こんにちは。「クロジカサーバー管理」 IT/テックライターのkait78です。
Webサイトやアプリケーション開発には、システムの仕様書が不可欠です。本記事では、仕様書の役割や作成方法、仕様書がない場合の対策について解説します。
目次
システムの仕様書とは
仕様書は、システム開発や標準化・共通化の観点から必要不可欠なドキュメントです。
正確な仕様書は、開発者が要件を正しく理解し、適切にシステムを構築するための基盤となります。例えば日本政府でも、自治体情報システムにおいて自治体の行政運営の効率化に資するために「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に則って対応することが義務付けられています。
ここでは、仕様書の役割や作成に必要なスキル、メリット・デメリットについて見ていきましょう。
仕様書の役割と重要性
仕様書はプロジェクトの成功を左右する重要なドキュメントです。
その役割は、システム開発者のためだけでなく、クライアントとのコミュニケーションツールとしても機能します。システムの仕様を文書化することで、プロジェクトの範囲が明確になり、開発期間やコストの見積もり精度も向上します。
また、仕様書を作成することでシステムの運用担当者の変更や管理会社の変更にも対応可能です。将来のアップデートやメンテナンスの指針ともなり、システムの長期的な運用を支援します。
仕様書作成に必要なスキル
仕様書を作成するには、技術的な知識とともに、その業務フローや対応方法などの知識も重要です。
技術的な側面では、システムの機能や動作を正確に記述する能力が求められます。これには、プログラミング言語や開発環境に関する知識だけでなく、システム設計の原則にも精通している必要があります。
一方で、システムの導入により業務の追加や手順の変更が必要です。現在の業務フローや対応方法・現状の問題点を把握している担当者の知識も重要となります。仕様書作成は、これらのスキルをバランス良く組み合わせることで、より効果的に行うことができます。
また、仕様書作成時やシステムの完成後は、新システムを担当するチームへの聞き取り・教育をするためのコミュニケーションスキルも重要です。プロジェクトの要件を正確に捉え、開発チームや自社の担当者に正しく伝えることが、効率的な開発プロセスの鍵となります。
仕様書作成におけるメリット・デメリット
仕様書を作成することには、多くのメリットがあります。
・品質向上
仕様書を作成することで、システムの機能・要件を遵守することができます。また、文書として見直すことで機能や要件の漏れ防止にもつながります。
・コミュニケーションエラーの防止
システム開発は半年~1年程度と、長期間に渡ります。開発チームと発注者間でコミュニケーションエラー・言った言わないの論争が起きないように文書化することが可能です。一方で、仕様書作成にはデメリットも存在します。
・工数が掛かる
一般的に、仕様書の作成には1ヵ月~3ヵ月程度を要します。また、システムの運用変更や機能追加を行うたびに仕様書のメンテナンスが必要です。
・柔軟性を損なう場合がある
プロジェクトの進行中に追加機能が発生したり、運用中に既存の要件が変更される可能性があります。仕様として柔軟性が確保されていないと、小さな変更が大きな時間とコストの無駄につながることがあります。
仕様書は品質の向上やコミュニケーションエラーの防止に寄与するため必ず作成するようにしましょう。
仕様書の作成プロセス
ここからは、仕様書の作成プロセスについて解説します。
目的とスコープの設定
仕様書作成の最初のステップは、プロジェクトの目的とスコープを明確にすることです。
この段階では、プロジェクトで達成したい具体的な目標と、その範囲を定義します。システムやアプリケーションを行うモチベーション(業務効率化や売上高アップなど)を絞り、目的を明確にしましょう。不明確な状態で開発を行うと、不要な機能の実装やオーバースペックなシステムが完成する恐れがあります。
詳細設計
目的とスコープが定義された後、次のステップは詳細設計へと進みます。
この段階では、システムや製品が実現すべき具体的な機能や性能、インターフェース、データ構造などを細かく定義します。地方公共団体では、デジタル庁が策定した「地方公共団体情報システム 共通機能標準仕様書」を基にシステムの開発を行っています。機能設計や業務フロー、運用に至るまで詳細に記載がされているため、一読してみるとよいでしょう。
レビューと管理
詳細設計が完了した後、仕様書のレビューと管理のプロセスが始まります。この段階では、作成された仕様書をプロジェクトチーム内外の関係者が詳細に検証し、内容の正確性、完全性、および実現可能性を確認します。
レビューは、仕様書に含まれる技術的な誤りを発見し、曖昧な表現を明確化し、プロジェクトの目標に沿った仕様が記述されているかを保証するために重要です。
また、運用開始後もフローの修正や機能追加時には仕様書の版数管理(バージョン管理)が必要です。正しく管理されていないと、サーバーのマイグレーション時やクラウド移行の際に追加された機能が抜け落ちる恐れがあります。
仕様書がない場合の影響と対策
仕様書が存在しない、または不完全な場合、プロジェクトには多くのリスクが生じます。この章では、仕様書が不足している状況で発生する可能性のある問題と、その影響を最小限に抑えるための対策を紹介します。
仕様書がないシステム
システムの仕様書は必要不可欠な文書ではありますが、内製システムや社員の1人が業務効率化で作ったプログラム等の場合は上述したデメリットがあるために仕様書を作成しない場合もあります。また、紙ベースの仕様書しか用意されていない場合などは、紛失や版数管理が機能しない可能性があります。
仕様書がない場合の影響
仕様書がない場合、プロジェクトは複数のリスクに直面します。
最も顕著な影響は、開発プロセスの不透明性が増すことです。チームメンバー間での認識の齟齬が生じやすく、それにより不必要な再作業や誤解が発生します。また、プロジェクトのスコープが不明確になりがちで、結果として期間とコストのオーバーランが頻発します。
また、機能追加・引継ぎにおいても問題が生じます。開発会社以外の別の委託業者に新規開発を行ってもらう場合や、システム管理を委託する際に、仕様書がないと受け入れを断られる、追加で調査費用が発生することがあります。
仕様書がない場合の対策
ここからは、仕様書がない場合の対策について解説します。
仕様書がない場合は、仕様書の再作成を行うという方法があります。リバースエンジニアリングを用いて、システムの現状を明確にし、文書化します。ただし、サーバーやプログラムに関する深い知識が必要となります。
もしくは、仕様書がなくても機能追加・システム管理を請け負うサービスもいくつかあるため、そのサービスを利用するという方法もあります。ただし、サービスによっては追加料金や時間が掛かる場合があるため、見積もり時に確認しておくとよいでしょう。
仕様書がなくてもクラウド移行が可能な「クロジカサーバー管理」
最後に、仕様書がなくてもクラウド移行が可能な弊社サービスをご紹介します。
「クロジカサーバー管理」 では、現代のビジネスには欠かせないサーバーのクラウド導入・移行サービスです。本サービスでは、仕様書がない場合でも弊社エンジニアがお客様のサーバーを調査し、クラウド移行に必要な情報の取得・実施までワンストップで行っております。
仕様書がないことによる追加費用やイニシャルコストも不要で、月額のサーバー管理費用のみでクラウド運用を実現することができます。
他にも、事業会社様のウェブサイトをデザインされるWeb制作会社様でクライアント様から「サーバー管理まで対応してほしい」というお声がある場合、Web制作会社様向けのパートナープログラムもご用意しておりますので、詳細のご質問などについてお気軽にお問い合わせください。
▼パートナープログラムについて
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ライター:kait78
元大手通信事業者のインフラエンジニア。ネットワーク・サーバー・AWS領域でIT/テック記事に特化した記事を執筆。Webサーバーにまつわる課題や悩みに対して実務経験を基にした、現場社員目線の課題解決となるアイデアを提供します。
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