかし、クラウドホスティングを活用するには技術スキルや経験が必要となります。加えて、現在の労働市場は売り手市場であり、エンジニア不足が困難となっています。自社でクラウドエンジニアを確保し、既存サイトの移行を行うには時間が掛かることになるでしょう。
そこで、「クロジカサーバー管理」のご紹介です。「クロジカサーバー管理」では、オンプレミス環境からクラウドへの移行及び運用までトータルサポートを行っています。セキュリティ対策やバックアップ取得・リストアなども標準サービスとして提供しております。
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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